[ある日の朝 〜 ヒーロー登場]
東京駅 朝のサラリーマンの出勤風景
ナレーション『2002年春。
日本は未だにバブル経済の崩壊から立ち直れないでいた。
株価は下がり、企業は倒産し、街には放浪者が溢れ、
人々は英雄を求めていた』
とある駅。出勤する人々の中に、一人の男(もちろん、吾郎君ね)がクローズアップされる。
ナレーション『この男の名は桜井孝太郎。
中堅の保険会社に勤めるサラリーマンである。
後の経済学者はこう言っている−
”彼の出現こそが日本経済を救った”のだと。
だが、このとき、彼を知る人は彼のことをこう呼んでいた。
ヨイショの男』
孝太郎「ぶちょ〜」
(おいおい、第一声がこれかよ〜(^^;))
人の波を掻き分け、目に留まった男性に駆け寄る孝太郎君。
孝太郎「武田部長!武田部長!」
そして、その男性の前で姿勢正しく立ち止まる孝太郎君。
孝太郎「おはようございます」
武田 「えーと、君は?」
孝太郎「第一営業部の桜井孝太郎です」
武田 「ああ、桜井君か・・・君はいつも元気だねー。」
孝太郎「いやー、それもこれもみんな部長のおかげですよ」
武田 「またまた調子がいいことを!」
孝太郎「部長のような素晴らしい目標があるからこそ頑張れるんです。持つべき
ものはよき上司というじゃないですか!」
武田 「えへへへ(笑)」
孝太郎「それにしても、武田部長の下で働ける業務部の連中が羨ましいなぁ」
武田 「あははは。わかったわかった」
孝太郎「ところで聞きましたよ、昨日のゴルフ。ぶっちぎりで優勝だそうですね」
武田 「何だ、もう、噂になってるのか。いやー、参ったな」
孝太郎「今度、是非、御教授願います」
と、ややオーバーリアクションで一礼し、朝から華麗にヨイショ。
[あけぼの損保本社ビル 〜 桜井孝太郎君の朝]
本社ビルの玄関口。今度は業務部の上杉部長を捕まえる孝太郎君。
孝太郎「どうしましたか、上杉部長・・・渋い顔して」
上杉部長が手にしているIDカードをさりげなく手に取り、胸に付けてあげたりして。さらには、さりげな〜く、肩の埃を払ったりして・・・;
上杉 「昨日のコンペだよー。業務の武田が一人勝ちしちゃって。昔は俺の方が
ずっと上手かったよー」
孝太郎「いいじゃないですか、ゴルフぐらい…。仕事の方では上杉部長の方が上
なんですから・・・」
上杉 「そりゃまぁそうですけど…」
孝太郎「上杉部長は仕事熱心なお方ですから、練習する時間がなかったんですよ。
だって、総務部はいつも大変ですからねぇ…」
さらにエレベーターホールでは、昇りのエレベータを待っている斉藤部長を見つけ、すかさず接近していきます。
孝太郎「おはようございます!斉藤部長」
斉藤 「おお、桜井君」
孝太郎「どーですかぁ、新居は?」
斉藤 「やっと落ち着いたよ。引越し手伝ってもらって、悪かったね〜」
孝太郎「何を仰います。次の引越しのときも私がちゃんとお手伝い・・・あっ、
次はもう、無いですね。何せ、マイホームですから」
孝太郎「あっ、あははは」
斉藤 「まぁ、そうだな」
孝太郎「しかし、同期で一番じゃないんですか、御自分で家を建てたの?」
(と言いながら、肩の埃を取ったりして…)
斉藤 「いや、確か、人事の毛利の方が…」
孝太郎「あれは、建売ですから。斉藤部長の家に比べたら・・・」
斉藤 「(喜んで)うう、そうか?そんなに違うか?」
孝太郎「違いますよ〜」
と、そうこう言ってるうちに待っていたエレベータの扉が開き、一斉に待っていた社員達が乗り込む・・・と、定員オーバーのブザーが鳴り;
孝太郎「あっ、私が・・・」
と、自らをアピールしてから降りる孝太郎。ちゃっかりしてます(笑)。
そして、改めてエレベータに乗ったら乗ったで、人事部の部長の隣の場所をキープしている桜井君。万事抜かりありません;
孝太郎「おはようございます、毛利部長」
毛利 「お前、斉藤の引越し手伝ったんだって?」
孝太郎「えっ?(←顔が引きつってる)。え、えええ」
毛利 「どうなんだよ」
孝太郎「どうって?」
毛利 「結構、広いらしいじゃないか…」
孝太郎「ああ・・・まぁ、広いことは広いんですけど・・・田舎ですよー」
毛利 「田舎?」
孝太郎「だって、隣の家、ニワトリ散歩させてるんですよ」
毛利 「ニワトリ?」
孝太郎「隠居するにはいいんですけど、僕とか部長のような都会派にはねぇ…」
毛利 「そうか!」
孝太郎「そうですよ・・」
もちろん、第一営業部の自らの職場に到着しても
孝太郎「徳川部長、おはようございます!」
と、真っ先に徳川部長(小林稔侍さん)の席に行き、肩を揉んだりなんかして、こっちでもご機嫌とってます;
徳川 「桜井・・・」
孝太郎「はい?」
徳川 「お前、今朝は業務の武田と随分、親しそうに話してたなぁ・・・」
孝太郎「えっ?」
徳川 「ここから、よーく見えるんだよー」
と、双眼鏡片手に窓の外を覗いたりして…(なんちゅー、部長だ・・・)
徳川 「お前、やっぱりあっちに行きたいのか?」
孝太郎「(机を”バン”と叩いて)部長、僕は情けないですよ。部長がそんな事
を仰るなんて。
そりゃ、うちの会社は業務が出世コースだという事はみんな知ってます
よ。だけどね、部長、僕が業務に行く時は、部長が業務部長に行くとき
ですよ。
企業は人です!部長、いつもいつもそうやって言ってたじゃないですか!」
徳川 「桜井・・・おまえ・・・いいこと言うなぁ・・・」
そして手を差し出す徳川の手をとり、がっちり握手する二人。
涙を流す徳川の目に、そっとハンカチを当てる桜井君(コテコテやなぁ…(^^;))。徳川はそのハンカチで鼻までかんだりして・・・(これもお約束のネタだけどさ(苦笑))。そのまま「ちょっとこいちょっと来い」と徳川に握手した手を引かれて、隣の応接テーブルに席を移します。そんな様子を同僚たちは冷静に見ておりまして、例えば、立花由紀江(畑野浩子さん)は、孝太郎の恋人の杉田尚美(矢田亜希子さん)を捕まえて冷やかしたりしています;
由紀江「ねぇ、尚美、孝太郎のヤツ、また部長にヨイショしてるよー。いいの、
アレ?」
尚美 「『いいの?』って私に言われても・・・」
由紀江「彼女として気にならないわけ?」
尚美 「シー。一応、社内では内緒なんですからね」
由紀江「えっ、もうみんな知ってるわよ」
尚美 「えっ、そうなんですか?」
内緒に出来ないぐらい、ラブラブって訳ね・・・(^^;)。この2人だけでなく、男性社員も同じように噂話をしてまして;
井原 「しかし、いくら出世のためとはいえ、あそこまであからさまにヨイショ
するかね」
吉村 「でも、あれはあれで凄いですよね。だって全部アドリブでしょ?」
井原 「ま、一種の才能ではあるけどな」
などと陰口をたたくわけです。そんな様子を、一人、冷静に見ている孝太郎と同期の白石英二28歳(市川染五郎さん)。
さてさて、画面は先程の孝太郎と徳川の密談風景に移りまして・・・
徳川 「実はな、近いうちに大きな人事異動がある」
孝太郎「いよいよ取締役ですか?」
徳川 「シー。まぁ、一応、同期で一番らしいな」
孝太郎「そりゃそうですよ、社長の器ですもん。遅いぐらいですよ」
徳川 「そのときは、お前は課長だ・・・」
孝太郎「えっ?」(←左眉が上がってます(^^;))
徳川 「嫌か?」
孝太郎「いやいや、どこまでも付いて行きます。付いて行きます」
と、がっちり握手しているお二人さん(^^;)。そこに尚美がやってきて、咳払いをひとつ;
尚美 「ゴホン」
孝太郎「あっ、尚美!・・・杉田君」(一応、会社だからね(^^;))
尚美 「部長、社長がお呼びです」
孝太郎「早速、例の件ですかね♪」
徳川 「まだまだ、これ(内緒)だぞ」
と言って先ほどの孝太郎のハンカチをポンと孝太郎に投げ返し、席を立っていく。そのハンカチを手に(汚そうだけど)、喜びをかみしめる孝太郎。喜怒哀楽がはっきりしてますねぇ…。
[あけぼの損保 エレベーターホール 〜 孝太郎 VS 白石君]
エレベータ乗り場まで徳川部長を見送りについてくる孝太郎君(マメだねぇ)。部長をエレベータに乗せ;
孝太郎「さぁ、どうぞ。では、徳川部長、朗報をお待ちしております」
と見送り、扉が閉まると、思わず両手で小さくガッツポーズを作る孝太郎。こっそり小声で喜んでます;
孝太郎「あああああ、や、やったぁー。課長かぁ」
と、横からパチパチパチと拍手の音が。ガッツポーズの姿勢のまま(^^;)、ゆっくりと身体を傾けると、同期の白石英二がその様子を眺めていた;
孝太郎「あっ、白石君」
(君づけで呼んでるんだ…。この呼び方が少しツボだわ〜)
白石 「相変わらず見事なもんだな。その、ヨイショのコツ、今度教えてくれよ」
孝太郎「いやぁまぁ、教えるって程のことではないけど、まぁ白石君がそこまで
言うんだったらね」
白石 「冗談だよ」(一蹴(^^;))
孝太郎「ああ」
白石 「俺にはとても真似できない」
孝太郎「あっ、そういえば、白石君聞いたよ!。先月の売り上げ、ナンバーワン
だってね。凄いよね。白石君こそ教えてよ、その・・・営業のコツ?」
と、白石にヨイショ(?)してみるも、あっさりと;
白石 「そういうのは、自ら切り開いて会得するもんだぜ!」
と却下されてます。二人が顔を近づけて、アニメーションならここで2人の間に火花がバチバチ入ってそうな構図。そのとき、エレベータが到着し、そのまま何も言わずに白石はエレベータで降りていく。
そして、エレベータの扉が閉まり、白石が乗っていったエレベータに向かって指さし、一言、啖呵を切るのかと思ったら;
孝太郎「格好いい」
お、…おい!(^^;)。この一言が孝太郎君の人格表してますねぇ〜。
孝太郎「やっぱ言うことが違うよなぁ」
こ、こいつ、天然なのね〜(笑)。そして、自らも気合を入れて;
孝太郎「よ〜し、僕もばんがるぞぉ〜。ヨイショ!」
[その日の夜 居酒屋 〜 孝太郎と尚美の微妙な関係]
デートをしているという色っぽい風でもなく(笑)、それでもほのぼのムードで二人食事をしている孝太郎と尚美。
尚美 「課長?」
孝太郎「うん」
尚美 「孝太郎が?」
孝太郎「そう。いや徳川部長がさぁ、約束してくれたんだよね。今度の人事異動
で取締役になったら、俺のこと、課長にしてくれる。・・・あっ、これ、
まだ内緒な」
尚美 「ねぇ、孝太郎、そんなに出世したい?」
孝太郎「えっ、何で?」
尚美 「まぁ、サラリーマンが出世したいというのはおかしくはないけど・・・。
でも、みんな色々言ってるよ。『男としてプライドが無いのかー』とか、
『呆れて物が言えなーい』とか。ほら、そんな風に言われるとさ、付き
合っている私としても、何ていうかこう・・・」
と、となりで尚美に色々言われても、どこ吹く風で手帳をパラパラめくっている孝太郎。そして;
孝太郎「あっ、いけねっ」
尚美 「ちょっと、聞いてるの?!」
孝太郎「失敗した〜」
尚美 「(心配して)どうしたの?」
孝太郎「ほら、明日人事部長の奥さんの誕生日なんだよ。プレゼント買ってなか
った!ね、なななな、何買ったらいいかな?」(←やや甘えモード)
尚美 「何だっていいじゃない、そんなの(--;)」
孝太郎「何言ってんの?人事部長の奥さんっていうのはポイント高いんだよ。顔
を覚えてもらうだけでも効果抜群なんだから。どうしようかなぁ・・・
クリスマスのときが血圧計で、その前がヘルスメーターか。ん・・・・」
尚美 「そんなに顔を覚えて欲しいのなら、額に入れた自分の写真でも贈れば〜」
孝太郎「ああ、それね、この前、やった・・・」
尚美 「????・・・」
あいた口のふさがらない尚美は、もう何も言う気が起きない様子(でも、私はその額が欲しいぞ!(笑))。
尚美 「私、帰るね」
孝太郎「え?」
尚美 「お先」
と、そのまま振り返ることなく店を出て行く尚美ちゃん。そのあとを追いかけて;
孝太郎「尚美。ちょちょちょ、まってよ、尚美。尚美。ちょ、尚美。ねぇ、尚美。
ねぇ、ちょ、泊まってくっていったじゃない!」
なんて叫んでみても、時すでに遅しやね(笑)。
[孝太郎のアパート 〜 孝太郎と電話の女性の関係は?]
結局、一人でアパートに帰ってきた孝太郎君。部屋の電気をつけ、留守電のメッセージボタンを押します;
電話 『孝太郎さん、先日お金を送って下さってありがとうございます。いつも
いつも済みません。お金のことではあなたに迷惑ばっかり掛けて、本当
に申し訳なく思ってます。不景気な今の時代、孝太郎さんが無理をして
いないか、それだけが心配です。くれぐれも体に気をつけて、お仕事、
頑張ってください・・・』
その電話のメッセージを黙って聞いている孝太郎。そのまま服も着替えずにベッドで横になる(えっ、えっ、えっ、これって一体、誰?(『孝太郎さん』じゃなくて、『小五郎さん』とか言ってくれないかしら? (゚゚;)バキ☆\(--;)))。
[翌朝 あけぼの損保本社1Fロビー 〜 孝太郎君の情報収集]
朝、出勤してくる尚美と由紀江。由紀江は尚美に孝太郎のことで朝からからかって楽しんでます(^^;);
由紀江「でも、あんた達も結構続いているわよねー。もうどれぐらいになる?」
尚美 「2年」
由紀江「2年...結婚の話とか出ないの?」
尚美 「何かねぇ、最近はマッタリとしちゃって、そんな感じじゃないですよ」
由紀江「ねぇ、前から聞こうと思ってたんだけど・・・あいつ、どこがいいの?」
尚美 「えっ」
由紀江「まぁ、顔は悪くないわねー。でも、あの…ヨイショ体質、どうにかなら
ない?本当にあれでいいの?ねねねねねねー」
尚美 「もう、そんなこと言わないで下さいよ。私だって悩んでいるんですから」
と、困った尚美の表情が、何だか嬉しそうな由紀江さん(笑)。
一方で、その話題の人、我らが孝太郎君は、掃除婦の芳江さんに接近します。
孝太郎「おはようございます!芳江さん」
芳江 「あら、早いのね」
孝太郎「あれっ芳江さん、髪形変えました?いいですね、それ、似合ってますよ。
10歳は若く見えます、いや、本当に本当に」
芳江 「(笑)。あら、そう?じゃぁ、20代に見えるってこと?」
孝太郎「いや、それはちょっと・・・」
芳江 「じゃぁ、いくつぐらい?」
孝太郎「40代」
芳江 「40・・・いくつ?」
孝太郎「40、7、8、9・・・ぐらいかな」
芳江 「ふふふ(笑)」
孝太郎「芳江さん相手だと、どうも調子が狂うな」
芳江 「で、何が聴きたいの?」
孝太郎「実はですね、今日、人事部長の奥さんの誕生日なんですよ。…で、何を
プレゼントしたらいいのか迷ってまして・・・」
と、本題に移る孝太郎君。芳江さんからは、人事部長婦人は腰痛がひどいそうなので、マッサージチェアを贈ってはどうかと薦められる(いや、でも、マッサージチェアって、めちゃくちゃ高いぞ〜。どういう金銭感覚をしてるんだよぉ〜)
[街中の電気屋さん 〜 孝太郎 マッサージ機を試す]
そして、早速、街の電気屋さんでマッサージチェアを試す孝太郎君(一体、何時から開いてるんだ、この店?)。
孝太郎「ああ、いいね〜、これ」
店員 「これは最新型で、こういう動きもできるんですよ」
と、店員がリモコンで別のボタンを押すと、マッサージチェアがより激しい動きに移り、それに従い、孝太郎君の”うねり”(笑)も激しくなってます(苦笑)。
孝太郎「あ、うわぁっ、いいね、これ!あらぁ〜〜〜〜〜〜」
なんて、御満悦のようですが、お値段の方が『220,0000円』
孝太郎「あれっ、それ、ゼロがひとつ多くないですか?」
なんて言ってみますが、正真正銘、その値段のようです。
結局、マッサージチェアは断念したようですが、替わりに何か購入したのかな?「ありがとうございました」と店員に見送られて店を出てくると、その店に陳列されているテレビには、あけぼの保険破綻についてのニュースが報道されてます。
[あけぼの損保本社第一営業部 〜 『世間話だよ』]
そして、そのまま出勤する孝太郎。もちろん、遅刻してます(いいのか、それで?)。
孝太郎「おはようございまーす。ちょっとお客さんの所に先に寄ってて、遅れて
しまいました〜」(おいおい。そんな“すちゃらか社員”でいいのか?)
と、いつものように明るく登場するも、同僚たちは深刻な顔をして集まってます;
尚美 「ねぇ、ねぇ、孝太郎。大変なのよ、ちょっと来て」
孝太郎「あっ、新しい人事が発表されたんでしょ?」
尚美 「違う」
孝太郎「いやー、参ったなぁ。俺もついに課長か・・・どうしよう、うふふふふ。
・・・あれ?」
由紀江「何馬鹿なこと言ってるの?これ、見てないの?」
といって、新聞を渡される;
孝太郎「ん?『中堅の保険会社、あけぼの保険』・・・失礼しちゃうな、中堅の
保険会社だって。確かにナリは小さいけれど、心の中じゃ大手だよね」
由紀江「そういう問題じゃないでしょ?」
白石 「お前、重役連中から何か聞いてないのか?」
孝太郎「何かって?」
白石 「会社の経営状態とか、そういうことだよ!」
孝太郎「ああ、仕事の話はあまりしないからね」
白石 「じゃぁ、おまえ、いつも何の話をしてんの?」
孝太郎「(胸を張って)世間話だよ!」
白石 「あほか、お前」(←何故か関西弁)
孝太郎「あっ、白石君、そういうけどね、世間話って本当に大切なんだよ」
尚美 「そんな話をしている場合じゃないでしょ!」
孝太郎「何をそんな怒った顔して。みんなもさ」
尚美 「うちが、倒産するかもしれないって」
孝太郎「倒産?」
由紀江「これ(新聞)、よく見なさいよ」
孝太郎「(新聞を見て)まさか・・・・部長は?」
好きだわ〜、この深刻な状況で、おとぼけトーク(笑)。
[ゴルフ場 〜 あけぼの保険の合併]
ゴルフ場で、休日を楽しむグローバルライフ社長の津村(長谷川初範さん)。カートには愛人の緒方真紀子(浅野ゆう子さん)が控えています。津村の周りには、マスコミも大挙押し寄せています;
男 「津村社長、一言、御願いします」
あけぼの保険の吸収合併の話についてコメントを聞きだそうとするマスコミ。再建の見込みがあるかを尋ねられると、「見込みのない仕事はしない」と、自信満々に言い切ってみせる津村。
[あけぼの損保本社ビル 〜 あけぼの損保倒産]
そして、数日後(かな?)・・・複数のリムジンがあけぼの保険に到着する。あけぼの保険の社長の明智(注意:満帆商事の社長にあらず!(爆))をはじめ、重役連中がその到着を迎え入れる。
そのまま、重役の会議室では、あけぼの保険の重役を前に新社長就任の挨拶が行われる;
津村 「みなさん、あけぼの保険は倒産しました」
「今までの地位や肩書きは全て無かったものだと思って下さい」
この津村の発言を黙って聞いている徳川。
そのころ第一営業部では、社員達が自らの行く先のことを案じている・・・
井原 「あーあ、これからどうなるんだ、俺たち・・・」
尚美 「でも、考えようによっては、私たち救われたわけですよね?」
由紀江「何、暢気なこと言ってるの?表向きは合併なんて言ってるけど、力関係
は、はっきりしているわ。重要な役職は全てグローバルライフの連中が
やることになるわよ」
[あけぼの損保本社 屋上 〜 ブルーな孝太郎君]
会社の屋上で一人、孝太郎は、自らの手帳のメモ書きを一枚一枚破り捨て、宙に放り投げてます(おいおい、ごみを撒き散らすんじゃない!)。どうやらその手帳は、ヨイショのための虎の巻だったようで(だから、人のプライベート情報をそんな安易に扱っちゃダメだって…)、床に落ちたそのメモの1つを手にする白石;
白石 「へぇ〜、広報の中川さんってカツラだったんだ。全然気づかなかったよ」
孝太郎「(振り返って)白石君・・・」
白石 「しかしよく調べたな・・・感心するよ。俺にはとても真似できない」
白石はそのメモ書きを孝太郎の前に示すが、それを奪い取って細かく破り捨てる孝太郎;
白石 「でも、まぁ、みんな、無駄になっちゃったな。散々、ヨイショしてきた
重役連中が、みんな実権を失うんだ。出世もパァ。長年の苦労も水の泡
ってわけだ。同期の俺を出し抜いて折角課長になれると思ったのにな」
孝太郎「そんなんじゃないよ。別に出世のためにやってたわけじゃない…」
白石 「格好付けんなよ。あんなに喜んでたじゃないか」
孝太郎「そうだけど・・・でも、それだけじゃない」
そのままその場を立ち去る孝太郎。屋上から降りていこうとすると、階段の影には、尚美の姿があった。あわてて隠れようとする尚美ちゃん。
孝太郎「尚美?」
尚美 「あ、ごめん。どこに行ったのかなー、なんて探してたら・・・立ち聞き
するつもりは、全然、なかったんだけど…」
孝太郎「(笑)。別に謝ることなんてないよ。行こ」
(↑こうやって、軽く言える関係っていいわ〜)
尚美 「ねぇ、孝太郎。今日、孝太郎の所に行って良い?料理作ってあげるよ。
新しいレパートリーが増えたんだ。絶対に気に入るから!」
孝太郎「何、新しいレパートリーって?」
尚美 「ソレは内緒だよぉ〜」
孝太郎「ええ、楽しみだなぁ」
尚美 「楽しみにしてて!」
と、明るく下に降りていく二人。暗いムードになっても元気いっぱいでいいですね〜。
[あけぼの損保本社 駐車場 〜 徳川部長のごますり作戦その1]
新社長の津村は真紀子を連れてエレベータから降りてくる。そこで津村を待っていた徳川は、頑張って取り入ろうとします;
徳川 「社長、津村社長。第一営業部で部長を勤めさせていただいている徳川と
申します」
徳川は今度の取締役に昇進のはずだったことを考慮して欲しいと直訴するが、第一営業部の部長は緒方に任せると告げて、そのまま車に乗り込む。その話を聞いた真紀子は驚いて津村のあとを追う;
真紀子「どういうつもり?いつ私が第一営業部だと決めたの?」
津村 「うん。たった今、思いついたんだ」(社長のクセに、か、軽い…)
真紀子「そんなぁ!!ちょっと!!!」
そのまま津村の車は真紀子を残して発車してしまったのでした。
[孝太郎のアパート 〜 ひじきカレーとカボチャコロッケ]
尚美 「はい、お待たせ〜。さぁ、冷めないうちに食べようね」
と言って、テーブルに並べた料理は何やら真っ黒なんですけど、尚美ちゃん。それ、本当に大丈夫?
孝太郎「ああ」
二人 「いただきまーす」
尚美 「どう?」
孝太郎「うまいね〜、これ。」
尚美 「本当に?」
孝太郎「うまいうまいうまい。お前、料理の天才だよな」
尚美 「また、ヨイショして〜」
孝太郎「ヨイショじゃなくて、本当に上手い!」
尚美 「本当?あっ、それも食べて。コロッケコロッケ。おいしいよぉ」
孝太郎「上手いね、これ、何?」
尚美 「(コロッケにソースをかけて)はい!おいしい。おいしい?」
孝太郎「うまい、カレーに合った味ね」
尚美 「かぼちゃね、かぼちゃ」
孝太郎「かぼちゃか・・・」
あれっ、この最後の部分の会話の行き違いって、もしかして、この辺のトークって、アドリブ??
[あけぼの損保本社第一営業部 〜 新部長襲来]
AM8:45。真紀子が第一営業部のオフィスにやってくる。そして、部長の席に着く;
真紀子「グローバルライフから来た緒方真紀子です。
この度、ここの部長として任命されました」
驚く第一営業部の面々。そして9時を少し過ぎて、孝太郎と徳川が遅れて出社する。
孝太郎「はい。おはようございまーす!徳川部長、参りましたよぉ」
と、元気に入ってくる孝太郎だったが、徳川を真紀子が呼びつける;
真紀子「徳川さん・・・今日の午前9時までに、デスクを片付けておくようにと
言ったはずですが」
孝太郎「(片づけようとする部長に) 部長、部長。そんなの僕がやりますって」
真紀子「あなたは?」
孝太郎「あっ、桜井孝太郎と申します」
真紀子「あなたの部下?」
徳川 「えっ、はい、そうです」
真紀子「二人とも、今、何時だと思ってるんですか?」
孝太郎「はい、只今の時刻はですね・・・」
真紀子「時計なんか見なくていい!」
孝太郎「すみません(しょぼん)」
そんなだらけた2人を見ながら、自らはグローバルライフで年間約200億の仕事をしてきたのだと主張する真紀子。
真紀子「彼(徳川)は私の時間を既に20万近くも無駄にしていることになります」
さらに、真紀子はオフィスの掃除にやってきた芳江に、清掃のメンテナンス会社との契約は切ることが昨日の会議で決まったと告げる。掃除はみんなでやるのだと。反発する部下たちに;
真紀子「これからは全て私のやり方で行きます!」
その後、会議室で真紀子は順番に部下との面談を始める。白石との面談では;
白石 「あなたは先程、グローバルライフで200億の仕事をしたと仰いましたね。
でも、それは大手企業相手の仕事でしょ?うちは中小企業や個人相手や
仕事が随分、勝手が違いますよ」
真紀子「そういう悪しき経験主義がこの会社をダメにしたんです!」
と白石の主張を一蹴し、由紀江とは
真紀子「あなたの評価はぜいぜい女にしては良くやっているって言ったところね」
と。さらに、尚美は;
尚美 「ほら、よく、コピーとお茶くみばかりで退屈だとか言う人がいるじゃな
いですか。でも、私は全然そんなことはなくて。だって自分にそんなに
能力がないことも分かってるし…。だったら、少しでもみんなの仕事の
しやすい環境を作ってあげるのが私の役割かなぁーなんて」
真紀子「そんなこといってるからダメなのよ!」
と、言われて怒り心頭で会議室を出てくる。
尚美 「何なのよあの女。どーせね、ああいう女はね、料理の1つもできないの
よ。仕事はできるかもしれないけど・・・。
あんたなんか絶対に幸せになんかなれないんだからね」
なんて言いながら、会議室にいる真紀子に向かって、会議室の外からこっそり、パ〜ンチ!。で、そのとき会議室の扉が開き;
真紀子「何してるの?」
尚美 「・・・」
[それぞれの夜1 〜 孝太郎と芳江の場合]
あけぼの保険ビルの1Fロビー。手にしたカメラで社内の様子をカメラに納めている芳江。そこに孝太郎が降りてくる。
芳江 「あら」
孝太郎「何やってるんですかー、こんなところで?」
芳江 「これ?ここの仕事も終わりだから、記念に写真撮っとこうと思って」
孝太郎「その件なんですけど、僕、もう一度部長に話してみますよ。これじゃ、
あまりに一方的ですよ」
芳江 「いいわよ」
孝太郎「いや、でも」
芳江 「慣れてるから大丈夫」
そう言いながら、芳江はカメラを孝太郎に向ける。孝太郎もポーズをとってみたりして…(ちょっと可愛い(*^^*))。
芳江 「今月分は全部くれるって言うし、当分は失業保険でやっていくから」
そして、ここでの思い出を語る芳江;
芳江 「私・・・ここで、朝みんなが出勤してくるの見るの好きだった、みんな
緊張した、いい顔してた。そりゃ、中にはアクビばっかりしているのも
いたし、途中で引き返しちゃうのもいたけどね。・・・あんたはいつも
へらへらと笑ってたわね。何がそんなに楽しいんだろうって(笑)」
孝太郎「いや別に・・・(^^;)。あっ、そうだ!」
そして、かばんの中から包みを取り出す孝太郎;
孝太郎「芳江さん、これ、芳江さんにプレゼントします。低周波マッサージ器。
・・・ほら、あのマッーサジチェア、あれ、ちょっと予算オーバーだっ
たんで」
芳江 「私にプレゼントしたって何の得も無いよ」
孝太郎「いや、いいから使って下さい」
芳江 「そうかい・・・ありがとう」
孝太郎「じゃぁ、失礼します!」
芳江 「ねぇ」
孝太郎「はい」
芳江 「色々あるだろうけど、いつまでもへらへらと笑っていた方が良いよ」
孝太郎「はい! (^o^)」
と、最後はかわゆい笑顔の孝太郎君でした(ああ、これだから今回のドラマは好きだわ〜)
[それぞれの夜2 〜 白石の場合]
とあるお店(バー)。白石ら第一営業部の面々(除く孝太郎&尚美)が集まって、密談中。
白石 「いいか、おまえら、よく聞けよ。おれは決意した」
あけぼの保険は自分達の会社であり、グローバルライフにのっとられても、自分達の方法で仕事はやっていくと宣言する。まして、今のやり方は絶対に認められない;
白石 「ボイコットだ!あの女には一切協力しない」
真紀子はあけぼの保険を立て直すのが使命であり、社長に認められれば重役としてグローバルライフに戻ることができるのだから、自分達をクビにして業績を悪化させるはずがないと踏む(って、発想がお子様なんだから・・・(^^;))。
白石 「俺達が力をあわせれば絶対に上手くいく」
由紀江「よし、やろう!」
白石 「じゃぁ、乾杯だ」
由紀江「ちょっと待って。ところで桜井君は?」
そこに少し席をはずしていた尚美が戻ってくる;
由紀江「尚美、桜井君は?」
尚美 「それが全然つながらないのよ。さっきから何度も掛けてるんだけど…」
白石 「あ、あいつは場所、知ってるんだろ?」
尚美 「うん」
白石 「じゃぁ、そのうち来るだろう。とにかく乾杯だ!」
尚美 「乾杯?」
由紀江「ほら、尚美もグラス持って」
全員 「乾杯!」
と、尚美は事情の分からないままにとにかく乾杯をしたのでした(^^;)。
[それぞれの夜3 〜 孝太郎と徳川の場合]
こちらは酔っぱらって飲屋街を彷徨う徳川。たまたま(?)、通りすがりの孝太郎がそれを見つける;
孝太郎「部長!ちょっとちょっと、部長!」
徳川 「ああ」
徳川は孝太郎の顔を見て、逃げ惑う;
孝太郎「ちょっと大丈夫ですか?」
徳川 「ああ、ああ」
孝太郎「部長!僕ですよ、桜井孝太郎ですよ。あなたの部下の桜井孝太郎です!」
と、この二人の妙な掛け合い(?)がツボにハマリそうな予感(^^;)。
[それぞれの夜4 〜 津村と真紀子の場合]
いかにも愛人のマンションって感じの豪華なベッドルームで、二人っきりの津村と真紀子。
津村 「どうだい、第一営業部は?」
真紀子「最悪よ。古臭い日本人ばかり。あけぼの保険が倒産した理由が、よーく
分かったわ」
あけぼの保険では自らの力を発揮できないと愚痴る真紀子は津村は;
津村 「君なら出来るはずだ。グローバルライフのアイアンレディーと呼ばれた
ぐらいだ・・・。それじゃお休み」
そう言い残して、部屋を出て行く津村。
[それぞれの夜3’ 〜 続 孝太郎と徳川の場合]
松永(山寺宏一さん)が経営する居酒屋「松っちゃん」。孝太郎は酔い潰れた徳川を、何とかこの店まで連れてきます。
徳川 「どこだここは?」
孝太郎「あの、僕の馴染みの店なんです」
徳川 「どうりで安っぽい店だ」
松永 「何だと?!!」
孝太郎「(^^;)。部長にとってはそうかもしれませんが」
徳川 「桜井、俺はもう部長ではない!もう、以前のように銀座で若い女の子を
はべらせて会社の金で飲むことは出来ない!」
(…う〜ん、これだもんなぁ、おやじって…(苦笑))
と、そのままの勢いで、店の中(但し、誰も客がいない(^^;))で踊り、暴れる徳川。大して立腹の松永;
孝太郎「ああ、済みません。申し訳ないです」
徳川 「俺はもう、こんな安っぽい処で飲むことしか出来ない!」
松永 「おい、あんた!気に入らないなら帰ってくれないかな」
孝太郎「マスター」
松永 「だって、人の店のことを安っぽい安っぽいって二回も・・・」
孝太郎「今日はいろいろとあったので、すみません」
徳川に代わって謝り続ける孝太郎。そして、孝太郎と徳川は店のカウンターに座って、しみじみと哀愁トークです;
徳川 「桜井・・・」
孝太郎「はい」
徳川 「お前も憐れなヤツだな」
孝太郎「はい?」
徳川 「お前、『ヨイショの桜井』って呼ばれてるの、知ってるか? いろんな
奴にぺこぺこ頭を下げて、おだてて、自分の時間を割いて、上司に尽く
して、挙句に会社が潰れて・・・。出世も、パァ、だ。そんなことなら
ヨイショなんかするんじゃなかったって、思ってるだろ?ん?」
と、孝太郎に語り続ける徳川であったが、孝太郎は一言;
孝太郎「そんなことないですよ」
と、やさしく告げる孝太郎君(ああ、こういうやさしい表情が好きだ〜)
徳川 「ん?うん・・・」
と、そのまま眠り込んでしまう徳川さん。
[孝太郎のアパート 〜 孝太郎と徳川のアドリブ合戦(>違うって(^^;))]
孝太郎「部長!朝ですよぉ〜!!」
と、孝太郎のベッドで目覚める徳川。そのまま自分の部屋に連れてきちゃったのね、孝太郎君…。下着姿の寝ぼけ眼状態で、部屋の中をうろうろとする徳川(挙動不審とも言う…(^^;))と、それを追い回す孝太郎君;
孝太郎「部長?」
徳川 「アレ〜〜〜〜」
孝太郎「部長、どこ行くんですか?」
徳川 「どこだ、ここは?」
孝太郎「僕の部屋です」
徳川 「道理で安っぽい部屋だな〜」
孝太郎「あの、奥さんにはちゃんと電話しておきましたから」
そして、孝太郎に深々〜と頭を下げる徳川;
孝太郎「あと、僕、先に出掛けるので、鍵はここ(テーブル)に置いておきます。
ちゃんと閉めてきてくださいね」
徳川 「・・・」
孝太郎「大丈夫ですか?鍵はここに置いておきますので、閉めてきて下さい。
ねぇ、ここ! 御願いします」
と、鏡を見て身だしなみを整えていますが、部長は直立のままウトウトし始めまして;
孝太郎「部長?」(^^;)
そのままアパートを出てきて、気合を入れて;
孝太郎「ヨイショ!」
[あけぼの損保本社第一営業部 〜 新部長にもヨイショ!]
第一営業部。出勤してきた真紀子。だが、オフィスにいる誰もが(除く孝太郎…おいおい、また居ないのかい?)真紀子を無視し続ける;
真紀子「おはよう」
一同 「・・・」
真紀子「どうしたの。朝の挨拶もできないの?全くガキみたいな連中ね」
そして、まず、白石が机の引き出しから一枚の紙片を取り出し、真紀子の机に置く。
真紀子「何なのこれ?」
白石 「ご覧の通り、休暇願いです。今年の休暇を、まだ消化してなかったもん
ですから・・・」
他の同僚もこれに続く。
真紀子「こんなこと、認められると思ってるんですか?」
白石 「それでは失礼します」
真紀子「ちょっと待ちなさい」
と、第一営業部では一触即発の状態の時、孝太郎君がようやく出勤しようとしています。
一方、オフィスでは、なおもこう着状態が続き;
真紀子「もしそこから一歩でも出て行くようなことがあったら全員クビですよ!」
あけぼの保険本社の玄関口。IDカードを見せて、玄関口をくぐります。オフィスでは;
白石 「やれるもんならやって下さい。ここにはあなたに協力する人は、一人も
居ませんよ!」
廊下を進む孝太郎君の映像。オフィスで対立し続ける真紀子と白石達。
そして、第一営業部の扉を開けて、10:30頃、いよいよ孝太郎君、出勤。
孝太郎「おはようございます!桜井孝太郎、遅れてしまいました。申し訳ござい
ません」
尚美 「孝太郎!」
孝太郎「部長、怒らないで話を聞いて下さい。今日遅れたのには、深〜い
訳がございまして。実は、部長にお渡ししたい物がございます。
(手にした紙袋を差し出して)こちらです。開けてみて下さい」
真紀子「これは、まさか。・・・はっ」
箱の中身を見た真紀子の表情が明らかに変わる。
孝太郎「そうです。部長のだ〜い好きな、浅草 雷屋の栗羊羹です!」
真紀子「!」
一同 「はぁ?」
同僚たちがあんぐりと口を開けているのもなんのその、孝太郎君は部長にヨイショを始めます。
孝太郎「部長に喜んでもらいたくて、私、買ってまいりました」
と、誠実そうに語る孝太郎君。そして、ここから早口&ハイテンションに一気に語り続けます(というより、キャラ、変わってないか?(^^;));
孝太郎「いや、本当はね、これ、予約しないと買えないんですよ。
だけど私、部長のために、何とか頼み込んで買ってまいりました。それ
にですね、部長のことを話したら、店の人、ちゃんと覚えてましたよ。
『あの、いつも来る、綺麗な御婦人だろ?』って。かはは、さすがです
ね、部長・・・。
でも、それだけじゃありません。それにですね、本物の味が分かる素晴
らしい方だって店の方、またまたまたまた、仰ってました。
素晴らしい、部長〜。私、参りました」
白石 「桜井、お前!」
と、いつもの調子でヨイショが成功すると思いきや;
真紀子「一体どういうつもり?」
孝太郎「?!」
真紀子「そんなヨイショが、私に通用すると思ってるの?」
と、手にしていた羊羹を床に叩きつける真紀子。
尚美 「ああ、勿体無い〜」
孝太郎「ああ。あらあらあらあら、あら・・・」
(↑このお間抜けなリアクションが可愛いかも(*^^*))
ナレーション『桜井孝太郎、後に日本経済を救う男
・・・しかしそれは当分先の話のようである』