催眠 hypnosis

吾郎君中心レポ


〜 CASE8 謎の扉が開いた 〜


[東都大学付属病院 廊下]

朝。病院の通路を急ぎ足で嵯峨が歩いている。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

嵯峨が部屋に入ると、由夏が車椅子に座っている。

  嵯峨 「どうした、話があるって?」
  由夏 「また、ゆうべの記憶がないの」

と嵯峨に訴える由夏。

[東都大学付属病院 庭]

車椅子の車輪が回る。
嵯峨は由夏の車椅子を押して、外に出てくる。

  由夏 「ぼんやりと霞がかかったみたいで、思い出せないの」
  嵯峨 「そっか、わかった。でも、もう大丈夫だ。心配しなくてもいい。
      体の調子さえ元に戻ったらまた治療を始めようと思っていたんだ。
      君さえよければ今日から始めてもいい」

そして嵯峨は由夏に達矢が病院に戻ってきたことを話す。笑顔を見せる由夏。ただし、今は絶対安静で面会はできないことも…;

  嵯峨 「また、母親に捨てられてしまったみたいなんだ。
      ショックでお化けネズミの幻視も再発している」
  由夏 「酷い…」
  嵯峨 「まぁでも、いいように考えればこれで誰にも邪魔されずに治療ができる訳だし」
  由夏 「でも…」
  嵯峨 「心配するなって。達矢君ならすぐに治してみせる。二人まとめて俺が治してやるから」

その言葉に笑顔を由夏。

今回、若干、嵯峨先生の発言に首を傾げちゃうんだよねぇ。達矢君の話も、母親に捨てれられたことで治療をしやすくなったというのは、確かにそうなんだけど、もう少し言い方があるでしょう、と。「二人まとめて俺が治してやる」とか言っちゃって、今回、あまりに自信ありげな嵯峨先生がちょっと嫌だった。頼もしいと言えばそうなんだけど、そんなに簡単に1年前の傷って消えちゃうの?「過去の傷があるから、今、こういう風に考えられるようになった」という雰囲気を台詞に含んで欲しかったなぁ、と思ってしまった。こんな風に感じたの、私だけかもしれないけど…。

[警察署 屋上]

涼平の飛び降りた場所で、独り、考え事をしている外山。そこに急ぎ足で牟田がやってくる。涼平の司法解剖の結果、不審な点が見つかったことを外山に告げる。

そうこなくちゃ、って感じの展開!

[東都大学付属病院 狩辺の診察室]

静かにオルゴールを回し続ける狩辺先生。思い詰めたような表情をしている。

  狩辺 「ママ・・・」

[東都大学付属病院 受付付近]

嵯峨と朝比奈が廊下で立ち話をしている。

  朝比奈「色々、ご心配かけて、申し訳けありませんでした」

朝比奈は暫く休暇を取り、みきの一件だけは最後まで対応したいという意志を嵯峨に告げる。その朝比奈に、嵯峨は優しく声を掛ける;

  嵯峨 「大変だけどさ、そういう立ち向かわなきゃいけない時があるんだと思う、
      俺たち医者にはさ。応援するよ」
  朝比奈「ありがとう、じゃ」

そして、朝比奈と分かれて診察室に向かう嵯峨。その様子を奥の受付から伺っている一希。

???結局、狩辺先生が朝比奈先生に与えた催眠暗示はどうなったんだろう?解けたの,まだ解けてないの?よくわかんない…(涙)

[東都大学付属病院 嵯峨の診察室]

外来の診察を始める準備をしている嵯峨。部屋に入ってきた看護婦の一希に、嵯峨は由夏の治療の予定を午後の外来の後に入れるように依頼する。そんな嵯峨を見て一希は:

  一希 「嵯峨先生、蒼井由夏さんの催眠療法、始めるんですか?」
  嵯峨 「そのつもりだが、なにか?」
  一希 「催眠で過去のトラウマを探ったりするんですよね」
  嵯峨 「ああ」
  一希 「そんなことよくできますね。
      蒼井さんから何かどんでもない記憶でも出てきたらどうするんですか?」
  嵯峨 「どういう意味だ?」
  一希 「まぁ、そうなれば蒼井さんのこと嫌いになるかもしれないですね、
      さすがの嵯峨先生も…」

嵯峨が一希のその意味を尋ねようとしたとき、外山が診察室に飛び込んでくる。部屋を出ていく一希。

  嵯峨 「何ですか今度は?まだ何か用でも?」
  外山 「大有りです」
  嵯峨 「僕にはもう関係の無いはずです。帰って下さい」

外山を振り払って嵯峨は部屋を出ていく。

[東都大学付属病院 精神科の廊下]

部屋の外に出た嵯峨のすぐ追って、外山も診察室を出てくる。そして嵯峨の背中に向かってショッキングな事実を告げる;

  外山 「嵯峨先生!日向涼平、あいつも被害者だったんですよ!!」
  嵯峨 「!」

驚きの表情を見せる嵯峨。そして、その場に居合わせた一希,狩辺,朝比奈も外山の方を振り返る。

  外山 「真犯人じゃなかったんですよ、日向涼平は。自殺じゃなかった…
      その直前に急性心不全になって、落ちただけだったんですよ。
      その証拠にあいつのここ(くび筋)にもムラサキの蝶の跡が残ってました。
      誰かが催眠か何かをかけて、あいつに嘘の自白をさせた。
      きっとこの近くにいる誰かが・・・」

嵯峨に向かって外山は話を続ける;

  外山 「先生とはまだまだ長い付き合いになりそうです。
      蒼井由夏の過去から何から、もう一度、徹底的に調べさせて頂きます」
  嵯峨 「・・・」

こういう緊張したシーンって、好きです。外山さん、律義に捜査報告を嵯峨先生にしてくれるなんて…(笑)

[東都大学付属病院病院 渡り廊下]

通路を進む嵯峨。はしゃぎながら走り去る子供達の列とすれ違う。

  嵯峨のモノローグ 『窓カラ・・・(三岸好太郎の詩)・・・再ビ飛ビ出スコトハ自由ダ』

このモノローグの時に、これまで色々な人と嵯峨先生はすれ違ってきてるんですけど、何か意味があるのかなぁ。


タイトル −催眠− Case8

[東都大学付属病院 嵯峨の診察室]

診察室の椅子に座って嵯峨の催眠治療を受けている由夏。既に催眠状態に入っている:

  嵯峨 「それでは、今からあなたの記憶を溯って、現在からずっと遠い過去へと
      そう、あなたが小さな子供だった頃まで誘導していきます」

由夏の10才の記憶。『希望の園』でクリスマス会をしている楽しい記憶が現れる。みんなでロウソクを持って歌っている…。

  嵯峨 「それではその楽しいクリスマス会のことは忘れて、もう少し時間を溯って
      みましょう。そう、あなたが『希望の園』のにやってくる前のことを
      思い出します。いいですね。何か見えて来ましたか」

すると、徐々に由夏の顔が険しい表情に変わり、恐怖に怯えはじめる由夏:

  由夏 「熱い!熱い!やだー!熱い!やめてー!!」

う〜ん、折角の嵯峨先生の催眠治療の場面なのに、私の気持ちが盛り上がらないのはなぜ?何が悪いっていう訳じゃないんだけど、何か物足りない。映像的になのか、音楽的になのか…(すみません、中途半端な感想で)。ただ一つ、由夏ちゃんの過去の記憶、火事のシーン、もうちょっとリアルに出来なかったのかなぁ。もしくはリアルが無理なら逆に徹底的に幻想的にするとか。なんか単純に由夏ちゃん@当時10才と炎との合成の仕方が安っぽく感じちゃったんだよなぁ。最後の回想シーンも同じなんだけど、今回、かなり要となるシーンだっただけに残念!

[竹下みきの自宅 玄関]

朝比奈はみきの家にやってきた。直接、両親を説得しようと言うのだ。しかし、インターフォンごしにみきの母親と話を朝比奈だったが、やはりみきには会わせてもらえない。

この辺りは原作をイメージさせる場面ですね。この部分だけは最後まで原作通りにいって欲しいなぁ。

[東都大学付属病院 嵯峨の診察室]

  嵯峨 「落ち着いた?」

興奮状態にあった由夏の催眠を解き、静まったのを見て、嵯峨は由夏に声を掛けた。由夏は、催眠中に最後に見た光景について話をする由夏。周りに火が一杯でとても怖かったと…。

  嵯峨 「よく頑張ったよ。今日はこれで十分だ。
      君の心の中に何か怖さがあることがわかったんだ。
      怖さが何なのか、これから焦らずに見つけていけばいい。
      何も心配することはない」

その嵯峨の言葉に、静かに「わかりました」とだけ答える由夏。

[東都大学付属病院 医局]

夜。医局に戻ってくる嵯峨。カルテに治療の内容を記載している

  嵯峨 「10歳の記憶。炎。希望の園…」

由夏の記憶になる手がかりを探すため、嵯峨は由夏が幼い頃にいた児童養護施設 希望の園に行こうと考える。電話帳で住所を調べる嵯峨。そこに一希が部屋に入ってくる。
  一希 「お疲れさまです。達矢君、大丈夫でした。お薬無しでもぐっすり寝てます」

とりあえず「ありがとう」と言いながらも;

  嵯峨 「なぁ、君が昼間、言ってた事なんだけど…」

と、嵯峨は気になっていることを一希に尋ねる。

  一希 「先生って、本当に蒼井さんのこと、信じてるんですか?警察にも
      まだ疑われてるんですよね。なのにどうしてそこまで信じられるんですか?」
  嵯峨 「君こそどうして蒼井さんの事、そこまで言うんだ?何か理由でもあるのか?」
  一希 「羨ましい、蒼井さんって。あんな嘘つきなのに…
      『この絵が私達を引き合わせてくれたのかしら?』」

一希は由夏が札幌の美術館で嵯峨に言った言葉を口にする。

  一希 「あれ運命なんかじゃありませんよ。彼女、札幌だって初めてじゃありません。
      あれはみんな嘘です。みんな彼女が企んだ事です。
      それが何なのか知りませんけど。
      何なら蒼井さんに聴いてみたらどうですか?」
そしてそのまま部屋を出て行く一希。

一希ちゃん、言うなら言うではっきり全部言っちゃおうよ〜。そんな小出しにしないでさぁ(笑)。それにしても、北海道の話をここで出すとは…。嵯峨先生、もっと問いつめなくていいの?

[東都大学付属病院 狩辺の診察室]

真っ暗な部屋でオルゴールを回し続ける狩辺。徐々に速度が速くなっている。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

眠れずに起きている由夏の病室に嵯峨がやってくる。一希の言葉がどこか気になっている様子。

  嵯峨 「気分でも悪いのか?」
  由夏 「ううん」
  嵯峨 「そうだ、達矢君、明後日ぐらいなら会っても大丈夫そうだ」
  由夏 「本当に!楽しみだな」
  嵯峨 「達矢君も喜ぶ。さぁ、早く寝ないと」
  由夏 「おやすみ」
  嵯峨 「おやすみ」

嵯峨は結局、一希から聞いた話を由夏にすることができずに部屋を後にする。

[春日時計店]

翌朝。ご出勤の嵯峨君、耕造とサチが朝から口論している現場に遭遇します。サチが男と旅行に出掛けたのを隠していたことにご立腹の耕造(笑)。

  嵯峨 「まぁ、まぁ、おじいちゃんそんなに興奮しないで。
      隠し事ぐらい、誰だってあるじゃないですか。
      じゃぁ、おじいちゃんは全くありませんか?」(揚げ足取り嵯峨君(^^;))

嵯峨の言葉に咄嗟に口に手をやる耕造。

  嵯峨 「ホラ、口に手、当てた。それは何か隠している証拠(^^;)」
  サチ 「ほーら」
  嵯峨 「(笑)。いってきます」

明るい嵯峨君、好きです。でも、普通なら隠し事は良くないよ、って言いそうなのに、サチの立場を肯定するのは由夏ちゃんの事が頭にあるからなんでしょうね。

[竹下みきの自宅]

朝比奈は再びみきの家にやってきた。対応に父親が出てくるが、相変わらず態度は変わらない。

[児童養護施設 希望の園 一室]

由夏が育った施設にやってくる嵯峨。その当時の由夏を知っている女性(今の園長?)に面会する。当時の由夏は性格もおとなしく、優しい子供であり、当時の園長が養子縁組をしたという。由夏は母一人の家庭だったが、母親を火事で亡くし、この施設にやってきたのだと。そしてそのときは既に過去の記憶をすべて無くしていたと。
そして嵯峨は当時の由夏の写真を見せてもらう:

  嵯峨 「!この子は…」

見せてもらったアルバムに写っていた10歳の由夏は、まさしく嵯峨の夢の中に現れ続けている少女だった。

ようやく嵯峨と由夏がつながりましたね。まだまだ謎は解き明かされてないけど、とにかく過去に何かあったということだけは見えてきました。

[東都大学付属病院 庭]

車椅子で庭を散歩する由夏。その周りに1匹のムラサキの蝶が舞う。

  由夏 「蝶々!」

ムラサキの蝶が実際に画面に登場しました。今迄は標本の形でしか登場しなかったのに、今回は実態(だよね)をもって現れてきています。何かの兆し?
それにしてもさぁ、これだけムラサキの蝶にまつわる事件が起きているのに、なんで由夏は蝶を見てそんなに嬉しそうにする訳?蝶が好きなのは分かるけど、これだけ色な事があったら、もう見たくもないと思うのが普通じゃないかなぁ…。

[竹下みきの自宅]

父親が家に引っ込み、一人残された朝比奈。引き返そうとしたとき、母親の香織が声をかける。この先の公園で待っていて欲しいと…。

[公園]

香織の計らいで、朝比奈はようやくみきと話をすることが出来た。

  朝比奈「指輪どうもありがとう」

朝比奈は改めてみきに礼を言った:

  朝比奈「先生ねぇ、今病院に行ってないの。サボってんだ〜
      行きたくないときに行っても仕様が無いでしょ。楽しくないもんね」

ゆっくりと話しながら、徐々にみきとコミュニケーションを取ろうとする朝比奈。みきに何が好きか尋ねる。

  朝比奈「じゃぁさ、一輪車はどう?」

とうとう出ました一輪車!原作読んでると、同じエピソードで話が進みそうで、嬉しくなっちゃいますね。

[養護施設 希望の園の廊下]

自分の夢に出てくる少女と幼い頃の由夏が同一人物であることに衝撃を受けている嵯峨。

  嵯峨 『一体どういう事なんだ。俺と由夏には過去に何か関係が…。
      まさか、こんなこと偶然だ…』

これ以上、何も情報も無く、引き上げよう廊下を進む嵯峨。その廊下に掲げられている子供の描いた一枚の蝶の絵に目が留まる。そしてその絵を描いたのは;

  嵯峨 「桜庭一希?」

ここで一希ちゃんの当時の絵を見かけるなんて、すっごい偶然…(苦笑)。

[朝比奈のマンション]

マンションのエレベータの扉が開き、朝比奈が降りてくる。部屋に向かう廊下を進もうとすると、目の前には部屋の扉の前でうずくまった狩辺がいた。明らかに様子がおかしい。

  狩辺 「お別れの挨拶がしたくて…」
  朝比奈「お別れ?」
  狩辺 「病院やめることにしたんです」

狩辺は朝比奈に、元々、母親に言われたから精神科医をやっていたにすぎない、自分には向いていなかったことを独白し始める。そして…;

  狩辺 「本当はあなたのことが欲しかったのに…あなたのことが好きだった…。
      なのに、あなたが無視するから、僕はあんなことを…」

狩辺の迫力に思わず突き飛ばしてしまう朝比奈。そして狩辺は弱々しく言葉を続ける:

  狩辺 「僕はもう母親の亡霊には惑わされない、僕は僕の道を生きて行くんだ。
      生きて行くんだ!それだけ言いたくて…」

狩辺先生、恐すぎる。でも、一体、狩辺先生に何があったんでしょう?なんか、朝比奈先生のマンションって、恐いシーンばっかり(笑)。

[朝比奈のマンションの玄関]

朝比奈と別れた狩辺は一人マンションの玄関まで出てくる。そしていつも大事に持っているオルゴールを地面に叩きつける。

少し、狩辺先生も救われたのかな?そんな気がしたこのシーン。ずっと母親の幻影に取りつかれてここまで生きてきた狩辺先生。その幻影から自ら飛び出すことが出来たのでしょうか?

涼平君も、結果的に死んじゃったのだけど、「蝶のように強く,高く跳べた…」という幻想を追いすぎて死んじゃったのだろうか?という気も少ししてるんですね、私。映画版が"何らかの罪悪感からくる自殺願望が死を招いた"というパターンなら、ドラマ版は"自らが何かを乗り越えようとして死んじゃった"みたいな解釈になるのかなぁ、とか (かなり強引なのは分かってますが…)。などなど、色々と考えてしまってます。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

夜。ロウソクの炎を見ながら、ずっと起きている由夏。

今回のドラマ、ロウソクだったりライターやマッチといい、炎ってビジュアル的に目立ってますよね。由夏ちゃんの過去の火事の時の記憶を連想させようとしているのかしら?それとも、もう少し隠された意味がある?

[オープンカフェ?]

各テーブルの上に置かれているロウソクの炎が揺らめく。テーブルに座って面している嵯峨と一希。

  一希 「先生から誘ってくれるなんて思ってもみませんでした」
  嵯峨 「悪かったな、こんな時間に…」
  一希 「でも、どうせ蒼井さんの話なんでしょ」
  嵯峨 「まぁ、そうだ。今日、希望の園に行って来た」
  一希 「私があれだけ言ったのに、それでも由夏の過去、調べてるんだ」
  嵯峨 「教えてくれないかな、君が知っていること全部。希望の園で何があったのか。
      あそこにやってくる前の事も。いや、知ってる事だけでいいんだ。
      みんな教えて欲しい」
  一希 「何でそうなのよ!何で由夏の事になるとみんな一生懸命になるの!!
      どうしてあの女ばかりいい思いをしなきゃいけないのよ!
      先生、由夏に札幌の事、聞いてみた?」
  嵯峨 「いや」
  一希 「どうして聞かないの?嘘ついてるのが分かっちゃうのが怖いから?」
  嵯峨 「(笑)。違うどっちだっていいんだよ、そんなこと俺は

由夏に敵対心を抱く一希に、こう言い切る嵯峨。

  嵯峨 「君と由夏の間にどんな事があったのかは知らないけど、今は、
      どんな小さな事でも治療の役に立つかもしれない。だから教えて欲しい」

由夏に対し、絶対的な信頼を寄せる嵯峨に、とうとう我慢ができなくなってくる一希;

  一希 「あの女は先生が思っているような女じゃないの。
      あの女は、あの女は、私のお父さんを殺したのよ!」

嵯峨に衝撃的な言葉を放って席を立つ一希。店に一人残された嵯峨;

  嵯峨 「殺した・・・」

嵯峨先生、強くなったね。「どっちだっていいんだよ」という台詞は、Case8の中で、私自身は一番好きな台詞です。そうなんですよね、もうそんなことで悩む次元は通り越しちゃってるんですよね。何が出てきても恐れないそんな雰囲気を感じました。

[東都大学付属病院 狩辺の診察室]

  水木 「きゃあーーー」

水木の悲鳴が病院中に響く。部屋の中では狩辺がオルゴールを手にして、死んでいた。
子供の笑い声が響く。

[東都大学付属病院 達矢の病室]

達矢の笑い声が病室で響いている。由夏が達矢の見舞いにやって来ていたのだった。その様子を外から見ている嵯峨。

  看護婦「嵯峨先生、大変です!」

狩辺先生の死んだ映像に達矢君の笑い声が重なって、静かな恐さを感じてしまった。

[東都大学付属病院 精神科廊下]

病院の玄関口にはパトカーが集まってきている。

嵯峨と外山が精神科の廊下で話をしている。

  外山 「先生、とうとうこんなに近くからも死人でましたね」

ゆっくりと椅子に腰掛ける外山。

  外山 「今ね、色んな可能性を考えているんですよ。催眠を使って人を殺すことができる。
      まぁ、そのことは私も信じない訳にはいかなくなりました。そしたら、
      みんな怪しいんですよ、嵯峨先生も、朝比奈先生も、死んだ狩辺先生も…」

その外山の言葉に怒りの表情を表す嵯峨。

  外山 「いやちょっと聞いてくださいよ。
      実際催眠が使われたとしたら、みなさん専門家な訳でしょ。
      動機だってなくはないんだ。
      嵯峨先生の場合は、蒼井由夏の為に周りの男達を排除していった…。
      朝比奈先生の場合はあくまでも狩辺先生を狙っていたが、それをカムフラージュ
      するために、事件をおこした…ま、そういう具合にね」
  嵯峨 「随分無理な考え方ですね」
  外山 「確かに…。でもね、もし先生が言われているように、蒼井由夏が犯人じゃ無い
      としたら、そういうことになりません?」

そこに朝比奈が駆けつける。黙って首を振って手遅れであることを示す嵯峨。

ここでまたまた由夏ちゃん犯人説が実際の問題として浮上!う〜ん、ますます分からなくなってきた。
そういや、嵯峨先生にも蝶の標本は送られてきているんだよなぁ。心配じゃないの、嵯峨君?

[東都大学付属病院 由夏の病室]

一希が由夏の傷口の消毒をしにやてくる。

  一希 「今日は嵯峨先生、治療は無理みたいよ」

そして、一希は由夏に狩辺が今度はムラサキの蝶殺人事件の被害者としてこの病院で発見されたことを話す。そして希望の園に嵯峨が行ったことも…

  一希 「あんたも早く記憶を取り戻さないと。どんな記憶が出てくるか楽しみだわ…」

[東都大学付属病院 オープンテラス]

嵯峨と朝比奈のツーショット。

  朝比奈「みきちゃんのね、不登校の原因が一輪車だと分かったの」

朝比奈はみきが一輪車に乗れないことをばかにされるのが怖くて学校に行かなくなったのだと話す。朝比奈は催眠によるイメージ法の事を考えたのだが、今回の一連の事件で怖くてできなくなっていた。

  嵯峨 「それは違うんじゃないか。催眠が恐ろしいんじゃなくて、催眠を酷い事に
      使おうとする人間が恐ろしいんだ。催眠だって使い方次第だろう。
      人を傷つける事もあれば、救う事もある。
      だから俺達はこれまでやってきたんじゃないか?」

そして嵯峨は催眠を使わなくても治療はできるし、と朝比奈に助言する:

  嵯峨 「でも、俺たち医者は逃げられない。逃げちゃだめだ」

[東都大学付属病院 由夏の病室]

夜。由夏の病室を尋ねる嵯峨。嵯峨は由夏に、希望の園に行ってきたことを打ち明ける。そして、由夏と一希の関係を聞こうとする嵯峨;

  嵯峨 「なぁ、1つ聞いてもいいかな?桜庭さんと何があったのかな。
      彼女、君が自分のお父さんを殺したって言ってた。俺に話してくれないか?」
  由夏 「話したくない」
  嵯峨 「うん。催眠治療を続けていけばどんな辛い記憶を思い出しても不思議じゃないんだ。
      それは俺だって辛いし。でもその覚悟は必要なんだ。
      俺だけじゃなくて、君にも・・・。
      君の過去にどんなことがあっても俺はかまわない。
      だから話せることはみんな話して欲しい。由夏・・・」

そして由夏は、ゆっくりと一希との関係を話始める。一希は借金苦の両親に捨てられ、由夏より少し後に施設にやってきた。その1年後、一希の父親が見つかり、施設で住み込みで働くようになり、由夏のことを気遣った一希は、二人のお父さんにしようと約束してくれたのだった。だが、由夏は一希に嘘をつき、お父さんと二人だけで出掛けた。バス停でバスを待っているときに;

  由夏 『あ、蝶だ・・・』

紫の蝶を見て車道に飛び出した由夏をかばって、一希の父親は車にはねられてしまった。

  嵯峨 「それで桜庭さんは君のことを…。でもそれって事故だ。君が殺したんじゃない」
  由夏 「そんな風に慰めないでよ。覚えているだけでもこんな過去しか私には無いの。
      本当はこれ以上、何も思い出したくなんかない」

[東都大学付属病院 庭]

翌日。一人散歩している由夏に、困ったことがあるなら…と倉沢が声を掛ける。

  由夏 「想い出したくない辛い記憶まで取り戻す必要があるのでしょうか?」

倉沢は記憶により人は成長していくのだと助言する。

  倉沢 「確かに他人と過去はかえることはできません。
      でもね、自分と将来というのはいつからでも変えていけるんです」

その倉沢のアドバイスにより、嵯峨の治療を受けることを改めて決意する由夏。

[東都大学付属病院 廊下]

嵯峨が看護婦と話をしている。そこに由夏が車椅子でやってくる。

  由夏 「嵯峨先生、診察お願いします」

[東都大学付属病院 嵯峨の診察室]

改めて嵯峨は由夏の催眠治療を開始する。

  嵯峨 「それでは、今度は、橋をイメージしてください。
      その橋はとても高い所にあって、素晴らしい眺めです。
      あなたはその橋を渡って時間をどこまでも溯る事ができるのです。
      その橋の上にいれば、あなたには何も危険な事が起こりません。
      激しい炎もそこには届きません。
      恐怖も嫌な思いも全く感じる事なく、時間を溯ることができるのです。
      さぁ時間を溯って、希望の園のクリスマス会の前まで旅をしてみましょう」

そして、前回と同じく炎の恐怖に怯える由夏。嵯峨は安全な橋の上にいるという暗示を由夏に与え続ける。そして、由夏がその炎の中に見た光景は:

  由夏 「お母さんが、お母さんが誰かに殺されてた…」

ああ、やだー、この展開は何かやだー。
由夏ちゃんの中に眠る記憶が"お母さんが目の前で殺された光景"というのは、なんかありがち (『眠れる○』みたい…) で、ちょっと嫌だった。もっと意外なことを期待しちゃうのは私の悪い癖なのかもしれないけど(^^;)。それに、これまで『血を流さずに殺人を犯す』という点で、ある種、今回のドラマの拘りを感じていたつもりだったのに、包丁で由夏ちゃんの母親を刺殺するなんて〜(涙)。って、別に本気で愚痴ってる訳じゃないんだけどね。


[次回予告]

  嵯峨 「自分から復讐しようなんて考えてないだろうな?」


今回は狩辺先生がリタイアしちゃったのが妙に寂しさを感じた回でした。う〜ん、映画と同様、皆殺し、なんてことにならない事を祈るだけです。
今回は本当に犯人探し、という様相が強くなってきて、改めて今回のドラマってサスペンスだったんだ、ということを思い出してしまいました。とはいえ犯人探しがストーリーのメインになっちゃうのも嫌なんで、残り3話で、生き残ったキャラがそれぞれ持っている悩みを乗り越えていってくれる話を期待します。


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