Final 「決着」 2009.03.17 PM10:00〜10:54 関西テレビ系列(フジテレビ系列)にて ON AIR |
[決着の日] スタジアム。 先に亮二がやってきた。スタジアムの観客席に座って人を待つ亮二。ようやく25年前の事件に決着がつく。 そこに、舜から無線で亮二に連絡が入る。 舜 『郷田さん、聞こえますか、黒木です』 舜もスタジアムの中にいた。通路を足早に歩いている。 亮二 「ああ」 舜 『今、そちらに向かっています』 亮二 「悪いな。巻き込みたくなかったよ」 舜 『いえ、親父にも言われました。これ以上犠牲者を出さないよう に、お前が守れと』 そして丸山もスタジアムの中にいた; 丸山 『俺も今そっちに向かっている』 舜 『ただ郷田さん、俺の中では、腑に落ちないんです。どうして25 年前、葛城佐智絵ちゃんを、殺さなければならなかったのか』 亮二 「それをこれから追求するんだよ」 舜 『・・・』 亮二 「どうした?俺が信じられないか?」 舜 『いえ、信じてます。ただ・・・』 歩を止める舜。 舜 『この先俺は・・・俺も人を信じられなくなりそうです』 亮二 「・・・」 そして・・・スタジアムの中に、足音が響く。 亮二 「来たぞ」 亮二が無線に向かってそう告げた。
[真犯人] 佐智絵さんは、新藤の子ではないかと疑っていましたよね?」 均 「だから何だ?」 亮二 「娘を愛することが出来なかった」 均 「愛していたよ。実の娘ではないと疑いを持ったからと言って、 それまで可愛がっていた娘を突放すわけはないだろう?」 亮二 「でも夫婦間は上手くいってなかったようですね」 均 「娘に対する愛情は変わらなかった。私は娘を…、心から愛して いたよ」 亮二 「愛すればこそ、殺す事だってあるんです。愛する者を自らの手 で殺すことによって永遠の愛とする。どう思われます?」 亮二 「葛城さん、もう調べはついているんですよ」 舜はイヤモニ越しに、亮二と均の会話を聞いている。 亮二 「俺は言いましたよね。手土産を持って会いに行くと」 均 「手土産ねぇ」 亮二 「ええ」 均 「君は何かを見つけた。それは、25年前のあの事件における何か だ。違うか?」 亮二 「そうです。25年前の犯人であることを示す、重大な事実を見つ けたんです」 均 「何を見つけた?」 亮二 「先に認めてもらえないですか?」 均 「・・・」 亮二 「俺としては、自らの罪を、認めてもらいたいんです。もういい じゃないですか。認めましょうよ。25年前のあの日、葛城佐智 絵を殺害したのはあなたですね?」 そのとき、静かにそのやりとりをしている二人に、スタジアムの離れた客先から、ライフルの銃口が向けられた。それに気づかず、亮二と均は話を続ける。 亮二 「そして彼女の遺体を発見した俺を、背後から脅したのはあなた ですね」 均 「・・・」 ライフルの照準が亮二に向き、引き金に指がかけられる。そのライフルの引き金を引こうとしている男は、丸山だった。今にも引き金を引こうとしたその瞬間、丸山の後頭部に別の銃がつきつけられた。丸山が振り向くと、それは舜だった。 舜 「何やってるんですか」 舜 「今、2人を狙っていましたよね?二人を殺そうとしていた」 丸山 「何言ってんだよ」 舜 「銃を捨てて下さい・・・捨てて下さい!!!」 丸山が銃を置くと、それを離れたところに放り投げる舜。 舜 「郷田さんはわかっていました。サチさんが撃たれた状況をもう 一度作れば、また2人を狙うかもしれない。そう考えて敢えて 仕掛けたんです」 丸山 「・・・」 舜 「けど俺は・・その予想が外れることをどこかで祈っていた」 丸山 「・・・」 そして改めて無線を通して亮二に呼びかけた; 舜 「郷田さん聞こえますか?」 亮二 『ああ』 舜 「郷田さんの言ったとおり・・・丸山でした」 亮二 『・・・』 亮二はスタジアムの反対側にいる舜の方を向いて、ようやく安堵のため息をついた。 均 「やっぱり・・・やっぱりあいつでしたか」 亮二 「ええ」 均 「力になれて良かった。郷田さん、25年前の事件は?」 亮二 「全てはこれから追求します」 均 「よろしくお願いします」 そこに、亮二のイヤモニに『何やってるんですか?!』と舜の声が飛び込んできた。 丸山 「西署の丸山です。今から出頭します」 丸山は携帯で警察にそう電話をかけていた。 舜 「?!」 亮二 『どうした?』 舜 「サチさん殺害については、認めました。ただし、過失だったと」 亮二 『過失!?』 舜 「25年前の事件については、知らない、関係ないと言っています」 亮二 『・・・』 [信造の配慮] 亮二 「同級生の秋本が、妙なことを思い出したんだ。あの事件のあと、 秋本の"RYO"という名前が入った手提げ袋に近づいた男がいた。 秋本の顔を見て男は立ち去った。秋本が言うには、俺と間違え たんじゃないかと。当時俺も『リョウ』って呼ばれていたんだ」 舜 「その男が・・」 亮二 「塾の行き帰りに通ってた交番のお巡りさんだと」 舜 「お巡りさん?」 亮二 「当時、丸山は警らにいた」 舜 「葛城佐智絵ちゃん殺害事件ですね。25年前です」 丸山 「俺がまだ警らに居た頃だな」 舜は怪電話の直後、丸山とした会話を思い出す。 舜 「・・・」 亮二 「調べてみたら、丸山はその当時、秋本が言っていた交番に勤務 していた」 舜 「郷田さんと間違えたということは、郷田さんのことを探してい た?」 亮二 「見張ってたんだろ」 舜 「・・・」 亮二 「俺が葛城佐智絵の殺害現場で脅された時、『誰にも言うな。ず っとお前を見張っている』と」 舜 「じゃぁ、八ヶ岳の火災も?」 亮二 「・・・?」 舜 「郷田さんを見続けていた、丸山の仕業!」 舜 「出火原因がそうなるように、火をつけたんです」 亮二 「・・・」 舜 「確かな証拠はありませんが、当時、放火だったという疑いもあ ったんです」 亮二 「・・・それも丸山が」 黙って頷く舜。 その話を聞いて、部屋を出る亮二。そこに、刑事課の課長がやってきて、亮二に研修を切り上げてリヨンに帰るようにとの指示を伝える。驚く亮二と、そして舜。 亮二 「えっ?」 舜 「それはどこからの指示ですか?警察上層部?それとももっと上 の人間ですか?課長も上と繋がっていたんですか!?」 亮二 「これまでの身勝手な行動を、見逃してもらうだけ、感謝するん だな」 舜 「それでも警察の人間ですか!?あなたの正義はどこにあるんで すか!!」 舜 「郷田さん!」 亮二 「そのかわり丸山と話をさせて下さい。お願いします」 課長 「無理だ」 正しくそのとき、丸山が本部の方に連行されようとしていた。丸山は亮二を見つめ; 丸山 「可哀想にな」 ニヤリと薄ら笑いを浮かべて連行される丸山に、背後から亮二は、 亮二 「丸山!お前がやったんだろ、葛城佐智絵を?お前が殺したんだ ろ!」 怒りを顕にして殴りかかろうとする郷田を、舜が羽交い絞めにして止める。 亮二 「・・・」 そこに、丸山を連行していこうとする本部の立花のところに、電話が入る。その電話は信造からのものだった。驚く舜と亮二。 信造 『そこに郷田亮二という人間がいる。25年間真実を追い求めた男 だ。そいつに丸山を引き合わせてやってくれ』 立花 「しかし・・・」 信造 『時効により罪は消滅したとしても、人が心に受けた深い傷に時 効はない』 立花 「黒木部長の責任問題になりますよ?」 信造 『覚悟の上だ』 そう言った信造の机の上には、既に辞表が用意されていた。信造との電話を切った立花@本部の人は; 立花 「これから本部に移動して、丸山の取調べを引き続き行う。だが その前に私達は夕食をとらせてもらう。その間君に、丸山を預 けよう」 亮二は信造配慮に感謝する。 [真相] いくら舜が追求しても、一言も発しない丸山。 舜 「八ヶ岳の火災もあなたがやったんですね。火災当時、顔にアザ のある男がうろついているという話があった。けど、新藤が郷 田さんを狙う動機がない。恐らく、警察上層部と新藤の繋がり に気づいている人間が、意図的に新藤の存在をちらつかせ、事 件がもみ消される事を狙った。違いますか?」 丸山 「・・・」 舜 「何とか言って下さい!!!」 丸山 「証拠がないだろ?」 ここで今度は亮二がようやく口を開く; 亮二 「・・・25年前の証拠ならある。押収品の話したの覚えてるか?」 『中畑のカードだろ?』 亮二 「でも警察が押収したのは、堀米が落とした原のカードだ」 丸山 「・・・」 亮二 「どっから中畑の名前が出てきたなろうな。おかしいね。どうし て俺が落としたカード知ってんだろう。俺もあの日、野球カー ドを落としたんだよ。拾い損ねたんだよ俺は、一枚だけ。それ が中畑のカードだ」 丸山 「・・・」 亮二 「俺は誰にも言うなという犯人の言いつけを25年間守った。中畑 のカードを落としたこと、それは誰も知らない事実だ。知って いるのは俺と犯人だけ。でもあんたは、俺と犯人だけしか知り えない事実を口にした!あんただったんだ!あんたがやったん だ・・・あんたが葛城佐智絵を!!」 丸山 「そうだよ。俺がやった」 丸山は認めた。 丸山 「俺が何もかも、全て一人でやった」 亮二 「・・・」 舜 「どうして・・・どうして佐智絵ちゃんを!!!」 がいるんだったな。両親を事故で亡くして、家族は妹だけ。俺 と同じだ。妹と二人きりで生きてきた。でもあんたの経歴辿っ てみると、妹いないんだよ。亡くなったんだってな、25年も前 に?自殺だったんだ」 亮二 「葛城さんの会社の、捜査資料に、女性社員の追う両事件が」 舜は机の上にある(何で机の上においてある?)葛城トレーディングに関するマスコミの記事のコピーの中から、今、亮二が言ったスキャンダルの記事をみつける。 『葛城トレーディング 貿易会社マジメなOKがなぜ? 経理担当社内でも優秀と評判だったのに… 会社の金 横領バレて自殺!? 毎月少しずつ会社の口座から 大人しいOLの隠された別の顔ー不倫・・・借金の果てに横領か?』 舜 「これだ。経理の女子社員が会社の金を使い込んだって噂…」 亮二 「葛城さんにそのこと聞いたよ。使途不明金があったのは確かで、 当時経理を担当していた女子社員が使ったに違いがないと」 丸山 「・・・」 亮二 「彼女が自殺したこと・・・覚えてなかった。名前も微かな記憶 で、『丸山・・・ミキコさん』だと」 その亮二の言葉を聞いて、笑みを浮かべる丸山。 丸山 「ふふふ。そうか〜。そりゃ良かった…。やっぱり葛城は、無実 の妹を疑ったまんまだったんだ。妹の死を何とも思ってなかっ たんだ。良かった・・・、葛城佐智絵を殺して良かった。俺が 大切な妹を奪われたように、あいつの娘を奪った事は間違いじ ゃなかった」 丸山の口から出たとは思えない発言に驚きの表情を示す舜。 丸山 「俺のやったことは正しかった。やっぱり神様が導いてくれたん だよ。あの日。偶然だったんだ。非番だった俺は、偶然葛城の 娘を見かけたんだ。一人ぼっちであの子は佇んでいた。まるで 『さぁ、殺しなさい』と言わんばかりに。だから俺は・・・」 あのとき・・・ 丸山 「お嬢ちゃん。葛城佐智絵ちゃんだね?」 丸山に声を掛けられ後ずさりする佐智絵。 逃げながら、ランドセルを丸山に投げつける佐智絵。丸山は佐智絵を追い詰め、手にした石を怯える佐智絵の頭上に振り下ろした。 丸山 「神様っているんだな。新藤利道の名前が出た途端、担当刑事は 外され捜査は縮小。結果的に俺は逃げ切った。逃がしてくれた んだよ神様が。殺してもいいってことだったんだ。だって時効 も成立したんだから」 丸山 「あんた間違ってる。あんた間違ってるぞ!!!」 亮二 「お前だけが心配だったよ。何か言い出すんじゃないかって」 舜 「全部嘘だったんですね!」 丸山 「俺はお前の方を信じる」 丸山 「早いとこ解放してやりたいんだよ、あいつが抱えている苦しみ から」 丸山の発言の数々を思い出す舜。 丸山 「可哀想に。ますます人を信じられなくなっただろう」 亮二 「・・・」 丸山 「黒木、お前もかわいそうに」 瞬は丸山の胸座を掴んで、殴りかかった。丸山の口切れる。 丸山 「・・・わかってるよ。俺が悪いんだ。わかってるんだよ、全て 悪いって・・・ごめん」 そのまま舜の胸に頭をつけて詫びる丸山。だが次の瞬間、舜の拳銃フォルダから銃を抜き取り、自殺を図ろうとする。 丸山 「こうすれば、終わらせることができる!」 銃を自分に向ける丸山を、瞬と亮二が必死に止め、亮二が銃を奪う。 丸山 「撃てよ!郷田撃て!俺は、お前の存在に怯えながら、お前の大 切な人を奪った。お前の気持ちはよーくわかる。撃てよ俺を!」 悲しみに震えながら丸山に1歩ずつ近づく亮二。 丸山 「俺は八ヶ岳でお前の両親とお兄さんを、上海で志摩野さんを、 そして、お前を庇って飛び出したサチさんを・・・憎いだろ? 苦しいだろう?許せないだろう?」 銃を丸山の額に当てる亮二。止めようとする舜だけど; 舜 「郷田さん!ダメです!」 亮二 「離せ!!」 今度はあっさり振りほどかれちゃってます(^^;) 丸山 「長かったよな、25年間。郷田、長かったよな」 亮二 「・・・長かった・・・」 丸山 「ようやく終わりにできるな」 亮二 「・・・これで終わりだ」 そうして今にも引き金を引きそうになる亮二だが、そのまま静かに銃を握った手を下ろした。ホッとした表情を浮かべる舜。 亮二 「俺の大切な人が、人殺しなんか望むわけないだろ。可哀想にな、 あんたも25年間ずーっと苦しんできたんだろ?俺はこれから、 自分の人生を生きてやる。けど、お前続くぞ。時効によって罪 を償うことができなくなった。苦しみはな、これからもずーっ と続く」 丸山 「・・・」 丸山は静かに椅子に座った。 亮二 「可哀想にな」 舜 「・・・」 丸山 「・・・俺じゃなかったらって思ったよ。お前たちと一緒にいて、 3人で動いて充実してた。時折思ったよ、俺じゃなくて、別に 犯人がいるんじゃないかって。時々自分のしたことを、忘れた。 別に犯人がいてくれって、そう願ったこともあったよ」 亮二 「・・・」 舜 「・・・」 [自分の人生] 西署、刑事課では、亮二と舜ちゃんの最後の会話。 舜 「終わりましたね」 亮二 「ああ。お前最初、俺のこと疑ってただろ?」 舜 「郷田さんが怪しい事するからですよ」 亮二 「怪しかった?」 舜 「ええ、目一杯」 亮二 「ふふ」 てくれる…、そう信じる人を裏切りたくない。それは俺の正義 です。罪は消えない。たとえ時効を迎えたとしても。動こうと 思えたのはあなたと出会えたからです」 舜の机には;
と書かれた書類が。 亮二 「頑張れよ」 ただ一言、そう告げた。 そもそも25年前に警察に話をしていれば狙われる事は無かったわけで、それは仕方ないとしても、大騒ぎして捜査を開始しなければこれだけ被害者が出ることも無かったのに。主役って普通、他人のために頑張るキャラが多いのに、亮二は自分の人生を取り戻すためだけに躍起になっただけだもんなぁ。 夕刻。警視庁。信造の部屋。 舜は、告発のための書類を持って、信造に会いにきた。 舜 「警察OBである堂島代議士が、葛城佐智絵殺害事件をはじめ、 数件の事件において、犯罪の隠ぺい工作を引き受けた事実を確 認しました。証拠も揃っています」 書類を信造に差し出す舜。 まぁ、それはそれとして、この部分、もう少しクローズアップして、番外編、作ってみませんか?>カンテ〜レのみなさま! 信造 「どうするつもりだ?」 舜 「罪を犯した人間が、権力によって守られる。そんな事実を見過 ごすわけにはいきません。告発します」 信造 「それによってどこかに飛ばされる羽目になってもか?」 舜 「そこから又這い上がります、親父のように」 信造 「・・・」 舜 「心配しないで下さい。失礼します」 書類を持って部屋を出て行こうとする舜に、信造は; 信造 「次に訪ねてきたとき、私はこの部屋にはもういない。辞表を提 出した」 舜 「?!」 信造 「私なりの、それが1つの答えだ。これからはお前の背中を見守 っていこう。家庭人としてはあまりいい父親じゃなかったから な」 舜 「・・・」 何か言いたげな舜に; 信造 「どうした?」 舜 「俺、知ってるんです」 信造 「うん?」 舜 「親父の手帳。最後のページ」 舜は優しく微笑んで、改めて頭を下げて部屋を出て行った。 舜が出ていくと、信造は手帳を開き、はさんであった幼い頃の舜の写真を取り出す信造。 更に○日後か、○週間後か・・・の郷田家。 亮二はリヨンに旅立つための荷造りをしている。テーブルの上には、その日の朝刊が;
で、その告発した刑事として、舜ちゃんの写真が載ってます。 唯衣 「お兄ちゃん、コーヒー入れたよ!荷物は後で私が国際便で送っ てあげるから、ケーキ食べよ!いただきます♪」 唯衣 「もう!お兄ちゃんと私の旅立ちのでしょ?お兄ちゃんはフラン スのリヨン、私はここで、優雅な一人暮し」 亮二 「・・・。唯衣、ありがとな」 唯衣 「お兄ちゃん・・」 亮二 「何かあったらすぐに連絡しろよ。飛んで帰ってくるから」 唯衣 「うん!」 その手紙には
25年前の事件の現場。 亮二は、リヨンに旅立つ前に、花束を手にやってきた。 亮二はその場で静かに手を合わせた。 そして、亮二は旅立った。 <感想全般> ブラウザの戻るの機能で戻って下さい |