2層メディアについてお話します。

現行の4.7GBのDVDに比べ1.8倍の容量を持つ「片面2層記録」対応の書き込み型DVDが、この春以降にも登場する。片面2層記録とは、その名の通りディスクに記録層を2層設け、それぞれの層にデータを記録していく技術。1層につき4.25GB、合計で8.5GBまでのデータを保存できる。記録時間で2時間を超える市販のDVDタイトルには、この技術が既に導入されている。

2層DVDディスクには、従来の4.7GBでは約2時間しか記録できなかったテレビ番組(DVD画質の場合)などが、4時間程度も録画できる。これまではディスク2枚に分けられていた長時間のスポーツ番組や長編ドラマなども、ディスク1枚に収められるメリットがある。

片面2層記録で大容量化を実現したDVD-RとDVD+R(図はDVD+R)
2層メディアの書き込みの仕組み
2層ある記録層に、ひとつの光ピックアップから2種類のレーザーパワーで記録する。
2層目に記録するには、レーザー光を半透過の反射膜を通過させるため大きなレーザーパワーが必要になる。

書き込み型のDVDには規格が複数あるが、2層記録は追記型のDVD-RとDVD+Rで開発が進められている。両者ともに1層記録のディスクと使い勝手は同様で、現行のDVDプレーヤーで再生ができる。データの書き込みには2層に対応したDVDドライブが新たに必要となるが、そのドライブは既存の1層ディスクにも書き込める。つまり、従来製品の上位モデルとなる。

DVD+Rを推進するDVD+RWアライアンスは1月8日に、+Rの2層記録の規格名を「DVD+R DL(Double Layer、ダブルレイヤー)」と発表。対応製品にはこの名を冠したロゴが付けられ、既存の製品と区別できる。
 なお、書き換え型のDVD-RWとDVD+RWは、2層化すると現行のDVDプレーヤーで再生するのが難しくなる。規格が固まるのは来年以降になる予定。

片面2層ディスクの特長

・ 記録容量は8.5GB
・ DVD画質で約4時間分のテレビ番組を記録できる
・ 当初の書き込み速度は-Rが2倍速、+Rが2.4倍速
・ これまでと同様の使い勝手、追記も可能
・ 既存のDVDプレーヤーでの再生に対応
・ ディスクは当初1枚800円程度から

DVD+R陣営は、早ければ4月に対応ドライブとメディアが登場し、加えて、近いうちに著作権保護の機器側での対応と仕様の策定を行う予定。

 一方、DVD-R陣営は、ハリウッドなどのコンテンツ提供側が納得する違法コピー対策なしには、製品を投入できないそう。既に2層技術自体は完成しているものの、実際の製品化は今年後半にずれ込む可能性がある。