キーワード編
冬眠した記憶
もし、嵯峨も由夏も過去の記憶を取り戻さないままだったら、幸せな恋人同士のままでいられたのだろうか?
結局、主要登場人物の「冬眠した記憶」(=過去)が事件の鍵が隠されており、それぞれがその過去と対峙することになるわけですが…
由夏 「でも、本当に嫌なことだけ記憶の中から全部消しちゃいたい、
って思うことがあるわ…」(case1)
嵯峨 「忘れられる訳ないだろう、催眠で記憶を消せって言うのか?
催眠は万能じゃ無い!精神科医もだ!!」(case1)
倉沢 「人の記憶は消せてもね、犯した罪は決して消せるものではありません」(case6)
倉沢 「確かに他人と過去は変えることはできません。
でもね、自分と将来というのはいつからでも変えていけるんです」(case8)
色々考えると、やっぱり倉沢先生の「記憶を消すことが人を救うこともある」という信念は、同意できない部分があります(まぁ、映画では嵯峨先生もそんなことを言っていたわけですが(^^;))。最後の嵯峨先生と達矢君のツーショットが象徴しているように、過去のつらい記憶を乗り越えることが大事なんだと言っているように思える。
今回のドラマは、公式HPに載っていた脚本の田子さんのインタビューによると 登場人物たちが「本当の自分と出会うための旅」 なんだそうな。「本当の自分」というのを「過去の自分」と解釈するなら、本当の自分を見つけたとき、嵯峨はより強く由夏を助けようとし、由夏は愛する嵯峨を守ろうとし、朝比奈は父親を許し、狩辺も母親の幻影から抜け出そうとし、涼平は強くなろうとした・・・と、私は解釈しています。そうじゃないと、死んだキャラが浮かばれないんで、そう思おうとしているだけかもしれないんですけど。
親と子
今回のテーマの1つが親とこの関係らしい。1つだけ難を言うなら、嵯峨自身が、この親子の関係にあまり関わってないこともあって、ちょっとテーマと言われてもピンと来ないところではあります。でも、達矢君の両親に向かって、意見するあたり、嵯峨先生にもそれなりの過去があるんだろうか?と余計なことを思ったりしています。
みきちゃんの話だけは、サブストーリーとして上手く持ってきたと私は思います。メインのストーリーの進行に沿った形で、解決していったというのに好感が持てました。ドラマオリジナルで、もう少し嵯峨先生が絡んでも面白かったかな?
倉沢と朝比奈親子は、最後に和解できたから良しとするんだろうな。でも、倉沢と由夏親子は、結局、救われてないんじゃない?
見逃してはいけないのが狩辺母子(笑)。母親は登場してこないけど、典型的なマザコンキャラ狩辺先生が、その呪縛から自ら逃れることができたというのも、注目すべきことかもしれません。
二重人格
由夏ちゃんの事、レポの方には安直に二重人格と書いてしまいましたが、厳密にはユカが言うように、二重人格じゃないんですね。ちゃんと由夏はユカの虚像,操り人形だと言ってますし、由夏の行動は全てユカは認識しているということになりますから。それでもこれは二重人格と一般的にはあまり違いは分からないわけで(現に、私の周りでドラマを見ている人はそういう表現しかしてないし)、私もつい、そういう表現をしてしまいました m(_ _)m (ただね、操り人形だというのなら、それはそれで、もう少しそいうニュアンスを表現してくれないと、ホラーという点が浮き立たないんだよねぇ。最終回では、この点がちょっと消化不良)。
で、ここで気になるのが、由夏と嵯峨が最初に出会った日と、2回目に出会った日、どちらが由夏でどちらがユカか。普通に考えると、最初に出会ったのがユカで、2回目に出会ったのが由夏なんでしょうね。2日目の由夏が昨日のことを覚えていない、って言ってるし。
ここで、あまのじゃくに逆に考えてみて、最初に会ったのが由夏で、2回目にあったのがユカだったら?1度目は本当に偶然、由夏は嵯峨と出会った。このとき、由夏の中に潜むユカは、ようやく記憶を蘇らせてくれる能力を持った嵯峨を見つけたことに喜びを感じる。そして、翌日、今度は計画的に嵯峨に近づくユカ…。こっちのストーリーの方が恐いんだけどなぁ。でも、2日目の由夏ちゃんは、嵯峨先生の写真を撮って、それを鏡台に貼ってるぐらいだし、この想像はあえなくボツってしまったのでした(苦笑)。
矛盾
と、つらつらとここまで書いていて、TBSのHPを見たら、例の矛盾って、上述のあたりのことだったのねぇ…f(^^;)。稲田Pが種明かしをして下さっているのを見た方もいらっしゃるでしょうか?気づく人は、最初から気づいているのかもしれないけど、私はこうやって色々書いておきながらも、種明かしをされるまで、気がついていませんでした…(苦笑)。(稲田Pのコメントは次の通り:2日目に由夏が嵯峨@占い師に会った時、由夏は記憶が無くなっていることを知ってもさほど動揺しなかった。第二話であれほど動揺していたにもかかわらず…。つまり嵯峨@占い師に近づいたのは全てユカの策略だったんですねぇ…。)
それにしても、数々の精神科医を騙し続けたユカって、凄いのねぇ。
飛ぶ蝶
飛ぶ蝶が象徴していたものって、一体なんだったんだろう?番組が終わってずっと考えているのですが、なかなかこれといった考えがまとまらずにいます。
ずっと、過去のトラウマに囚われていた登場人物達が、最後にようやくその束縛から解放された、と解釈していいかな?(洞察力がなくてスミマセン…)そして、最後に映された飛び立った蝶。嵯峨のトラウマも、由夏のトラウマも、全て解放された。でも、生きていてくれたらもっとよかったのに…。
夢の中少女
嵯峨の夢に出てきた少女。結局は、嵯峨が昔出会った由夏の姿だったのですが、これは嵯峨自身の持つトラウマを表している?ずっと心の奥底に隠れていた少女の姿。昔、助けると言っておきながら、裏切ってしまった辛い記憶(情緒不安定で倉沢先生の所にまで行ったぐらいだから、嵯峨少年はかなりの罪悪感を感じていたのね)。その眠っていた記憶が、由香を救えなかったことで、無意識のうちに表面に現れてきた…。しかも、そのトラウマは、次第に成長していく(その割には最後まで自力では思い出せなかったんだけどね)。
でも、最後の由夏ちゃんの言葉で、きっと嵯峨自身も癒され、2001年の達矢君との映像にあったように、過去を乗り越えて生きていける・・・と
北海道
結局、「北海道」というキーワードは何だったんだろう?(苦笑)。こればかりは、謎として残っちゃうんですね。勝手に想像力を膨らませるなら、実は嵯峨は由夏を助け出し、どうにかこうにか北海道まで逃げ、蝶の絵を二人で見ていたのだった…とかね(^^;)。で、そこで知り合ったのが一希ちゃん(両親が借金苦で北海道まで逃げてきていた(笑い))、なーんていうストーリーは如何でしょう?
もしくは、倉沢がいつか二人が巡り合うように、嵯峨には「蝶の絵」を、由夏には「蝶の詩」の記憶を埋め込んだとか?(爆)。う〜ん、馬鹿な想像だけはいくらでも膨らむんだけど、私の想像力ではそのぐらいが限界でございますぅ。
でも、北海道のシーンは良かったぁ〜。2話のラブラブなシーンが最後であんな風に挿入されるとは、完全にやられました。由夏ちゃんは最期に蝶の絵を見ようと思い、嵯峨も由夏が行くならこの場所しかないと思った蝶の絵のある美術館。わずか1日のデートだったのに、それだけ思い出深い場所なんだよねぇ。二人にはもっと楽しい思い出を作って欲しかったです(;o;)。
三岸光太郎美術館
ドラマオンエア中に蝶の絵のある美術館に行って来ました、私。その時は、こんなラストを想像もしていなかったので、普通に過ごしてしまったというのが今になって口惜しい(^^;)。美術館自体は、道立にもかかわらず、本当に小さな建物で、ドラマで映っていたのがほとんど全てという感じです(平日に行ったこともあってか入館者も少なかったし(^^;))。ドラマに出てきた『飛ぶ蝶』の前に座って、少し落ち着いた時間をすごしてきました。ちゃんとドラマで吾郎君が手にした『飛ぶ蝶』の説明文も入手してきたし…(ミーハーだ(笑))。
三岸光太郎氏の作品そのものは、私的にはちょっと遠慮したい感じのものも中にはありましたが(これは個人の感覚なので許して。どんなに素晴らしい絵でも、暗い絵はダメなの…)、今回のドラマのように、ちょっと変わった様々な世界が入り交じった雰囲気を感じて帰ってきました。『飛ぶ蝶』(および蝶のシリーズ)はよかったですよ、うん。
催眠で人が殺せるのか?(ごめんなさい 愚痴&暴言です(^^;))
ドラマを非常に理性的,冷静にドラマを観る方は、この段階で「そんなこと出来るわけがない」と、ドラマそのものを否定してしまうわけで、何て想像力の無い方々と思うと不憫としかいいようがございません(笑)。日曜劇場の枠の視聴者って、現実的、それでいてもしくは理想の社会,家庭を追い求める人々が多かったりするのかしら?映像だ、何だがこれだけ素晴らしいのに、受け入れられにくかったってことなのねぇ。そういう現実路線の方々には、次から始まる「おやじぃ」でも見て、理想の家族をじっくり研究して下さいませ〜(ああ、それにしても、「催眠」が涙々で終わった直後の、あの「おやじぃ」の予告CMにはこけたわ(--;))。
ホラー(また 愚痴&暴言2)
だから、これはホラーなのよ。サスペンスだったら「催眠で人が殺せる」という設定はナンセンスと言われても仕方ないのだけど、ホラーなんだから、多少の無茶な設定はOKでしょう!と思おうんですけど、ダメなのかなぁ…。
ただ、ホラーと言って言ってた割には、真面目に作りすぎたというのが、逆に一般受けするには難しかったところでしょうか?(いや、私は好きなんですけどね。おどろおどろしいホラーじゃなくて、良かったと思ってるぐらいですから…)。
謎解き(さらに 愚痴&暴言3)
で、同じく、謎解きだけを楽しんでみる人には、やっぱり物足りなかったラストだったんでしょうか?でもね、これはラブストーリーなのだわ。だから、ラブの部分を抜きに、謎解きだけを楽しむなんて邪道よ、邪道!!はっきり言って、私は最初から謎解きなんて諦めてたわ(単に推理が苦手というだけなんだけど…)。
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