#1 「誰が少女を殺したか」 2009.01.06 PM10:00〜11:09 関西テレビ系列(フジテレビ系列)にて ON AIR |
[プロローグ]
夕刻。とある河原。草むらに1人の少年が横たわる少女の傍らに立っていた。少女の傍らには、ランドセルと、その中味が散乱しており、少年の手には真っ赤な血が。
東城大学付属病院。1人の救急患者が運び込まれる。 時計は3時30分 その患者の手術を行う郷田亮二(江口洋介さん)。手術が終わった亮二の手には真っ赤な血が。 亮二の脳裏に15年前の記憶が蘇る。 小学生の亮二の両手には真っ赤な血が。その傍にいるもう1人の少年が; 少年 「時効、って知ってるか?」 亮二 「時効?」 少年 「殺人事件の時効は15年だ」 亮二 「俺・・・」 時効成立まであと6時間34分。手術室から出て行く亮二。 10時15分。自分の仕事場の片づけをしている。再び15年前の記憶が; 先ほどの続きの記憶。 少年 「時効が成立するまで見つからなきゃいい」 少年は真っ赤になった亮二の手を洗ってやった。 少年 「亮二」 亮二 「お兄ちゃん・・・時効・・・成立・・・するまで」 外は雪。亮二は自分の腕時計をじっと眺めている。そして時計の針は12時ちょうどを指した。
職場のロッカーに入れた家族の写真を見つめる亮二。父親、母親、兄、自分と、そして幼い妹。 その妹とは、墓参りに出かけた。郷田家之墓。墓石には; 武彦 四十九歳 幸子 四十七歳 準一 二十四歳 と。墓の前で手を合わせる亮二。そして妹・唯衣(相武紗季さん)。 という記憶。この記憶がいつのものなのかが厳密にはよく分かりませんが、ほんの最近の出来事を思い出してると考えていいのでしょう。 そうして亮二はとある決意を胸に、海外に飛んだ。 [亮二とサチ]
国際刑事警察機構 インターポール本部。 フランスに飛んだ亮二はインターポールで働いていた。
パリのホテルに滞在している女性・サチ(広末涼子さん)。日本にいる母親に電話をしてる。 サチ 「ボンジュール。母さん、無事に着きました。大丈夫、一人旅っ て言ってもツアーガイドのおじさんがついてるんだから。心配 しないで」 電話を置き、1人になった喜びをかみ締めてるサチ。 その頃、そのホテルのロビーでは、亮二がソファーに座る男性(=サチのツアーガイドのおじさん)に金を握られていた。 亮二 「代わってくれないかな。日本から来るっていうお嬢さん、案内 するってやつでしょ?」 そんなやりとりがあったとは知らずにホテルのロビーに下りてきたサチ。年配のそれらしい男性に声を掛ける; サチ 「あなた?私を案内して下さるツアーガイド」 すると、思ってもいなかった男性(要は亮二)がサチに声を掛ける; 亮二 「俺。よろしく」 年配のおじさんだと聞いていたのが、思いがけず亮二がガイドとして現れたことで戸惑うサチ。早速、亮二にガイドを「キャンセルします」と告げるが、それは多少強引なところがある亮二の態度に不満だからということよりも、1人でパリの街を自由に歩きたいという思いからだった。そのサチの思いに対して、実際にその通りにパリを案内をする亮二。その日、1日共に過ごすうちに、次第にサチは亮二に心を開いていく。 夕刻になって、モンマルトルにやってくる亮二とサチ。高台からパリの街を眺めている; サチ 「私、こんな風に1度でいいから、自分の時間を自由に過ごした かった。自分の人生を生きてみたかった」 亮二 「・・・」 サチ 「なんにも聞かないんですね。今日一緒にいる間もずーっと黙っ てた」 亮二 「キミが楽しんでたから。本当に楽しそうだったから」 サチ 「・・・。あなたで良かった。本当にすごし楽しかった。どうも ありがとう」 亮二 「また会えるよ」 サチ 「?」 亮二 「俺たちはいつか再会する」 サチ 「どういうこと?」 亮二 「モンマルトルの夕日を一緒に見た二人はもう一度必ず再会する という言い伝えがある」 サチ 「♪」 亮二 「・・・」 そのまま二人は黙って夕日を眺めていた。 そんな亮二の脳裏に再び25年前の記憶が; 小学校の教室で、授業が行われている。黒板には大きく『1/2の成人式作文 大人になったあなたへ』という文字が。全員、そのテーマで作文をしている。だが、小学生の亮二(でいいのよね?)だけは手が止まっている; 亮二 『僕は何を書けばいいのか分からない。 大人になった自分?大人ってなんだ?』 隣に座った同級生の女の子がこちらをみてにっこり笑った。 亮二 『僕には分からない。想像もつかない。 僕が・・・僕たちがやがてどんな大人になっているのか』 そうして別れた亮二とサチ。サチは亮二と撮った写真をホテルで眺め、そして亮二は1人、パリの街を歩く。 [謎]どうやって亮二はサチがパリに来ていることを知ったのか? [謎]なぜ亮二はサチとパリで会わなくてはならなかったのか?
[舜ちゃん登場〜!!!!]
急ぎ足で警視庁大田西警察署に駆け込む男性=黒木舜(吾郎君です)。玄関口で男性に呼び止められる。呼び止めたこの男性は同僚の先輩刑事である丸山慶太(小日向文世さん)。 丸山 「黒木」 亮二 「おはようございます」 丸山 「おはよう。お前、また始末書だって?」 舜 「ええ・・・」 丸さん「ああ、今日からうちの署に」 亮二 「郷田と言います」 舜 「???」 刑事課。改めて亮二のことを紹介する丸山。 ターポールより研修にきた郷田亮二」 同僚 「国際刑事なんて格好いいですね!どんなことを?」 亮二 「情報の収集と、整理および管理部門です」 丸山 「要するに現場経験はなし・・・郷田、こっちでも整理整頓頼む。 これじゃぁ、あっちに片付けてといて」 亮二 「はーい」 舜 「インターポールから研修って、何で西署に?」 丸山 「他の署は預かるの嫌だったんだろ?あのでかいだけのド素人同 然、役に立つと思うか?たっぱがあるから(整理整頓に)便利 は便利ね」 すると瞬は; 課長 「黒木」 舜 「はい」 課長 「この前の始末書」 舜 「あ、すいません」 課長 「ったく。オヤジさんが嘆くぞ」 舜 「・・・」 と課長に言われ、おとなしく休憩室で始末書を書くことにしたのでした。 『平成21年1月5日 始末書・・・』 書類にタイトルだけ書いたものの、それから先にすぐにはペンが進まず、自販機で缶コーヒーを買ったりしてます。 そんな舜の様子をガラス越しに見ている丸山と亮二。 丸山 「あいつのオヤジさんね、ノンキャリでたたき上げで幹部クラス まで上り詰めて、希に見る出世頭なの。黒木っていうんだ」 亮二 「黒木?」 丸山 「そう、黒木舜。仲良くやってくれよな」 『・・・以上 西警察署司法警察員 巡査部長 黒木舜』 と始末書を書き終えてペンを置く。残った缶コーヒーを一口のみ、胸ポケットから取り出した携帯に『非通知』の電話。不思議に思いながら電話に出る舜; 舜 「はい」 電話 『黒木信造の息子さん?』 舜 「誰なんだ?」 電話 『あの事件はまだ終わってない』 舜 「あの事件?」 電話 『しょう59にしけい9』 舜 「?」 そう言って電話は切れた。 舜 「?何やってんですか?」 亮二 「丸山さんに片付けるように頼まれたんだ」 舜 「いやいや。持ち帰ろうとしたように見えましたが」 亮二 「君の空耳だろ?」 舜 「は?」 そのまま亮二は立ち去った。残った舜は先ほどの電話の資料を探す。 『昭59西刑1〜20』と書かれたダンボール。ダンボール中を開けると、一番上に『昭59西刑9』のファイルが。自分の手に書いたメモが『昭59西刑9』であり、まさしく先ほど亮二が取り出そうとしていた書類が怪電話のものと一致したことになる。 そのファイルは、『葛城佐智絵ちゃん殺害事件 捜査資料』とあり、中を見ると、担当者の名前に『黒木信造』と。 そのまま舜は父の信造(北大路欣也さん)に電話を入れる。信造は車で移動中だった。 信造 『葛城佐智絵?』 舜 「河原の土手で遺体で発見された女子児童。年齢10歳。小学4 年生。捜査担当者に黒木信造、オヤジの名前があります」 舜 「俺に掛かってきた電話に、心当たりは?」 信造 『くだらないイタズラ電話だろう、相手にするな』 舜 「・・・」 信造 『・・・』 それ以上の会話も無く電話は切られた。 舜は刑事課に戻って丸山に、先ほどの電話の話をする。 丸山 「昭和59年ということは?」 舜 「25年前です」 丸山 「俺はまだ警らに居た頃だな。かつら・・・何だっけ?」 舜 「『葛城佐智絵ちゃん殺害事件』」 丸山 「分かりやすい事件名だね。っていうか、まんまじゃん」 舜 「うちのオヤジが担当していた事件なんですよ」 丸山 「ああ、その頃、西署にいたんだ…」 舜 「それが未解決なんです」 丸山 「ん?犯人捕まってないの?!だったら相手にする事ないんじゃ ない?たまにあるんだ、未解決事件取り上げて、警察の怠慢を 訴える嫌がらせの電話」 舜 「事件番号を知っていたんです」 丸山 「身内じゃん」 舜 「身内・・・警察内部ですか?」 ジさんを快く思ってないヤツが、唯一の汚点を息子にチクって つついてやろうって」 舜 「唯一の汚点」 舜 「郷田さん、どう思います?25年前に起きた『葛城佐智絵ちゃん 殺害事件』、興味あります?」 亮二 「暇なんですねー。他に考える事無いんですか?」 舜 「俺は妙な電話がかかってきたから」 丸山 「おい、おフランスと違ってここは平和な日本。署内全員が借り 出されるドラマチックな事件は早々無いの。黒木ももういいじ ゃん。嫌がらせは相手にしないに限るって」 舜 「嫌がらせかどうかは・・・」 亮二 「どっちにしても時効が成立した事件ですよね?」 舜 「・・・」 丸山 「・・・」 亮二 「罪は消えてしまった・・・」 [舜の合コン] [亮二と唯衣] [舜パパの反応] 舜 「すいません、遅くに」 信造 「飲んでるのか?」 舜 「ええ。警務課の連中とちょっと」 信造 「どうせ合コンだろう?最近の連中は山が無い日は定時に帰る。 日曜祝日もしっかり休む。昔じゃ考えられん」 舜 「オヤジも飲んでます」 信造 「社会部の記者とな。こっちは仕事の付き合いだ」 舜 「あの・・・『葛城佐智絵ちゃん殺害事件』のことなんですが」 信造 「・・・」 急に口を噤み、ゆっくりとタバコに火をつける信造。 舜 「丸さんが言うには警察内部の誰かがちくったんじゃないかと。 お前の親父にも解決できなかった事件があるぞって。唯一の汚 点なんでしょ?」 信造 「・・・」 舜 「電話の相手に、本当に心当たりは無いんですか?」 信造 「長くやってると、その類の嫌がらせはいくらでもある」 舜 「詳しい捜査資料を見せてもらうわけにはいきませんか?」 信造 「調べてどうする?!25年私が辿りつかなかった犯人にお前が たどり着くとでも言う気か?」 舜 「・・・」 信造 「お前にはもっと他にやるべきことがあるだろう?」 (↑ここのコメントは気にするべきか、スルーすべきか、どっちだろう?) そう言って部屋を出て行こうとする信造。 舜 「郷田亮二が山陽小学校出身なんです」 信造 「!?」 舜 「葛城佐智絵さんと同じ、山陽小学校」 信造 「郷田・・・」 舜 「聞いていないですか?インターポールから研修に来た」 信造 「ああ・・・そういうのが1人来たらしいな」 舜 「『葛城佐智絵ちゃん殺害事件』は西署の管轄でした。郷田は自 ら希望して西署に来たと聞いて引っかかるんです」 信造 「希望を出しても叶うとは限らない。研修先に地元を選ぶのも、 おかしいことじゃないだろう」 そう言って部屋を出ていった。 舜 「・・・」 [サチを取り巻く人々] [舜と唯衣] [25年前の事件に関する原稿] 亮二はその足で、ポポスにやってきた。ポポスは要は街の何でも屋。実質、堀米と事務を行う女性のみというスタイルの会社です。 その頃、舜は西署に戻ってきていて、休憩室にいる丸山に亮二のことを尋ねる。 舜 「丸さん、あいつは?」 丸山 「えっ」 舜 「郷田です。あいつの経歴知ってます?」 丸山 「つーか、昼から出ていって、帰ってきやしない」 舜 「どこ言ったんです?」 丸山 「まっすぐ帰ったんじゃない?」 その亮二はポポスの受付の女性に堀米を呼び出してもらい、近くの定食屋で会っていた。堀米に富岡が書いた原稿について聞くと、どこか出版社を探して欲しいと頼まれて富岡から原稿を預かっているのだといい、亮二が原稿を読ませて欲しいと頼んでも断られた。堀米は今からその原稿をとある出版社に見せに行く予定だと言う; 堀米 「上手く行けば近々店頭に並ぶ。あれを見たら大騒ぎになるな」 亮二 「・・・」 そのまま堀米は同窓会にはいけないと亮二に告げて立ち去った。 [謎]そして原稿の内容を堀米は知っているわけで、富岡からは信頼されてるということなのか? [事件発生] 丸さんと亮二が捜査を担当する。被害者は堀米で、鈍器のようなもので頭を殴られ、全治2週間の軽症で、被害は金庫の200万円とその他諸々という事件。だが、亮二は被害者が堀米であることを言われても、知り合いだとは丸山に言うことはしない。 だけど、二人が堀米が入院している病院に面会に行くと、すぐに堀米は亮二の顔を見て; 堀米 「郷田君!君の欲しがってたアレもとられちゃったよ。どうしよ う」 丸山 「・・・」 と言っちゃうのよねん。西署に戻ってきてから、被害者を知っていながら何も言わなかった亮二を丸山は責める。 丸山 「知り合いなら知り合いって何で言わないの?」 亮二 「聞かれなかったんで」 丸山 「聞かれなくても普通、言うだろう?言うんだよ!」 亮二 「すいません」 丸山 「『おまえの欲しがったあれ』って何だ?」 亮二 「さぁ」 丸山 「このやろう!!お前、今回の事件からはぶんちょだ!」 亮二 「はぶんちょって・・・」 丸山 「捜査から外れろってことだよ!」 そうして丸山は刑事課の部屋から出て行った。 そんな二人のやりとり、というより亮二の態度をじっと見ていた舜は、堀米の入院する病院に向かう。 舜 「堀米さん?」 堀米 「?」 舜 「大田西署の黒木と言います。検査ですか?」 堀米 「あ、いや、ちょっと、電話を。もう、事件のことは他の刑事さんに」 堀米 「ああ、同級生でした、小学校で」 舜 「山陽小学校?」 堀米 「・・・はい」 舜 「当時の話を聞かせてもらえませんか?」 西署の刑事課。 デスクワークをしている亮二。丸山には「はぶんちょされて暇なんだろう?ざまぁみろ」とか言われてます。丸さん、意地悪(^^;) 丸山 「ペン習字でもやってれば。刑事っていうのは意外とデスクワー クが多い。書類書かされるからね」 亮二 「ペン習字ですか?」 丸山 「黒木は俺に言われて素直にやってるぞ。本当だぞ。本当だもん。 確かあいつ、どっかにペン習字の教材…」 亮二 「ポポスの社長、堀米、いきなり入ってきた男の顔、本当に見て 無かったんですか?」 丸山 「いきなり入ってきたって何で知ってる?」 亮二 「ポポスのドアのカギ、壊れていたから」 丸山 「何でその事知ってる?」 亮二 「発見者のタクシー運転手も犯人らしき人の顔を見てないんです か?」 丸山 「?お前」 亮二 「・・・」 その頃、舜は病院の椅子に座って堀米から25年前の話を聞いてる; 堀米 「葛城さんを最初に見つけたのは俺なんです。学校の帰りでした」 土手にプロ野球カードが落ちてるのを見つけ、拾った堀米少年。 堀米 「当時、集めてたんですよ、野球選手のカード。拾ったときは嬉 しくて。風で飛ばされちゃったんです。探そうと土手まで降り ていって。本当、マヌケっていうか」 舜 「そのとき、葛城さんは?」 堀米 「赤いランドセルが見えて、その先に彼女が。急いで土手駆け上 がって、大人の人を呼びにいったんです。雨がぽつぽつ降り出 して、警察が来た頃には土砂降りで。それから後のことは今で も信じられません。まるで・・・」 それ以上、堀米は口をつぐんだ。 堀米 「どうして今頃、こんな話を?郷田君、何か言ってました?」 舜 「彼も同じクラスだったんですね?」 堀米 「(葛城さんと)隣の席でした。覚えてます、二つ並んで空いて いたから」 舜 「空いていた?」 堀米 「休んだんです、郷田君、事件の翌日。一週間ぐらい休んだかな」 舜 「・・・」 堀米 「ごめんなさい。まだ痛むんで」 舜 「ああ、すいません。突然すいませんでした」 堀米 「本が出ればもっと詳しいことが」 舜 「本?」 堀米 「同級生の1人が事件の事調べて書いたんです。けど」 舜 「けど?」 結局、よくわからないままに、西署に戻ってきた舜ちゃん。日はもう、どっぷり暮れていて、署内はとっても静か。本当にさっさと帰っちゃう署なのねん(汗)。 刑事課も誰もいなくて・・・と思ったら、亮二だけが部屋にいて、ぬわぁ〜んと、堂々と黒木の机の中を探ってます。 舜 「そこ、俺の机ですよ」 亮二 「・・・」 舜に声を掛けられて慌てて何かを後ろに隠す。ここから亮二と舜の最初の対決ですよん; 舜 「何探してたんですか?」 亮二 「・・・」 舜 「倉庫にあった『葛城佐智絵ちゃん殺害事件』の資料は俺がここ に持ってますよ」 亮二 「・・・」 舜 「けど、ここには詳しい捜査情報は載っていません。郷田亮二と いうあなたの名前もね」 亮二 「・・・」 舜 「同級生だったんですよね、殺された葛城佐智絵さんと」 亮二 「ああ」 舜 「当時事件を担当していたのはうちの親父で、25年経ってあなた はその息子とここで対面している」 亮二 「すっごい偶然だなぁ」 舜 「研修先にうちを選んだのもすごい偶然ですか?」 亮二 「・・・」 舜 「あなた、医大を出て医者をやってたんですってね。けどなぜか 突然、辞表を出して医者を辞めた。事件の時効が成立したその 日に?」 亮二 「・・・」 舜 「妹さんが言ってましたよ、お兄さんは全てを捨てたって」 亮二 「妹に会ったのか?」 舜 「『まだ調べてるのか』って言ってましたよ。調べてる?『葛城 佐智絵ちゃん殺害事件』のこと?そうじゃないですよね。あな た、25年前の事件を調べてるんじゃない。知られたくないだけ じゃないですか?倉庫にあったこれを探していたのも、持ち帰 ろうとしたのも、事件に関することを消そうとした。違います か?」 亮二 「・・・」 舜 「事務所ポポスの社長堀米さんを襲って、同級生が書いた原稿を 奪ったのは出版されちゃ困る何か、知られたくない何かがそこ に書かれていたからじゃないですか?」 亮二 「・・・」 舜 「つまり、こういうことじゃないかな。葛城佐智絵を殺したのは、 当時彼女の隣の席に座っていた郷田亮二、あなたじゃないんで すか?」 そこまで言われて、ようやく亮二が口を開いた。 亮二 「誰が亮二を殺したか?分かったからって何だよ。時効は成立し ている。今更どうするって言うんだよ。罪は消えたんだよ」 舜 「消えません」 亮二 「消えたさ」 舜 「・・・」 亮二 「時効によって罪を問うことはできなくなった」 舜 「民事なら可能です」 亮二 「・・・」 舜 「刑事事件としての立件は無理でも、民事事件として裁判を起こ して、その罪を問うことは不可能では有りません。遺族に会っ てきます」 亮二 「よせ」 舜 「葛城佐智絵の遺族に会ってきます」 亮二 「余計なことをするな!」 舜 「人を殺した罪は消えない。消すことなんてできない!」 亮二 「・・・」 舜 「俺が罪を償わせてみせます」 舜は部屋を出ていった。亮二は後ろに隠していたペン習字の本を机の上に放り投げた。(面倒くさい性格だなぁ、亮二って) [謎]一体、何をしに職場に戻ってきたんでしょうかねぇ。 [謎]ここで突然、遺族に会いに行くっていうのはやりすぎだと思う。 [謎]それに、とりあえずは富岡に会いに行くのが先じゃないかと。 帰宅した亮二は、部屋から誰か(多分、葛城佐智絵の母親)に電話をかけています。 亮二 「ああ、もしもし。山陽小学校の同窓会があることをご存知でし ょうか?ええ、そうです。葛城佐智絵さんが在籍していた4年 1組の同窓会です」 [4年1組の同窓会] その頃、舜は、葛城佐智絵の母親・葛城清子(風吹ジュンさん)の家の前まで来ていた。インターフォンを押し; 母親 「はい」 舜 「あ、先ほどお電話しました、西署の黒木といいます」 母親 「今開けます・・・どうぞ」 そうしてゆっくりと玄関の扉が開かれた・・・という部分だけでも思わせぶりな演出だったり(汗)。こんなところに意味無いですよね? まだ同窓会は続いているが、秋本は津島建設の上海支社に支社長として今から赴任しなくてはならず、途中で退席する。最後、亮二の様子をじっと眺める秋本。 そうして、同窓会、1次会は終わり、今から2次会に行こうとしたときに、サチが現れた。瞬間、驚きの表情を見せる亮二だが、やっぱりそうかと確信めいたような表情を見せ; 亮二 「久しぶり」 と声を掛ける。 亮二 「よく来たね」 サチ 「どうして?」 亮二 「いつか再会するって言ったろ?」 サチ 「知ってたの?」 富岡 「誰?」 サチ 「知ってたのね、私の事」 亮二 「葛城さん・・・彼女は葛城佐智絵」 富岡 「おい、葛城はもう…」 亮二 「生きてたんだよねぇ。25年前俺らのクラスに居たあの葛城佐智 絵。あの日殺された葛城佐智絵は生きていた」 その頃、葛城佐智絵の母親と面会していた舜は; 舜 「え?」 母親 「今日は同窓会に出かけております」 舜 「それって生きてるってことですか?」 母親 「あははは、嫌だ。ええ、娘は生きていますわ」 舜 「・・・」 4年1組の同窓生の前で、サチは堂々と言い放つ。 サチ 「そう、殺されてなんかいない。私は、生きている。私は、葛城 佐智絵です」 <感想全般> ブラウザの戻るの機能で戻って下さい |