原子力発電を考える (2017年5月8日)


 第二次世界大戦後、人類は原子力エネルギーという新たなエネルギーを手に入れた。しかし、結論から先にいうと、原子力は人類が扱うには危険すぎる。



1.縄文時代のことが現代に影響?

 「放射線漏れ事故」と「]放射能漏れ事故」。怖いのはどっち?
答えは放射能漏れ事故である。それは、放射能と放射線の関係を「ウンコ」とその「ニオイ」に置き換えるとわかりやすい。(ちなみにこのたとえは、京都大学原子力研究所の先生から教わった)

厄介なことに、一度放射能漏れ事故が起きると、その影響は非常に長期にわたる。たとえばプルトニウムの半減期は2万4000年に及ぶ。これは縄文時代の人間のしたことが現代人に影響を及ぼすようなものである。



2.放射線を「針」にたとえると…

 放射線による生物への影響は、細胞内の遺伝子(DNA)が傷つけられることによって起こる。しかも、一度被ばくすると治療は不可能である。現在の医療技術では損傷したDNAを元に戻すことはできない。

いま、わかりやすいように放射線を「針」にたとえる。針1本が 1ミリシーベルト とする。たとえ針1本 でも体を通り抜ければ、DNA 細胞は傷つけられる。傷つけられたDNAは自ら修復しようとするが、勘違いして間違って修復をしたり、修復できずに傷ついたまま細胞分裂を繰り返したりする

その結果、「ガン」や「白血病」「奇形」が引き起こされる。もちろん、たくさん被ばくするほど被害は深刻になる。全身に1,000ミリシーベルト(=1シーベルト)あびると嘔吐を催し、3,000〜5,000ミリシーベルト被ばくすると、約50%の人間が死亡する。

5000本の針が体を通り抜け、多数の細胞が死滅してしまうことをイメージしていただきたい。7,000〜10,000ミリシーベルト被ばくするとほぼ100%死亡する。

外部被ばくよりもっと注意が必要なのは内部被ばくである。放射性物質が一度体内に取り込まれると、体の内部から放射線を照射し続け、被ばくしてから20年も30年もたって、ある日突然「ガン」や「白血病」を引き起こす

放射性物質は目には見えない。色も臭いもない。だから、五感を通して危険を察知できない。水や食べ物に含まれていても危険だとわからないのである。また、地面からホコリとして舞い上がった放射性物質を吸い込み、内部被ばくすることもある。



3.地球は小さな金魚鉢

 人類にとって最良の技術とは、失敗の許される技術である。新幹線がスピードを出せるのは、ブレーキ技術がしっかりしているからである。原発施設に、いざという場合のブレーキはあるのか。原子力は人間が扱うにはあまりにも危険すぎる。太陽光発電や風力発電などの普及を急ぎ、原子力発電に依存する社会と1日も早く決別することが必要である。

地球の歴史46億年を46メートルとしてあらわせば、人類3000年の歴史など、1ミリほどもない。地球はいまや小さな金魚鉢みたいなものである。人間も自然のなかに生かされている存在であるということを、いま一度思い起こす必要がある。



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