催眠 hypnosis

吾郎君中心レポ


〜 CASE7 幸せは来るのか 〜


[東都大学付属病院 由夏の病室]

由夏のベッドの横で、眠りについている嵯峨。由夏の手術が無事終わり、そのまま付き添っていた様子。病室のドアのノックの音で目が覚める嵯峨。

[東都大学付属病院 由夏の病室のすぐ外の廊下]

由夏の様子を見に来た朝比奈。涼平の一件でショックを受けているであろう朝比奈を気遣って嵯峨が声を掛ける。

  嵯峨 「休んでなくて大丈夫?」
  朝比奈「うん。蒼井さん、大したことが無くてよかった…」

二人が廊下で話をしているところに、外山がやってくる。

  嵯峨 「日向涼平君はどうしてます?」

嵯峨の問いかけに外山は、涼平がムラサキの蝶連続殺人事件の犯人であると自供したことを告げる。動揺する朝比奈に、

  外山 「しかも、朝比奈先生に教わった催眠で殺した、って言ってます。
      朝比奈先生は共犯だとも・・・」

涼平の様子を聞くために、今回、嵯峨君の方から外山さんに声を掛けてますけど、嵯峨と外山って、完全に対立しているんだけど、お互い強力せざるを得ないというか、不思議な関係になってきてますね。映画版の櫻井刑事との関係もいいけど、こういう別の意味で緊張感のある関係も、今回見応えがあるような気がします。

[警察署 玄関口]

とにかく、涼平の話を聞くために、朝比奈は嵯峨と共に警察に向かう。

[警察署 取調室]

嵯峨が取調室の扉を開くと、涼平が牟田に催眠をかけている光景が目に飛び込んでくる。涼平は手で牟田の首もとを押さえ、何やら耳元で囁いている。また、もう一人の調書を取っていた刑事も催眠状態に入っており、床に座り込んでいる。
嵯峨と朝比奈は慌てて二人を元に戻そうと、嵯峨は牟田に対して、朝比奈はもう一人の刑事に対して、催眠暗示を与えはじめる。

  嵯峨 「これから私が手を叩くと、あなたは一瞬にして目覚めます。
      いいですね、目覚めるんです。3,2,1、ハイ」

正気を取り戻す二人の刑事。外山は慌てて牟田に駆け寄り、叱責する。一方、嵯峨は涼平に詰め寄る:

  嵯峨 「この人達に催眠を入れてどうするつもりだったんだ?どうするつもりだったんだ!」
  涼平 「どうやって催眠で殺すか、刑事さん達に、教えてやろうと思ってさ」

悪びれた様子もなく、平然と答える涼平。そして涼平は朝比奈に向かって言う:

  涼平 「先生、僕、結構、(催眠)上手くなったでしょ?」

緊迫した場面にもかかわらず、催眠を解く嵯峨先生が久々に格好よかったわ…(*^^*)、という気持ちで見てしまいました〜。

[警察署 会議室]

机に向かって嵯峨と朝比奈が並んで座っている。うなだれて座っている朝比奈に外山が尋問を始める。

  外山 「でも催眠術を教えたことは認めるんでしょ」

催眠にしか興味を持たなかった涼平の心を開かせるために、その時は教えたのだという朝比奈。外山は嵯峨に、先程の涼平の催眠について尋ねる;

  涼平 「先生、さっきのあれなんですけど、あれも催眠術なんですか?
      私には首を絞めているようにしか見えないんですけど?」

と尋ねるが、嵯峨は「わかりません」とだけしか答えない。
そして牟田が涼平の部屋からの押収品を部屋に運び込んでくる。『超催眠法』,『トランス』,『催眠誘導法』,『催眠』といった一連の書籍類、ムラサキの蝶の標本、そしてノートに書かれた犯行の声明文…。

  外山 「先生、いつか言いましたよね。結構意外なヤツが人を殺すもんだって…
      でも、先生が共犯だなんて意外すぎますよ」
  嵯峨 「そういう言い方、やめて下さい」

嵯峨のクレームも意に介さず、外山は朝比奈に暫く事情を聴くために警察に通うよう依頼する。

涼平君の部屋から押収された蝶の標本。犯人だから持っていたのか、被害者だから持っていたのか…。

[警察署 玄関口]

外は既に暗くなっていた。嵯峨と朝比奈が警察から出てくる。落ち込んで一言も話さない朝比奈に、嵯峨が声を掛ける:

  嵯峨 「なぁ、そんな自分ばっかり責めるなよ。
      ほら、熱心な医者に限って患者にシンパシーを感じるものだろ。
      君は情熱がありすぎただけなんだ。
      それにあの声明文、涼平君には人格障害の疑いもあると思う。もしそうなら、
      あの衝動性の激しさは、あれは精神科医だって簡単に押さえ込めるもんじゃない」

必至に嵯峨は朝比奈に言葉をかけようとするが、今の朝比奈にはその言葉を受け入れることができず、そのまま警察の前で二人は別れた・・・。

[車の行き交う道路沿い]

独り、夜の街中を歩く嵯峨。

  嵯峨のモノローグ 『窓カラ・・・(三岸好太郎の詩)・・・再ビ飛ビ出スコトハ自由ダ』


タイトル −催眠− Case7

[東都大学付属病院 由夏の病室]

翌朝。由夏の病室に嵯峨がやってくる。由夏は既に目を覚ましている。

  嵯峨 「おはよう。痛みは?」
  由夏 「ほとんどありません」
  嵯峨 「そう、よかった。ごめんな、俺のために…」
  由夏 「もともと私が悪いから」

ようやく落ち着いて話のできた二人。朝比奈のことを心配する由夏は、今回の事件はすべて自分のせいだと嵯峨に話す;

  由夏 「みんな私のせいだ…」
  嵯峨 「いや、そうじゃないよ。そういう風に考えちゃダメだ」
  由夏 「違う!違うんだよ!」

そして、嵯峨は話そうかどうしようか、ためらいがちに話を続ける:

  嵯峨 「実は涼平君が自供した。自分がムラサキの蝶連続殺人事件の犯人だって…」

[墓地]

独りで母親の十三回忌を行っている朝比奈。

  朝比奈「お母さん、私どうしたらいい?私の患者が私のせいで…」

そこに、同じく墓参りのため倉沢がやってくる。倉沢は警察から涼平の話を聞き、朝比奈のことを心配している。しかし、その倉沢の言葉に、母親が死んだときのことを思い出しながら朝比奈はますます自分を失っていく;

  朝比奈「誰のせいよ!自分は好き勝手に愛人の所に入り浸っていたくせに!
      今更、説教なんてしないでよ!帰ってよ!帰ってよ!
      母さんのお墓に二度と来ないで。帰ってよ〜〜!!」

そのまま黙って引き上げる倉沢。

そっか、倉沢さん、愛人を作ってたのねぇ。ありがちと言えばありがちだけど、倉沢の様子から判断すると、実は何か訳有りで、朝比奈が誤解していた、という展開なのかなぁ…。

[海岸]

子供達と海岸で野球をする倉沢。一緒に走り回る。

この場面って、一体どういう意味があるんでしょう?おせーて!!

[東都大学付属病院 医局]

今日、休暇をとっていたはずの朝比奈が部屋に入ってくる。看護婦の熊井から、小学生ぐらいの女の子から朝比奈に朝、電話があったことを聞く。

[東都大学付属病院 朝比奈の診察室]

朝比奈は竹下みきの家に電話を掛ける。両親が庭先に出ていたこともあり、みきが電話に出る。

  朝比奈「みきちゃん?朝比奈です。ほら病院の。わかる?」

暫く、電話口で朝比奈の話し声を聞いていたみきだったが、父親に気づかれてしまう。父親は朝比奈にみきに構わないように忠告し、一方的に電話を切る。

折角上手くいきかけていたのにねぇ…。でも、ようやくみきちゃんと話ができて、朝比奈先生、唯一の救いですね。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

一希が病室に由夏の傷口の消毒のためにやってくる。精神科の一希が外科の病室にやってきたことに驚く由夏。

  由夏 「どうして?あなた精神科でしょ?」
  一希 「リエゾン医療って聞いたこと無い?」

一希は科を越えて、医師や看護婦が連係して仕事をするシステムがあり、そのために自分も外科の方に来ているのだという。

  一希 「私に消毒されるのが恐い?」

由夏は黙って自らの傷口を一希に見せる。

久々の由夏と一希の対決です。とはいえ、なかなか関係が見えて来ないのでイライラするぅ。

[東都大学付属病院 食堂]

セルフサービスの食堂。カウンターで朝比奈が冷麺とカレーライスをトレーに載せて、通常の仕事に戻ろうとしている朝比奈。その横に嵯峨がやってくる。朝比奈のトレーを覗きながら;

  嵯峨 「相変わらずだな」
  朝比奈「食べて少しでも元気出さないと、ね」

朝比奈がテーブルにつくと、それに続いて嵯峨も同じテーブルに付く。嵯峨のトレーにも冷麺とカレーライス。

  朝比奈「ん?大丈夫?食べられるの?(^^;)」
  嵯峨 「わかんない(笑)」(オイオイ)

そして:

  嵯峨 「ちょっといいかな。君が涼平君に教えた催眠って、どの程度の事なんだ?」

嵯峨の質問に対して基礎的なことは一通り教えてしまったと答える朝比奈だが、嵯峨は涼平が牟田に与えた催眠は、その程度の指導でマスターできない、高レベルの催眠であったと話す。涼平が牟田の首を手で押さえ付けていたのは血管を圧迫するためであり、脳へ血液の流れを抑制することで気が遠くなる。これにより、一種のトランス状態になり、催眠暗示を受け入れやすい状態になる。

  朝比奈「確かに、急性心不全になる暗示なんて私には思いつかない」
  嵯峨 「俺の考えが正しければ、それは極めて単純だ・・・」

冷麺とカレーライスを一度に食べれるかどうか、朝比奈先生に気遣われる嵯峨君って…(苦笑)。でも、この二人の雰囲気、なんとなく好きです。由夏ちゃんといるときより、安心できるというか、信頼関係が築けているのねぇ、と思っちゃう。
関係ないけど、「わかんない(笑)」と言ったときの嵯峨君の表情がなんだか好きです。

[警察署 取調室]

先程の嵯峨の解説に、涼平の言葉が続く:

  涼平 「簡単だよ。『心臓の鼓動がだんだん遅くなる』って耳元で囁いてやったんだよ」

取り調べをする外山と牟田に涼平は殺害の方法を悠然と答える。

  涼平 「僕はヒーローだよ、世紀末のヒーローだよ」

涼平の態度に怒りをあらわにする外山は『ムラサキの蝶』の標本を取り出し、被害者にこれらの物を送ったのはどういう意味だったのかと尋ねる。蝶の標本を見て、一瞬、表情が変わる涼平。

  涼平 「・・・。トイレ」

涼平君の状態って、最初の頃と比べて明らかに変わってますよねぇ。誰かの催眠にかかってる?

[警察署 トイレ]

牟田にロープでつながれたまま、トイレを済ませ、手を洗おうとする涼平。そして、牟田が隙を見せた瞬間、涼平は牟田に襲いかかる。牟田が反撃をしようとした瞬間、涼平は再び牟田の首筋を押さえ、声が出ず、動けなくなる暗示を与える。

牟田さんのドジ・・・
でもこういうのを見ると、催眠って恐いなぁ、って思っちゃいますね。まぁ、ドラマだから、真似されたら問題だから、実際には不可能な方法でやってるんでしょうけどね。

[警察署 廊下]

署内を誰にとがめられることもなく歩いている涼平。

  涼平 「僕は特別だ。僕は特別だ。」

同じ言葉を繰り返しながら、そしてまるで夢遊病のように、屋上目指して涼平は階段を上っていく。

[警察署 トイレ]

牟田が帰ってこないことが気になった外山はトイレを覗く。蛇口から水があふれているトイレの床で、牟田が仰向けに倒れている。息もあり、意識がありながらも動かない,話さない牟田を見て、催眠によるものだと感じ取った外山だが、理解を超えた状況に半ばパニック状態になっている。

  外山 「牟田!おい!しっかりしろ!目を覚ませ!3,2,1(と言って手を叩く)」

しかし、牟田の催眠は解けない。

これまで冷静沈着の外山さんが完全に取り乱してますね。一気に話が進んで行きそうな予感…。

[警察署 廊下]

涼平は屋上へと階段を進む。
そして外山も涼平を探して警察署内を走り回る。床に落ちている水滴を目にした外山は、涼平が残した物であると気づき、水滴を追って屋上へと急ぐ。
一方の涼平は、押収品のノートに書かれていた声明文の言葉を呟きながら、なおも屋上を目指す:

  涼平 「僕は特別だ。僕は特別だ。僕はダメなんかじゃない。
      普通の奴らみたいに鈍感になれないだけだ。
      今こそ思い知らせてやる。僕が正しくて、奴らが間違っているっていう事を。
      今こそ飛べる。蝶のように強く。蝶のように永遠に…」

涼平君のこの言葉、どういう意味があるんだろうなぁ。事件のキーワードとか含まれてるのかなぁ。

[警察署 屋上]

外山が屋上に出ると、そこには誰もいない。間に合わなかったと思い、うなだれる外山だったが、「ムラサキの蝶」という囁き声が耳に響く。横を振り向くと屋上の縁に頭を擡げて腰掛ける涼平の姿があった。

  外山 「脅かすんじゃないよ、くそガキが・・・」

涼平の姿を見て、安堵しながらタバコに火を付ける外山。そして、次の瞬間、静かに、涼平が屋上から落ちた・・・。

こういう静かな死に方って恐いですね。
それにしても、ここで当然考えちゃうのが、涼平は自殺か他殺かということでしょう。今回の話の中では自殺となってますが、これまでのムラサキの蝶殺人事件の被害者と共通しているのが、ムラサキの蝶の標本を持っていること、死ぬ直前にムラサキの蝶をイメージする物を目にしていること(涼平君は外山さんにそのものを見せられた訳だし)、そして「ムラサキの蝶」と呟いて死んでいること、ですよね。だから厳密には外山が涼平を目にしたときには既に死んでいたのかもしれない、そんな疑惑も当然、沸いてくるわけで(というよりこのまま涼平が犯人だなんてありえないので(^^;))、まだまだ気を抜くわけにはいきません。

[警察病院?]

嵯峨と朝比奈がタクシーで急行する。検死の行われている部屋へと急ぐ朝比奈。
部屋に飛び込んだ朝比奈は、頭から血を流し、既に息絶えている涼平の姿を見つける。検死官たちの姿も気にせず、狂ったように叫び声をあげる朝比奈。少し遅れてやってきた嵯峨が朝比奈を必死に押さえる。

どさくさにまぎれて、朝比奈先生に抱きつくなんて、嵯峨先生、セクハラ… (じょ、冗談です m(_ _)m)
とはいえ、こんなシーンなのに、朝比奈先生に背後から抱きついて、静めようとする嵯峨先生と朝比奈先生の関係って…、と考えてしまった私。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

一希が由夏の傷口の消毒をしながら、涼平が死んだことを告げる。

  一希 「きっと、あなたに失恋したショックで自殺したのねぇ。
      朝比奈先生までおかしくなっちゃって、嵯峨先生大変だったんだから
      あなたって、やっぱり周りの人を不幸にする天才ね…」
  由夏 「いい加減にしてよ!わたしにどうして欲しいのよ!はっきり言いなさいよ!」
  一希 「あなたこそ、はっきり言ったら?
      嵯峨先生のこと利用して何企んでいるのよ?」

このシーンって、普通に見ると「一希って恐い…」というシーンなんだけど、一希の立場が正しいなら、「嵯峨先生を利用して」という台詞は非常に気になりますよねぇ。

[東都大学付属病院 朝比奈の病室]

夏の空。病室では朝比奈がベッドで横になっている。そのそばには嵯峨がつきそっている。涼平について話を始める朝比奈:

  朝比奈「涼平君、夏が大好きなの。真夏の暑い日に陽炎立つでしょう。
      あれが好きだって。涼平君には、もう、夏は来ないんだね…。
     「1年前のあの事件の後、嵯峨先生が冬眠していた気持ち、分かるような気がする」

嵯峨はこれらの朝比奈の言葉を静かに聞いている。そして「今は何も考えないで、ゆっくり眠った方がいい」という言葉だけかけて、病室を出る。

このシーン、とても静かなシーンで、夏の青い空と病室の白い映像とが綺麗で、そして嵯峨と朝比奈の心が通いあっている感じがして、印象的なシーンです。朝比奈先生、嵯峨先生と同じ傷を持ってしまったんですよね。それが分かっている嵯峨君もまた見ていて辛い…。

[東都大学付属病院 朝比奈の病室の廊下]

熊井が車椅子の由夏を連れてやって嵯峨の所にやってくる。

[東都大学付属病院 庭]

嵯峨が由夏の車椅子を押している。朝比奈のことが気になる由夏に嵯峨は答える;

  嵯峨 「朝比奈先生なら大丈夫だ」
     「人のいたわりや同情が、たまらなく辛くなることもあるだろう。
      時間だけが心の傷を癒してくれることもある…」
      冬眠することも決して無駄じゃない」

  外山 「どうも。お邪魔でした?」

外山が牟田とやってくる。外山は嵯峨に、ムラサキの蝶連続殺人事件は容疑者死亡として一件落着となった告げる。無愛想に「ご協力ありがとうございました」という外山に、嵯峨は:

  嵯峨 「ちょっと待ってください。何が一件落着ですか?
      彼女を容疑者扱いしておいて、ちゃんと誤ったらどうですか?」

牟田が外山に代わって頭を下げ、二人は病院を引き上げる。

  由夏 「ありがとう。本当にこれで終わったのかな?なんだか終わった気がしない」

そして、由夏は嵯峨に今夜一緒にいて欲しいと申し出る。

  由夏 「また記憶がなくなりそうで、怖くて…」

ちゃんと外山にクレームをつける嵯峨先生は男前でしたねぇ。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

夜。ベッドの上でロウソクに灯りをともす嵯峨。隣のベッドには由夏が横になっている。

  由夏 「大丈夫、そんなことして?」
  嵯峨 「わかんない (^^;)」

由夏に笑いながら少しおどけて答える嵯峨。

そして、嵯峨も隣の空きベッドに横になり、静かに話をはじめる二人。

  嵯峨 「札幌、楽しかったな」
  由夏 「うん」

そして二人は北海道の思い出を辿る・・・

  嵯峨 「あの美術館もさ、また行こうな」

そのまま、お互い手を伸ばし、2つのベッドの間で、ゆっくり手をつなぐ。そのとき:

  嵯峨 「!」

嵯峨の脳裏にいつも夢の中に出てくる少女の姿がふと現れる。

  由夏 「どうしたの?」
  嵯峨 「いや。・・・」
     「今度こそ、記憶、取り戻すからな」

頭の中の少女の姿を振り払って、由夏に固く約束をする嵯峨。

久々に二人の落ち着いたシーンを見たような気がしますね。少しおどけた感じの嵯峨君がいいですね。それにしても、事あるごとに登場する「夢の中の少女」の姿。やっぱり由夏ちゃんに関係あるんだよなぁ。

このシーン、ポポロに載っていた記事によると、台本では嵯峨君は単にベッドに座っているだけの設定だったようです。でも、ここの変更は絶対に正解ですね。

[東都大学付属病院 朝比奈の病室]

狩辺が朝比奈が眠っている病室に侵入してくる。

  狩辺 「君は精神科なんて辞めるべきだ。精神科医なんて辞めて僕の物になるんだ。
      精神科医を続けていても、何も良い事は無いんだから・・・」

狩辺先生、てっきり由夏ちゃんに乗り換えたのかと思ったら、本当にどうしようも無いヤツ。

[東都大学付属病院 朝比奈の病室]

翌朝。看護婦が貰い物だといって、白いバラの花束を部屋に持って来てくれた。その花を見て表情が一瞬、変わる朝比奈。

この花って一体何?

[警察署 玄関口]

翌日。ムラサキの蝶連続殺人事件の犯人が自殺したと聞いて、押しかける報道陣。

[警察署 会議室]

外山が「犯人自殺」の記事の書かれた新聞を見ている。そこに牟田が嵯峨を案内してくる。

[警察署 屋上]

外山と牟田は、嵯峨を涼平の自殺した屋上に連れてくる。

  嵯峨 「1つ教えて下さい。
      日向涼平の殺人の動機は何だったんですか?」

嵯峨は;

  外山 「誰かを殺してヒーローになりたかったらしいですよ」

たまたま朝比奈を困らせている由夏を見て、付き合っている男を殺していくことを思いついたのだという涼平の姿が重なる。
そして:

  外山 「嵯峨先生、先生は、人間の勘ってどう思います?」

外山は突然、嵯峨に向かって質問をする。

  外山 「こんなことを言うと、また先生に怒られるかもしれませんが、
      私は刑事としての自分の勘を、実はどんな証拠や証言よりも信じています。
      その私の勘によるとムラサキの蝶連続殺人事件の真犯人は、
      依然として蒼井由夏です!」
  嵯峨 「・・・」

沈黙の後、嵯峨は外山を殴る。

  外山 「やっぱり怒っちゃった?」

少し笑みを浮かべながら話す外山。それに対し、嵯峨も少し口もをと緩めかけたが、そのまま黙って警察を後にする。

このシーンもねぇ、好きなんですよぉ、私。静かに一度、溜めてから、外山を殴る嵯峨の表情。そして、その後の外山の笑い、それを受けて、少し口元だけ笑いかけて、また無表情に去っていく嵯峨。この微妙な嵯峨と外山の関係が今回は新たな展開だったかなぁ、と。
ところで、嵯峨先生、何で涼平の殺人の動機が気になったんだろう?何か鍵になるのかしら?

[春日時計店]

何故かスイカを手土産に帰ってくる嵯峨先生(笑)。耕造にスイカを渡し、着替えるために自分の部屋に戻ろうとした嵯峨だったが、そこに病院から電話が入る。

ようやくほっとできるシーンになったのかと思ったら、すぐに病院に引き戻されるのねぇ。

[東都大学付属病院 朝比奈の病室]

錯乱状態になっている朝比奈。部屋に飾られた花を放り出し、叫び声を上げ、暴れる朝比奈を看護婦たちが必死に押さえようとしている。

  朝比奈「精神科医なんて何?/涼平君ごめんなさい/先生って何?・・・」

このシーンは見ていて痛くなりました。きっかけは狩辺先生の催眠なんだろうけど、それでも痛いよねぇ。

[東都大学付属病院 廊下]

急遽、病院に戻る嵯峨。水木から説明を受けるながら通路を進む。

[東都大学付属病院 朝比奈の病室]

病院を出て行く支度をしている朝比奈。

  嵯峨 「大丈夫なのか、もう起きて?」

朝比奈と少し話をしようとする嵯峨だが、朝比奈は「ごめん」とだけ言って、身支度する手を止めようとはしない。
由夏が朝比奈の心配をして部屋にやってくる。嵯峨が由夏の応対し今は遠慮してもらおうとするが、朝比奈が由夏を部屋に呼び入れる。

  朝比奈「なんだかあなたの顔を見るとほっとする」
     「私、姉妹いないからかな」

由夏は朝比奈に必死に言葉をさまざまな言葉をかけるが、朝比奈はやはり精神科医失格だと語り、由夏に:

  朝比奈「あなたに会えて、本当によかった」

の言葉を残し、そして嵯峨には:

  朝比奈「嵯峨先生、いろいろご迷惑お掛けして、本当に申し訳ありませんでした」

という言葉だけ残して、病室を出ようと扉を開ける。と、扉の外には竹下みきが一人で立っていた。驚く朝比奈に:

  みき 「約束したでしょ…」

と言って、ポケットからビーズで作ったたくさんの指輪を朝比奈に差し出すみき。嬉しさのあまりみきを抱き締める朝比奈。その拍子に指輪が床に散らばる。
部屋の外では、様子を見ていた倉沢が、落ちていた指輪を1つ拾い上げ、黙ってその場を立ち去る。

朝比奈先生、病院をやめちゃって、嵯峨と同様に冬眠生活に入るのかと思ったら、みきちゃんのお陰で救われたのかな?最後で安心できるシーンがあって、よかったわ

[東都大学付属病院 医局]

冷蔵庫から缶コーヒーを取り出す嵯峨先生。椅子に座り、手にしたメモを見ながら電話を掛ける。しかし、その電話の相手である達矢の母親の店の電話は通話不能になっていて、繋がらなかった。不信に思う嵯峨。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

一希が由夏の病室に入ろうとする。しかし、エレベータの扉が開く音がし、咄嗟に身を隠す一希。エレベータでやってきたのは狩辺だった。由夏の病室にそのまま入っていく狩辺。

朝比奈先生に戻ったのかと思ったら、また由夏ちゃんにも手を出しちゃうのね、狩辺先生って…。

[スナックひまわり]

店までやってきた嵯峨。鍵も掛かっていなかったため、そのまま店の中に入る。真っ暗な店で、店のカウンターに置いてあったライターを灯り代わりに奥へと進む。以前、達矢がいたはずの部屋は、スナック菓子等が散乱している。そして、灯りを部屋の奥に向けると、そこには達矢がうずくまっていた。

  嵯峨 「!」

誰もいない、真っ暗な部屋の角で怯えた表情で息を潜めて固まっていた達矢の姿を目にし、息をのむ嵯峨。

  嵯峨 「達矢君!!」

部屋の灯りをつけ、達矢に近づこうとする他、お化けネズミの幻影に怯えている達矢は、嵯峨を嵯峨と認識できない:

  達矢 「来るな!お化けネズミ!うわ〜!!お化けネズミ!来るな〜!!」

嵯峨を避けながら尻込みして逃げる達矢を必死に落ち着かせようとする嵯峨。

  嵯峨 「ホラ落ち着いて。達矢君!手を握ってごらん。覚えてるだろ!手を握ってごらん。ホラ!」

達矢の手を取り、おまじないのポーズを取らせようとする嵯峨。

  達矢 「お兄ちゃん?」

ようやく達矢の表情がようやく落ち着いてくる。そして今度は病院に帰りたいと言いながら激しく泣き出す。

ここのシーンが嵯峨先生的には本日のクライマックスかな?このシーン、かなり好きです。嵯峨先生が達矢君を見つけた瞬間の表情がまず好きなんですけど、その後も嵯峨の達矢に対する必死さが伝わってきて、なかなかいい感じ。
朝比奈先生にしても、嵯峨先生にしても、少しは進歩かなぁ。

[東都大学付属病院 由夏の病室]

オルゴールを鳴らしながら由夏に催眠を与え続ける狩辺。そして、突然、由夏の目が開く。

  狩辺 「?」

そしてゆっくりとベッドから起き上がる由夏。そしてその表情には妖しい笑みが宿っていた。

由夏ちゃん、またまた不可解な行動を取り始めました。また、記憶が無くなった状態になるんでしょうか?そして、狩辺の運命は?


[次回予告]

  嵯峨 「殺した?」


今回のタイトル「幸せはくるのか?」は、ホント、胸が詰まりますね。

今回はどちらかというと、朝比奈先生がメイン。涼平君が死んじゃって、精神科医としての自信を無くして(狩辺先生の催眠にかかっちゃったりして)、悲痛な状態。そして、この姿って、1年前の嵯峨を想像してしまうような。

今回の話で表面上は事件解決なのに、実は何も解決していない。それどころか、全ての状況が悪化している、そんな第7話でした。
あと、今回、涼平君の死とかのショッキングな場面もあったというのに、全体的には静かな印象を受けた話だったような気がします。というより、私的には静かなシーンが今回、印象深かったということかな。朝比奈先生と病室で静かに話すシーンとか、由夏ちゃんとの夜の病室で北海道の思い出を語るシーンとか、あと外山さんを静かに殴るシーンとか…。嵯峨先生の優しさとか、深さとかを感じれるシーンがいい感じでした。


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