催眠 hypnosis
吾郎君中心レポ
〜 LAST CASE 永遠に眠れ! 〜
今回のアップは長いよ!(^^;)
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
倉沢 「蒼井由夏は私の娘です。私が、私が顔のない男です」
嵯峨,朝比奈を前に、倉沢が自らの過去を語り出す…。他の関係者は、病室から出て行った様子。倉沢の突然の告白に、驚きで咄嗟に言葉の出ない嵯峨と朝比奈。そして嵯峨がようやく口を開く。
嵯峨 「先生が、由夏の母親を?」
倉沢 「由夏の母親は…、そうですねぇ、聖母のような女性でしたよ。疲れた
私を十分に癒してくれました。だがね私はそれに止まらなかったのです。
幼い由夏まで支配しようとしました。由夏を虐待し続けたんです」
朝比奈「そんな…」
倉沢 「今の私からは想像できないかもしれませんがね。これが本当の私の姿です。
虐待の現場を目撃された私は、発作的に由夏の母親を殺したんです。
その場にいた由夏の記憶も、私の存在も含めて一切消し去りました」
倉沢の口から語られる数々の告白に、「何よそれ!何でそんなことができるのよ!何でなの!!!」と泣き叫びながら朝比奈は倉沢を責める。そんな朝比奈の体を支えながら、なお、嵯峨は倉沢の話を聞き出そうとする;
嵯峨 「ムラサキの蝶事件も、あなたが?どうなんですか?」
嵯峨が事件の真相を聞き出そうとしたときに、そこに、病室のインターフォンが鳴る。インターフォンの主は一希だった。
一希 「嵯峨先生、いらっしゃいますか?蒼井さんが大変です」
嵯峨 「!」
嵯峨の顔色が変わる。
確かに、今の倉沢先生からは想像できない展開っすよ〜。いや、想像することはできるけど、受け入れがたいという方が正確かな?だから、真実は、由夏を虐待していたのは母親の方だった、というどんでん返しを期待してたんですけどねぇ…。
[東都大学付属病院 嵯峨の診察室]
一希からの連絡で、急ぎ診察室にやってくる嵯峨。しかし、そこには一希がいるだけだった。
嵯峨 「蒼井さんは?」
嵯峨の問いかけに、一希は不敵な表情で答える:
一希 「ここにはいません」
嵯峨 「『いない』ってどういうことだ?まさか彼女にまた何か?」
一希 「いいえ、私、由夏と仲直りしましたから。由夏はやっぱり私の仲間でした。
・・・私と同じ憎しみでできた人間でした」
冷ややかに語る一希に対し、何を話しても無駄だという表情で、嵯峨は由夏を捜しに病室を出ていく。
[東都大学付属病院 受付ロビー]
廊下に出て、由夏を捜し回る嵯峨。その時、嵯峨の首にロープが回る。一希が背後から嵯峨の首を絞めようとしていたのだった。
嵯峨 「うっ」
ロープの両端を手にした一希の腕が嵯峨を締め上げる。
一希 「由夏だけが幸せになるのは嫌なの。・・・ムラサキの蝶は、私よ」
嵯峨 「!?」
苦しむ嵯峨先生に、身を乗り出してテレビを見てしまう私って…(^^;)。一希ちゃん、もっと嵯峨先生を苦しめて〜(バカ)
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
ユカの催眠から元に戻った朝比奈に、ベッドの中から倉沢が呟く。
倉沢 「ムラサキの蝶、はね…」
これって、倉沢は全て分かっていたということなのかなぁ…。
[東都大学付属病院 受付ロビー]
なおも、嵯峨の首を締め続ける嵯峨。
一希 「さぁ、ムラサキの蝶を思い出しなさい。あなたが忘れている嫌な記憶をね。
思い出せば、あなたは生きていられない」
嵯峨は、もがき苦しみながらも、一度は体当たりをして一希のロープの束縛から逃れる。そのまま、今度は一希に向かっていこうとしたとき:
一希 『蝶、嫌いなの?』
その言葉に、幼い頃の由夏の映像が脳裏をよぎる。河原で由夏がムラサキの蝶を叩きつぶしている石の音が嵯峨の頭の中で響く。
その一瞬の隙に、再び嵯峨の首のロープをとり、首を絞め始める一希。
一希 「さぁ早く思い出しなさい、ムラサキの蝶の記憶…」
苦しむ嵯峨。その場は婦長が駆けつけ、嵯峨は何とか助かる。しかし、肝心の一希は、今、自分がしたことを覚えておらず、首にはムラサキの蝶のアザが残っていた。
というわけで、ここで由夏ちゃんが連続殺人事件の犯人であるということが決まりです(って、最後まで私は由夏ちゃんが犯人じゃないと信じていたんで、ここまで来ないと確信が持てなかったの…(苦笑))。
それにしても、ムラサキの蝶の記憶を思い出したら「生きてられない」か…。う〜ん、ちょっと勿体ぶらせすぎかなぁ…。
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
ユカ(別人格の由夏を紛らわしいのでこう書きます)は倉沢の病室へとやってくる。由夏とは明らかに異なった、冷たさ,憎しみを持った表情で、倉沢を見つめる。
ユカ 「久しぶりね、お父さん」
その言葉で、朝比奈は由夏がやはり「顔のない男」を思い出していたのだと悟る。
朝比奈「蒼井さん?」
ユカ 「最愛の娘に殺される気分はどうだった?
お母さんの気持ち、少しは味わえたかしら?」
朝比奈「ねぇ、どういうこと?!ねぇ!」
そして、朝比奈が次の言葉を由夏に投げかけようとしたとき、ユカは朝比奈の首筋を押さえ、「お姉さんは黙って見ていて…」と言いながら、強制催眠を与えようとする。
ユカ 「あなたは動けない、声が出ない。あなたは動けない、声が出ない。…」
− 床に転がるナイフ
朝比奈「!」
倉沢はユカを止めようとするが、重傷の身では何もできない。何も話せない,動けないという暗示をユカに与えられた朝比奈は、部屋の片隅に座り込んだまま、ピクリとも動けなくなる。
倉沢 「よしなさい。宏美は関係無いんだから。よしなさい。やめろ!」
ユカ 「あなたでも、娘のこと心配をするの?あなたみたいに卑劣な人間でも?」
ユカはそう言いながら、今度は倉沢に詰め寄る。
ユカ 「トドメは私がさしてあげる。もう一人の最愛の娘が…」
[東都大学付属病院 倉沢の病室の前の廊下]
急ぎ倉沢の病室へとやってくる嵯峨。倉沢の部屋の前で、警備していた警官が倒れているのを見つける。命に別状が無いことを確認しながら、病室の中へと入る。
こんな緊急事態に、一応、倒れている警察官のことを気遣うなんて、さすがお医者さん!
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
嵯峨が病室に入ると、ユカが倉沢の首に手をかけ、耳元で何かを囁いている。一方の朝比奈は、部屋の隅で動けないでいるのを目にし、尋常でない様子を感じる嵯峨。
嵯峨 「何をやってるんだ!何やってるんだ!」
嵯峨はユカを倉沢のそばから、力ずくで切り離す。ユカはそのまま病室を逃げ出すが、嵯峨は朝比奈と倉沢のことが気になり、すぐには後を追えない。
嵯峨 「由夏!」
今回は、タイトル前の嵯峨先生の囁き声は無しでございますぅ。
タイトル −催眠− Last Case
[東都大学付属病院 達矢の病室前の廊下]
達矢は、何か心に不安を感じ、由夏を求めて病室から出てくる。
達矢 「お姉ちゃん?お姉ちゃん!」
そこに現れるユカ。しかし達矢に目もくれることもなく、ユカは達矢を突き飛ばして廊下を突き進んでいく。
達矢君、一体、何が起きたか理解できずにいるんだろうなぁ。ちと可愛そう…。
[東都大学付属病院 廊下]
由夏を探して病院の廊下を走る嵯峨。そこに達矢の鳴き声が響いてくる。嵯峨はその声の方向に向かうと、達矢が一人、暗い廊下で泣きじゃくっていた。
嵯峨 「達矢君!どうした?」
達矢 「お姉ちゃんが、お姉ちゃんが、どっかへ行っちゃった」
嵯峨は達矢を残して由夏を追う。
[東都大学付属病院 エレベータ前]
廊下を走り回り、嵯峨はようやくエレベータに乗り込もうとするユカを見つける。
嵯峨 「由夏!」
しかし、ユカは嵯峨の姿を目にしながらも、ユカは妖しい笑みを浮かべて、そのままエレベータで屋上へと上がっていく。階段で由夏を追う嵯峨。その嵯峨の後ろ姿を、ちょうど、もう一台のエレベータでやってきた一希が目撃する。
[東都大学付属病院 屋上へ向かう扉の前]
嵯峨は屋上まで駆け上がってくる。そして、躊躇いつつも屋上への扉のノブに手を掛ける。
− 屋上から落下しそうな女性の手を取り、懸命に支える嵯峨。
しかし、ついに力つき、その女性は地上に落ちていく、1年前の嵯峨の記憶・・・
嵯峨はその辛い記憶を振り切り、扉を開く。
最初、1年前の映像が出たときには、単に、由夏が由香のようになるのでは?という嵯峨の不安な気持ちを表しただけのものかと思ってたんですけど、(ドラマでは)ここが由香が飛び降りたという場所だったんですね。そりゃ、嵯峨先生、しばらく病院には来れなくて、出社拒否になるのも仕方ないよなぁ…。
でも、嵯峨先生、1年前の彼女より、今の彼女、というわけではないんだろうけど、過去のことは過去のことと振り切って、由夏ちゃんの元に行こうとする姿勢は格好良かったです。
[東都大学付属病院 屋上]
嵯峨が屋上に出ると、屋上の柵にすがって、由夏が泣き崩れている。そんな由夏に嵯峨は「由夏、大丈夫か?」と優しく声を掛ける。
由夏 「正直に言って!私って、やっぱり二重人格だったの?」
嵯峨 「由夏、それはまだ分からないんだ。だから、そんなに思いつめちゃダメだ」
由夏 「でも恐いの。本当に恐いのよ!もう一人の私が、私の中に入り込んでくるのが。
私が私でなくなるみたいで恐いの!!」
嵯峨 「とにかく病室に戻ろう、な。達矢君くんも心配している」
由夏 「恐いのよ!」
嵯峨 「大丈夫だ、戻ろう…」
何とか由夏を慰めようとする嵯峨先生。しかし:
由夏 「あなたは恐くないの?1年前、事件の被害者の女を失ったこの場所に来て…」
そしてゆっくりと由夏ちゃんの表情が豹変し:
ユカ 「よく平気ね」
嵯峨 「?!」
と、嵯峨の右の股をメスで刺すユカ。咄嗟にユカから離れる嵯峨。赤い血が流れ、足に痛みが走る。
嵯峨 「君は・・・誰だ?」
ユカ 「私が、本当の蒼井由夏よ」
嵯峨の後を追って来た一希は、その様子を遠くから眺めている。ユカはメスを手に、嵯峨を追い詰めていく。足の痛みで、足を引きずるようにしか動けない嵯峨。
ユカ 「あなたの言うとおり、私は二重人格なんかじゃない。
あなたが知っている蒼井由夏は、ただの操り人形だったの。
私の計画を実行するための…」
嵯峨 「計画?」
ユカ 「私の母を殺して、私の記憶を奪った男への復讐よ。
あなたもそのために必要だっただけ。あなたの能力が…」
嵯峨 「どういうことだ?」
ユカ 「顔のない男の記憶を取り戻すためよ」
嵯峨 「最初から、俺を、利用するつもりだったのか?」
そして、ユカは、嵯峨に向かって更に事件の真相について語り始める。
ユカ 「初めて男に抱かれたとき、冬眠させられていた私は目覚めたの。
同時に私の記憶が断片的に蘇り始めた。
そんなとき、ちょうど一年前の事件で私はあなたを見つけたの。
ホント、懐かしかった。
あなたならきっと、顔のない男の記憶を蘇らせてくれると思ったわ」
ユカに追い詰められる嵯峨。屋上の柵の突き当たりまで追い詰められる。これ以上、逃げ場所がない。
嵯峨 「ムラサキの蝶事件も君が?」
結局、幼い頃に受けた虐待で、由夏ちゃんは二重人格になってたのでした(二重人格だけはありがちすぎてヤダったなぁ…)。いや、正確には二重人格じゃない、ということなのかもしれないけどさぁ。
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
病室の洗面所で、手を洗う朝比奈。
倉沢 「宏美、大丈夫かい?」
朝比奈を心配して倉沢が声を掛けるが、朝比奈は何も答えない。
朝比奈先生、全て分かっちゃってたのね。
[東都大学付属病院 屋上]
地面に放り出される嵯峨。柵にかかっていたカギが外れ、嵯峨が追いつめられていた柵が開き、放り出された格好になったのだ。そのまま、ユカが手にしたメスを前に、嵯峨は立ちあがれないまま、足を引きずり、後ずさりしていく。
ユカ 「そうよ、ムラサキの蝶は、私よ」
嵯峨 「何でそんなことを…。復讐には関係無いだろう?」
ユカ 「事件で私が疑われていたから、あなたは必死に記憶をを取り戻そうと
してくれたんでしょ」
嵯峨 「それだけのために?」
ユカ 「そもそも男なんて獣でしかないわ。私を虐待した倉沢とみんな同じ。
だから私を抱いた男は全て殺してやったのよ。
ただ、あなたは見事、私の期待に応えてくれた。
でも、もうその役目は終わったわ。あなたも死ぬのよ。
一年前、女を失ったこの場所でね。
さぁ、ムラサキの蝶を思い出しなさい」
屋上の端まで追いつめられた嵯峨。振り返ると地上が見える。そこは、まさしく1年前の事件の現場…
ユカ 「そして、後悔にかられ、ここから飛び降りて、死ぬのよ!」
嵯峨 「由夏!やめろ!」
メスで突き刺そうとするユカの手を取り、メスを振り落とす嵯峨。だが、なおもユカの手は、今度は嵯峨の首を狙う。ユカの手を取り、身をかばいながら、ユカをもとに戻そうと必死の嵯峨先生。そして…
ユカ 「ムラサキの蝶、嫌いなの?」
− 河原でムラサキの蝶を石で砕く少女時代の由夏の姿
嵯峨はその断片的な記憶に、ユカの手を離してしまう。その瞬間、嵯峨の首に手をかけるユカ。
ユカ 「さあ、ムラサキの蝶を思い出しなさい。ムラサキの蝶を思い出しなさい。
忘れているものを思い出して、あなたの罪を償いなさい。
これはあなたへの復讐なの!」
ユカは嵯峨の首を圧迫し、催眠暗示により嵯峨を殺害しようとする。憎しみの表情のユカと、少女時代のユカの姿が重なる。そして、嵯峨と少年時代の嵯峨の姿も・・・。嵯峨の意識が薄れていく。
達矢 「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!!」
達矢の声に反応する由夏。一希は咄嗟に達矢の目に由夏の姿が見えないように、体を抱きしめる。ユカの中に由夏が目を覚ましはじめる。二つの人格が交錯じ、苦しみ始める由夏。
由夏 「逃げて。早く逃げて!」
嵯峨 「ゆ、か・・・? 由夏なのか?」
由夏 「これ以上、私に近づくと、今度こそあなたを殺しちゃう」
由夏は苦しみながら、嵯峨の首にかけていた手を離す。床に叩きつけられるように倒れる嵯峨。そして、由夏の姿にショックを受けた達矢の泣き叫ぶ声が響く。
嵯峨 「ゆ、か…」
きっと、吾郎君以外が主役のドラマだったら、ここで由夏ちゃんを捕まえ、改めて由夏ちゃんの治療をして、ハッピーエンドってなるんだろうなぁ(苦笑)
[東都大学付属病院 医局]
医局のソファーで横たわり、看護婦の熊井に足の処置をしてもらう嵯峨。
嵯峨 「ありがとう」
足の応急処置を終え、すぐに病院を飛び出そうとする嵯峨を外山が止める。
外山 「ダメだ。動くな。これからは警察に任せてもらいます」
嵯峨 「いや、でも、このままじゃ、彼女、人格崩壊してしまいます。早く行かないと…」
外山 「いい加減にいないか!!」
外山の顔を見上げる嵯峨。外山は厳しい表情で嵯峨を見つめる。
外山 「あんたのその甘さが、事件を大きくしたんだ。それが分かんないのか!」
でも、やっぱりこのシーンは、吾郎君の生足に注目ってことかしら(爆)(それにしても、なんだねぇ…(^^;))。
あと、ここはもう、外山さんが絶品ですぅ〜。
[東都大学付属病院 達矢の病室]
達矢と一希。特に一希からは何も声を掛けようとせず、どちらかというと無視している風で、達矢のベッドの横の椅子に座っている。
一希 「男の子なんだから、泣くのやめなさい」
達矢 「お姉ちゃん、僕に催眠かけてよ…。
催眠かけたら、さっき見た由夏お姉ちゃんの事、忘れられるでしょ。
僕お姉ちゃんの事、嫌いになりたくない」
[由夏の自宅]
灯りもつけず、部屋で泣き崩れている由夏。送られてきたムラサキの蝶の標本を手にしている。
由夏 「私が、私が人を殺してた…お願いだから、もう出てこないで!出て来ないで!!」
蝶の標本を鏡に向かって投げ付ける由夏。
結局、この蝶の標本もユカが送ったってことなのね。嵯峨先生の同情を引くための作戦だった、と解釈していいのかな?
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
明け方。足の負傷を処置した嵯峨は倉沢の元に。そして、倉沢の枕元で、静かに語り始める。
嵯峨 「蒼井由夏には、もう一人の人格が存在していました。
あなたが作り出したんです。あなたさえ由夏の記憶を消さなければ…。
僕は、あなたのことをずっと、尊敬してきました」
何も答えない倉沢。
嵯峨 「ずっと催眠を信じてきたのに… 黙ってないで何とか言えよ!!」
嵯峨の叫びに、ようやく倉沢が口を開く。自ら犯したことについては言い訳はできない、しかし、人の記憶を消すことで、人が救われることがある、少なくとも自分はそう信じて今迄やってきたと・・・
倉沢 「人に記憶が残るということはね、いい場合と悪い場合と両面あるんです」
嵯峨 「何、勝手な! 勝手な理屈を…」
倉沢 「嵯峨先生、あなたが今いるのは、私が記憶を消したからですよ」
その倉沢の言葉に、驚きの表情を示す嵯峨。
倉沢 「確かあれは、あなたが中学生のときだったかな。
私の所にカウンセリングを受けに来ましたね、情緒不安定で。
あのとき、あなたは記憶を封印することで、救われたんです」
嵯峨 「僕の、記憶を…封印?」
その倉沢の言葉に、ユカの言葉が嵯峨の頭の中で繰り返し思い出される。
『ムラサキの蝶を思い出しなさい…忘れているものを…ムラサキの蝶を思い出して…
思い出して、あなたの罪を償いなさい…』
ユカの言葉と、倉沢が消した記憶に繋がりが?嵯峨は倉沢に問いただす:
嵯峨 「何を消したんです!僕からどんな記憶を消したんですか!」
倉沢 「それはね・・・それは覚えていません」
倉沢 「ただ、嵯峨先生、あなたにだけはね、催眠を信じていてもらいたいんです。
お願いします」
こういう所の吾郎君の演技って、好きかもしれない、と思ったシーンでした。このシーンの前半の押さえぎみの哀しみを含んだ口調って、吾郎君ならではなんだよなぁ、と(いや、もちろん、今回は全てが吾郎君の魅力満載だったんですけどね)。
嵯峨先生の過去についてですが、倉沢にカウンセリングを受けたことがきっかけで精神科医になった。「ずっと尊敬してきた」というのは、倉沢を目標に、少年時代から頑張ってきた、ってことなのかなぁ。
[商店街]
外が明るくなって、嵯峨は家路についている。足を引きずりながら、1歩1歩、足取りを進める。
嵯峨 「ムラサキの蝶…俺が犯した罪。一体、俺は由夏に何をしたんだ…」
ユカが口にした言葉、『蝶、嫌いなの。蝶、嫌いなの?』を繰り返し唱えながら、自らの過去の記憶を辿ろうとする嵯峨。
目の前を父と娘の二人連れが通り過ぎる。だだをこねて泣きじゃくる女の子と、それを抱き上げて連れていく父親。そして、その父親に対して「やだやだ」と泣き叫ぶ女の子の声が響く・・・。
その女の子の叫び声が、嵯峨の失った記憶を呼び覚ます。
− 川縁でムラサキの蝶を石で砕いていた由夏に嵯峨は尋ねる。
嵯峨 『蝶、嫌いなの?』
由夏 『好き。お母さんが大好きで、集めてる』
嵯峨 『じゃぁ、何であんなことをしてたの?何か嫌な事でもあったの?』
由夏は、母親が好きな蝶を嫌いなわけではないと言うが、
家に帰ると父親の虐待が待っている生活を毎日送っている事を嵯峨に告白する…
泣き出す由夏に嵯峨は優しく声をかける:
嵯峨 『そんな家、すぐに逃げ出そうよ。僕が助けてあげるよ』
嵯峨は由夏に家を出るように、そして自分が連れ出してやると約束をしてしまう。
過去の由夏との記憶をはっきりと思い出した嵯峨。
嵯峨 「…僕が助けてあげるよ。僕が助けてあげるよ。
俺が由夏を・・・
そんな・・・」
由夏との記憶を全て思い出した嵯峨は、その場に崩れ落ちる。
こういう時の吾郎君の微妙な表情って、好きなんだよなぁ。記憶を思い出す直前の表情、そして、ぞの記憶が蘇り、力が抜けていくときの表情、1つ1つが素敵だわ(*^^*)。
ところで、最後の「そんな…」という台詞に 鷹男kun@危険な関係 が少し頭をよぎってしまった(ちひろちゃんを救えなかったときのヤツね)。今回もそういう意味では、子供の頃の由夏を助けられなかったという、同じような状況になるのかな?(早い話が、鷹男も嵯峨も人助けはできないキャラ、ってことか…(笑))。でも、両方、いいシーンなんだよね。
[由夏の自宅]
由夏の自宅前、多くのパトカーがとまっている。警察の家宅捜査が行われ、外山,牟田ら警察官となぜか警察と一緒にいる嵯峨(^^;)。由夏は既に姿を消したあとだった。警察は由夏の行き先の手がかりになるようなものを捜している。
牟田 「このまま何も見つからないかもしれませんね」
外山 「どういうことだ?」
牟田 「いえ。まるで過去を持ちたくなかったような、そんな気がして…」
そして部屋の中をウロウロと挙動不審の嵯峨先生(^^;)。鏡台に貼られた最初に会ったときの嵯峨の写真,北海道に行ったときの二人の写真を眺める。そして、北海道の美術館の蝶の絵「飛ぶ蝶」と同じ、由夏の部屋に飾られた蝶の標本…。
嵯峨 「!?」
縦2列に並んだ6匹の蝶のうち、右上の蝶が消えている。「飛ぶ蝶」の絵では右上の蝶が標本から飛び立とうとている。由夏の部屋の標本では、それと同じ位置の蝶が消えている。
『あの美術館もさ、また行こうな』
嵯峨と由夏、深夜の病院で手をつないで約束した言葉が思い出される。
[由夏の自宅前]
玄関の扉を開き、慌てて飛び出そうとする嵯峨を外山が制する。
外山 「嵯峨先生どこへ行くんです?!まさか、蒼井由夏の居場所がわかったんじゃ?」
嵯峨 「いいえ…」
蝶の標本から、1匹の蝶が消えていたことから、嵯峨は由夏は北海道にいると確信していた。外山の制止を振り切り、立ち去ろうとする。そんな嵯峨の後ろ姿に外山は:
外山 「先生! 死んじゃダメだよ」
嵯峨はその言葉を胸に受け止め、黙ってその場を立ち去る。
外山さん、格好良すぎ!!!。先週、朝比奈先生の前であたふたしていたオチャメなおじさんとは思えないわ〜(ただ、その後で、嵯峨を尾行して、北海道までついていくという強かさもあるんですけどね)。
ただ、この「死んじゃダメだよ」という言葉は、嵯峨は由夏のためなら死ぬ覚悟しているということを視聴者に分からせる言葉でもあるし、あれだけ嵯峨のことを「甘い」と言っていた外山が、そうは言っても、嵯峨の気持ちを十分、分かっていたという言葉でもあるという、ずしりと響いた言葉でした。こういうシーンでは定番の言葉なんだけど、外山さんが言うとまた良いんだわ…(^^;)
[春日時計店]
北海道へ出発の準備を済ませ、出掛けようとする嵯峨。時計店の中を覗くと、耕造とサチが相変わらず口論をしている。
耕造「一人暮らしがしたいってか?男ができたらすぐにこれだ。十年早いよ」
サチが耕造を残して、家を出たいと言っているらしい。変わらない二人の様子に、笑顔を浮かべる嵯峨君。
サチ 「あ、嵯峨さん」
嵯峨がいるのに気づいたサチと耕造は嵯峨に声を掛ける。
サチ 「嵯峨さん、ねぇ、どこへいくの?」
嵯峨 「あ、ちょっと」
サチ 「ねぇ、一度ぐらい一緒にご飯食べない?
いつもおじいちゃんと一緒だと飽きちゃってさ」
いつもなら、すぐに愛想のない返事をする嵯峨だが、今回は少し間を置いて:
嵯峨 「じゃあ、ごちそうになろうかな?」
サチ 「本当?」
耕造 「嵯峨さん、うまいもん作って待ってるからね」
いつもと変わらない二人に向かって、穏やかに微笑みながら、嵯峨は「はい」とだけ答えて出ていく。
ビデオ繰り返してみると、こんなシーンでも泣けてくるよ〜(;o;)。嵯峨君の決意が現れているような気がして。とはいえ、シーンとしては安堵を感じるシーン。サチと耕造の変わらない明るさが、かなり嵯峨を支えてるんだろうなぁ…。それに見ているこっちも支えられてますもんね。結局、この二人は事件に関わることは無かったけど、ドラマをプラスの方向に持っていってくれたキャラとしては非常に貴重でしたね。
それにしても、嵯峨さんって、結局、一度も耕造&サチと食事をしたことが無かったんだ…。
[東都大学付属病院 達矢の病室]
一希 「だめよ、そんな我がまま言ってちゃ。ちゃんと食べなさい」
食事を食べようとしない達矢君を一希はたしなめている。由夏が帰ってくるまで食事をとらないと一希に言う達矢。そんな達矢に、一希は達矢の頬を叩く。
一希 「由夏お姉ちゃんだって、今、すっごく辛いのに頑張ってるの!
達矢君も負けたらダメでしょ。
達矢君がそんなだと、きっと由夏お姉ちゃん悲しく思う。
達矢君にはどんなに辛い事があっても負けない、
そんな強い大人になって欲しいと思ってるよ、きっと」
その一希の言葉に、由夏を思いだし泣き出す達矢。一希はそんな達矢をしっかりと抱きしめる。病室の扉の覗き窓から、その様子を伺っている嵯峨に気づいた一希。一希は嵯峨に「達矢君のことは大丈夫だから…」というような視線を送る。
一希ちゃんに関しては、嵯峨先生の人を見る目があったということなのかしら?前回、「達矢君と接している君が本当の君だ」みたいなことを言ってたし。ちょっと一希ちゃんの(良い意味での)豹変ぶりは、もう少し説明が欲しかったところですが、夕べの病院の屋上での嵯峨&由夏の葛藤を見てしまった以上、由夏に同情する気持ちが表れたってことなのかな?
[東都大学付属病院 達矢の病室の外]
達矢の病室の前から立ち去ろうとする嵯峨の前に朝比奈が現れる。
朝比奈「由夏さんの所へ行くんでしょ」
その朝比奈の問いかけに黙っている嵯峨。そして・・・
朝比奈「私、見えちゃった…」
このシーン、最初見たときは、当然、次の展開を知らなかったので、朝比奈先生が何を言ってるのかよく分からなかったんですけど、見直すと、すっごく悲しいのだわ。で、さらにその後になってから、何で嵯峨先生はあれだけ必至に由夏を助けようとしたのに、朝比奈を助けられなかったんだ〜、と思ってしまう。ますます悲しいです。
[東都大学付属病院 テラス]
一人、椅子に腰掛けている朝比奈。錠剤を口にする。そして、落ち着いた表情でタバコを吸い始める。
こんなシーンなのに、朝比奈先生、綺麗…とかって思ってしまった(^^;)。
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
ベッドの上で、布団から右手だし、宙にかざす倉沢。自分の罪を思い返すかのように、横たわったままで、その手を眺めている。
このシーン、BGMの「迷路」の音楽と重なった感じが、ちょっとお気に入り。今回のドラマ、主題歌も、BGMの挿入のされかたとか、いい感じです。
[北海道時計台前]
北海道。嵯峨の乗ったタクシーが美術館へと進む。その表情は、堅く、険しい…
このシーンが無かったら、美術館を知らない人は、本当に北海道で撮ったんかい、って思うでしょうねぇ…(す、スミマセン、ドラマと関係なくて…(^^;))。車が走ってないところ見ると、かなり早朝に撮ったんだろうなぁ(^^;)。
[三岸光太郎美術館 トイレ]
一方、由夏ちゃんは鏡に写ったユカと対峙。自分の中に別人格のユカが存在することに気づいた由夏は、死ぬ決意をし、最後に蝶の絵を見に北海道までやってきたのだった。
ユカ 「こんな所まで連れてくるなんて、あんた一体何企んでるの?」
由夏 「蝶の絵を見ようと思って、最期に」
ユカ 「最期?」
ユカの虚像でしかない由夏。しかし、由夏はユカの意志に勝って、ここまで来れた。ユカの思いどおりには絶対にさせない…。
しかし、ユカは由夏に対して絶対的な自信を見せる。由夏が死ぬというのなら、由夏が死んでから倉沢への復讐を果たすと。そして:
ユカ 「もちろん、あんたの好きな嵯峨先生もね」
由夏 「それだけは絶対にさせない」
ユカ 「あんたに何ができるっていうのよ」
そして、由夏は自分の首に手をかける。ユカがこれまで行ってきた殺害方法で、自らを殺害しようとしたのだった。
由夏と鏡に写ったユカ。ありがちなシーンだけど、あまり違和感は無かったかな。それにしても、ユカだけじゃなく、由夏まで催眠が使えたとは…。お互いがお互いの存在を認識している証拠なのかな?あまり深く考えずに、続いての感動のラストに行ってみよう!(^^;)
[三岸光太郎美術館]
嵯峨君、遅ればせながら美術館に到着。脚の傷が癒えないまま、それでも駆け足で蝶の絵のある一画へ続く階段を急ぐ。その背後をユカが通り過ぎる。
嵯峨 「由夏!」
ここからが、本日のメインイベント!!!
[三岸光太郎美術館前(道庁敷地内)]
美術館の外に出てくる嵯峨とユカ。木で囲まれた空間。
ユカ 「今度近づいたら殺すって言ったわよね」
嵯峨 「ああ」
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
倉沢のベッドの横で座っている朝比奈。
朝比奈「ねぇ、教えて。どうしてあんな告白をする気になったの?
それから、嵯峨先生を呼び戻してわざわざ由夏さんの担当にしたのはなぜ?」
由夏の記憶が戻れば、15年間隠し通して来た倉沢の犯した罪も公にされる危険もある。朝比奈はその理由が知りたかった。
倉沢 「楽にして欲しかったんだ。僕はもう、どうしようもない弱い人間だからね。
自分では結局、自首する勇気も、ましてや死ぬ勇気もなかった。
もうね、ホッとしてるんだ、今は…」
う〜ん、倉沢先生がホッとするのはいいけどさぁ、今、嵯峨先生、そのせいで、命懸けで頑張ってるんだよぉ。朝比奈先生には同情するけど、倉沢先生には、ちょっと同情できなくなってしまった。少しでも、由夏ちゃんのため、とかいう言葉が出てくれば良かったんだけど…。
[三岸光太郎美術館前(道庁敷地内)]
嵯峨 「由夏、すまなかった」
嵯峨はユカに対し、深々と頭を下げる。
嵯峨 「子供の頃、君と出会った時の事を思い出した。
俺はあの日、本当に君を助けようと思った。
でも、いざその日になってみると、不安でたまらなかった。
実際、どうやって助けていいかも分からなかった。
心のどこかで君が来ていないことを祈っていた…」
− 約束の場所で待っている由夏。由夏の視線が嵯峨をとらえる。
怖じけづいて、由夏の元に行くことを躊躇する嵯峨。
その嵯峨を押しのけて、一人の男性が由夏の元に走って行く。
由夏 「やだやだ、やだよ助けて!やだやだ、やだよ助けて!…」
由夏を抱き上げ、強引に連れ帰る男性。その様子に嵯峨は怖くなって逃げ出した…
嵯峨 「俺は君にウソをついた。俺は君を裏切った。すまなかった」
ユカ 「どう、冬眠から目覚めた気分は?」
嵯峨 「由夏、今度こそ、今度こそ君を救いたい。一緒に帰って治療させてくれないか?」
ユカ 「もう無駄よ。死んで償いなさい」
嵯峨 「由夏…」
ユカ 「あなたが好きな由夏はもういない。完全に消したわ」
そんなユカの言葉にも、嵯峨はゆっくり首を振って、
嵯峨 「由夏が消えるはずがない」
と落ち着いて答える嵯峨。ユカはさらに言葉を続ける:
ユカ 「あの女は自分に催眠をかけて、私と心中しようとしたの。
蝶の絵を見たら死ぬって」
由夏の首筋にムラサキの蝶のアザを見つける嵯峨。
ユカ 「だから消してやったの。次はあなたの番ね」
嵯峨 「これで君の気が済むなら、復讐の気持ちが消えるなら俺はどうなってもいい。
ただ、倉沢先生は十分に苦しんだ。もう、許してあげてくれ」
ユカ 「許せる訳無いでしょ。あんな卑劣な男を!」
嵯峨 「違う!君の記憶は1つだけ間違っていたんだ…
君のお母さんを刺したのは倉沢教授じゃない」
[東都大学付属病院 倉沢の病室]
倉沢と朝比奈の二人だけの病室。朝比奈は全ての記憶を思い出していた。由夏の母親を刺したのは、自分だったと、自分勝手な父親を刺そうとして、過って由夏の母親を刺してしまったのだと…。
朝比奈「由夏さんのお母さんが、あなたを庇って私に刺されたの。
あなたは、私のために私の記憶を消したのよ」
倉沢 「違うよ。君の記憶が混乱してるんだよ」
朝比奈「悪いのは私だった。由夏さんをあんな風にしてしまったのも、
あなたが記憶を消したのもの、みんな私のせい…」
倉沢 「違う!・・・宏美、おまえさん、馬鹿だね」
朝比奈「一人で背負い込むなんて、ずるいよ・・・お父さん」
ここで、初めて朝比奈先生は、本当に「お父さん」って呼んだことになるのかな?
倉沢の「おまえさん、馬鹿だね」という言葉、そして朝比奈の「ずるいよ…」。言葉だけみると、とても軽いんだけど、余計に二人の関係が伝わってきて、悲しくなってしまうんですよね。全てが「見えちゃった」朝比奈先生がとても悲しい。
[三岸光太郎美術館前(道庁敷地内)]
嵯峨 「朝比奈先生が君にそう伝えてくれと…」
ユカ 「だから何なのよ。それで私の憎しみが消えると思ってるの?
あの男が、ただ娘を庇ってるだけじゃない」
嵯峨 「どうしても許せないのか!どうしても復讐するのか!!」
ユカ 「決まってるでしょ」
朝比奈からの告白もユカには届かない。そして嵯峨は最後の決意をし:
嵯峨 「わかった…
君は俺を殺せ。俺は君を殺す…」
と悲痛な言葉を口にする。しかし、それでもユカは冷静に言い放つ:
ユカ 「死ぬのはあなただけよ・・・」
嵯峨とユカ、お互いがお互いの首筋を押さえ合う。ユカは嵯峨を殺そうと催眠の言葉を繰り返す。
ユカ 「心臓の鼓動が遅くなる。心臓の鼓動が遅くなる。心臓の・・・」
そのユカの暗示に、苦しみ始める嵯峨。二人が絡みながら、嵯峨は少しずつ後退する。そして、追いつめられた嵯峨がユカの耳元で発した言葉は:
嵯峨 「愛してる…」
その言葉が由夏に届き、由夏は苦しみ始める。嵯峨の首から手を放し、嵯峨を置いて走りだす。苦しみで地面に崩れ落ちる嵯峨。由夏の後ろ姿が霞んで見える。
嵯峨 「!」
嵯峨は由夏が美術館の中へ行こうとしていることに気づく。先程ユカは、由夏が蝶の絵を見たら死ぬと言った。そうであれば、由夏が蝶の絵を見たら自らにかけた催眠により死んでしまう!!
嵯峨 「由夏、行っちゃダメだ!!!由夏〜〜」
なんとか起き上がり、乱れる呼吸を整えながら、そして脚の痛みをこらえながら、由夏の後を追おうとする嵯峨。そこにパトカーが到着し、嵯峨が美術館の中に入ろうとするのを遮る。
嵯峨 「ちょっとどいてくれ!」
警官 「ここは閉鎖します!離れて!」
嵯峨 「離せよ!由夏!!」
嵯峨先生と由夏ちゃんの首の絞めあいっこを見て笑いたいヤツは笑え!折角のシーンなのに、笑うなんて勿体ない!(断言)。ここはそういう事を抜きにして、どっぷりと浸るに限るのだ!(爆)
だって嵯峨先生の由夏への言葉が「愛してる」ですよ。映画を見た人間には、なおさら感慨深いものがありましょう(だから外山さんには「甘い」って言われるんだけどね)。由夏を殺すと言っておきながら、ギリギリまで実行しない嵯峨。そして、そのギリギリで発した言葉が「愛してる」ですもん。この1つ1つの嵯峨の表情が辛くて、悲しい。
[三岸光太郎美術館内]
苦しみながら、2階の蝶の絵のある一画へと進む由夏。
[三岸光太郎美術館前(道庁敷地内)]
遅れて、外山,牟田がやってくる。嵯峨を押さえている警官がそちらの方に一瞬、気をとられた隙に嵯峨は抜け出し、美術館の中へと進む。
[三岸光太郎美術館内]
階段を駆け上がろうとする嵯峨。しかし脚の傷が開き、血が吹き出している。脚を押さえながら、賢明に後を追う。
3カ月前の北海道の楽しい思い出が頭の中を駆け巡る。おどけながら、はしゃぎながら巡った観光地。そして、この美術館で約束した言葉:
『いつか一緒に来よう』
2階に到達した嵯峨。見ると、奥の空間に由夏がこちらに向かって立っている。そのまま駆け寄る嵯峨。ゆっくりと、今いる空間を見渡す。蝶の絵は、3カ月前にあったはずのその場所には見当たらない。
嵯峨 「・・・よかった。絵、見てないんだな。よかった」
安堵の表情を見せながら、嵯峨はそのまま由夏を抱き締める。外山らが遅れて2階に上がってくる。二人の様子を見て、警察官が踏み込もうとするのを、外山は制止する。
由夏を抱き締め続ける嵯峨だが、鏡に、あの蝶の絵が写っているのが目にとまる。言いようの無い不安が嵯峨の心を支配する。由夏を抱き締めたまま、慌てて180度、体を回転させる嵯峨。その嵯峨の視線の先には、となりの区画に飾られた蝶の絵があった。
由夏の息が荒くなり、そのまま崩れ落ちる。それを必死に支えようとするが、そのまま嵯峨の腕の中に由夏が横たわる。
由夏 「ごめんね。こうするしかなかったの。あなたを守るには・・・。
私ね・・・あなたのこと、恨んだことなんてない。ずっと好きだった。
私の・・・初恋だった」
由夏の頬に一筋の涙が流れる。
嵯峨 「由夏!由夏!!死んじゃダメだ!由夏!由夏!由夏!!」
無我夢中で由夏をソファーの所にまで引きづっていく嵯峨。そして、由夏の頭をソファーの上に載せ、脈を診てから、由夏を助けようと、催眠を解こうと、震える声で必死に由夏に言葉を投げかける:
嵯峨 「いいですか、今から手を叩くと、あなたは催眠から目覚めます。
私の合図で催眠から目覚めます」
由夏 「達矢君くんのこと、お願いね」
嵯峨 「俺の声聞いて!!
私の合図で催眠がとけます。3、2、」
「1」と、最後の数字を数えようとしたとき、由夏はゆっくりと右手を嵯峨の頬にあてる。
由夏 「あ、り・・・ありがとう」
嵯峨の頬からゆっくりと由夏の手が離れる。嵯峨に抱かれて、由夏は笑顔を見せながら息を引き取る。嵯峨はそのまま、ソファーに顔をうずめて泣き崩れる。
そして、ゆっくりと頭を上げる嵯峨:
嵯峨 「もう一度言いますよ、私の合図であなたは催眠から目覚めます。
私の合図で、あなたは催眠から目覚めます。3,2,1・・・」
嵯峨が手をたたく音が館内に響く。標本から飛び立った蝶の絵…
ここで泣かなきゃどこで泣く、という素敵なシーンでした。人が死ぬシーンで素敵というのは不謹慎なんだけど、実はかなりすごい死に方をしているにも関わらず、綺麗なんですよねぇ。
美術館に入ってからの3ヶ月前の映像の挿入も効果的だった。それに、鏡に写った蝶の絵を嵯峨が見つけて、由夏が見ないように180度回転させたシーンも上手いし、由夏ちゃんの最期はとても綺麗だったし(最後は素直に由夏ちゃんを素敵だと思った(オイオイ))、嵯峨先生は最後まで役立たずだったし(^^;)、それでも嵯峨の言葉にならない声は切なかったし。そして最後に、無駄だと分かっているのにそれでも催眠を解こうとした嵯峨の手を叩く音が響いた美術館の1室・・・
泣くよ、ホント、泣くに決まってるじゃない… (;o;)。(スミマセン、単純に出来てるもので…)
[エンディング]
エンドロールは今回は主題歌無し。セミの音だけが響いてます。これがじ〜んとくるんだな。
遠くで、嵯峨の様子を見つめている北海道の警察官達と外山,牟田。
某刑事「何やってんですか?」
外山 「催眠だよ」
夕刻
一希に励まされ、明るさを取り戻した達矢君。元気に食事を食べています (^o^)。
一希 「達矢君、おいしい?」 達矢 「うん」
倉沢にもたれかかるように、倉沢と共に死んでいる朝比奈 (ToT)。
嵯峨の帰りを待って、夕飯の支度をする耕造とサチ (^o^)。
サチ 「しつこいっておじいちゃん」
耕造 「何で?」
サチ 「おじいちゃん、一個しか食べないでね」
そして、椅子にもたれて肩に腕をまわして座っている嵯峨と由夏の後ろ姿。夕方の柔らかな日差しが二人を包む… (ToT)。
嵯峨のモノローグ 『窓カラ・・・(三岸好太郎の詩)・・・再ビ飛ビ出スコトハ自由ダ』
このエンディングロールは、やられたな、って気がした。てっきり、最後は「迷路」が流れると思っていたのが、BGM無しのこのシーン。逆に胸に様々な思いが突き刺さってきます。
[商店街]
そして 2001年夏。風鈴の鳴る商店街。元気にジャンケンをしながら歩く嵯峨と達矢の姿:
二人 「最初はグー、じゃんけんポン!あいこでしょ!」
嵯峨 「よっしゃー」
達矢 「あ、負けた」
二人 「最初はグー、じゃんけんポン!」
嵯峨 「ああ」
達矢 「やった!」
二人 「最初はグー、じゃんけんポン!」
嵯峨 「(後だしをして) ぽん(^^;)」
達矢 「ダメ」
嵯峨 「何だよ〜」
達矢 「だめ!」
1年後の嵯峨先生。最後の描写、賛否両論あるかもしれないけど、私は好きです (普通は○年後、という描写は私は嫌いなんですけどね)。少なくとも嵯峨は明るく生きているということだけは、私にとっては救いだった。嵯峨先生、由香を失ったときとは違って、今回はすぐに立ち直った…と信じたい。それに2001年夏というのも、それはそれでよかったかな。やっぱり、この1年という期間は、それなりに意味があるようにも思えるんですね。それは見ているこっち(私)にとっても、1年という期間は意味があるし。
それにしても、同じ夏という季節に、命がけの恋を2度も経験したんだよね、嵯峨先生は・・・。
さてさて、最終回。個人的にはかなりよかったかな?だって、泣いちゃったんだもん(:o:)。泣いてしまった以上、良くなかったはずがない!(^^;)。しかも、最初に見たときより、2度目,3度目と見直した方が泣いてしまった。最初は、当然、伏線が分からずに見ていたわけですが、2度目,3度目はその後どうなるかがわかっているだけに、1回目で泣かなかった所でまで泣けてくる…(私ってば完全に制作者の思うツボ)。
ドラマについて、色々と思うところはあるんですけど、1週間経ってもいまだに考えがまとまらずにいます。それだけ、最終回の内容が後を引いています。今はもうしばらく、余韻に浸っていたいと思います(ちゃんとまとまれば、また追ってアップします>ホントか?)。こうやって、レポを書いていても、泣きそうになってしまうんです…。m(_ _)m (00.09.24)
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