復習のしかた

 

エビングハウスの忘却曲線
 
ドイツの心理学者エビングハウス(Ebbinghaus,Hermann1850--1909)の実験によると、ある学習の記憶は,20分後に42パーセントを忘れ、1時間後に56パーセント,1日後では74パーセントが忘れられてしまうという。そして1ヶ月後(30日間後)には79%を忘却し、おぼえているのは21%であった。

 このことから、記憶したことは1日の間に急激に忘却し、その後の忘却はゆるやかに起こる ことがわかる。彼はその結果を「エビングハウスの 忘却曲線」という図表に残した(図省略)。

 この実験で使用されたのは相互に関連を持たない無意味な音節であり、学問などの体系的な知識ではこれよりゆっくりと忘却が起こると考えられる。

 それにしても1時間後の忘却率が56ということは、授業の最初にやったことは、授業が終わる頃にはもう半分以上が忘れられているということを意味する。これは授業の最後に教師が「まとめ」をすることの重要性を示唆しているとも考えられる。

 

復習の効果
 
では、学習した内容を忘れないようにするためにはどうしたらよいのか。答は「繰り返し反復すること」である。反復することによって、忘れる確率が低くなることは、多くの人が経験上知っているであろう。とくに、忘却率の高い最初の24時間以内に復習をすることは、大いに効果がある。

 野球の好きな人が、テレビの実況中継を見て楽しみ、その日の夜のスポーツニュースを見てまた楽しみ、さらに次の日の新聞を見てまた喜ぶ。そして、1週間後にはテレビの週間スポーツを見て、ひいきが勝ったと悦にいる。

 勉強もこれと同じである。忘れる前に、その日のうちに復習することである。特に英単語のようなものは、1日10個くらいなら覚えられるが、テスト前になって一度に300個も400個も覚えられるものではない。

 「短時間で実力を付ける方法」「少ない勉強時間で効率よく成績を上げる方法」。もしそんなうまい方法があるとすれば、それは、毎日学校の授業の予習をして、授業をきちんと理解し、毎日復習することである。とり立てて受験勉強なんて意識する必要はない。学校の授業についてくることができれば、日本中どこの大学でも合格できる。

 ところが、みなさんの中には学校の授業が分からなくなると、やたらと参考書を買い込んだり、塾に行って塾でいっぱい教材を与えられて、一つのことを何度も繰り返すという原則を実行しない人が出てくる。そうなると、理解できないからますます教材を増やす、という悪循環にはまってしまう。気を付けたい。

 

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