[とあるカクテルバー 〜 ]
とっても雰囲気のあるバー。カウンターに白石君が座っています。その白石に対し、バーテンがカクテルを差し出す。
店員 「お待たせしました、マルガリータで御座います」
白石 「ありがとう」
そして、出されたカクテルを渋ーい雰囲気で手にする白石君。そこに;
孝太郎「白石君、これ、塩ついてるよ、塩」
やっぱりそうだよねぇ。このドラマでそんなに長い間、渋い雰囲気が続くわけ無いよねぇ。お約束って感じで、ムードを壊してくれる孝太郎君が好きさ!(^^;)
白石 「これ、そういう飲み物なの!」
孝太郎「へぇ〜、さすが白石君だよねぇ。何かさ、店の雰囲気も松ちゃんとは、
随分違うしさ」(当たり前だっつーの(^^;))
白石 「桜井、お前、これからどうするつもりなんだよ?」
孝太郎「これから家に帰って洗濯しようとかと思ってるんだけど、夜だと中々、
乾かなくてね」(お約束ってヤツやね)
白石 「そうじゃなくて、将来のことだよ」
孝太郎「将来?」
白石 「・・・まぁ、お前にはそういうの関係ないか」
孝太郎「いや、そんなことないよ。僕だって色々と考えてるよ」
白石 「うん?例えば?」
孝太郎「例えば・・・いつかは社長になりたいとか・・・」
白石 「社長?!(@o@)」
孝太郎「そんなに驚くこと無いじゃない。白石君だってさ、いつかはさ、やっぱ
り社長になりたいって思ってるんじゃないの?」
白石 「社長はどうかなぁ。・・・そ、その前にやることがあるだろう」
孝太郎「まぁ、そうだね(^^;)」
そして、グラスに口をつける二人。白石は孝太郎を意識しながらもクールに、孝太郎はそんな白石の気持ちを知ってか知らずか、とにかく”塩”に興味津々って感じ…(^^;)。
ナレーション『同期入社の社員は何かと気になるものである。よき相談相手でも
あるが、最大のライバルでもある。
そして心の中ではこう考えている・・・果たして、どっちが先に
出世するか・・・』
[あけぼの保険 第一営業部オフィス 〜 津村乱入]
ある朝のオフィスの光景。真紀子が自分の机に向かおうすると、その席には社長の津村が座っている;
真紀子「おはようございます、社長。ここは私の席なんですけれど?」
津村 「今日から私がここの部長を兼任することになった」
と、いきなりの津村の発言に、驚く第一営業部の社員たち。全員、津村と真紀子のやりとりに注目しています;
真紀子「一体どういうことでしょうか?」
津村 「君のやり方ではあまりに手緩い。これからは、私が直接指揮をすること
に・・・」
真紀子「ちょっと待って下さい。私はどうなるんでしょう?」
津村 「部長代理のポストが空いているだろう。デスクはそっちだ」
と、津村は徳川が座っていた机に移るように真紀子に指示する。さらに;
津村 「それから、白石、桜井」
白石 「はい」
孝太郎「はい」
津村 「ちょっと会議室まで来てくれ」
と、孝太郎と白石を会議室に呼び出す。そのようすを不服そうに見つめている真紀子。
真紀子「・・・」
そして、津村とともに会議室の机につく白石と孝太郎;
津村 「実は君達のどちらかに、第一営業部の課長をやってもらいたいと
思ってる」
二人 「えっ?」
津村 「ま、確かにあけぼの保険は倒産の危機を脱することが出来た。しかし、
それだけじゃダメだ。これからは攻撃に出る。シェアの拡大。そのため
には、私の片腕となって働いてくれる人材が必要だ。私は君たち二人に
候補を絞った。しばらく二人の働きぶりを見て、その結果、どちらかに
課長として働いてもらう。そのつもりで頑張ってくれたまえ」
自らの主張を言うだけ言って、津村は会議室を出ていった。残された孝太郎と白石君は、しみじみと;
二人 「課長かぁ・・・」
と言って、ゆっくりと顔を見合す二人・・・さて、二人の対決はどうなる?!(^^;)
[あけぼの保険ビル前〜 白石の反応と由紀江の反応]
ビルの玄関口。営業に出掛けようとする白石と由紀江。白石はさきほどの津村の話を由紀江に打ち明ける;
由紀江「課長???白石君が課長になるの?」
白石 「俺か桜井のどっちかだってさ」
由紀江「二人を競わせるって事?」
白石 「そういうことみたいだな。ったく、あの社長、何考えてんだか」
由紀江「そうだよねぇ。折角、みんながまとまりだしたのに・・・」
白石 「そうじゃなくて!俺と桜井だったら、どう考えなくても俺だろ?!」
由紀江「えっ?」
白石 「『えっ?』、じゃなくて、そうだろう?」
白石は、入社年度は同じでも、営業成績や会社への貢献度を考えると自分が課長になるのは当然だと、強く主張する。
白石 「ったく、冗談じゃないってーの」
と、それぞれ『課長』という言葉に対して、”らしい”反応をしています。
[あけぼの保険 第一営業部 給湯室 〜 孝太郎の反応と尚美の反応]
そして、もう一方のカップルの場合、『課長』という言葉に、どういう反応をするかというと・・・
尚美 「課長!孝太郎が?」
その尚美の声に、通りすがりの井原が足を止め、二人に視線を送る。そして井原が立ち去ったのを見送ってから、会話を続ける孝太郎;
孝太郎「そうなんだよね。僕か白石君のどっちかを課長にする、って言ってんだ
けど、どう思う」
尚美 「どっちかだったら、白石さんでしょう?」(^^;)
孝太郎「ん?」
尚美 「だって、白石さんの方が営業成績がいいし、課長って感じじゃない?」
孝太郎「いや、僕が言ってるのはそういうことじゃなくて」
尚美 「え?」
孝太郎「ほら・・・折角こうやってみんな仲良くなってきたのにさ、社員同士を
争わせても、職場の雰囲気が悪くなるだけだと思うんだよねぇ」
尚美 「うん、そうだよねぇ・・・」
孝太郎「でしょう?」
と、職場の輪を大事にする孝太郎はいいとして、あっさりと課長は白石だと言う尚美ちゃんって好きかも(^^;)。
[居酒屋 松ちゃん 〜 女の戦い]
その日の夜。今日は尚美と由紀江の二人で松ちゃんにやってきてます。カウンターに座って、この場合、二人の話題と言えば、『課長』の話題であって、それぞれの言い分を語っているようです。まずは由紀江さん;
由紀江「私は桜井君の考え方は違うと思うなぁ・・・」
と、白石を指示する由紀江さんは、まるで最初から自らの主張であったかのように尚美に語ってます。ある程度の競争意識が必要だと言う由紀江と、一方で、孝太郎の意見を支持する尚美ちゃんは、今は力を合わせて守りを固めるときだと主張;
由紀江「まぁ、いずれにしても、課長を選ぶなら、白石君よねぇ」
と、さも当然と言わんばかりの由紀江の発言に、尚美ちゃんの闘争心に火がついてしまい、ここからはもう、誰も止めることが出来ないバトルに突入・・・(^^;);
尚美 「そんなこともないんじゃないかなぁ・・・」
由紀江「?!」
尚美 「そりゃぁ、白石さんは営業成績はいいけど、いまひとつ人望が無いから」
由紀江「そんなことはないわよ!みんな白石君のこと凄いって思ってるわよ!」
尚美 「でも、面倒見のいい方じゃないし、そういう点だったら孝太郎の方が」
由紀江「そりゃ、桜井君はヨイショばっかりしてるから、みんなのウケは良いわ
よねぇ。でも、ウケが良くても仕事が出来できなきゃしょうがないわよ。
どう考えても、課長は白石君よ」
尚美 「白石さんみたいなのが課長になったら、職場の雰囲気がど〜んと暗く
なって、みんなのやる気が無くなっちゃいますよ。それだったら孝太郎
の方が・・・」
由紀江「あんた本気で言ってるの?桜井君に課長は無理よ!」
尚美 「何でそんなことが分かるんですか?!やってみなきゃ
分からないじゃないですか!」
由紀江「分かるわよ!あんただってそういう風に言ってたじゃない!」
尚美 「(絶句)・・・それは・・・でも、白石さんよりマシでしょ!」
由紀江「何ですって!どういう意味よそれ?!?!」
ヒートアップして、二人とも立ち上がり、にらみ合いの状態に(^^;)。
松永 「あ、あの・・・二人ともちょっと飲みすぎなんじゃないかな?」
尚美 「マスターはどう思います?」
松永 「あ?」
尚美 「だから、孝太郎と白石さん、どっちが課長に向いてるか、つーの」
由紀江「白石君に決まってますよね」
尚美 「孝太郎ですよね!」
松永 「・・・。あ、タカシ、お前どう思うんだよ!」
タカシ「えっ?あ、僕、看板入れてきます」
松永 「おい、ちょっと」
少し落ち着いて、もう一度、椅子に座る尚美と由紀江。顔を背けて、ジョッキを一気飲みし、ジョッキを差し出し;
二人 「おかわり!」
[高級なお店 〜 津村の目論み]
とっても高そうな接客サービスをしてくれるお店(^^;)の個室。津村が楽しそうに飲んでいるところに、真紀子がやってくる;
津村 「よー。珍しい所に来たな。ははははは」
真紀子「・・・」
津村 「ちょっとみんな外してくれ」
と、接客中の女性たちを退室させる。二人っきりで話を続ける津村と真紀子。
真紀子「余計なことをしてくれたわね」
津村 「余計なこと?」
真紀子「課長の座をエサに白石と桜井を競争させているそうじゃないの」
真紀子は、津村のやり方に講義をしにきたのだ。せっかくの職場の輪が乱れると
職場の輪が乱れるという真紀子;
真紀子「あけぼの保険にはあけぼの保険のやりかたがあるの」
いくらグローバルライフのやり方を、あけぼの保険に押し付けても無理だと主張しても、全く聞く耳を持たない津村に、真紀子は閉口する。
[孝太郎のアパート 〜 尚美ちゃん、泥酔中]
いつものお気楽きモードで、部屋に戻ってくる孝太郎君。
孝太郎「ただいまーっと」
と、部屋の扉を開けた途端に、尚美が飛び出して、胸倉を掴んで、突っかかってくる;
尚美 「ちょっと孝太郎、悔しくないのぉ〜〜!」
孝太郎「んんん??なななな、何よ!(@o@)」
尚美 「白石なんかに負けて悔しくないのか、って聞いてるのぉ〜!」
孝太郎「(冷静に)”白石”って・・・飲み過ぎじゃないですか?」
尚美 「何だって(--;)」
と言いつつ、部屋の中に上がる孝太郎。
孝太郎「ちょっとお酒臭いよ。だってさ、尚美だって課長にするなら白石君だ、
って言ってたじゃない」
尚美 「私、そんなこと言った?」
孝太郎「言った、確かに言った」
尚美 「じゃぁ、それは無し」(^^;)
孝太郎「いや、無し、って・・・」
尚美 「(再び孝太郎の胸倉を掴んで)ねぇ、孝太郎、御願いだから、頑張って
課長になってよ、ねぇ、ねぇ、ねぇ〜」
孝太郎「いや、いや。とにかくさ、着替えさせて」
という孝太郎の言葉で、一旦、尚美ちゃんから解放された孝太郎君、スーツの上着を脱ぎ始めます。
孝太郎「ああ、もう、帰ってきた早々いきなり何なのよ〜。だって、尚美だって
言ってたじゃない、孝太郎は出世なんてしなくていい、って…」
尚美 「・・・」
孝太郎「尚美?」
尚美 「それは、そう入ったけどさ・・・」
と言いながら、尚美はテーブルに置かれたビールを一口飲む。
孝太郎「???」
尚美の真意がわかんない孝太郎。
[あけぼの保険ビル 〜 女の戦い−行動編−]
翌朝・・・ビルの玄関口で、出勤する白石を見つけ、呼び止める由紀江。
由紀江「白石君、おはよう!私、前にね、白石君が言ってた、中国のマーケット
に関する資料、まとめてきたんだ」
白石 「ああ、助かる」
由紀江「他にも何かできることあったら言ってよね。私、何でも手伝うから」
白石 「・・・?」
由紀江「桜井君なんかに負けないでね」
白石 「は?」
由紀江「もちろん負けるなんて思ってないけど、とにかく、頑張って欲しいな。
私、応援してるから」
白石 「ありがとう」
と、由紀江は白石が課長になるために、あらゆる協力をすることを宣言します。その気持ちは尚美ちゃんも同じようで、オフィスでは、朝から尚美ちゃんが孝太郎にだけ、お茶のサービスをしています;
尚美 「はい、桜井さんお茶ですよ」
孝太郎「あ」
尚美 「今日も一日頑張ってくださいね」
孝太郎「うん。(一口飲んで)あ、美味いね、これ。いつもと違う」
尚美 「そうでしょう?特別にいいお茶、買ってきたから…。孝太郎に頑張って
もらおうと思って」
孝太郎「ああ・・・(^^;)」
そこに、出勤してきた白石君、尚美にお茶を入れてくれるように頼みます。でも;
尚美 「自分でやって下さい」
と、冷ややかな返事。慌てて由紀江が「じゃぁ、私入れてくるね」と言って、尚美の後を追って給湯室へ;
由紀江「ちょっと、どういうこと?」
尚美 「はい?」
由紀江「何で白石君にお茶、入れてあげないのよ?・・・あ、もしかして」
尚美 「他も仕事、ありますから」
と尚美ちゃんは給湯室を出ていきます。仕方なく、由紀江が「いいわよ、私が入れるわよ」と、茶筒を手に取ると;
尚美 「あ、これ、私が買ってきたものですから…」
と言って茶筒を没収。
[あけぼの保険ビル 〜 一方、当の本人たちは…]
エレベータホール。出掛けようとした孝太郎と白石が一緒になってます。
孝太郎「いやいやいやいやいや・・・何だか妙なことになっちゃったねぇ」
白石 「桜井」
孝太郎「?」
白石 「俺は決めたぞ」
孝太郎「えっ?」
白石 「お前と勝負する」
孝太郎「勝負?」
白石 「どっちが先に課長になるか」
孝太郎「そりゃ、僕でしょう?」
白石 「何だと!!!何でお前が先に課長になれんだよ!!!」
孝太郎「またまたまたまた。そんな、ムキになっちゃって、白石君ったら〜」
と言いながら、白石の襟を直す孝太郎(←どこか緊張感の無いヤツ)
白石 「ったく。まぁとにかく、俺は正々堂々とやるからな。お前もそのつもり
でいろよ」
孝太郎「分かったよ。受けて立とうじゃない」
白石 「まぁ、勝負は最初から決まってるけどな」
孝太郎「えっ???」
白石 「今日、これからすごく大きな契約をまとめる予定なんだ…」
孝太郎「えっ、どこと契約するの?」
白石 「まぁ、見てろよ」
孝太郎「(指をパチンと鳴らして)分かった、丸勝産業でしょう?」
白石 「えっ、何で知ってんだよ?!」
孝太郎「ふふふふふ(笑)。こう見えてもねぇ、僕は情報通だからねぇ・・・。
知ってるでしょう?(優越感)」
白石 「ちくしょー」
孝太郎に作戦を知られてしまったことぐらいで悔しがってる白石君。そこに、津村がエレベータから降りてくる。それを見つけた孝太郎は、お出かけは取りやめ、すかさず津村にぴったりと張り付きます;
孝太郎「あっ、社長!」
津村 「?」
孝太郎「あっ、おはようございます。今日も素敵なワイシャツをお召しで・・・。
やはり、イタリア製ですか?」
津村 「そうだよ」
孝太郎「やっぱりそうですね。イタリアの服をここまで着こなせる男性は、日本
では、社長しかいませんよ!!」
津村 「まぁ、日本のイタリアンって呼ばれてるからね」
(だ、誰が呼んでるんだよ…(苦笑))
そんなヨイショをしている孝太郎を見て;
白石 「勝負は始まってるんだな・・・」
[ハローワーク職安 〜 そういえば、その後の徳川さん]
ハローワークに新しい職を探して相談にきている徳川さん。窓口の担当者の男性に、自らの希望を申告しています。
職員 「(前の職場では)第一線で活躍されてたんですね」
徳川 「ええ、まぁ」
職員 「で、お辞めになった理由は?」
徳川 「・・・」
職員 「どのようなお仕事が御希望ですか?」
徳川 「営業しかやったことがないもんで・・・」
職員 「営業職ですねぇ・・・パソコンは扱ってました?」
徳川 「パソコン?」
職員 「表計算とか、ワープロソフトなんかですね」
徳川 「ああ、いえ・・・やったことがないです」
職員 「じゃぁ英語とかは?営業職以外で何かアピールできることはありますか?」
[街中 〜 徳川さん、自信喪失中]
思うような職も見つからず、落ち込みながら、線路沿いの道をトボトボ歩く徳川。おなかもすいてきたものの、ポケットに小銭がある程度だし・・・そして、そのままあけぼの保険ビルの前までやってきて、ビルを出入りする人を、こっそり隠れてチェックしています;
徳川 「桜井のヤツ、出てこないかなぁ・・・」
真紀子「徳川さん?」
徳川 「はい?(振り返って)あっ」
真紀子「何してるの、こんなところで?」
徳川 「あいや、別になんでもないんです・・・」
と、慌てて走り去ろうとする徳川・・・だが、あまりの空腹で、そのまま倒れてしまい・・・
真紀子「徳川さん!」
で、結局、徳川は真紀子に昼食を御馳走になるのであった。
[あけぼの保険 第一営業部 オフィス 〜 社長をヨイショ!]
津村 「俺のビジネスセンスって言うのはね、日本では収まりきらなかったって
訳だ」
孝太郎「はあ〜」
津村 「最初に入った会社を早々に辞めて、単身アメリカに乗り込んだって訳よ」
孝太郎「なるほどお〜。素晴らしい御決断ですねぇ。それでいよいよグローバル
ライフに入社されたんですか?」
津村 「チチチチチ(否定)。ビジネスシーンっていうのはね、アメリカ、これは
そんな単純なものじゃないんだよ」
孝太郎「ははあ。大変、失礼いたしました」
津村 「あははは(笑)」
と、部長席で延々と自慢話を続ける津村と、それに合わせてヨイショをし続ける孝太郎。もちろん、今回も、そんな孝太郎を、営業部のみんなは冷ややかに見ているわけで;
森元 「ねぇ、桜井君、今度は社長にヨイショしてるわよ」
中根 「あの変わり身の速さは、感心するというか、呆れると言うか・・・」
由紀江「うん。・・・尚美、いいの、あれは?」
尚美 「・・・」
尚美が何も言えないでいると、そこに真紀子がやってきて「あんたたち何してるの、仕事しなさい」という一言とで、その場は一旦、解散となる。
[丸勝産業 会議室 〜 白石の大作戦]
一方の白石は、丸勝産業にやってきて、契約の窓口となっている部長の天野と面談中。白石が提示した保険のプランは評価してもらえたものの、丸勝産業としても、今回の中国進出は大きな賭けであり、それゆえ保険契約も慎重に他社とのプランと比較しながら進めているという。もちろん、契約もすぐにはしてもれなかった。その他社とのプランも白石が提示した遜色が無い内容であるため、もう少し考えたいという天野に対して、白石の取った行動は;
白石 「天野部長」
天野 「ん?」
白石 「今日、これからの御予定は?」
と、接待作戦に持ち込みます。ワインの美味しいイタリアンだとかフレンチだとか、食事に誘おうと提案するも、「どーせなら、ぱーといきたいな」という天野の希望により、恐る恐る;
白石 「カラオケ?」
だなんて、言いたくない言葉を口にしてみると;
天野 「いいじゃない」
と、好感触!(笑)。ここから白石君の不幸が始まるのねん(苦笑)。
[あけぼの保険 第一営業部 オフィス 〜 孝太郎の作戦は?!]
一方の孝太郎、相変わらず津村の御機嫌伺い、としか回りからは見られないヨイショをし続けております。
そこに、白石からの電話を受けた尚美ちゃんがやってきまして;
尚美 「あのー」
津村 「何だよ!」
尚美 「桜井さんに、お電話が入ってます」
孝太郎「僕に?」
尚美 「白石さんからです。何か急いでいるみたいです」
孝太郎「ちょっと失礼してよろしいでしょうか?」
と、席をはずし電話に出る孝太郎;
孝太郎「もしもし、桜井です」
白石 『桜井、お前さ、こないだ旨い料理出すカラオケハウスがあるって言った
じゃん。あれ、電話番号、教えてくれないかな?』
孝太郎「ああ、いいよ。ちょっと待ってて」
白石 『分かった、ありがとう』
孝太郎「えっ、白石君、カラオケなんて行くの?だったら僕も連れってってよぉ」
白石 『いや、今日はダメなんだ。今度な、ありがとー』
と、コソコソと電話を置いて、天野と出掛ける白石君。おいおい、どこが正々堂々となんだよー(笑)。
もちろん、一方の孝太郎は、正々堂々と、ヨイショをし続けてます(^^;)。社長が会社を後にしようと、車に乗り込むぎりぎりまで、くっついてきてまして;
津村 「それでな、そいつら本当にバカな連中なんだよ。だから俺、言い返して
やったんだよ。GET OUT!!」
孝太郎「あの…それは、どういう意味ですか?」
津村 「出てけって言う意味だよ。やつ等のそんときの驚いた顔を見せてやりた
かったよ」
孝太郎「あははははは(^o^)」
津村 「それで次の日な…。あ、話の続きは明日、たっぷりとしてやるからな」
孝太郎「ありがとうございます。明日、楽しみにしております」
津村 「じゃぁな」
と言って、車に乗り込み、扉が閉まる;
孝太郎「はい・・・お疲れ様でした」
社長の車を見送る孝太郎を、遠くから不満そうに眺めている尚美。
尚美 「・・・」
[カラオケハウス 〜 やっぱりカラオケと言えば『昴』でしょう!]
カラオケで盛り上がる天野と、何とか盛り上げようと、慣れないながらも必死の白石君。
天野 「次はね、私の本領発揮だから・・・」
と言って、流れてきた曲のイントロは、もちろん、あの『昴』なんだな・・・(爆)
白石 「ああ・・・これ、ですか・・・名曲ですよね。大好きなんですよ」
天野 「あら、そうかい!気が合うね、君とは」
白石 「光栄です」
天野 「よし、歌ってくるからね」
白石 「はりきって!喜んで!!!」
と、天野に対してはいい顔をしながらも、影ではこっそり;
白石 「何でみんな”昴”なんだよぉ・・・(涙)」
そうは言いながらも、天野に歌わせることで何とか場をしのいできた白石でしたが、とうとう、「白石君さぁ、君は歌わないのか・・・」などとバレてしまい、仕方なく;
白石 「♪あ〜あ、恋よ よき友よ〜」
と、あの曲を歌う白石。そして、最後は自ら「ヨイショぉ〜」なんて掛け声までつけてます(←ヤケ)
[居酒屋 松ちゃん 〜 尚美ちゃんの不機嫌の原因は?]
孝太郎と尚美はいつものように松ちゃんで食事中・・・のようですが、ちょっといつもとは雰囲気が違うようで、尚美ちゃんは御機嫌ななめ。孝太郎はそれに気づかず、美味しそうにジョッキを飲み干していますが;
孝太郎「あ〜、やっぱり仕事のあとの一杯は旨いねぇ」
尚美 「誰がいつどこで仕事をしたのよ!!(--;)」
孝太郎「何、そんな怖い顔してんの?」
尚美 「孝太郎、今日一日、何やってたの?ず〜っと津村社長の御機嫌とってた
だけじゃない!」
孝太郎「ご、ご、ご、御機嫌とってたわけじゃないけどさ。まぁ、少しは親しく
なろうと思ってさ」
尚美 「私があの社長にどんな目にあったのか、覚えてないの?!」
と、尚美に言われて、孝太郎は社員旅行の際の話を思い出す。う〜ん、ここでの回想シーンは不要だよねぇ。このドラマ、回想シーンがほとんど無いことが、テンポのよさにつながっていたと思うのだけど、ここは過去の映像を持ってこずに、台詞で乗り切って欲しかったかなぁ・・・。
孝太郎「ああ、そういえば、そんなこともあったねぇ〜」
尚美 「何よ、その言い方!」
孝太郎「いや、でもさぁ」
尚美 「私だけじゃないわよ、会社のみんなね、あの社長だけは許せない、って
言ってるんだから。それなのに孝太郎、『あ、そうですか。素晴らしい
ですねぇ』、なんてヨイショしちゃって。ちょっとは相手考えなさいよ」
孝太郎「でもさ、緒方部長の時だって、最初はみんなあんなに嫌がってたのにさ、
最近じゃ、結構、いい感じじゃない?」
尚美 「・・・。緒方部長は別よ」
孝太郎「何で?」
尚美 「最初は嫌なやつだと思ったけど、実は結構いい人だったっていうか…」
孝太郎「だったら、社長だって分かんないじゃない?」
尚美 「いや、違う。あれはね、根っからの悪人よ」
孝太郎「根っからの悪人なんているのかな・・・」
尚美 「何なのよ、いい人ぶって。とにかくね、私はあの社長が気に入らないの
よ!!!」
結局、尚美ちゃんのいらいらは孝太郎に原因があるんだから、孝太郎が何をどういっても納まるわけが無いのね〜(笑)。
[孝太郎のアパート 〜 徳川さんのお勉強]
手土産をぶら下げて、自らのアパートに帰ってくる孝太郎。部屋では、今日も徳川さんが待ってます。
孝太郎「ただいまっ」
徳川 「おかえり・・・」
孝太郎「これ、松ちゃんのマスターが、部長にって、焼き鳥のお土産・・・」
徳川 「あ、そう」
孝太郎「どうしたんですか、それ?」
と、ふと見ると、徳川はノートパソコンを触っています。
徳川 「あの女が貸してくれたんだよ」
孝太郎「あの女って?」
徳川 「緒方真紀子だよ」
孝太郎「えっ、会社、行ったんですか?」
徳川 「あはは、ちょっとな。お前、こういうの、分かるか?」
孝太郎「まぁ、部長よりは分かると思いますけど・・・」
徳川 「また馬鹿にして・・・」
孝太郎「あっ、失礼しました。でも、どうしてパソコンなんて始めたんですか?」
徳川 「お前に世話になってるばかりでもマズイし、そろそろ本気で仕事、始め
ないとな」
孝太郎「そうですか、頑張ってください。私、応援してますから」
徳川 「ありがとう」
と、孝太郎は徳川に優しい言葉をかけてます。でも、応援するって言っても、普通は社交辞令程度にしか言わないんだけど、孝太郎の場合は、ちゃんと面倒みちゃうから、すごいんだろうなぁ、やっぱり(^o^)。
[あけぼの保険 第一営業部 オフィス 〜 お手柄、白石君]
数日後(だと思う)・・・。オフィスで津村が全員を集め、白石の大型契約の手柄を褒め称える;
津村 「今日はみんなに報告がある、実はこの白石が新しい契約をとってきた。
丸勝産業の中国移転計画に関連した、とても大きな契約だ。まぁ、成立
すれば年間20億は下らない。しかも、我々、あけぼの保険の中国進出
の大きな足掛かりができるというわけだ」
由紀江「すごい、白石君!」
井原 「年間20億かよ。まいったなぁ」
吉村 「さすが白石さんですね・・・」
徳川 「白石、よくやった」
全員が拍手をし、白石の手柄を褒める。そして、孝太郎も
孝太郎「いやー、白石君、大したものだよ〜。ついに物にしたんだ。凄いよね。
おめでとう!!!」
と、人一倍、喜びを表現していますが、そんな孝太郎と白石を見て、尚美ちゃんだけは、やっぱり喜べずにいます。
[居酒屋 松ちゃん 〜 昇進祝い]
営業部の人間(ただし、平社員のみ)が全員あつまっての宴会が松ちゃんで行われています。もちろん、場を取り仕切っているのは孝太郎。
孝太郎「それでは白石英二君の課長昇進を祝って、みなさん乾杯しましょう!」
白石 「おいおいおいおいおい、まだ、正式に決まったわけじゃないよ」
孝太郎「でも内示は受けたんでしょ?」
白石 「まぁ、社長からはそれっぽいことは言われたけどな」
井原 「でもさ、あの社長の下で課長やるっていうのも大変だよなぁ」
吉村 「僕だったら、耐えられない」
井原 「だろ?」
と、男性社員は課長としての立場からコメントすれば、女子社員は;
中根 「白石さんもさ、あの社長みたいに、絶対に厳しい課長になるよねぇ」
森元 「なるなるなる。言えてる。白石さんって元々そういう所あるもんねぇ」
と、性格面での指摘なんかもしてます(^^;)。
白石 「おいおい、なんだよそれ」
由紀江「みんな、ひがんでるだけじゃないのぉ」
井原 「でもさ〜なぁ」
と、こういう雰囲気になっても、孝太郎は納めるのは特技だったりするわけで;
孝太郎「まぁまぁまぁ…。みなさん、心配はいりませんよ。白石英二君はねぇ、
たとえ課長になっても、決して驕り高ぶることなく、みなさんのため、
そして、会社のために努力することを誓いまーす」
白石 「お前が誓うなよ」
孝太郎「(^^;)」
由紀江「まぁ、とにかく乾杯しましょう」
孝太郎「そうだね、じゃぁ、白石英二君の課長昇進を祝って、かんぱーい」
全員 「かんぱーい」
由紀江「白石君、本当におめでとう」
こうして、楽しく宴会が始まり、特に白石と由紀江は仲良さそうにしている光景を見せ付けられ、尚美はたまらなくなり、店を出て行ってしまう。
孝太郎「・・・」
[街中の陸橋 〜 複雑な乙女心]
店を飛び出した尚美を追って、孝太郎が駆け寄ってくる。
孝太郎「あ、尚美!どうしたんだよ」
尚美 「別に何でもない」
孝太郎「だって・・・」
尚美 「孝太郎がいいならそれでいんだけど、でも、何だか見てられなくて…」
孝太郎「・・・」
尚美 「だって、白石さんと孝太郎、同期でしょ?悔しくないの?」
孝太郎「そりゃ、悔しいよ。だけど、白石君は大きな仕事を取ってきた訳だしさ、
今回は僕の負けだよ」
尚美 「だったら、孝太郎も頑張って大きな仕事、取ってくればいいじゃない!
何で社長の機嫌ばかりとってるの?」
孝太郎「いや。他にも色々やってるつもりだけどさ、白石君には白石君の
僕には僕のやり方があるからさ」
尚美 「・・・」
孝太郎「それに、白石君は僕らの友達なんだからさ、そんな怒ること無いと思う
な・・・」
尚美 「怒ってる訳じゃないわよ!」
孝太郎「じゃぁ、何?」
尚美 「『じゃぁ、何』じゃなくて・・・」
孝太郎「?」
尚美 「たまには格好いいとこ見せてよ!!」
そのまま走り去る尚美ちゃん。孝太郎は尚美を追うことも出来ず、そのまま立ち尽くす。
孝太郎「・・・」
[居酒屋 松ちゃん 〜 社長の呼び出し]
その頃、松ちゃんでは、まだまだ白石君一人で盛り上がっておりまして、そこに津村から電話が入ります。
津村 「さっさと切り上げて、こっちへ来い。話がある」
[高級なお店 〜 選ばれた人間]
そして、白石は赤い顔をしたまま、津村の待つ、やっぱり”高そうなお店”にやってきます。津村は白石に、付き合う人間を選ぶようにとたしなめる。
津村 「いいか、君は選ばれた人間なんだ。これから俺が本物のビジネスという
ものを、びっしりと仕込んでやる。もう、あんな連中と付き合うな。こ
れからは一流の人間とだけ付き合え!」
白石 「・・・」
[居酒屋 松ちゃん 〜 ]
宴会がお開きになり、孝太郎は松永やタカシと一緒に、店の片づけをしています。う〜ん、まめなヤツ(^^;)。粗方片付いたところで;
松永 「孝太郎、一杯やるか?」
孝太郎「はい」
と、松永はお銚子を手にして、孝太郎をカウンターに誘います。
松永 「(酒を注いで)はい」
孝太郎「あ、ありがとうございます」
松永 「お疲れ」
孝太郎「お疲れ様です」
松永 「・・・残念だったな」
孝太郎「ん?」
松永 「課長・・・白石のヤツに先越されちまって」
孝太郎「いや、いいんですよ。僕はそれほどの器じゃないですから」
(↑この台詞だけは孝太郎から言って欲しくなかったなぁ。孝太郎は、
ヨイショのためにへりくだることはあっても、自らを卑下するような
ヤツじゃないと思っていたから。それほどの器じゃないという台詞
は、あまりに孝太郎には不似合いです。とても気になったので一言
だけ・・・)
松永 「そうかなぁ。俺はお前の方が向いてると思うけどな」
孝太郎「そうですか?」
松永 「こういう御時世だとさ、誰が上司になっても、急に業績が上がるなんて
ことはないからさ。だったらお前みたいなお気楽なヤツの方が
みんなも、幸せってなもんよ」
孝太郎「・・・(^^;)。それって、褒めてます?」
松永 「あったりまえだよー。こう見えてもな、人を見る目はあるんだぜ」
孝太郎「ありがとうございます(^^)」
この松永さんの台詞が、視聴者の声を代表してるってことなのかな?
[打ちっぱなしのゴルフ場 〜 ]
休日、津村は白石をゴルフの練習に誘う。
津村 「君のお父さん、確か、クローバーコンツェルンの会長だよね?」
白石 「えっ。ええ」
突然の津村の発言に戸惑いを感じる白石。そして、津村は、そのクローバーコンツェルンとあけぼの保険が保険契約を結んでいないことを指摘し、自らのコネクションを利用しない理由を白石に尋ねる;
白石 「オヤジと僕は別ですから」
津村 「私が桜井じゃなくて、君を選んだ本当の理由が分かるか?」
白石 「・・・」
津村 「君は私と同じ”人生の勝ち組”に所属しているからだ。今度、親父さん
と一緒に食事にでも生きたいねぇ。息子さんの課長昇進祝いだ、きっと
喜んでくれるだろう」
[休日のオフィス街 〜 ]
人通りの少ない道を、孝太郎と徳川が並んで歩いています;
徳川 「そうかそうか。白石のやつが課長か・・・お前も哀れなやつだな」
孝太郎「そんなことはないですよ。ほら、もう、着きましたよ」
とある会社の入り口に立つ二人。徳川はこの会社の就職試験を受けようとやってきたようです;
徳川 「やっぱりここはダメだと思うから、やめとこうか。な」
孝太郎「いや、ちょっと部長。ここまで来て、何言ってるんですか。ね、面接の
時間もすぐですから」
徳川 「いや、そうだけど。どうせ、またダメだよ。もう28社も面接して、全部
ダメなんだから…」
孝太郎「今度こそ絶対に大丈夫ですって(小さくガッツポーズ)」
徳川 「そんなの、どーして分かるんだよ」
孝太郎「だってほら、ねぇ…。パソコンの勉強もされたし、ねぇ。英会話も完璧
じゃないですか!」
徳川 「英会話つってもねぇ、"まいねーむ いず やすひろとくがわ"、それから
何だっけかな…"ないす とぅ みーつゆー"…覚えたのこれだけだぞ」
孝太郎「もう、素晴らしい!!完璧ですよ、部長。行きましょう」
徳川 「いや、しかしなぁ」
孝太郎「遅刻すると、心象良くないですよ」
孝太郎は何とかして徳川を送り出そうとするが、とうとう玄関口に座り込んでしまう徳川さん(おいおいおい・・・)。
孝太郎「部長、私がちゃんと待ってますから」
徳川 「本当に?」
孝太郎「本当ですって。ね、行きましょう。さぁさぁさぁさぁ」
[とある会社の中途採用面接会場 〜 ]
中途採用面接会場の控え室で面接の順番を待つ徳川と孝太郎。徳川はただただ祈り続けています。
孝太郎「部長・・・そろそろですよ、部長・・・」
担当者「それでは次に徳川康弘様」
孝太郎「あ、はい!」
担当者「どうぞこちらに」
孝太郎「いや、私じゃなくて・・・部長・・・徳川部長・・・さぁ、部長の番で
すよ。行きましょう。さぁさぁ」
徳川 「あ・・・」
孝太郎に促され、とぼとぼと歩き出す徳川。
部屋を出て、担当者に案内され、廊下を進む徳川に、孝太郎が後ろから声をかけます;
孝太郎「徳川部長!」
徳川 「?」
孝太郎「朗報をお待ちしております!」
徳川 「うん」
徳川は再び歩き出して、もう一度、振り返り;
徳川 「あははは」
三度、徳川は面接会場へと歩いていった。その徳川を孝太郎は笑顔で見送る。好きだなぁ、このシーン。一話にあった「朗報をお待ちしております!」という台詞をもってきたところに、ホロリとしてしまった私。孝太郎の笑顔と相俟って、今回、一番印象的なシーンかな?
[夜道 〜 ]
夜の道に走る一台のリムジン。その車の後部座席には、津村と白石が乗っています。
白石 「ちょっと停めてください」
津村 「どうした?」
白石 「先ほど、僕の父親の話をされましたよね」
津村 「ああ、それがどうした?」
白石 「僕を課長にするのは、親父の会社と保険契約を結ぶのが目的ですか?」
津村 「だとしたら、なんだ?」
白石 「だとしたら・・・僕は課長の人事をお受けできません」
ビジネスは結果が全てであり、利益のためならどんなコネクションだって使うという津村。変な見栄やプライドは棄てろというが、白石はそんな津村の言葉に我慢ができず;
白石 「失礼します」
と言って、車を降りてしまう。
[居酒屋 松ちゃん 〜 雨降って・・・]
珍しく、一人でカウンターで飲んでいる尚美ちゃん。
尚美 「何であんなこと言っちゃったんだろう?」
と、孝太郎に「格好いいところ見せてよ!」と叫んでしまった回想シーンが入ります。やっぱり今回、回想シーンの入れ方が気になるわ…
尚美 「ああ・・・(ため息)」
松永 「まぁ、尚美ちゃんがそう言いたくなるのも分かんなくはないけど、俺は
あいつ格好いいと思うけどな。でも、ちょっと分かりにくいんだよな、
あいつの格好良さは」
尚美 「そうですよね」
松永 「尚美ちゃんだって分かってるんじゃない」
尚美 「そのつもりだったんですけど・・・」
松永 「大丈夫だって、孝太郎のやつ、そんなことで怒ったりしないよ」
そんな話を尚美と松永がしているところに、タイミングよく、景気の良い孝太郎の声が外から店の聞こえてきます。
孝太郎「だから絶対、今度は大丈夫だって言ったじゃないですか、部長!」
徳川 「ばんざーい!」
孝太郎「ばんざーい!!・・・(店の中に入り、尚美を見つけて) 尚美???」
尚美 「どうしたの?」
孝太郎「徳川部長、就職先、決定しました〜!!!」
尚美 「本当に?」
松永 「やったー、おめでとう」
尚美 「おめでとうございます」
徳川 「いえーい」
孝太郎「いえーい」
松永 「じゃぁ、さ、お祝いしましょう、お祝い。座って、座って…。もうね、
タカシ、のれん入れちゃえ!」
尚美 「でも、どうして?」
孝太郎「パソコンも英会話もバッチリですよ!」
徳川 「"ないす とぅ みーちゅー" だよ、なぁ?」
孝太郎「ほらほら」
徳川 「しびれっぞ〜」
孝太郎「しびれっぞ〜。あはは(笑)」
ハイテンションな徳川と孝太郎。そのまま店も閉め、孝太郎、徳川、尚美、松永、タカシの5人がテーブルにつき、ささやかな祝宴を開きます。
孝太郎「それでは、徳川部長、再就職先決定を祝って!かんばーい」
と、全員でビールを口にします。
孝太郎「ああ、うまいなー」
尚美 「本当によかったですね」
徳川 「うん、よかった・・・本当によかった。・・・桜井、ありがとな」
孝太郎「え?」
徳川 「正直、お前に救われたよ」
尚美 「・・・」
徳川 「仕事失って、妻や子供が出ていって、男としての自信を失った・・・。
甘えられるのは、お前だけだった」
孝太郎「部長・・・」
徳川 「お前はそんな俺を見捨てなかった。お前は、以前と変わらずに、部長、
部長って・・・(涙)。ありがとな、桜井、ありがとう!」
孝太郎「そんなことないですよ。何言ってるんですか。僕だって、さんざん部長
にお世話になってきた訳ですし」
徳川 「そうか?」
孝太郎「そうですよ!!」
そんな孝太郎と徳川のやりとりに、尚美も改めに孝太郎の優しさ・・・ここでは格好良さ、かな?を実感する。
尚美 「・・・(^^)。じゃぁ、もう一度、乾杯しましょう、ね?」
孝太郎「また?」
尚美 「こういうときは何度でもいいじゃない!」
孝太郎「そう・・・だね」
松永 「そうだそうだ」
尚美ちゃんがみんなにビールをついで;
徳川 「(涙を拭いて)よし、乾杯だ」
全員 「かんぱーい」
これで、徳川さんのことも、そして尚美ちゃんのことも・・・合わせてハッピーエンドかな?
[オフィス街 〜 ]
(たぶん)翌日。朝の出勤風景のとある街角。孝太郎と尚美、そして、徳川が一緒に歩いています。そして、分岐路で足を止め;
孝太郎「本当に大丈夫ですか?」
徳川 「うるさいな、さっきから桜井は。大丈夫だって言ってるだろう!」
尚美 「でも、出勤初日ですから、私たちも一緒に行きますよ!」
徳川 「だから、大丈夫だって」
孝太郎「本当ですか?」
徳川 「それじゃぁ、俺はこっちだからな」
孝太郎「部長・・・頑張ってください」
徳川 「お前も頑張れよ、桜井」
孝太郎「はい」
徳川 「それじゃなぁ、な」
尚美 「はい」
二人 「いってらっしゃい」
と言って、徳川は反対方向に歩いていった。そして、2人っきりになった孝太郎と尚美。
尚美 「よかったね、徳川部長」
孝太郎「うん、これで奥さんもお子さんも安心だね」
尚美 「私たちも、ね?」
孝太郎「ん?」
尚美 「だってほら、徳川部長、ずーっと孝太郎の所に入りびたりで、全然2人
っきりになれなかったじゃない!」
孝太郎「そういえば・・・そうだね」
尚美 「今日は2人でゆっくりできるね」
孝太郎「もちろん。何しようか?」
尚美 「久しぶりに、外で何か食べたいな」
孝太郎「いいね、いいじゃん!何食べようか?」
尚美 「雑誌でね、おいしいてんぷらのお店見つけたんだ」
孝太郎「そこ行こう。じゃぁ、仕事終わったら一緒に行こうよ!」
尚美 「行こう!!やったー」
孝太郎「てんぷらなんて久しぶりじゃない?」
と、そのまま仲良く会社へと向かったのでした。
[あけぼの保険ビル ロビー 〜 ]
朝、出勤してきた白石と由紀江。
由紀江「白石君、おはよう」
白石 「(浮かない顔で)おはよう」
由紀江「どうしたの?…あっ、緊張してるんでしょう?今日、新しい人事発表だ
もんね」
白石 「そのことなんだけどさ」
と、昨晩の津村との話を打ち明けようとしたところに、孝太郎と尚美も合流;
孝太郎「あ、白石君、おはよう」
尚美 「おはようございまーす」
由紀江「おはよう」
孝太郎「あっ、今日からは白石課長って呼ばなくちゃいけないよ」
由紀江「あ、そうか、そうだよね」
白石 「実は・・・そのことなんだけどさ・・」
と、再度、打ち明けようとして、今度はそこに津村が出勤してきて、タイミングを失う白石;
孝太郎「あっ、社長、おはようございます」
津村 「もう時間だろう。何やってんだ?」
孝太郎「いやー、社長がそろそろ来る時間帯だと思って、ここでお待ちしており
ました」
津村 「また、調子のいい事を」
と、孝太郎は津村とともに行ってしまう。続いて、尚美と由紀江もオフィスへと向かうが、その後を追おうとする白石を、真紀子が呼び止める;
真紀子「白石・・・昨日、社長に言ったこと、本気なの?」
白石 「えっ・・・はい」
真紀子「桜井にはもう話したの?」
白石 「いえ」
[あけぼの保険 第一営業部 オフィス 〜 新課長任命]
全員が集まったオフィス。
津村 「みんな、集まってくれ」
津村の号令で、全員が津村のデスクの前に集まる。いよいよ白石が新課長との発表がなされるのだと思い、全員がそのつもりで待っている;
津村 「今日は、新しい人事を発表する」
孝太郎もそのつもりで、白石に、ちょっかいを出したりなんかもしています。
津村 「しばらく空白だった課長のポストを設けることにした。新しい課長は」
孝太郎「よっ、課長」
白石 「やめろって」
と、孝太郎は白石をからかい続けていると;
津村 「桜井孝太郎君だ」
孝太郎「(白石に)やったじゃん、この〜!!!」
と、津村の言葉を聞かずに、白石を盛り上げようとする孝太郎に対して、「えっ、どういうこと?」と、ざわめくその他の社員たち。同僚たちの反応に、ようやく何か事情が違うことに気づき始め・・・
孝太郎「何、え?」
津村 「聞いてなかったのか?」
孝太郎「はい?」
津村 「新しい課長は、桜井孝太郎、君だよ!」
孝太郎「へ?」(^^;)
真っ白な時間が流れ・・・
孝太郎「いやいや、いやいや、ちょっちょっと待って下さい。白石君じゃ・・・
ないんですか?」
津村 「誰がそんなことを言ったんだ?」
孝太郎「いや、あの・・ほら、・この間・・・あの、あた、あた、新しい契約を
取ってきて・・・白石君・・・」
津村 「彼はまだまだ人の上に立つ度量が無い」
白石 「!・・・」
孝太郎「いや、そんなことは無いですよ!だって、白石君は!!」
津村 「私は君に決めたんだよ!何か問題があるのか?それとも、やる気がない
のか?」
孝太郎「え?」
その津村の言葉に、津村の机に両手をつき、うなだれ、考え、周囲が固唾を呑んで見守る中・・・・・孝太郎は顔を上げ、晴れやかな表情を見せて;
孝太郎「もちろん、やらせて頂きます♪」
津村 「よし!」
みんな驚きと困惑の表情を見せ、尚美ちゃんは状況が把握できないような表情を見せ、白石は複雑な心理で眺め、真紀子は「このバカ…」って感じの表情で孝太郎を眺める。そして、孝太郎は、もちろん、変わり身早く、社長にヨイショ!;
孝太郎「いや〜さすが津村社長ですね。素晴らしい御決断です。私、桜井孝太郎、
光栄の極みに御座います」
津村 「うん」
孝太郎「私が課長になったからには、津村社長のために、あけぼの保険のために、
いやいやいや、日本経済の発展のために、私、身を粉にして働く覚悟で
御座います!」
津村 「よーし、よく言った。その調子だ、頑張ってくれ!」
孝太郎「ありがとうございます。はい、ありがとうございます」
ナレーション『桜井孝太郎はついに課長の座を手に入れた。
だがそれは、自らの運命を左右する重大な決断であった。
本当に、それでいいのか!?桜井孝太郎!』