資料5
院内銀山惣而吹方之次第書上
 『近世鉱山社会史の研究』 荻慎一郎 (1996) 「近世における院内銀山の金生産 ―金銀吹分け法の技術伝搬―」 p.403-405

    金銀吹方之事
山銀壱貫弐百目素灰床ニ吹入、鉛百八拾目加ひ吹鎔し、湯加減を見火を去り、廻し木にて廻し候節硫黄を入、箒ニ而しめり水を打候得は薄皮ニ相成取申候、又火を掛、此吹数七八度吹返し候ヘハ、下タに溜り候薄金三百目程ニ相成候を取揚ケ、是を壱番薄金と唱申候、又壱貫弐百目吹事前之如くにして、同し薄金都合六百目を別にいたし置、両度ニ取皮弐貫目程ヘ鉛五拾目位加ひ吹鎔し候而、湯色を見火を去り、廻し木に而廻し此度よりハ硫黄を加ひ不申候而しめり水を打、皮弐まひ程申候、此時湯に鎔し候かねの中ニは金ハ早く堅まり申候[但、金ハ銀よりも冷のつよき故也]を皮取にて手早く抜取申候、此金五拾目位、如此する事五ケ度ニ而弐百五十目位上り候を弐番薄金と唱申候、右江鉛三拾目と硫黄を加ひ三四度吹返し皮弐まひ取申候ヘハ、下タに溜り候分百目位、前之壱番と同位之薄金ニ相成申候、扨右弐まひ之儀よりも又三十目位ツ丶之薄金弐ツ出申候、此時別之壱番とも惣数五ツニ而七百六十目位之薄金江鉛五拾目と硫黄を加ひ、皮に吹返し候事凡七扁(ママ)ニ而、弐百目位之薄金ニ相成申候、又其薄金弐百目と皮五百六拾目ほとを凡七八度も吹返し候得ハ、位百五十本位之薄金九十目位上り申候、是より精金ニ仕上ケ候次第ハ塩詰製法之座ニ而上り申候

右薄金九十目出来候残り銀皮弐貫三百拾匁位江鉛六百目加ひ吹候を薬抜と申唱、硫黄氣を抜申候、此時三十五匁位減に相成弐貫弐百七十五匁位上銀ニ而上り、是を灰吹江掛ケ鉛氣を抜候、打割ニいたし江戸表へ為御登ニ相成申候

    塩詰製法之事
薄金壱貫目此位百五十本にて、吹分方より請取、百五十目位壱ト床ニ致候而留茶碗に入吹鎔し、湯加減を見薬加ひ掻廻し、程良き時銅盤之上江明ケ、鉄之小手を以微塵ニ摺砕き、是を三百目程宛江薬と塩と寸灰と加ひ堅め候而くるミ、素焼瓦の皿へ入堅炭ニ而三時位焼候而取上、湯をかけ塩を流し候得は金砂斗残り申候、如斯する事凡七扁(ママ)位焼返致候得ハ上金弐百八十目位出来、銀ニて六百弐十目とり上ケニ相成、百目程ハ減相立申候、右上金江又薬を加ひ吹鎔し、湯加減を見鉄之丸形ニ入餅金ニ仕上ケ申候、是ハ最上精金ニ而位四十四本に相成申候


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