[イントロ 〜 ”男女雇用機会均等法”]
ナレーション『職場の花、男子社員の花嫁候補と呼ばれた女子社員の存在は1986
年に男女雇用機会均等法が施行され、大きく変貌を遂げた。女性
にも男性並みに働くチャンスが与えられたのだ』
道に横一列に並んで前進する「あけぼの保険第一営業部」の女性社員。ここで、真紀子&由紀江の二人が一歩前に出る。それに続いて、尚美ちゃんも前に出て並ぶものの、真紀子さんに追い払われて、一歩後退。
ナレーション『しかし、男と女が同じ職場にいれば、当然のことながらそこには
恋愛も生まれる。そしてそれが時に、会社全体を揺り動かす事件
を起こすこともある』
なんていう、今回もこういうイメージ映像から話は始まります(ナレーションの某一文はちょっとクレームつけたい気分だけどさ)。
[あけぼの保険ビル 第一営業部 オフィス 〜 社内恋愛発覚]
今回の舞台の始まりは、社内恋愛の舞台となるあけぼの保険第一営業部のオフィス。朝の仕事始めの前に、今日も部内の動向を、双眼鏡でチェックする徳川部長代理・・・って、それ、あまりに露骨過ぎないか?そこに今日も元気に出勤してくる孝太郎君;
孝太郎「みなさーん、おはようございます」
一同 「おはようございます」
徳川さんの双眼鏡の最初のターゲットは、孝太郎&尚美カップルでして、尚美が孝太郎に頼まれたコピーを届けます。
尚美 「桜井さん、昨日頼まれていた資料です」
孝太郎「あっ、ありがとう」
尚美 「それから・・・この件も御検討下さい」
と、言いながら、出来上がったコピーに貼り付けた1枚のメモ・・・
『今日は外食しない?美味しいお店、みつけたんだ』
もちろん、徳川さんがしっかりと双眼鏡でチェックしています。そんなことに気が付かない二人は;
孝太郎「わかりました。さっそく、スケジュールの方を見てみます」
尚美 「よろしく御願いします」
孝太郎「こちらこそ御願いします」
なんて、バレてないつもりで話を続行(^^;)。そして、緒方部長も出社してきまして;
真紀子「おはよう」
孝太郎「おはようございます」
ここでようやく緒方部長に見つかり(--;)、双眼鏡チェックをやめる徳川さん。
真紀子「桜井!」
孝太郎「はい」
真紀子「会議の資料、出来てるわね」
孝太郎「はい」
真紀子「すぐ始めるわよ」
孝太郎「わかりました!」
と、とってもいい返事をして、準備をしておいた資料を手に席を立ち、尚美ちゃんに仕事を御願いする孝太郎君。
孝太郎「杉田君…」
尚美 「はい」
孝太郎「これ、人数分、コピーとっておいてくれないかな?」
と言って、会議用の資料を尚美ちゃんに手渡す;
尚美 「わかりました」
孝太郎「それと、これも」
と、その資料に、何やらメモを書いた付箋紙を貼り付ける孝太郎君。そのまま二人は仲良く顔をあわせて;
二人 「ふふふ(笑)」
と、幸せいっぱいの笑顔を示しています。・・・でも、これって、周囲にバレバレやん!(^^;)。
そして、そのまま舞台は営業部の会議室。
会議に出席する真紀子,徳川,白石,孝太郎,由紀江,井原,吉村が会議の席についている。そして、先ほど孝太郎に頼まれた会議用の資料を会議出席者に配布する尚美ちゃん。
真紀子「さぁ、始めましょうか。まずは、桜井の方から」
孝太郎「はい(起立)。えー、みなさん、おはようございます!」
一同 「おはようございます」
孝太郎「本日はお日柄もよくぅ!」
(これって、ソムリエで城君がワインのウンチクを語り始めたときと
同じく、一種の病気じゃないかい?)
真紀子「桜井・・・(--;)」
孝太郎「あっすみません。あっ、それではみなさん、お手元の資料をご覧下さい。
まず、第一ページ目ですが…」
と、全員、一斉に、資料の表紙をめくると、資料に何やらメモ書きが・・・;
一同 「ん?」
徳川 「『今日は残業だからちょっと無理かな。
でも、いつもの店で一杯やろうよ。
孝太郎』」
どうやら先ほどの孝太郎からのメモが書かれた付箋紙を貼ったまま、コピーをしちゃった尚美ちゃん。
徳川 「何だ、これは?」
由紀江「あーあ、やっちゃったねぇ」
孝太郎「あっ」
尚美 「ああ!これ。すみません、どうしよう(慌てふためく)」
孝太郎「あ、あ、あ。回収しよう…(同じく慌てふためく)」
尚美 「コピー機の故障かなぁ…」(←お惚け)
由紀江「な訳ないでしょう?」
井原 「おいおい、尚美ちゃん、公私混同はいかんよ」
焦ったままコピーを回収しようとした尚美ちゃんは、テーブルの上の井原のコーヒーを零してしまう。そりゃまぁ、会議は大騒ぎさ!(笑)。その様子を見て、喝を入れる真紀子。
真紀子「桜井!仕事の邪魔になるようなら社内恋愛は禁止しますよ!」
それに続いて徳川さんも
徳川 「桜井!だから早く結婚しろっていったじゃないか!」
孝太郎「・・・」
尚美 「・・・」
二人 「すみませーん」
と、揃って深々と頭を下げる孝太郎と尚美ちゃん。かわいいよ〜。
ちなみに、ここでの孝太郎君のプレゼン資料、先日の「わかんなかった単語」が結構使われてましたね。ちゃんと勉強してるじゃない!(♪)
[居酒屋 松ちゃん 〜 「鈍」「感」コンビ誕生?]
その夜。浮かない表情の孝太郎と尚美ちゃん。白石と由紀江の二人もいっしょに、いつもの居酒屋「松ちゃん」に飲みに来ています;
孝太郎「いや、参ったなぁ〜。みんなにバレちゃったね」
尚美 「明日から仕事がしづらくなっちゃっうね〜」
由紀江「今更、何言ってるの?みんな気づいてるわよ、二人ができてるってこと
ぐらい。ねぇ〜」
白石 「えっ。あれって、そういうことだったの?」
(↑孝太郎とは別の意味で天然キャラの白石君)
二人 「えっ?」
白石 「おまえ、杉田と付き合ってるのかよ?」
孝太郎「いや。むふふふふ(笑)…うん」
松永 「あんた、相当鈍いな」
白石 「鈍いって、俺がかよ?!」
松永 「普通、気づくよ」
白石 「あんたに言われたくないね」
松永 「何だよ!」
白石 「俺は切れで勝負してんだよ!」
松永 「キレてんじゃない?」
尚美 「まぁまぁまぁまぁ」
とはいえ、由紀江は由紀江で、白石の気持ちが気になるわけで;
由紀江「白石君は、そういうのはどうなの?」
白石 「何だよ、そういうのって?」
由紀江「ほら、尚美たちみたいに、同じ会社の人と付き合うっていうか、つまり
社内恋愛って・・・?」
白石 「冗談じゃない、俺はごめんだね」
由紀江「・・・」
と、撃沈。ぷいと白石に背を向けちゃう由紀江さん。慌てて尚美ちゃんがフォローしようとします;
尚美 「で、でもぉ、結構、悪くは無いですよ。会社行くのもね、楽しくなっち
ゃうし…」
白石 「女は仕事に邪魔なだけだ!」
孝太郎「さすが白石君、格好いいこと言うね!」
と、勘の鈍い孝太郎は尚美ちゃんに突き飛ばされとります。
孝太郎「な、何よ・・・」
白石 「何?どうしたの、元気ないな?どうした、急に…」
孝太郎「あれっ、由紀江さん、何?気分でも悪いの?」
松永 「お前ら本当に鈍感だな。もう、ドンとカンで鈍感コンビ!」
白石 「えっ?」
やっぱり孝太郎と白石って、気が合うのかも(苦笑)。それにしても、こういう男が相手だと、尚美ちゃんも由紀江さんも苦労するよね。
[あけぼの保険ビル 大会議室 〜 長期的な展望が必要なのさ]
翌日・・・会社の大会議室では、「あけぼの保険営業部全体会議」が開かれています。徳川部長代理が営業成績の報告を実施中。先々月に比べて営業成績が20%増大していると、熱弁を振るっています;
徳川 「新しい部長さんの斬新なやり方と、旧来からあるあけぼの魂が、いい状
態で力を合わせた結果だと思っております」
その徳川の熱弁に拍手する孝太郎君(パチパチパチ)(会議で拍手って、それは浮いてるって…)(^^;)。
徳川 「まぁ、その橋渡しとして、私も微力ながらお役に立てたのではないかと
自負する次第であります」
で、再び孝太郎君、拍手。そして、さらに言葉でもヨイショを始める孝太郎君。
孝太郎「いやーそのとおり!徳川部長代理の人徳があればこそですよ。やっぱり
私ですね、徳川の徳は、人徳の徳であると、初めて気づかされましたぁ」
と、周囲に思いっきり徳川さんをアピールする孝太郎君(^^;)。でも、こんな会議でヨイショをしたら、大ヒンシュクだぞ。時と場合をわきまえるというヨイショが出来ないのか、君は!
徳川 「おまえは、ちょっと大袈裟すぎるんだよ」(←でも、嬉しそう)
孝太郎「すみません」
徳川 「もっと抑えなさい」
真紀子「何やら随分得意げな御様子ですね」
徳川 「しかし、売り上げは確実に伸びておりますので…」
真紀子「たしかに先々月から比べると売り上げは確かに伸びております。しかし
前年比ですと、30%のダウンです!この会社が何で倒産しそうになった
のか、まだ分かっていないようですね」
と直球でズバリ指摘。誰も口を開かない中、白石だけが、真紀子の言葉に答える;
白石 「目の前の利益ばかりで、長期的なプランが無いからですよ」
真紀子「そのとおり!よく分かっているわね」
孝太郎「な、なるほどぉね。そうなんだ」(←素直に関心(笑))
白石 「僕はずっと言ってきたんですけどね。誰も聞き入れてくれなくて」
真紀子「それはあなたに人を説得する力が無いからよ」
と、心の中でほくそえむ徳川さん。だが、その徳川の反応を見て、再び喝を入れる真紀子。
真紀子「とにかく、それを踏まえて今後の営業プランをもう一度立て直すこと!
いいですね、徳川部長代理!」
その指摘に対して、なぜか徳川さんと一緒に、かしこまって頭を下げる孝太郎君。
[あけぼの保険ビル 第一営業部オフィス 〜 会議が終わって…]
会議が終わって、自らのオフィスに引き上げてくる孝太郎たち;
孝太郎「でも、長期的って、どのぐらい長期的なんですかねぇ?」
徳川 「そりゃ、まぁ、半年ぐらいだろう」
白石 「それじゃぁ長期的とは言わないですよ。少なくとも5年は先をみないと」
徳川 「5年?そんな先の計画を立てらるかよ。なぁ?」
孝太郎「そうですよ!(オフィスの扉を開けて)どうぞ。
そりゃそうですって。僕なんかね、今日の昼飯、迷ってますもん(笑)」
徳川 「俺はいつもの焼き魚定しょくってきめてるぞ」
孝太郎「僕もね、基本的にはそれなんですけど、最近、交番の裏に美味い餃子屋
を見つけたんですよ」
徳川 「餃子?」
孝太郎「ええ。その餃子っていうのが、餃子のくせしてニンニクを使ってないん
ですよ。だから、営業の前なんかね、バッチリですよ、これが」
徳川 「おう、いいじゃないか、いいじゃないか、いいじゃないか」
孝太郎「いいですよね。行きましょう、行きましょう、ね」
徳川 「よしいこう!」
全く、軽すぎるんだよ、この人たち。そりゃ、倒産するって。
そして、オフィスの部長の席に目を向けると、椅子には見知らぬ男性が座っていた。
孝太郎「?」
そして、遅れてオフィスに戻ってきた真紀子に尚美が来客を告げる。その男性と対面した真紀子は、「圭介!」と名前を呼んだかと思うと、抱き合って挨拶を交わす。
男は、グローバルライフの深見圭介。
深見 「『TURE LOVE』・・・相変わらずその香水か」
真紀子「圭介?」
深見 「(振り返って)あはははははは(笑)」
真紀子「圭介〜。ハ〜イ」
と言いながら、相手の男性と抱き合って挨拶をする真紀子。
一同 「ああ!(@o@)」
孝太郎「あらら、あらら、あらら。あたたたたた」
徳川 「抱き合ってるぞ。何なんだ、あの二人」
真紀子と抱擁した男性 深見圭介は、グローバルライフの本社の人間で、今朝、成田から日本に到着したという。圭介と会話する真紀子の嬉しそうな顔を見て、二人は恋人じゃないかとささやく尚美と由紀江。
深見 「で、君はどうなんだ?」
真紀子「まぁここじゃ全然ダメよね。まともに勝負してくれるピッチャーもいな
いし。で、今回は何?仕事?」
深見 「実は俺、結婚することにしたんだ」
真紀子「結婚?(@o@)」
思わず大声をあげてしまう真紀子。
深見 「えっ、そんなに驚く?」
真紀子「いや、だって、圭介・・・深見君、僕は一生独身で通す、なんて言って
たから」
と、激しい動揺を隠しながら(隠せてないけど(笑))、深見と話を続ける真紀子。深見が婚約した相手は経理の中西礼子であり、今夜、代官山でグローバルライフの人間が主催で婚約パーティが開催され、それに、真紀子にも出席して欲しいというのだ。さらに、深見はあけぼの保険の社員が出席することは厭わないと言い、それを聞いて尚美たちは大喜びする。その深見の言葉を、黙って聞いている真紀子。その表情を黙って眺めている孝太郎君(そうやって真紀子の表情を見ているから、ある程度の事情を察しているのかと思ったけど、結局はただの鈍感やろうなんだなぁ(笑))。
[富士山トラベルサービス 〜 部長は男?!]
真紀子について顧客である富士山トラベルサービスまで営業に来ている孝太郎。孝太郎は受け付けにて、面会相手の倉田に面会を申し入れている;
孝太郎「あけぼの保険の桜井と申しますけど、倉田総務部長、御願いします」
・・・で、一方の真紀子は少し離れたところで、一人なにやらぶつぶつと、先ほどの深見のことをつぶやいている;
真紀子「全く圭介のやつ、何考えてんのよ」
孝太郎「部長!」
真紀子「何で、よりによって経理の中西礼子なの。どーせなら私の知らない子に
してくれればいいじゃない」
孝太郎「部長?」
一人で世界に浸っているところに、孝太郎君が近づいてくる。でも、真紀子さんはじぇんじぇん気づかず独り言を繰り返し…;
真紀子「何かの当てつけなの?」
孝太郎「・・・」
真紀子「そうよ、きっとそうよ、私が部長になったこと、気に食わないんだわ」
孝太郎「・・・」
真紀子「だから圭介のヤツ、別れた女にわざわざ結婚の報告なんかしに
来たりして…」
孝太郎「!(@o@)(口を押さえる)」
真紀子の言葉に驚きの表情(但し、声は出さず)の孝太郎君。そこに、富士山トラベルサービスの社員がやってきて;
女性 「あけぼの保険様」
と、言われて、真紀子が「はい」と振り返ると、そこには孝太郎君の顔が(笑)。
女性 「3階の喫茶室まで御願いします」
孝太郎「はい」
真紀子「今、私、何か言ったかしら?」
孝太郎「いいえ・・・」
そう、それが世の中を上手く渡っていくコツだよ、孝太郎君・・・(^^;)。
そして、場所を変えての喫茶室で、倉田と打ち合わせをする真紀子と孝太郎。ただ、倉田はいきなりぶしつけな発言を繰り返す;
倉田 「わざわざ御足労頂いて申し訳ないんですがね、オタクとの契約は今月限
りということで決定しているんでね・・・」
倉田は、管理職の真紀子が女であることが気に食わないらしい。以前に女性の営業部長と契約を進めていたら突然結婚してしまい、一から話をやりなおさなくてはいけない経験があるという。だが、そんな倉田に孝太郎君は、なんとか上手く取り繕うとする;
孝太郎「実は倉田部長・・・」
倉田 「えっ」
孝太郎「うちの緒方は・・・男です」(オイ!)
倉田 「えっ?」
孝太郎「あっ、まぁ、あの外見は女性なんですけど、中身はほとんど男みたいな
もんなんですよ」(って、これじゃぁ、取り繕ってはいないよなぁ…)
倉田 「・・・あっ。でも、いずれは結婚するんだよね、あんたも」
孝太郎「あっ、もう、ないないないない。うちの緒方が、結婚なんかする訳無い
じゃいじゃないですか!」
真紀子「桜井!(--;)」
孝太郎「たとえ結婚したとしても、お嫁さんをもらいます」
(だからぁ…(--;))
倉田 「えーーーー!?」
孝太郎「あっ、いや、あの・・・変な意味じゃないですよ。結婚したとしても、
お嫁さんのようなだんなさんをもらうという意味です」
(ちっともフォローになってないって・・・)
真紀子「桜井!あんたちょっと黙ってなさい!」
孝太郎「すみません」
真紀子「もう一度プレゼンのチャンスを下さい。新しいプランを持って参ります」
二人 「御願いします」
[あけぼの損保第一営業部オフィス 〜 由紀江のアプローチ]
同じ頃、あけぼの保険のオフィスでは、遠くの白石を見ながら、尚美と由紀江がこそこそ話をしています。
尚美 「最後のチャンス!出掛けちゃいますよ!」
由紀江「・・・」
尚美 「なら、私が」
由紀江「ああ、いい、自分で行く」
と言いながら、もじもじしている由紀江。結局、尚美ちゃんに後ろから押されて、白石君とぶつかってます(^^;);
由紀江「ねぇ白石君。今日のグローバルライフのパーティって…行かないよね?」
白石 「行くよ」
由紀江「ええ。本当に?!びっくり」
白石 「何で?」
由紀江「あ、いや、白石君、あんまりパーティとか好きじゃないかと思っていた
から・・・」
白石 「ビジネスチャンスだからさ。ああいう席って財界の実力者が集まるだろ?」
由紀江「ああ、そういうことか」
白石 「君は行かないの?」
由紀江「もちろん行く!」
白石 「じゃぁ、向こうで会おう」
と言って、白石は営業に出掛ける;
由紀江「後ほど!」(←声が弾んでる)
その様子を遠くから尚美ちゃんが近づいてきて;
尚美 「このう!」
由紀江「このこのこの」
とお互いはしゃいでおります(^^;)
[富士山トラベルサービス ビル前 〜 孝太郎君、女性へのヨイショは下手ね]
打ち合わせが終わり、ビルの外に出てくる真紀子と、その3歩後を続く孝太郎君。
孝太郎「それにしても、倉田さんは、何にも分かってませんよね、部長のこと。
部長が結婚して仕事を辞めるなんて考えられないですよね」
真紀子「・・・」
孝太郎「何せ、グローバルライフのアイアンレディーと異名をとったぐらいです
からね」
真紀子「・・・」
孝太郎「あっそう、そのアイアンレディってどうい事なんですかね。(ゴルフで)
ドライバーを使わずに、アイアンだけで回るとか、そういう・・・」
真紀子「御願いだから、黙っててくれる?」
そのまま孝太郎君、沈黙(^^;)。真紀子さんはそのままタクシーを停めて、乗り込みます。もちろん、それに続く孝太郎君。
[代官山のパーティ会場 玄関口 〜 待ち人、なかなか来ず]
夜。会社が終わり買い物に走ったドレスを着ている尚美ちゃんと由紀江さん、パーティー会場の入り口で、孝太郎と白石を待っています。でも、日もどっぷりと暮れているのに、来る様子も無く…
尚美 「遅いよ、本当に!せっかく、買ってきたのに・・・ねぇ」
と、男たちが来るのが遅いのに怒り心頭の尚美ちゃんですが、一緒に待っている由紀江は「気づいてくれるかな、うふふふ」と、嬉しそう。そこに、白石が到着して、由紀江と白石は会場に入っていこうとする。
由紀江「尚美も中で待てば?風引いちゃうよ」
と、先を越された尚美ちゃん、「買ったのにぃ(怒)」と、怒り収まらず・・・(孝太郎、これはよほどのフォローをしないと、収まりそうに無いぞ!(^^;))
[街中のタクシー 〜 渋滞に巻き込まれ]
真紀子と孝太郎の乗ったタクシーは渋滞に巻き込まれています;
孝太郎「いやー、参りましたね」
真紀子「・・・」
本当に、車はちょっとやそっとじゃ動きそうにありません。
[代官山のパーティ会場 〜 待ち人、依然、来ず]
パーティ会場の中では、会場いっぱいに人々が盛り上がっており、ジャズの生歌&演奏まで行われていて、なかなか 今回はお金が掛かって 会場は盛り上がっております。それにあわせて(?)、徳川さんも非常に盛り上がっていたりして…(あら、徳川さんも来てたのね…)
尚美たち女性人は食事を楽しみながらも、会場のドアが開くたびに孝太郎が来たのかと振り返ってはため息をつき・・・
一方の、孝太郎と真紀子の乗ったタクシーは依然と進まず。。。。一体、いつになったら着くんでしょう?
再びパーティ会場。グローバルライフのアメリカの人たちの輪の中で盛り上がっている徳川部長代理。やがてそこから離れて、井原たちと一緒に話しています;
井原 「徳川部長代理!すっごい英語分かるんですか?」
徳川 「そんなもん、分かるわけないだろう。大体ね、何であいつら、日本語、
喋らないんだよ。ここは日本だよ、日本!」
井原 「だって、相手はアメリカ人ですよ」
徳川 「だからって、おまえ俺たちだってアメリカに行けば英語を喋ろうとする
だろう。だからあいつらだって、日本に来れば日本語を喋ろうとすりゃ
いいんだよ!!!」
白石 「日本とアメリカの歴史的背景を考えれば、仕方の無いことですよ」
徳川 「ああ、鎖国してりゃよかったんだよ…」
このトホホな発言に密かにウケてしまったわ、私・・・(^^;)。そして、深見が徳川たちを見つけて近づいてくる;
深見 「あけぼの保険のみなさん、楽しんでますか?」
徳川 「はい」
深見 「紹介しましょう、婚約者の中西礼子です」
礼子 「はじめまして」
深見 「緒方部長は?」
由紀子「まだ、みたいですね」
深見 「そうか、残念だな、彼女にはぜひ、出席して欲しかったんです」
礼子 「私、お化粧直してくる」
と言って、一人でパーティ会場から外に出て行く礼子。でも、深見さん(羽場裕一さん)のフィアンセ役が山口もえさんだというのは非常にミスマッチで、マッチしていたわ(苦笑)。真紀子さんとの対比もなかなか楽しかったよ…(^^;)。
[代官山のパーティ会場 玄関口 〜 待ち人、ようやく到着]
孝太郎と真紀子の乗せたタクシーがようやく会場に到着する;
孝太郎「それじゃぁ、この辺でいいですね。(運転手さんに)じゃぁ、5000円から。
領収書下さい」
と、事務的な話をしながらも;
孝太郎「いや〜それにしても、渋滞の中、一糸乱れぬ素晴らしい運転!
さすがプロ!(拍手)」
と、ヨイショを忘れない孝太郎君はある意味、偉い!(^^;)。でも、もちろん、真紀子さんには不評なわけで;
真紀子「いいから、早くさっさと降りなさい!」(^^;)
そして、真紀子はドレスを受け取り、会場に入っていく。
[代官山のパーティ会場 〜 フィアンセと元彼女]
真紀子が着替えのため化粧室に入ると、そこには中西礼子がいた。ようやくやってきた真紀子の姿を見て、大喜びする礼子;
真紀子「おめでとう」
礼子 「ありがとうございます。本当に嬉しいです!先輩は〜、絶対に来ないと
思ったから」
真紀子「どうして?」
礼子 「だって、先輩は〜、ほら!」
真紀子「何・・・?」
礼子 「いや、なんでもないです。なんでもないですよぉ〜」
真紀子「・・・。でも意外ねぇ、あなたと圭介が結婚するなんて」
礼子 「どうしてですか?」
真紀子「だってほら、圭介って…。いや別にね二人の間に水を差そうなんていう
つもりはないのよ。でも、圭介は星の数ほどいたでしょ、女の人が…」
礼子 「知ってます。先輩もその星の中の一人ですよねぇ」
真紀子「えっ?」
礼子 「圭ちゃん、全部話してくれました」
真紀子「圭ちゃん?!」
礼子 「そう」
真紀子「でも、私は特別の存在だったから…」
礼子 「でも、彼、言ってくれたんです。僕は君と出会うために、随分と寄り道
してしまったー、って」
真紀子「寄り道?」
礼子 「でもね、彼、君以外は見えないって、そんなこと言ってくれるんです」
と、そんな女同士の火花を散らしていたかと思ったら、続いては友好ムード?
礼子 「ねぇ、先輩。先輩は私たちのこと、祝福してくれますよね?」
真紀子「・・・。もちろんよ」
礼子 「ありがとうございます」
そして、先に化粧室を出て行く礼子。一人残った真紀子は鏡に向かって小さくため息をつく。そこにドアをノックする音が。ドアをノックしていたのは孝太郎だった;
真紀子「はい」
孝太郎『あっ、いやいや。まだ…いらっしたんですね。はい』
真紀子「今、行くわよ」
孝太郎『はい』
やがて、化粧室を出てきた真紀子。ずっと孝太郎君は真紀子が出てくるのを待っていたようです;
真紀子「急かさないで!」
と言いながら、パーティ用のドレスを孝太郎に渡す孝太郎;
孝太郎「(おじぎしてドレスを受け取る)
あれっ、部長これ、着替えてない。着替えないんですか?」
と孝太郎に言われても、無視して歩いていく真紀子;
孝太郎「あっ。ね。部長、会場こちらです。こちら。上です」
真紀子「うるさい!」
孝太郎「着替えないと」
真紀子「うるさい!」
と、ずっとうるさがられてますね、孝太郎君・・・(^^;)。
そして、階段を上がっていくと、その先には深見が待っていた;
深見 「真紀子・・・遅いから、もう来てくれないかと思った」
真紀子「さっき玲子に会ったわ、化粧室で」
深見 「聞いたよ。彼女、すっごい喜んでいた」
真紀子「ほんと、おめでとう。幸せそうで嬉しいわ」
深見 「ありがとう・・・みんなまってるから、さぁ、行こう」
と言って、会場に向かう深見と真紀子。そして、ひょこひょこあとをついていく孝太郎(君は一体、何者だ?(^^;))。
会場入り口のドアの前までやってきた3人;
深見 「着いた早々悪いんだけどさ、スピーチしてくれないかな?」
真紀子「スピーチ」
深見 「今夜ここに集まったメンバーの中では、君が一番の上役なんだ」
孝太郎「いいですねぇ、部長のスピーチ!是非聞かせてください!!」
(↑一人、場違いなテンションでヨイショしてる孝太郎(^^;))
深見 「とにかく、たのむよ」
そして、会場の扉が開く;
司会 『グローバルライフのアイアンレディこと、緒方真紀子さん、
いや、緒方部長。是非、壇上の方へ』
孝太郎「どうぞどうぞ、スピーチ、スピーチ」
真紀子「しょうがないわね」
と、壇上に進む真紀子。孝太郎君も途中まではその後に続き、そして、尚美たちと合流します。でも、ちっとも尚美ちゃんには目が向いてないんだな、孝太郎君ったら・・・(ダメじゃん)
孝太郎「部長!部長!部長、頑張って!!」
と、必死に声援を送ってます(ヨイショというより、ミーハー的な応援だよね、これは(^^;))。そして、ゆっくりと、もちろん英語でスピーチを始める真紀子;
真紀子「皆、お久しぶり!お元気にしてた!?」
一同 「イエーイ」
男性 「真紀子、君は相変わらず綺麗だよ!」
真紀子「ええ、知ってるわよ」
一同 「(笑)」
真紀子「私のことは別にいいのよ。今日の主役はさっきから幸せそうにニタつい
ているあそこの2人なんだから。圭介、礼子、今日は本当におめでとう。
2人ともとってもお似合いよ・・・」
[居酒屋 松ちゃん 〜 どういうこと?]
パーティが終わり、なぜか引き続き居酒屋松ちゃんでたむろしている孝太郎,尚美,白石,由紀子の4人。特に孝太郎と由紀江は先ほどのパーティの余韻に浸っています;
由紀江「何か輝いてたなぁ、緒方部長・・・」
孝太郎「素晴らしかったねぇ」
尚美 「何よ、二人とも感心しちゃって」
由紀江「でも、なかなか出来ないわよ、女の立場であそこまでいくって」
白石 「お前ら本当にお気楽なやつらだなぁ。あのパーティでグローバルライフ
の連中が影で何て言ってたか知ってるだろう?」
孝太郎「???」
尚美 「???」
由紀江「???」
と、白石の言っている意味が全く分かっていない約3名。
白石 「あ、そうか。お前ら英語ダメだからなぁ」
孝太郎「あっ、そっか。白石君、英語得意だもんねぇ。。。
僕もね、最近勉強してるんだよ、こう見えても。ヒヤリングとかに関し
ても・・・」
由紀江「(無視して)ねぇ、何て言ってたの?」
白石 「あの女が部長まで出世できたのは、女の武器を使ったから
だってさ」
孝太郎「!」
尚美 「!」
由紀江「!」
その白石の言葉を聞いた3人は沈黙する。そこで、孝太郎は;
孝太郎「どういうこと?」
狙ってるよね(^^;)。でも、この孝太郎君は可愛すぎるぞ。製作者の狙い通り、私はちょっと壊れました・・・(バカ)
[あけぼの損保本社ビル正面 〜 白石君の退職宣言]
翌朝。軽快な足取りで、跳ね飛びながら出勤する孝太郎君;
孝太郎「しゅわっち」
(↑カタカナで「シュワッチ」というより、ひらがなって感じ(^^;))
と、ビルの前で一旦、停止して;
孝太郎「よーし、今日も一日、ヨイショぉ(笑)」
笑顔↑
と、気合を入れたところで、目の前に尚美ちゃん発見。
孝太郎「尚美、おはよー」
尚美 「おはよう」
孝太郎「ねぇ、ねぇ、ねぇ。昨日パーティの時に来ていた洋服、あれ、すっごい
よかった!」
尚美 「今更いいわよ」
孝太郎「えっ。いや、本当だよぉ。あの時はさ、あまりの美しさに、言葉が出て
こなかったんだよ」
尚美 「孝太郎はね、私に対するヨイショはあんまり上手くないの。
自覚しといて!」
怒って先に歩いて行っちゃう尚美ちゃん。
孝太郎「あれっ、尚美?」
まぁ、自業自得やね・・・(^^;)。
[あけぼの損保本社 第一営業部 〜 白石君の退職宣言]
そのままオフィスにやってくる孝太郎と尚美。孝太郎は、尚美ちゃんの機嫌を直そうと鋭意努力中です(^^;)。
孝太郎「怒ってばっかだと、そんな顔になっちゃうよ」
尚美 「もういいい!!」
孝太郎「そんな、怒んないでって。本当にねあの中で白いワンピースを着ていた
尚美は・・・」
尚美 「あーあー。違うでしょ!!!」
と、孝太郎君、尚美に対してはヨイショがボロボロです。
誰も居ないかと思えたオフィス内を見ると、真紀子が一人、早朝から仕事をしていた;
孝太郎「部長!」
孝太郎「部長、おはようございます」
尚美 「おはようございますぅ」
早朝から仕事をしていたかと思いきや、デスクの上においてある真紀子の上着は昨日着ていたものと同じもの。
孝太郎「あれっ、まさか、、昨日の夜からずっとここにいたんじゃ?」
真紀子「向こうとは時差があるからねぇ。応接室のソファーでちょっと休むから、
NYからファックスが来たら持ってきて」
孝太郎「はい、わかりました」
と、孝太郎はちゃっかり手にした上着を、真紀子に着せようとしながら;
真紀子「ああ、いいから」
孝太郎「おやすみなさいませ」
と言って、真紀子はオフィスを出て行く。
孝太郎「いやー。部長は僕たちの知らないところで…。泣けてくるなぁ」
尚美 「やっぱ、デマかなぁ・・・」
素直に部長の仕事っぷりに感動する孝太郎君と、あれこれと考える尚美ちゃんとが対照的…(^^;)
6時間後、富士山ラベルサービスの倉田から緒方に電話が入る。取引について、条件次第では考え直してもいいと言う。じっくりと二人で話をしたいので、今いる東京第一ホテルまで、打ち合わせにきて欲しいと。その会話を聞き耳を立てながら、かつ低姿勢で近づいてくる孝太郎君。こっそり&じっくり&しっかり、電話の内容を聞いています;
真紀子「東京第一ホテルですね、わかりました、伺います」
と言って受話器を置く真紀子。振り返ると目の前に孝太郎君が!(^^;)。
孝太郎「あっ」
真紀子「何やってるのよ?」
孝太郎「あの・・・倉田様からのお電話ですよね。何か言ってました?」
真紀子「取引の件、考え直してもいいって。」
孝太郎「ああ、よかったですねぇ。じゃぁ、私、さっそく準備してまいります」
真紀子「ああ、あなた、いかなくていいから」
孝太郎「いやいや、でも」
真紀子「他に、やることあるでしょ?」
孝太郎「???」
そうして外出する真紀子。そのまま1Fロビーにまで下りてきます。行き違いに一台のタクシーが到着し、そこから深見が降りてくる。
再びオフィス。圭介が第一営業部にやってくる;
深見 「こんにちは!昨日はどうもありがとうございました」
尚美 「いえ、こちらこそありがとうございました」
深見 「楽しんで頂けました?」
尚美 「ええ、もちろんです」
深見 「それはよかった。・・・緒方部長は?」
孝太郎「あっ、ちょうど今、出掛けましたが」
深見 「あ、そう」
孝太郎「今、行ったばっかりなんで、僕、追いかけます」
深見 「あ、いや、ならいいんです。今日、これからアメリカに発つんで、挨拶
に伺っただけですから。・・・じゃぁ、部長によろしくお伝え下さい」
タクシーに乗り込む真紀子の映像。
再びオフィス。帰ろうとする深見を、強引に押し留めようとする孝太郎君;
孝太郎「ちょっと待って下さい。いや、そう仰らずに…」
深見 「だから、僕にどうしろというんだ!?」
孝太郎「あの、ですから・・・」
深見 「こんなこと言いたくないけど、彼女は仕事のためなら何でもする女性だ。
だから、僕たちは別れたんだ・・・」
「やっぱり」というような表情をする尚美と由紀江。その言葉を聞いた孝太郎は昨晩の白石の言葉や、先ほどの真紀子の言葉を思い出す;
−あの女が部長まで出世できたのは女の武器を使ったからだってさ。
−東京第一ホテルですね、分かりました。伺います。
これらの言葉が頭を掠め、孝太郎君の中で、一つのストーリーができあがります。
孝太郎「あっ・・・」
おもむろに廊下をオフィス方向に駆け出す孝太郎。
尚美 「孝太郎?」
そして、廊下に置かれている植木を一つ手にし、尚美ちゃんに渡す:
尚美 「何?」
おのまま廊下を奥の方に向かって駆け出す;
尚美 「孝太郎・・・。何?」
そして、さらに180度回転し、尚美ちゃんが困惑しているのも振り切って、引き続き、廊下を右往左往している。
尚美 「嫌だっ」
そして、そのまま外へと駆け出す孝太郎君;
孝太郎「部長ぉ!」
そして、尚美ちゃんはその孝太郎の後姿に向かって「孝太郎ーーーーーぉ」(^^;)。
[第一ホテル 〜 真紀子VS倉田]
単身、倉田の待つホテルにやってくる真紀子は、そのまま601号室の部屋に入っていく。
倉田 「スイートをね、取ったんだよね。ふふふふふ(笑)」
真紀子「先日の件なんですけど、新しいプランを持って参りました。詳しく説明
させて頂いてもよろしいですか?」
一方の、孝太郎は、交差点を駆け抜ける(笑)。
真紀子「まず最初のページなんですが」
倉田 「そういう説明は今更いいんだよね。もっと大人の話をしようよ」
さらに、孝太郎は、人ごみを掻き分け、街中を駆け抜ける(笑)。
沈黙の続く、真紀子VS倉田。
今度は孝太郎は、路地裏を駆け抜け続ける(笑)。
孝太郎「部長!待ってて下さい!今、行きますからね!」
緊張感の続く、真紀子VS倉田。
倉田 「君は、この契約が欲しいんだろ?」
まだまだ孝太郎は、路地裏を駆け抜け続ける(笑)。
孝太郎「部長!」
沈黙する真紀子。
やっぱり孝太郎は「部長!」と叫びながら走り続けてます。
真紀子はゆっくりと立ち上がる。
そして、そのとき孝太郎は;
孝太郎「部長!部長ぉ!!!」
やっぱり叫んでます(^^;)。ってところで、一旦、CM(^^;)
CM明け。迫る倉田に対し、真紀子は、おもむろに立ち上がり、カバンでシバキ飛ばす真紀子;
倉田 「何をするんだね!(鼻血が出ているのを見て)ああー!」
ホテルのロビー。それから随分と時間が経って、孝太郎君、第一ホテルに到着。そりゃぁ、真紀子さんがタクシーを利用した距離なんだもん、よほどの足の速さじゃないと、すぐには到着しないって・・・(^^;)。
それでも、息を切らせながらも、真紀子のいる部屋を確認しようと、フロントに掛け寄る孝太郎。その様子を、ちょうど、エレベータから降りてきた真紀子が見つける;
孝太郎「あの、すみません。あの、あの、あの、富士山トラベルサービスの倉田
さんって方、どちらにお泊まりでしょうか?」
真紀子「桜井!」
孝太郎「(部長に気づいて)部長!」
真紀子「何やってるの、あんた?」
孝太郎「えっ、いや・・・」
訳が分からずに頭を抱えて、ストレッチをしたりして(^^;)。
孝太郎「(笑)・・・部長、倉田さんとのお話は?」
真紀子「倉田さんだぁ。あんな馬鹿で助平なヤツ、さん付けで呼ぶんじゃない!」
孝太郎「スケベって、部長、もしかして、何かあったんじゃ?」
真紀子「思いっきり殴ってやったの!」
孝太郎「えっ?」
真紀子「ほらー、さっさと帰るっ!」
孝太郎「(安堵の表情を見せて)ああ、よかった・・・さすが部長!」
と関心しながらも、「あっ」と、もう一つの重要なことを思い出す孝太郎君。
(ちなみにこの孝太郎君が到着してからのロビーのシーン、ノーカットで回してましたね)
[タクシー 〜 再び真紀子と二人きり?]
ホテルを出て、タクシーに乗り込む真紀子。そこに、強引に孝太郎君も割り込んできます。
真紀子「あけぼの保険まで」
孝太郎「いや、あの、訂正します。成田空港第2ターミナルまで御願いします」
真紀子「成田!?」
孝太郎「ええ。急いで御願いします」
真紀子「何なの、成田って?」
孝太郎「あの、さっき、会社に深見さんがいらっしゃったんですよ。で、6時の
便でアメリカ行くって・・・」
真紀子「・・・。知ってるわよ」
孝太郎「あの人、部長のこと誤解してますよ、仕事の為なら何でもする女だって
そう思ってます」
真紀子「だから?」
孝太郎「だから、って・・・。部長、誤解されたままでいいんですか?深見さん
のこと、好きなんでしょ?本当の気持ち、伝えた方がいいですよ!」
真紀子「・・・運転手さん、行き先、あけぼの保険に変更して下さい」
孝太郎「あの・・・部長・・・」
それ以上は何もいえない孝太郎君。
[あけぼの損保本社 第一営業部 〜 ]
夕刻。夕日が差し込むオフィスに真紀子と孝太郎が戻ってきます。営業部の面々は、すでに退社したのか、誰もいません(いいのかなぁ、この会社、こんなことで・・・)
真紀子「私と圭介は同期で入社して、直ぐに恋人同士になったわ。あの頃、会社
に行くのが楽しくてねぇ。仕事では最大のライバル、プライベートでは
最高のパートナー。理想的な関係だった。何年かして、違うってことに
気がついたの。出世も昇給も彼の方が早かった。正直言って不満だった
わ。だって仕事じゃ負けてないと思っていたから。もちろん、そういう
男女差別もあるってこともわかってたわ。でも、許せなかったのは彼が
私にプロポーズされたときの言葉」
孝太郎「プロポーズされたんですか?」
真紀子「入社5年目よ。彼の栄転が決まったとき。彼は私にこういったの。。。
これからは僕が養ってあげるから、君は自分の
好きなことだけをすればいい。。。」
孝太郎「素敵な言葉じゃないですか・・・」
真紀子「養ってあげる。養ってあげるよ?!!そのときの私の気持ちがわかる?
私はずっと対等だと思ってきた。でもそうじゃなかったの。彼にとって
私は、養ってあげるっていう存在だったのよ!」
孝太郎「でも、好きなんですよね?だったら、その気持ちを正直に伝えて・・・」
真紀子「伝えてどうなるのよ。彼は当然、あの子のことを選ぶわ。だって、彼が
求めているのは、ライバルになる女なんかじゃなくて、安らぎを与えて
くれる、可愛い奥さんだもん…(涙)」
そういって、真紀子は涙を隠すように孝太郎に背を向ける。
真紀子「ああ…、やっぱり女ってダメね。こんなとき、すぐに泣いちゃうから。
だからバカにされるのね」
孝太郎「いや、部長のこと、馬鹿にする人なんていませんよ」
真紀子「何でそんなことわかるのよ?!」
孝太郎「えっ、だって・・・」
少し迷ってからテンション高く;
孝太郎「だってそうでしょう?!
この美貌にこのスタイル。その上、仕事もできるバリバリバリバリ…な
キャリアウーマン。これを、誰が、誰が馬鹿に出来るっていうんですか!
でもね、中には色んなことを言う人はいますって。でもね、それは部長
のこの、パーフェクトな素晴らしさに対する、やっかみ半分と言うか、
やっかみ全部っていうかね。
まぁ、この桜井孝太郎でさえ、完璧すぎてどこから褒めていいのか…、
全く、わからない」
真紀子「それで?」
孝太郎「えっ」
真紀子「あなた、そういうの、得意なんでしょ?もっと褒めなさいよ」
孝太郎「・・・。いや、今日はですね、あえて一つだけ文句を言わせて頂きます」
真紀子「?」
孝太郎「もう少し笑顔を見せて下さい。部長のパーフェクトな魅力にかけている
のは、(笑って見せて)この笑顔です。これさえあれば、鬼にBR>
金棒、猫に<またたび。アイアンレディにメタルドライバー(ゴルフスイ
ングをして)、ナイスショット!…なんちゃって。あっ、ははははは(笑)」
そして、ようやく真紀子の顔がほころぶ;
孝太郎「そうです、その笑顔ですよ。ああはは、眩しい!部長の笑顔が眩しい!
眩し過ぎちゃって・・・」
そして、後ろを振り返って、胸のポケットからサングラスを取り出す孝太郎君。
孝太郎「そんなときはこうやって、なははは(笑)。
こうやって、部長と歩く時はこのメガネを掛けさせて頂きます」
真紀子「(^^;)」
孝太郎「(惚けながら)あっ。これでも眩しい!部長の笑顔が眩しすぎて、僕は
もう、キリキリ舞いさ」
真紀子「あはは(笑)。ばかね、あんた」
孝太郎「えっ(^^;)」
そして、カメラは引きのアングルになりまして、二人のほほえましい光景が続きます;
孝太郎「いや、でもですね、本当におかしいのは、これを僕が随時、持ち歩いて
いるのがおかしいですよね」(←アドリブ?!)
真紀子「あはははは」
[あけぼの損保本社 第一営業部 オフィス 〜 事の顛末]
そして、翌日。孝太郎,白石,尚美,真紀子らが立ち話をしている。
白石 「そんな、二人で仲良く笑っている場合じゃないだろう?」
孝太郎「えっ、そう?」
尚美 「そう」
白石 「だって結局、富士山トラベルサービスとの契約、ダメになったんだろう?」
孝太郎「いや、それがね。実は・・・」
尚美 「部長は、向こうの担当のひと、ひっぱたいちゃったんでしょ?」
孝太郎「まぁ、そうなんだけど…」
由紀江「当然、取引中止よねぇ」
孝太郎「僕もね、最初はそう思ったんだけど・・・実はね」
ってなわけで、その後話には続きがありまして、昨日の真紀子と倉田のやりとりを収めたVTRが再生されます。
倉田 「君はこの契約が欲しくないのかね?」
真紀子「もし、要らないって言ったら、どうします?」
倉田 「もういい!他にも契約する開いてはいるんだ!」
真紀子「コスモ・インシュアランスですか?」
倉田 「そんなこと、君には関係ないだろう!」
真紀子「担当の広岡俊二さんに、一体、いくらもらったんですか?ちょっと調べ
させてもらいました。広岡さんとは高校時代、同級生だったんですね?」
倉田 「それが、君とはどういう関係があるんだね?」
真紀子「古くからの友達のが会社に契約を乗り換えて、見返りにリベートを貰う。
よくある話ですね…。だた、老婆心で言わせてもらえれば、あの会社、
倒産しますよ。昨日、ニューヨークの本社が株で大きな損失を出したん
です。まだ、ニュースになってませんけどね」
と、脅しをかけて、最後に契約書をテーブルに置き、トドメの一刺し;
真紀子「今、うちと契約を切ったら、困るのはあなたの方なんじゃないですか?
ここにサインすれば、契約は継続できるんですけどねぇ・・・」
真紀子さん、敵に回すと怖いかもしれない・・・(笑)。
[グローバルライフ本社 〜 真紀子の決意]
グローバルライフの会議室では、グローバルライフ役員会議が開かれている。そこには、もちろん、社長の津村を初めとする役員たち、そして真紀子も出席している。
役員A「この報告書を見る限り、あけぼの保険の再建にはもっと大胆なリストラ
が必要なんじゃないのかね?」
津村 「どうなんだね、緒方君?」
真紀子「あけぼの保険の社員の潜在能力は、当初の私のみこみよりも、はるかに
・・・高いものです」
真紀子のその言葉に、どよめきが起きる。
真紀子「しかし、今はそれが十分に引き出せていません。原因は2つあると思い
ます。まず一つは、自信喪失に陥っていることです…自分たちはどうせ
ダメなのだからと、最初からそう思っているのです。そしてもう一つは
よきリーダーの不在…これはもちろん、今の私に課せられた最も大きな
課題です。もう少しお時間を下さい。今の人材を活用して、みなさまの
期待に添えるような結果を出してみせます。御願いします」
会議が終わり、廊下を進む真紀子を津村が呼び止める;
津村 「緒方君」
真紀子「はい」
津村 「大演説だった。いたく感心したよ」
真紀子「ありがとうございます」
津村 「しかし随分と変わったじゃないか。今の面子じゃ、限りがあると言って
たんじゃないか?」
真紀子「まぁ、頑張ります。(小声で)あっ、それから、マンションの鍵、変え
ましたので、勝手に家に入ることはできません。悪しからず、よろしく」
津村 「(慌てて)ちょっと待て。どういうことだ?!
ま、そんなことは無いと思うが・・・別れ話のつもりか?」
真紀子「そのとおり。失礼します」
[あけぼの保険本社 第一営業部 オフィス〜 今度はメールで]
グローバルライフの会議を終え、あけぼの保険に帰ってきた真紀子。本社ビル前でビルを見上げる
。
一方のオフィスでは、尚美ちゃんが自分の席で、ノートパソコンを持ち出し、こっそり何やら企てています;
由紀江「パソコンなんてやるの?」
尚美 「お兄ちゃんのお古を貰ってきたんです」
由紀江「何するつもり?」
尚美 「これなら、誰にも気づかれずに、孝太郎とやり取りができます」
そして、振り返った孝太郎に手を振る尚美ちゃん。もちろん、それにこたえて孝太郎もこっそり手を振ってます(^^;)。
由紀江「(呆れて)あんたも懲りないわねぇ」
尚美 「あとは、これ(LANケーブル?)を繋いで・・・」
と、いざ実行しようとしたところに、徳川部長が双眼鏡で覗きながら接近してきまして;
徳川 「ふーん、これがメールか。俺にもちょっと教えてくれよ」
尚美 「あ、ちょっとダメですよ!(PC画面を)覗いちゃ!!あっ・・・」
と、同時に、オフィス中の各自のパソコンに、メール受信の表示が出ます。「あっ。どうした、どうした?」とざわめくオフィス内。
由紀江「あんた、全員に送信しちゃったんじゃないの?」
尚美 「どういうこと?」(←あんまり分かってない)
由紀江「押すとこ間違っちゃったのよ〜」
尚美 「やーだー。ちょっとキャンセル、キャンセル。だめだめ」
孝太郎君も周りのどよめきに、何が起きたのかと自分のパソコンに送信されたメールを開いてみます。そのメールを開くと、尚美ちゃんからのデートの約束が書かれてます。孝太郎君が焦っていると
真紀子「『今日のデートは映画がいいな』」
と、背後から部長の声が・・・(やばっ)
孝太郎「部長!」
真紀子「『でも、アクションものはパス ラブストーリーならOK。どう?
尚美より』」
尚美ちゃんも慌てて;
尚美 「あっ、ちょっと。キャンセル、キャンセル、キャンセル」
真紀子「何なのよ、これは一体。これは!!!私が今日、一体、どんなつもりで、
あんたたちのことを…。もういい、もういい。さっさと仕事に戻って」
孝太郎「尚美、たのむよぉ・・・」
尚美 「だって〜〜〜」
などと、ほほえましい二人の様子を見て、思わず笑ってしまう白石君。
孝太郎「あっ白石君、またそうやって、僕のこと馬鹿にしてるんでしょ?ねぇ?」
白石 「ある意味、お前が羨ましいよ・・・」(ほんとに…(^^;))
孝太郎「えっ?」
白石 「出掛けます(孝太郎の肩をポンと叩いて、外出していく)」
由紀江「じゃぁ、私も出掛けます」
孝太郎「じゃぁ、あの、私も営業に行ってきます」
と、孝太郎も出て行こうと思ったら、
真紀子「桜井!杉田!」
二人 「はい」
真紀子「こっちいらっしゃい」
と、部長の前に並ぶ二人。もちろん、お叱りを受けています;
ナレーション『ある社会学者はこう言っている。社内恋愛は諸刃の刃である。時
に人を惑わし、会社を混乱させるが、逆にそれが仕事のエネルギ
となり、会社を発展させることもある』
真紀子「あんたたち、一体、仕事を何だと思ってるんですか!!!」
徳川 「(一緒になって)何だと思ってるんですか!」
二人 「すみませーん」
と、深々と頭を下げながらも、カメラに向かって小さく;
孝太郎「ヨイショ」(^^;)