マンション管理と管理会社
マンション管理は、本来管理組合(マンション居住者)がするもので、現実は管理会社に業務委託して「させている」というものです。あくまで主人はマンション居住者です。しかし、マンション管理を熟知している管理会社と1年で役員が交代しマンション管理について知識のない管理組合とでは、対等になれなくて、立場が逆転するようになります。いろんな懸案事項を管理会社が提案し、管理組合が承認・不承認するという形になり、その殆どが承認される形になります。その中には不要不急の工事等が含まれ、費用が割高になっていることもあります。特に機器の交換については、法定期限のある物は別ですが、時期がきたからといって、壊れていないものを交換工事する必要はないのです。
管理会社は、管理組合の運営をサポートするとして、いろんな提案をします。管理会社が営利企業である以上利益を得ようとするのは当然と言えば当然なのですが、管理組合が管理会社のいいなりになり不必要なものまで出費をすることは、管理組合(居住者)の不利益になります。理事会は当然ですが、不必要な出費がないか、個々の居住者も監視している必要があります。また管理会社が提出してくる見積金額が妥当なのかを、管理組合が相見積もりするなどして検討すべきでしょう。自分達のお金です。
これも勉強して知ったのですが、マンションは販売戦略として、当初、管理費は高く修繕積立金は低く設定されているのが一般的のようです。管理費は管理委託を受けることになっている関連会社が、次年から使えるお金なので、多いほど収益も上がるためです。しかし管理費と修繕積立金の合計額が高いと契約を見送られる可能性も高くなるので、修繕積立金を低い目に設定しているのです。また、本来、駐車場料金(専用庭・ルーフバルコニー使用料を含む)はその維持管理及び将来の修繕費にあてるもので、一般の管理費会計での使用は認められない性格のものです。国土交通省の指針(マンション標準管理規約)でもそのように示されているのに、当初の管理会社の押し付けたも管理規約では、これら収入が管理費として使えるという規定の仕方をしているところがあります(当マンションがそうです)。これは、管理費として使えるお金が多いほど、管理会社の儲けが出やすいのでこういう規定にしたとしか考えられません。このような管理会社の姿勢はいかがなものかと思います。
対応策
人間は保守的な傾向があって現状維持になりがちで、当初の管理会社の設定している業務がオーバースペックであってもこれをなかなか削減できません。私達のマンションでは夜間巡回費として管理会社を通じて警備会社に年間100万円を支払っていましたが、これらは殆ど効果のない代物です。これは後日我々が役員になった時にやっと廃止しました。管理会社へ支払っている管理委託費については、不要・不合理なものがないか、価格が高すぎないかを検討して、管理委託費用の引き下げを要求すべきです。特に点検や清掃業務については、必要のないものや、回数を多くしている可能性が高いです。
管理会社の対応によっては、管理会社の変更(自主管理も含めて)も考えていいと思います。大規模マンションなら自由な時間がある(リタイヤした)優秀な人材が相当いることも予想されるので、自主管理も決して夢ではないと思います。また、全面的な自主管理が難しそうであれば、自主管理支援ソフト等を活用して、管理会社に委託する業務範囲の縮小を考えましょう。
当初管理会社が設定していることが多い輪番制の役員1年全員交代では、管理組合としてノウハウの蓄積が望めません。理想としては、役員は2年任期で1年毎の半数改選とすることが望ましいと思います。また、役員経験者等によるサポート組織の設置も有用と考えます。組織として管理会社に対抗しなければいけません。それに今はインターネットで多くの情報得られる時代です。やる気があれば、管理会社レベルの知識も得られます。また、専門的知識はなくても、常識的で判断することも大切です。おかしいものはおかしいのです。
無関心で、白紙委任状を議長(理事長)に提出して総会を欠席するというのは、非常に危険です。納得出来ない案件でも、議案として提出されれば、議長(理事長)が賛成すれば、多数の委任状のせいですべて可決されます。そのため、管理会社はなんとか理事長を自分達側に取り込もうとします。管理会社が各管理組合の理事長だけを招待して食事会をしたという話も聞きました。総会欠席の場合、委任状以外に議決権行使書を行使するという方法もありますが、長らく当マンションではその制度すら採用していませんでした。無関心の人々にはあまり効果ないかもしれませんが、意見表明出来るという点で白紙委任状よりはましでしょう。
大規模修繕工事の実施
当初の販売戦略もあって修繕積立金の積立額が少ないため、大規模修繕の時期が近づくと、管理会社はこのままでは修繕積立金が不足しますので、値上げして下さいと言ってきました。当初の修繕積立金の設定は少なくとも30年程度の大規模修繕を見通したものとなっていなければおかしい(国土交通省もそのような指針を出しています)のに、1度目の大規模修繕を前にこんなことを言うのは納得がいきません。また、そういうことを言われて修繕積立金を言われるまま管理会社の示した額まで上げるというのも問題があると言われています。積立額を知っている管理会社は、その金額に見合った修繕計画(修繕の必要性の程度に関係なく)を提出して、工事を実施しようとするのです。平成20年、管理組合に修繕積立金改定検討委員会が発足し、要請されて委員になりました。そこでの議論も白熱しましたが、最低限の値上げにしました。
平成24年、管理組合で大規模修繕委員会を組織することになった際、管理会社の思い通りにさせてはならないと、立候補して委員になり、委員長になりました。管理組合の懐ぐあいを知っている管理会社に、建物の調査診断や他社の見積もりも取らないで、安易に大規模修繕を任せてはいけないのです。それまでの勉強はある程度役に立ちましたが、未知の世界が多すぎて、情報不信・人間不信に陥り、相当なエネルギーを消耗して、何とか役目を終えました(大規模修繕工事体験記参照)。