[イントロ 〜 ”昨年の社員旅行”]
カメラを覗き込む吾郎・・・じゃなくて、孝太郎君。昨年の某旅館での一室、社員旅行に来ているあけぼの保険第一営業部ご一行様(白石君以外は浴衣姿)が、全員で記念写真を撮ろうとしている。
ナレーション『社員旅行…、日頃の労をねぎらい、職場仲間と親睦を深めるのが
その目的である。しかしその社員旅行が最近減少している。主な
原因は二つ…会社が補助金を出す余裕がなくなったということ。
そして若い世代が束縛されるのが嫌がるということ。長引く不況
はここにも影を落としていたのである』
[あけぼの保険ビル 第一営業部 オフィス 〜 今年の社員旅行は…?]
とある日の仕事中のオフィスの光景。尚美が真紀子のデスクの前に立ち話をしている。
真紀子「社員旅行?」
尚美 「はい」
徳川 「あぁ、そういえばそういう季節だなぁ。はは。去年はどこ行ったっけ?」
尚美 「熱海で・す・よ」
徳川 「そうだったな。あっ、そういえば、夜中に、旅館を抜け出して・・・、
おい桜井!おまえとストリップ、観に行ったな」(爆)
孝太郎 「!」
と、突然名前を出されて硬直する孝太郎。不幸な上司を持ったもんだ…(^^;)。それを聞いた尚美ちゃんも顔色を変えて;
尚美 「孝太郎!あんた、そんなとこに行ったの?」
孝太郎「え゛っ?」(←声が上ずっている)
徳川 「(真紀子に耳打ちして)一緒に行っちゃったんです」
孝太郎「えっ、そんなところ・・・い、行きましたっけ?」
と、そんな会話をしている徳川と孝太郎をけん制しながら、おもむろに立ち上がる白石君;
白石 「出掛けます」
徳川 「おまえも行ったろ?」
白石 「…い、行ってません!」
と言って、白石はオフィスを出て行く。が、孝太郎君の災難は続いているわけで;
孝太郎「(こっそり)部長、その話は内緒だって言ったじゃないですか」
徳川 「そうだっけ?」
孝太郎「そうですよ」
尚美 「ちょっと、なんなのよ!」
徳川 「(大声でオフィス中に聞こえるように)いや。桜井はストリップなんか
行ってないぞ!決してストリップなんかいってない!」
孝太郎「強調したら余計に怪しいじゃないですか・・・ね」
と、ふと見ると、尚美ちゃんが怖い顔でにらんでます;
孝太郎「いや、本当に本当に(慌てて否定)。本当に、行ってません」
尚美 「まぁ、その話は後でしましょう。というわけで去年は熱海だったんです」
真紀子「そんなことをやっている余裕があると思ってるの?!」
徳川 「えっ?」
真紀子「桜井、杉田、そしてみなさん。この会社が倒産しかけたこと、すっかり
忘れているみたいですねぇ。
今は、社員旅行になんて、行ってる場合じゃありません!」
尚美 「そんなぁ・・・(涙)」
トホホな表情で顔を見合わせる孝太郎君と尚美ちゃん。
[居酒屋 松ちゃん 〜 尚美ちゃんの決意]
その夜。尚美たち第一営業部女性陣は、居酒屋松ちゃんで、集会(?)を開いています。もちろん孝太郎君もいつものようにお店には来てますが、一人カウンターで飲んでます。
尚美ちゃんはジョッキでビールをかっくらって、気合を入れ、まずは所信表明;
尚美 「とにかく、社員旅行に行けないなら、もう、あの女には協力しない!」
一同 「えっ?」
由紀江「それって、ボイコットするって言うこと?」
尚美 「そうです!」
由紀江「それは止めた方がいいと思うわよ。前やったとき、上手くいかなかった
から…」
尚美 「でも、あの部長を言葉で説得するのは無理だと思うの・・・。
実力行使あるのみ!」
と言う言葉を聞いて、ここは自分の出番とばかりにでしゃばる孝太郎君(@なぜか超クールバージョン);
孝太郎「ゴホン。僕が、いい方法を教えてあげようか?」
尚美 「何?」
孝太郎「よく聞いて」
一体何が始まるのかと、孝太郎に注目する尚美たち;
孝太郎「まずは服装を誉める…髪型でもいいんだけどね。これはツカミだから」
と言い始めたところで、結局、いつものヨイショ話ね、ってことで、全員,聞く耳持たない状態に(^^;)。孝太郎に代わってすみませんねぇ、という感じで料理を運んでくる松永さん。
孝太郎「あとはね、本人が一番、褒めてもらいたいなぁ、と思うところを褒めた
方がいいんだよね。あの部長の場合はやっぱり仕事なんだけど、これが
なかなか難しい。何でかって言うとね、ホラ、あの部長、仕事が出来て
当たり前だと思っているからさ…。この辺が僕も研究中なんだけど…。
こう、何かね、お互いの共通の趣味とかあると、いいんだけどねぇ」
と、最後はポーズを決めて、椅子に座る孝太郎君。
尚美 「あのね、孝太郎」
孝太郎「ん?」
尚美 「悪いけど、私は孝太郎みたいにあの部長をヨイショなんてしないわよ。
そんなの、私のプライドが許さない!」
孝太郎「いやいや、でもね、でもね。やっぱりね…」
尚美 「もういいから、あっちへ行ってて!」
孝太郎「はい」
と、尚美ちゃんに一喝されてショボンとしている孝太郎(松永に肩をポンポン叩かれてます)。そんな孝太郎君をヨソに「う〜ん」と唸っている尚美ちゃん。
[真紀子のマンション 〜 ]
同夜。真紀子が自宅マンションまで戻ってくると、その玄関口には、クラシックをかき鳴らしたでっかいリムジンが…(わかりやすいなぁ、もう…(^^;))。その車はもちろん、先日、真紀子が別れ話を切り出した津村のものである。
津村 「よぉ!」
真紀子「(冷たく)こんばんは」
津村 「本当に鍵を変えるとは思わなかったよ。本気で別れるつもりなのか?」
真紀子「もちろん」
津村 「なぜだ!!! 他に男でも出来たのか?」
真紀子「かもね」
そう告げて、真紀子はマンションのドアの向こうに消えていく。う〜ん、真紀子さん格好いいわ〜。
[あけぼの保険ビル 第一営業部 オフィス 〜 社員旅行]
翌朝。一般職の女性陣が全員がそろったところで、尚美たちは真紀子に社員旅行の件での直訴が始まります。
尚美 「いくわよ・・・(一同、行進して)部長!おはようございます」
一同 「おはようございます」
真紀子「おはよう…。何なの?」
尚美 「先日の社員旅行の件なんですけど、もう一度考え直して下さい。御願い
します」
一同 「御願いします」
尚美 「会社が大変な状況だというのはよ〜く分かっています。しかしですね、
何というか…」
と、続きの言葉が出てこず、どんどん弱気になってくる尚美ちゃん。振り返ると孝太郎が尚美をずっと見つめてる;
孝太郎「(囁いて)がんばれ!」
で、どうするのかと思ったら、いきなり「部長!」と孝太郎君よろしく部長のヨイショを始めちゃう。その様子にびっくりの孝太郎と、なぜか笑いながら見ている白石君;
尚美 「部長!いやいやいやー。実に綺麗な色のスーツですね〜。私いつも感心
してるんですよぉ。それって一体どこで買ってるんですかぁ?ねぇ?」
一同 「ねぇ(^^;)」
尚美 「あっ、メガネ、メガネも綺麗に似合ってますよぉ…。あとは、え〜と、
え〜と・・・・」
尚美が困っていると、後ろから孝太郎が白石の髪を使って(^^;)、次はヘアスタイルを誉めるようにとサインを送ったりしています;
尚美 「あっ、髪、髪。それからその髪型!いっつも同じですよね・・・」
真紀子「・・・(--;)」
尚美 「じゃなくて、じゃないですよ」
孝太郎「・・・下手(涙)」
尚美 「何ていうか、何ていうか・・・」
どんどん雰囲気が悪くなり、絶望的かと思われた尚美ちゃんのヨイショ作戦でしたが、真紀子は何を思ったのか「いいわよ!」とOKを出す。ただし;
真紀子「但し、明日中に予算とプランを出しなさい。それを私が見て納得したら
許可します」
全員 「やったー(^o^)」
尚美 「分かりました。この私が、責任をもってプランを立ててきます!頑張り
ます」
尚美ちゃんは孝太郎に向かってガッツポーズし、一方の孝太郎も同じくガッツポーズで返してます。
[街中 〜 MBAって?]
その夜の某書店。尚美ちゃんは書店に並ぶ旅行ガイドブックを漁っています。そして、いくつものガイドブックを抱えて、レジに出すと;
店員 「13,804円ですね」
尚美 「えっ?・・・これやっぱりいいです・・・これも要らないです・・・」
と、横から由紀江がやってきて、一冊の書籍を尚美ちゃんの買おうとしている本の上に置く;
由紀江「尚美、これも御願い・・・」
尚美 「(本のタイトルを読んで)MBA?」
店員 「まとめて16,744円ですね」
由紀江「じゃぁ、まとめて領収書下さい。宛名は”あけぼの保険”で」
尚美 「!。すみませーん。あっ、じゃぁすみません、やっぱりこれも買います
ね、復活。これも復活」
と、一旦は、買うのを諦めた書籍を購入することにしちゃう尚美。・・・う〜ん、こんなことしてるからあけぼの保険は倒産しちゃうんじゃない?
店を出て、夜のオフィス街を歩く尚美と由紀江。
尚美 「由紀江さん、バスケットボールが好きだったんですか?マイケルジョー
ダン、格好いいですよねぇ・・・」
などとチンプンカンプンな会話をする尚美;
由紀江「ねぇ、あんた、何の話をしているの?」
尚美 「えっ、だってこれこれ。(先ほど由紀江が購入した書籍を取り出して)
『MBA』ってアメリカのバスケットのことでしょ?」
由紀江「それはNBA。これはMBA。Master of Business Administrationの
略で、アメリカの経営学修士の資格のこと」
尚美 「聞いたことある。でも、それってすっごく難しいやつですよね?」
由紀江「うん、でも白石君は持ってるの。それと、あの部長も」
尚美 「由紀江さんも取ろうと思ってるんですか?」
由紀江「興味はあるんだけどねぇ・・・」
そして、由紀江は仕事があるからと、会社に戻っていく。由紀江を見送って;
尚美 「由紀江さん、偉いねぇ・・・。よーし、がんばるぞー!」
[あけぼの保険ビル 第一営業部 オフィス 〜 白石と由紀江]
由紀江が残った仕事を片付けるためにオフィスに戻ってくると、白石が一人仕事をしていた。思いを寄せる白石と二人っきりの空間になることにちょっとだけ動揺しつつも、「チャンスp(^^)q」と密かに気合を入れる由紀江さん。
由紀江「残業?」
白石 「ああ。そっちこそどうしたの?」
由紀江「私もちょっとやることがあって…。コーヒーでも入れるけど、飲む?」
そう言って、由紀江は荷物をデスクにおいて、席を離れる。その間に、先ほど、由紀江が買ってきた”MBA資格”に関する書籍を手にする白石(おっ、白石君、由紀江さんに興味有りか?):
白石 「こんなの興味あるんだ?」
由紀江「ちょっとね。でも私にはちょっと無理かな?」
白石 「そんなことないよ、やり方次第だね」
由紀江「ねぇ、白石君、教えてくれる?」(おっ、結構、積極的)
白石 「いいけど…座んなよ」
由紀江「うん」
白石 「まずさ・・・やっぱり英語なんだよね」
由紀江「英語?」
白石 「英語。まず読めなきゃ。書けなきゃ。そして話せなきゃ。これが大事だ
よ」
と言いながら、二人っきりの時間は過ぎていくのでした。
[孝太郎のアパート 〜 ハートのペアルック]
同じ夜。一方の孝太郎&尚美ちゃんカップルの場合。
孝太郎のアパートで、ハート柄のパジャマ姿の尚美ちゃん。机の上いっぱいにガイドブックを広げて、旅行プランを練っています。そこに、お風呂上りの孝太郎君、バスタオルで濡れた髪を拭きながら、部屋に入ってきます(きゃっ、吾郎君のこういうシーンはなぜかとっても嬉しいわ(*^^*))。
尚美 「うーーん、やっぱ修善寺かなぁ。信州も捨て難いんだよねぇ・・・」
孝太郎「あれっ、まだやってんの?」
尚美 「ねぇ、孝太郎はどこがいいと思う?」
孝太郎「えっ。えー、どれどれ?(とパンフを手にする)うーん」
尚美 「あっ、ストリップがあるところはダメだよ」
孝太郎「(パンフを置いて)あ、いや、あれはさ、ちゃうちゃうちゃう。部長が
どうしても、って言うから、お付き合いで行っただけで…。俺は全然、
そういうの興味ない」
尚美 「全くぅ〜。いやらし!」
孝太郎「あっ、あれっ。ここなんか良いんじゃない?露天風呂も大きいしさ」
尚美 「いい、いい、いい!あっ、でもこれ、混浴じゃん」
孝太郎「えっ」
尚美 「あっ、またイヤらしいこと考えた?」
孝太郎「考えてない。考えてない、考えてない。だってさ、ろ、露天風呂の方が
いいよぉ、きっと、ね、みんなも…」
尚美 「ちょっと、まだ(髪が)濡れてるじゃない」
孝太郎「えっ?」
尚美 「ちょっと貸して」
孝太郎「はい」
孝太郎のバスタオルを受け取って、髪を拭き始める尚美ちゃん。うわ〜、ラブラブじゃん(*^^*)。っていうより、孝太郎君、尚美ちゃんのペットって感じだわ。
尚美 「はいはい。じっとしててね」
孝太郎「はーい。御願いします。へー、でもさ、尚美は何でそんなに社員旅行に
拘るわけ?」
尚美 「えっ、だってー」
孝太郎「えっ、何で?」
尚美 「いいでしょ、別に」
孝太郎「えっ、なになに。教えてよ」
尚美 「いいじゃん」
と言いながら窓の方に行って、空を見上げる尚美ちゃん;
孝太郎「なになに」
尚美 「あっ、綺麗な星」
孝太郎「尚美ちゃん、聞いてんの?ねぇ、何でなんで。教えてよ、何でなんで」
尚美 「やっぱり星が綺麗なところがいいかなぁ〜」
孝太郎「ねぇねぇねぇ、聞いてる?」
尚美 「いいでしょ」
孝太郎「えっ、何なに?何でなんで?」
尚美 「いいじゃーん。ほら、綺麗〜」
孝太郎「教えて、教えて、教えて、教えて、教えてーーーーーーー」
と、最後まで超甘えモードの孝太郎君。
[あけぼの保険ビル 第一営業部 〜 尚美ちゃんのプレゼン その1]
そして、翌朝。あけぼの保険ビルの前で、昨晩、練ったプランの入った封筒を手に、気合を入れる尚美ちゃん。
尚美 「よーし。がんばるぞー。黒骨チャン、頼むよー」
と、尚美がビルの中に入って行こうとすると、目の前に由紀江が歩いているのが目に入る;
尚美 「おはようございまーす。今日もいいお天気ですね〜」
と、超御機嫌で由紀江に挨拶をすると、昨日は孝太郎の部屋にお泊まりだったことを図星される尚美ちゃん。
由紀江「ちゃんと顔に書いてあるわよぉ」
徳川 「描いてある、書いてあるぞ!」
と、いつの間にか、背後から会話に加わる徳川部長代理。う〜ん、抜け目ないオヤジだ…。その一方で;
由紀江「何よ?」
尚美 「由紀江さんこそ、何かありました?」
由紀江「ほら、香水の量がいつもより多い気が・・・」
と、今度は由紀江に向かって、何かあったんだ〜、とからかう尚美と徳川さんでした。
そ・し・て・・・いよいよ第一営業部の会議室では、今日からヘアスタイルを変えた(^^;)真紀子さんはじめ、全員が集まり、尚美ちゃんの社内旅行プレゼンが始まろうとしている;
尚美 「えー、よろしいでしょうか?」
真紀子「時間が無いから手短にね」
尚美 「はい。お手元の資料をご覧下さい」
と、尚美ちゃんがプレゼンを始めると、「はい!」と大きな声で返事をして、隣に座っている白石の資料までページをめくる孝太郎君。盛り上げようと頑張ってるねぇ。
尚美 「色々と考えたんですが、やっぱり温泉がいいかなぁ〜、と思いまして、
信州の黒骨温泉に決めました〜」
という尚美ちゃんに「よっ!(拍手)」と場を盛り上げようとする孝太郎君。そのまま尚美は、自ら練った『第52回あけぼの保険社員旅行プラン』の説明を続ける。
徳川 「やっぱり近くにストリップは無いのかね?」
尚美 「ありません!」
吉村 「あっ、でも、混浴露天風呂ですよ」
?? 「そうなんですよ」
と、露天風呂の話した出たところで、急に白石が口を開く;
白石 「ちょ、ちょっといいかな?」
尚美 「はい?」
白石 「これって全員参加なんですか?」
尚美 「?」
白石 「正直言って、こんなことしている余裕なんて、無いんじゃないですか?
まぁ部長が許可されたことですから、文句を言うつもりはありませんが、
せめて自由参加にしてもらえないですかね。いろいろと忙しいもんで」
と、尚美のプランに異議を申し立てる。その言葉に、ヨイショ男のサガなのか;
孝太郎「いやー、白石君、格好いいねぇ。さすが、こう…言うことが違うね〜」
と言っちゃう孝太郎君。
尚美 「孝太郎!(--;)」
孝太郎「あっ、あっ、でも、白石君、こういうのはさ、みんなで行くのが意味が
あるんだよ。だから、忙しいのは分かるけど、一緒に行こうよ、ね」
(↑ぎりぎりのフォロー(^^;))
徳川 「そうだぞ、白石。職場の輪を乱すようなことは言っちゃいかんぞ」
白石 「どうなんですか、部長?」
真紀子「他には?白石君の意見に賛成の人はいるの?」
由紀江「はい・・・」
尚美 「!」
由紀江「私、白石君の言うこと分かります。こういことは人それぞれだし、親睦
を深めるのも大切ですけど、今、白石君は大きな仕事を抱えていて大変
なので、自由にさせてあげた方がいいと思うんです」
尚美 「・・・由紀江さん?」
由紀江「あっ、ごめん」
さらに、せめてホテルにして欲しいという白石に、みんな、口々に勝手なことを言いはじめる。
尚美 「そんなぁ・・・・(;o;)」
孝太郎「・・・」
[あけぼの保険ビル 屋上 〜 孝太郎のアドバイス]
会議の後、屋上で一人落ち込む尚美ちゃん。涙をこぼしながら、自ら立てた旅行プランの書かれた紙を、ビリビリに破いてます。そこに、孝太郎君がやってきます;
孝太郎「あれ、そこにいらっしゃるのは、杉田尚美さんじゃないですか。
確か、第24回ミスあけぼの保険に選ばれた・・・」
と、舞台ちっくに尚美ちゃんにアタック!(インコを髣髴とさせる台詞回しだわ〜(*^^*))
尚美 「やめてよそんなこと…」
孝太郎「ああ、やっぱりそうだ。是非一度、お近づきになりたいと思っていたん
です。さすが制服が似合っていらっしゃる・・・」
と、最後は尚美ちゃんの前で跪く孝太郎君。
尚美 「孝太郎!」
孝太郎「そんな怖い顔すんなよ…」
尚美 「だって…。みんな勝手なことばかり言うんだもん」
孝太郎「でも、あれだよ。尚美の方だっていけないんだよ」
尚美 「私のどこがいけないのよ」
孝太郎「そのなんて言うか、こう・・・根回しが足りないよ」
尚美 「根回し?」
孝太郎「うん。ああいうことをさ、会議で決める時には、事前に有力人物を抑え
ておかなきゃ。うちでいうなら、徳川部長代理。あとは白石君と由紀江
さんかな? ホラ、今回は尚美に任せるって言われたんだから、尚美が
みんなの意見をまとめなきゃ。みんなの意見や要求も聞いて…。それが
幹事の仕事じゃない?」
尚美 「そんなこと私には無理だよ…」
孝太郎「尚美ならできるって。絶対できるって!僕も応援するし」
尚美 「孝太郎、たまにはまともなこと言うんだね」
(確かに、人とノーマルに接している孝太郎って始めてかも(^^;))
孝太郎「むふふ(笑)。全部、徳川部長代理の受け売りなんだけどね。僕もさぁ、
新人の頃、やさられてね、社員旅行の幹事。そのときに、さんざん説教
されてさ」
尚美 「そうなんだ」
孝太郎「とにかく、もう一度、頑張ってみなよ」
尚美 「うん、分かった」
二人 「(向かい合って) よぉーーーし、頑張るぞぉーーー」
尚美 「まずは、徳川部長代理!」
[あけぼの保険ビル 〜 リサーチ 徳川編]
オフィスの片隅で、なぜか裁縫なぞをしている徳川部長代理(ボタンでもとれたのか?)。その徳川さんに接近していく尚美ちゃん;
尚美 「社員旅行のアンケートなんですが…。やっぱり、ストリップは外せない
ですかねぇ…」
と、妥協を見せる尚美ちゃん。「そのかわり、絶対に孝太郎を誘わないで下さい!」と釘を刺し、ストリップ決定です!
[居酒屋 松ちゃん 〜 リサーチ 由紀江編]
続いては、女性陣に対してリサーチ。夜はカラオケ、朝の海、そしてクラブ・・・。それぞれの希望を聞き取る尚美ちゃん。そして、最後に由紀江に対しては:
尚美 「あ、裏切りものぉ・・・」
由紀江「だってぇ」
尚美 「旅館の方が好きなくせに、どうしてホテルの方がいいって言ったんです
か?」
由紀江「だって、白石君みたいに、仕事を抱えている人も行くわけでしょ?」
尚美 「ははぁ〜。要するに白石さんの意見に賛成していただけなんですね」
由紀江「えっ?!」
尚美 「好きな人の言うことに味方してあげたい。分かります、分かります…。
最初からそう言ってくれれば良かったのにぃ」
由紀江「そんなんじゃないわよ…」
尚美 「白石さんがOKって言えば、OKですね」
由紀江「まぁね」
尚美 「わかりました。残るはあの人…」
[あけぼの保険ビル 〜 リサーチ 白石編]
翌日。尚美ちゃんの最後のターゲットは白石君。オフィスで白石を捕まえて、交渉に入ります;
白石 「ヤだね。絶対にヤだね」
尚美 「何でそんなに温泉が嫌なんですか?」
白石 「だから言ってるだろ、仕事があるんだって」
尚美 「だからちゃんと仕事もできるような旅館にしますから。携帯もつながる
し、FAXやコピーもちゃんとあるし」
白石 「・・・。部屋に…風呂あるの?」
尚美 「内風呂がいいんですか?」
白石 「ああ」
尚美 「だって、温泉行ったらやっぱり大きなお風呂にはいらないと、ねぇ?」
孝太郎「そうそうそう」
尚美 「あっ、もしかして、裸になれない事情があるんですか?」
白石 「…そんなの、無いよ」
尚美 「ひょっとしてあれですか、海パンはかないと大浴場に入れない子供って
いるじゃないですか?」
孝太郎「ああ、ああ、ああ」
尚美 「うちのお兄ちゃんがそれだったんですよ。それで修学旅行に行ったらね、
友達みーんなにからかわれて、泣きながら家に帰ってきたんですよぉ」
白石 「そんなんじゃないって言ってるだろ!!!」
と、焦ってオフィスを出て行く白石君。
孝太郎「(笑いながら)絶対にそうだよね」
尚美 「絶対そう!」
徳川 「しょうがないなぁ。俺がストリップでも連れていってやるかぁ」(^^;)
何だか白石君のキャラがどんどん変わっていくよぉ(^^;)。
[居酒屋 松ちゃん 〜 尚美ちゃん、悩む]
そして某日の夜。それぞれの希望を聞き入れたプランを立案すべく、尚美と孝太郎だけでなく、松永たちも一緒に集まってプランを考えている。
尚美 「うーん、難しい。やっぱり、みんなの要求を全て叶えられる場所なんて
無いわよ」
松永 「そうだ!一日目と二日目でさ、別々の旅館に泊まっちゃったらどう?」
尚美 「それも考えました。それだとね、割引がきかないのよ。だから、予算に
収まらなくって」
一同 「うーーーーーーん」
と、みんなで考え込んでいると、何やら思いついた雰囲気の孝太郎君。
[真紀子のマンション 〜 孝太郎からの電話]
同夜。真紀子がマンション前までやってくると、今日も津村のリムジンがマンション前に停まっている。「まただ・・・」と思って、一旦、引き返そうとすると、車が発進していく。今日はあきらめて、津村も帰ったのだろうと思い、部屋に戻ってくる真紀子。するとその部屋には、津村が待っていた。金にものを言わせて、管理人を買収し、部屋に上がりこんだものだろうと真紀子は思う。
真紀子「来ないで!こっちに来ないで。御願いだからこっちにこないで!」
津村 「どうしたんだ、真紀子・・・」
真紀子「・・・」
津村を拒絶する真紀子。そこに真紀子の携帯電話が鳴る。津村も一旦、真紀子に近づこうとするのをやめる;
真紀子「もしもし」
孝太郎『あの、私です。桜井孝太郎です』
真紀子「桜井?!」
孝太郎『あ、あのー、夜分にあの本当に申し訳ございません。あの、どうしても
お話したいことがございまして…』
真紀子「一体、何時だと思ってるのよ」
孝太郎『ああ、やっぱりあの…、お休みになられてました、よね。ああ、申し訳
ございません。じゃぁ、また明日・・・』
真紀子「ちょっと待って、桜井!切らなくていいから。(津村をけん制しながら)
さっさと用件言いなさいよ」
孝太郎『あっ、じゃぁ、いいですか?』
真紀子「いいって言ってるでしょ」
孝太郎『あの、実はですね、例の社員旅行の件なんですけれども、今、尚美…、
杉田と一緒にプランを立ててたんですが、プラン自体はですね、みんな
の要望を入れた完璧なものが仕上がったんですけど…あの…どうしても
予算に収まらないんですよ』
孝太郎が話す間に、ジリジリと真紀子に迫る津村。
真紀子「・・・」
孝太郎『あれ、部長、聞いてます?』
真紀子「・・・聞いてるわ」
そして、諦めて部屋を出て行く津村。真紀子は少し、安堵の表情を示す。
孝太郎『それでですね。・・なんとか予算の方、アップしてもらえないかなぁ、
と思いまして。あの、もちろん、明日でもよかったんですけど、それで
わざわざ時間がとられるのもまずいかと思いまして』
真紀子「いくら足りないの?」
孝太郎『あの、全部で、42,340円です』
真紀子「・・・。それぐらい私が出すわよ」
孝太郎『え、本当ですか?いやー、さすが部長!太っ腹ですね〜。いや、部長の
ウエストはキュッと締まってますけれども。桜井孝太郎、感激です』
真紀子「もう、切るわよ」
孝太郎『あっ、夜分に本当、申し訳ございませんでした。失礼します』
そうして、ゆっくりと携帯電話を切る真紀子。
真紀子「(^^;)」
[居酒屋 松ちゃん 〜 喜びの踊り]
そして、もう一方の孝太郎たち。孝太郎が真紀子に電話をしていたのを尚美ちゃんは不安そうに覗いている;
尚美 「OK?」
孝太郎「OK!」
松永 「やったー」
と、松永たちまではしゃいでしまって、お祝いのお酒の準備までし始めちゃってます。
そして、孝太郎と尚美は、喜びの踊り!
二人 『(向かい合って手を叩いて)ちゃちゃちゃちゃ
ちゃちゃちゃ、ちゃちゃちゃ
回って、回って、ちゃちゃちゃ、ちゃちゃちゃ
んぱっ、んぱっ。バンザイ、バンザイ、バンザーイ』
と、文字でうまく表現できなくて申し訳ないですが、最後はカメラに向かって両手でお手振りでキメっ。これってドラマ的にはぎりぎりなんだろうけど、可愛いから許す!(^^;)
[あけぼの保険ビル 第一営業部 オフィス 〜 今夜もオフィスで]
同夜。もう一方の白石&由紀江のペアは、今日も二人っきりで残業中。
白石 「俺、そろそろ帰るけど・・・」
由紀江「私もこれ終わったら帰るから・・・」
白石 「何それ?」
由紀江「これ?…今交渉している契約書の雛形なんだけど、今度の月曜日までに
持っていかなきゃいけないんだ」
そんな会話をしていると、急に「手伝ってやるよ」と申し出る白石。
白石 「さっさと終わらせてさ、ビールでも飲みに行こう。俺、喉渇いた」
と、思いもかけない展開に、由紀江ちゃん、ハッピー?(♪)
[あけぼの保険ビル 第一営業部 オフィス 〜 尚美ちゃんのプレゼン その2]
翌朝。孝太郎と尚美ちゃん、二人並んで会社に向かって仲良く行進してます。ホント、元気だねぇ、この二人。
尚美 「よーし、今日でビシッと決めちゃうからねぇ」
と、気合の入れる尚美ちゃんの横で、同じくネクタイ&髪型を調えて気合を入れる(?)孝太郎。
尚美 「孝太郎、応援、よろしく御願いします」
孝太郎「了解! (^^)ゝ」
尚美 「よーし、気合入ってきた〜。ヨイショ!」
と、ビルに入っていく尚美ちゃん。置いてきぼりの孝太郎君は;
孝太郎「あれっ?!それ、俺の・・・(^^;)」
さてさて、あけぼの保険の会議室。尚美ちゃんが、ホワイトボードにプレゼン用にプランを記載した模造紙を貼り付け、資料を配布し、会議の準備をしています。
『皆さんの要望すべて叶えます
新
あけぼの保険第一営業部
社員旅行プラン 』
と、準備が整った頃、真紀子たちが会議室に入ってくる。
尚美 「えー、すみません。先日来、懸案になっています、社員旅行に関して、
新しいプランをまとめてきましたので、説明させて下さい」
孝太郎「はい!」
尚美 「今度は、みなさんの要望を受け入れた完璧なプランが出来上がったかと
思います」
真紀子「完璧?」
尚美 「あっ、いえ、完璧に近いプランです」
真紀子「まぁ、聞いてみましょう」
孝太郎「あっ、いやぁ〜、素晴らしいプランですねぇ。みなさん、今までこんな
完璧なプランが存在したでしょうか?」
真紀子「桜井、あんたは黙ってなさい。時間も無いから始めましょう」
尚美 「それでは最初のページをご覧下さい」
尚美ちゃんがプレゼンするのは『新潟のカワダケ温泉で一人残らず楽しみましょうツアー』。とにかく必死の尚美ちゃんの説明が続きます。
尚美 「以上で説明は終わります。何か御意見、御質問などございますか?」
真紀子「白石君、どう?」
白石 「いいと思いますよ」
由紀江「私も、とても素晴らしいと思います」
真紀子「徳川さんは?」
白石 「いいじゃないですかぁ。これはシビレ・・・」
真紀子「・・・(--;)。反対意見の人は居ませんか?」
孝太郎「あ、あの・・・部長は如何ですか?」
真紀子「そうね・・・ストリップは余計な気もするけど、ま、いいんじゃないの?」
孝太郎「やった。よかった〜(拍手)」
その孝太郎の拍手に続いて、全員が尚美にねぎらいの拍手を贈る。尚美ちゃん、思わずうれし泣き。
だが、その会議が行われていた時刻、グローバルライフの社長 津村があけぼの保険にやってきていた・・・。
戻って、第一営業部。会議が終わり、それぞれ会議室から出てくる。孝太郎と尚美ちゃんは、ハイタッチなんぞをしながら、喜びを表している。真紀子には「あんまり調子にのってんじゃないわよ」と釘を刺されながらも嬉しそうな二人。
が、真紀子のデスクを見ると、一人の男性が座っている;
真紀子「社長?」
孝太郎「社長?!」
徳川 「社長、これはこれは、わざわざこのような所に」
と、孝太郎と徳川は津村に対して、ヨイショ体制に入るが、真紀子は一人浮かない表情を示す;
真紀子「どうなさったんですか?」
津村 「たまにはみなさんの働いている姿を、この目で直接見ようかと思ってね」
孝太郎「ああ、ありがとうございます」
津村 「どうですか、諸君、その後は。新しい部長とはうまくやってますか?」
徳川 「はい」
津村 「不満があったら、直接この私に言ってもらっても構いませんよ」
孝太郎「いやもう、不満だなんて、滅相もございません。素晴らしい部長さんで
ございます。さすが、グローバルライフのアイアンレディーと呼ばれた
だけの方ではあります」
津村 「君は?」
孝太郎「私、第一営業部、桜井孝太郎と申します」
徳川 「私、ご存知だとは思いますが、部長代理の徳川です」
津村 「(徳川を無視して)君…桜井君か?」
孝太郎「はい」
津村 「君のことは、緒方君からよく聞いているよ」
(おいおい、孝太郎をライバル視してるよ、この人…)
津村 「やたら軽薄で、お調子者の社員が一人いるって」
孝太郎「あ、いやー、そんな風に褒めて頂けるなんて…」
(↑究極のポジティブ思考)
尚美 「(小声で)誉めてないっつーの」
津村 「君は・・・白石君か?」
白石 「あ、はい」
津村 「君の事は、人事部から報告を受けている。ここ数年、売り上げがトップ
だそうだな。大したもんだな」
白石 「ありがとうございます」
津村 「今後の成績如何では、グローバルライフに引き抜いてもいいかと思って
いる」
その言葉に、「すごーい」と口々に話す第一営業部員たち。
津村 「他のみなさんも聞いて下さい。私は常に、新しい人材を求めています。
そして、その人材が優秀なら、必ずチャンスを与えます!」
孝太郎「よし!(ガッツポーズ)」
徳川 「ありがとうございます」
って、この二人の妙な自信は一体、どこから来るんだ?(笑)
真紀子「貴重なお言葉ありがとうございました。社員の士気も高まったと思いま
す。よろしければ私たちはそろそろ業務に戻りたいのですが…」
津村 「まぁまぁまぁ、そう、邪険になさんなさんな」
真紀子の言葉を聞き入れず、今しばらく第一営業部に留まろうとする津村。そして、真紀子のデスクの上においてある尚美の社員旅行プランの資料を見つける。
津村 「何だ、これは?」
真紀子「ああ、それは・・・」
津村 「第52回、第一営業部社員旅行プラン…『みんなで仲良く温泉に行こう
露天風呂もあるよ』・・・誰だね、このプランを立てたのは?」
尚美 「はい!」
津村 「一日目『ウキウキ海鮮バーベキュー』。二日目『まったり温泉めぐり』。
総経費32万。会社からの補助金25万。なるほど、なかなか細かく考えて
ある」
尚美 「はい、がんばりました!」
津村 「緒方君、何だねこれは?」
真紀子「何か問題がありました?」
津村 「こんなのを許しているとは思わなかったよ」
孝太郎「社長そう、仰らずに・・・」
津村 「君の意見は聞いてない。君、君はこれにどのぐらい時間をかけたんだ?」
尚美 「はい、一週間以上かけてみんなの意見を聞いて、それからあの、こう…
あの、桜井さんにも色々手伝ってもらって、やっと出来上がりました」
(って尚美ちゃん、そんな嬉しそうに話さなくても、空気読めよ…(^^;))
津村 「君に誰が給料を払っていると思ってるんだ?そんなことに給料を払って
いるわけじゃないんだよ!!」
孝太郎「社長そう・・・」
津村 「うるさい!とにかく、社員旅行なんてこんな下らないことをやっている
暇があったら、もっと会社の利益を上げてこい。ええ、わかったか!!」
と、叫びまくる津村はそのまま立ち去ろうとする。その津村の姿にキレた真紀子は;
真紀子「ちょっと待ちなさいよ!」
と啖呵を切り始めます(^^;)。
津村 「?!」
真紀子「私にふられたからって、社員に当り散らすのはやめてよ」
一同 「ええ???(@o@)」
津村 「何言ってるんだ、君?!」
徳川 「付き合ってたのか…」
尚美 「びっくり(@o@)」
津村 「ちょっと待てよ。今、何を言っているのか分かっているのか?。社員の
目の前なんだぞ!」
真紀子「だから何なの?だって本当のことでしょ。私はね、この男と付き合って
たの。でも、この間、別れたのよ。だからこうやって嫌がらせに来るの
よ。さぁ、気にしないで仕事に戻りましょう」
その真紀子の態度に動揺しまくりの津村;
津村 「この女はな、昔、何も知らない馬鹿な女だったんだよ。『MBA』
をな、アメリカのバスケットボールだと思ったぐらいなんだよ。あははは」
尚美 「σ(^^;)」
(ドコカニモ オナジヨウナジョセイガ イタヨネ?)
津村 「こんな女が…。今の位置まで上げたのは誰の力だと思ってるんだ?俺の
力だろう?マイ・パワー。え?
全て俺がお前に与えたんだろー」
大声で叫び、真紀子のデスクを叩きつける津村;
孝太郎「社長、だだだだ、大丈夫ですか。社長?!」
津村 「(--;)(孝太郎をふりほどいて)緒方君、君には失望したよ」
と捨て台詞を残して、オフィスを出ていこうとする津村;
孝太郎「社長、そっちはコピー室ですけども」
津村 「分かってるよ!(今度は何かに毛躓いて)あいたっ。いて!!。
(それを見て笑う部員たちに)何笑ってんだ?!お前たちもグルか?!
こんなもの、こんなもの!」
と、ついにはコピー用紙をオフィス中にばら撒く津村さん。最後にはオフィスを出ようとしたときに、目の前の扉に気がつかずに額をぶつけたりなんかして…(吉本新喜劇じゃないんだから…(^^;))
津村 「・・・あっ!!」
孝太郎「社長・・・」
と、嵐は過ぎ去ったのでした。部員たちは沸き、一方の真紀子は黙々と仕事を続ける。
孝太郎「(笑)」
[居酒屋 松ちゃん 〜 でもね、社員旅行は中止になって…]
松永 「そうか、その女部長、大したヤツだな」
孝太郎「そうなんですよ」
由紀江「びっくりしちゃったもん」
尚美 「お替り!」
孝太郎「尚美、ちょっと飲みすぎよ」
尚美 「いいんです!」
松永 「でも、社員旅行、結局、中止になっちゃったのか」
尚美 「そうなんです」
孝太郎「いや、でもね、尚美はよく頑張ったよ」
由紀江「そうよ。みんなの意見をまとめて、ちゃんと主張することは主張したし」
白石 「いや、確かにな。杉田があそこまでやるとは思わなかったよ」
(↑話を最初にややこしくした張本人)
孝太郎「(--;)」
白石 「何?」
そして、尚美ちゃんがポツリ、ポツリと語り始めます;
尚美 「私、社員旅行って大事だと思うんです。会社って、ほら、結局、他人の
集まりじゃないですか。で、みんなで旅行に行って、そしたらみんなに
共通の思い出が出来るでしょ?そしたらみんな、もっと頑張れるんじゃ
ないかと思って…。うちの経営状態が悪いのは、そりゃぁ、私にだって
わかってますよ。でも、だからこそ、行きたかったんです・・・」
孝太郎「・・・」
悲しむ尚美に、孝太郎たちは何も言えないでいる。
[孝太郎のアパート 〜 母親からのメッセージ]
アパートに帰り、そのまま、酔いつぶれた尚美を自らの部屋のベッドに寝かせる孝太郎君。そして、留守番電話の母親からのメッセージを再生する;
女性 『孝太郎さん、先日はお手紙ありがとう。今度、会社の皆さんと社員旅行
に行くそうで、よかったですね。お土産なんか要りませんから楽しんで
来て下さい。結局、旅行というのは、どこに行ったかとか何を買ったか
とかではなく、誰と行ったかが大事だと思います。いい思い出を沢山、
作って、いつかその話を聞かせて下さい。それが、一番のお土産です。
それではまた、お元気で・・・』
孝太郎はそのメッセージを聞いて、昨年の社員旅行のときのアルバムを引っ張り出して眺めています。そして孝太郎は・・・
[あけぼの損保 本社ビル 〜 社員旅行にGO!]
朝日が昇り・・・
『あけぼの保険御一行様』と書かれたのぼりを持ち、ドラムの音にあわせオフィス街を行進する孝太郎君と尚美ちゃん。足取りそろえて、あけぼの保険のビルの前で一時停止;
二人 「シャキーン」
そして、そのままのぼりを手に、オフィスにまでやってくる。
孝太郎「あけぼの保険第一営業部のみなさん、おはようございまーす」
真紀子「桜井、杉田、今何時だと思ってるの?!!それに一体、何これは?」
(本当に、今、何時なの?)
孝太郎「部長!ただいまから、社員旅行に参りましょう!」
一同 「えっ?(@o@)」
真紀子「何言ってるの、あんたたち」
徳川 「そうだ、そうだ」
孝太郎「まぁ…」
二人 「付いて来てください!」
とやや強引にみんなを外に連れ出す。手作りの旗を持って孝太郎と尚美は一同を引き連れ、ビルの玄関口まで出てくる。今日は晴天、社員旅行にはもってこいです(っていう問題じゃないのかな?(^^;))
孝太郎「さぁ、それでは出発いたしますぅ」
尚美 「出発!」
二人 「(のぼりを振り上げて)進行」
真紀子「ちょっと、車はどこ?」
孝太郎「ありません」
真紀子「歩いていくの?」
孝太郎「大丈夫です、とっても近いところなんですよ」
二人 「ねー」
徳川 「桜井、ほ、本当に歩きか?」
尚美 「歩きです」
二人 「ねー」
徳川 「白石、どうなってるんだよ!」
白石 「僕だって知らないですよ」
徳川 「ばかー!!(緒方に向かって)まぁ、そういうことでございますので」
真紀子「仕方ないわね」
由紀江「少し付き合ってあげましょ。何か楽しそうじゃないですか」
尚美 「楽しいですよぉ」
孝太郎「楽しいですよぉ。さぁ、張り切っていきましょう!」
さらにはのぼりを立てたまま、街中の交差点までやってきちゃうあけぼの保険第一営業部御一行様。
孝太郎「さぁ、みなさん、行きますよ。こっちですよ、こっち」
尚美 「行きますよぉ。付いて来て下さい」
徳川 「おかしいんだよ、銀座の数寄屋橋で・・・説明しろよ!」
さらにさらに、橋を渡って、まだまだ歩き続ける御一行様;
徳川 「部長、本当に申し訳ございません」
真紀子「いいじゃないの。ほら、風だって気持ちいいんだし」
孝太郎「ねぇ?気持ちいですよねぇ、みなさん」
尚美 「さすが部長〜」
孝太郎「さぁ、行きましょう。楽しいなぁ」
尚美 「楽しいなぁ」
そして、ようやく到着したのが廃材置き場?!
孝太郎「さぁ、みなさん、着きましたよ〜」
尚美 「到着ぅ」
一同 「ええーーーー」
真紀子「ねぇ、ここって廃材置き場じゃないの」
徳川 「そうだそうだ。白石何とか答えなさい、君は」
尚美 「まぁ、まぁ、落ち着いて。まだまだこの先にも実は、あるんですよぉ。
あっ、白石さん、露天風呂はね無いですから、大丈夫です。OK,OK」
孝太郎「そうそうそう。さぁ、みなさん、付いて来てください」
尚美 「行きますよー。さぁ、こっちこっち。じゃーん」
孝太郎「さぁ、どうぞどうぞ〜。
さぁ、あけぼの保険船上社員旅行で〜す」
と、目の前に広がるのは船・・・と言っても、ただの運搬用のボート(と言うのか、なんと言うのでしょう、あれ?)。その船の上では、簡単な船上パーティのセッティングがなされ、居酒屋松ちゃんの松永とその店員のタカシが待機していた。その光景に大喜びの第一営業部の御一行様。
[オフィスを出て 〜 船上での思い出…]
船上。どうやって船上に移動したのか(^^;)、あけぼの保険の面々は、みんな船上に移動しています。マイクスタンドのセットされたステージに立ち、司会進行を進める孝太郎君。
孝太郎「本日は、あけぼの第一営業部社員旅行にようこそ〜!」
全員 「イエーイ」
孝太郎「この船はですね、ななななんと、2時間しか借りてません(^^;)」
全員 「(笑)」
孝太郎「ですから、この後は各自、ご自由に」
尚美 「そこで、一つみなさんに御願いがあります。2時間の間だけ、携帯電話
を没収します」
全員 「えっ」
尚美 「電源を切って、この(カゴの)中に入れて下さい」
白石 「そんなの無理だよ。仕事の電話が掛かってきたらどうするんだよ」
由紀江「いいじゃない、今日は」
白石 「でもさ」
由紀江「大丈夫よ二時間ぐらい」
白石 「何・・・」
白石が何か言いたげなのを制して、部長が一歩、前に出て、真っ先に電源をOFFして、籠に入れます。
尚美 「部長・・・」
真紀子「みんな、言われた通りにしなさい」
徳川 「そうそう。部長様がお出しになったんだから、みなさん、早く、早く。
白石、何やってるんだ!」
真紀子「あなたもね」
徳川 「ああ、私、持ってないのでございます」(やっぱりね…(^^;))
と、準備は整ったところで;
孝太郎「さぁ、それではみなさん、心行くまでお楽しみくださーーーい」
松永の協力もあって、船の上は焼きそばだ、ビールだがてんこ盛り。おまけにカラオケで大盛り上がりの写真旅行となってます。もちろん、真紀子さんも
二人 「ぶ・ちょ・う」
尚美 「釣り、しませんか?」
徳川が釣りをしている横に行き、釣りをする真紀子。その横では、いつのまにやら白石&由紀江がいい感じ(笑)。そうこうしているうちに、釣りをしている真紀子もカレーが釣れたりしまして、かなり楽しんでます。
しかーし、その様子を車の中から見ていた一人の男がいた。津村だった…(おいおい、めちゃめちゃ暇な社長やん!)
ナレーション『その日、あけぼの保険第一営業部の社員たちは、短くも充実した
社員旅行に出掛けた。しかし、これが彼らにとって、最後の社員
旅行になるとは、その時、誰も知る由はなかった…』
全員 「カンパーイ」
みんなが楽しんでいる様子を見て、幸せ気分に浸る尚美ちゃんと孝太郎。
尚美 「よかったねぇ・・・・孝太郎、ありがとう」
孝太郎「どうしたしまして」