行動経済学とは何か?(2017年12月5日)
行動経済学
今年のノーベル経済学賞は、シカゴ大学のセイラ―教授に与えられた。セイラ―教授は「行動経済学」の権威で、これで行動経済学の研究者の受賞は2002年、2013年に続いて3人目となる。行動経済学とはいったいどういう学問なのか。簡単にまとめてみた。
アダム・スミス以来の伝統的経済学は、極端に合理的な人間を前提にしている。そのため、個々の人間の経済活動や行動をうまく説明できないことがある。たとえば、合理的人間ならば消費者金融から返済能力を超えた借金はしないし、年金は2か月に一度「まとめ支給」されるが、最初の1か月で使い切ってしまったりはしない。しかし、現実にはそうした行動を人間はとることがある。
そこで、行動経済学は人間が合理的な行動をとるという前提を外し、人間の意思決定の洞察を経済学に取り込み、個々の人間の行動を説明しようと試みる。
行動経済学による実験例
問1
「テスト前に2000円あげて、テストの成績が前回より下がれば没収」する場合と、「前回より成績が上がったら2000円与える」とした場合、どちらが頑張るか。
(答)
「下がれば没収」という場合のほうが成績は上昇する。これは、人間に「損失回避」行動をとるという傾向があるからである。人間は、得をすることよりも損をすることを極端に嫌うという損失回避という特徴を持っていることは、行動経済学ではよく知られている。
問2
持ち株の価格が下がって損失が発生した。そこであなたはどうするか?損切をするか、それとも何か良いニュースが入ってきてまた戻るかもしれないと思って保有し続けるか?
(答)
損失回避という行動をとる結果、損失を確定することを避け、塩漬けにする人が多い。このような損失回避の行動はゴルフなどでも見られる。
行動経済学の政策への応用
こうした行動経済学には、たとえば「他人の電力料金を示し省エネを助言すると、節電に努める」など、さまざまな場面での応用が期待されている。
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