■ ストーリー ■
衛のモノローグ:人生は危険に満ちている。どんなに**に生きようと心がけても、ささいなことから深い迷路に迷い込んでしまうことがある。
衛 :ゴメン!本当に悪かった!僕が悪かった!!
美沙:あなたに会わなきゃ幸せでした。
衛 :助けて頂いて、ありがとうございました。
衛のモノローグ:僕と美沙が迷い込んだ迷路は、過去に繋がっていた。
衛 :いつから僕を恨んでた?
久保:20年前からだよ!
美沙:20年前、私が5歳のときに火事で死にました。
衛 :松本明・・・。
礼子:うちが泥棒に入られてから、借金したでしょ?結局、返せなくって。保証人になってもらった松本さんがかぶることになってしまって。
衛 :苗字が変わった?
先生:久保君なら覚えてるよ、よく虐められてからさ。
衛 :もしかして、盗んだのって給食費じゃないですか?
明:覚えてろよ!
衛 :明だったのか…
【衛の実家】
夜。庭にて。昔、通っていた小学校の先生から、久保の両親の事に関して、衛の携帯電話に連絡が入る。
先生:久保君のお父さんが離婚した後に、大きな事件を起こしたってきいたことがありまして。
衛 :事件?大きな事件ってどんな事件です?教えて下さい!
先生:銀行強盗をしたそうなんです。
衛 :!
そんな話をしている衛の背後に、静かに迫る久保(佐々木蔵之介さん)。
先生:そして、逃げ込んだ先で焼身自殺を図って、そこの住人二人もまき沿いにしたらしいんです。
衛は家の中で夕食の準備をしている美沙(長谷川京子さん)に目をやる。
先生:それ以上、詳しい事は分からないんですが…。
衛 :そうですか、わざわざありがとうございます。
そうして、衛は電話を切り、家の中へと入っていく。(あれっ、すぐに久保との対決にはならないのね…)
衛は礼子(吉行和子さん)と一緒に夕食の準備をしている美沙に、先ほどの電話の内容と美沙の両親が亡くなったという話とが同一の事件であるかを確認しようとする;
衛 :あのさ、君のご両親は逃げてきた強盗の巻き添えで亡くなったんだよね?
美沙:はい、それが何か?
衛 :うん・・・。
礼子:どうしたの、衛?
衛 :実は、20年前に明のお父さんが同じような事件を起こしてるらしいんだ。
礼子:ええ?
美沙:じゃぁ、もしかして・・・私の両親を死なせたのは?
衛 :たぶん・・・。
美沙:・・・。
部屋の窓の向こうに久保の影が(まるで生き霊状態じゃ(笑))。それを見て、愛子(浅見れいなさん)が悲鳴を上げる。
愛子:誰かいる!
衛が振り向くと、久保が衛をじっと見ていた。
衛 :明!!!
久保:・・・。
礼子:明君なの?!
窓ガラスを介して対峙した衛と久保だが、久保はそのまま逃げ出した。
衛 :明!!!
衛は庭に出て、久保を追おうとする。
美沙:安藤さん!
愛子:私、警察に連絡する!
【港】
夜の道を逃げる久保。それを追う衛(ああ、吾郎君が走ってるわ〜、と反応してしまうファンの悲しさ(笑))。港の防波堤のようなところに逃げ込む久保。
衛 :明!!!
だが、迷路のようなその場所で、衛は久保を見失う(ドジ…(;o;))。
久保:安藤!
背後から聞こえたその言葉に衛が振り返ると、久保が衛を襲い掛かり、首を締め上げた。
久保:家族の団らん邪魔して悪かったな。お前と話がしたかったんだよ。
衛 :どうしてだよ。僕たち友だちじゃなかったのかよ!
久保:まだそんなこと言ってるのかよ。俺、前にさ、人は知らない間に誰かに傷つけてることがある、って言ったろ。あれお前のことだよ。
衛 :おやじの借金のことか?給食費のことか?
久保:思い出したか?でも、肝心な事忘れてるよ!
衛 :肝心な事ってなんだよ!
久保:考えてみりゃさ、あんときお前があんなことさえ言わなければ、こんなことになならなかったんだよ!
衛 :あのときって何だよ?!
(とその辺の事情を後にまで引っ張るより、ここで全部言っちゃった方がその方が緊迫感もあってよかったんじゃないかなぁ。その方が、後々の展開においても、衛君自身の行動原理も明確になったような気がするんだけど)。
そうして、久保は今度は衛の首に直接手をかけ;
久保:俺、どうしたらいいかな?
衛 :・・・。
久保:友だちだったら、相談にのってくれよ!
衛 :ああ・・・。
久保:俺、もう終わりだよな!?
久保は衛の首を絞めながら;
久保:お前、殺したりした方がいいのかな?そしたら少しすっきりするかな?
衛 :馬鹿な真似、よせよ!
そして、本気で衛の首を絞めようとしたときにパトカーのサイレンが響く。その音を聞いて逃げ出す久保。
衛 :明!!
逃げようとする久保に、つかみかかる衛だったが、案の定、払われて逃げられちゃうわけで(さすが衛(笑))、暗闇の向こうにパトカーの回転ランプが迫る中、その逆方向の夜の暗闇に、久保は姿を消した。
衛 :明!!!明!!!!!!!!!!!!!!
「Mの悲劇」 THE TRAGEDY OF M
Last Chapter
【衛の実家】
翌朝。衛の実家に警察がやってきている。玄関先で警察との対応をしている衛;
警官:今日は家の周りにパトカーと警官を配置しておきますから。
衛 :よろしくお願いします。
家の中にでは、礼子と愛子と、美沙が思い空気のままいる。そこに警察との対応を終え、衛が戻ってくる。
愛子:またあの人、ここにくるのかな?
衛 :警察が守ってくれるから、ここにいれば安全だよ。
礼子:まさか、あの明君が・・・。
一番動揺している様子の礼子に、衛は;
衛 :明も、どうしていいのか分からなくなってるんだと思う。今ならまだ、止められる気がするんだ。
と言いながら、コートを手にして出かけようとする。
愛子:何処行くの?
衛 :明の父親のこと、ちゃんと確かめたくて。
美沙:久保さんは知ってるんでしょうか?自分の父親が私の両親を殺したことを…。
衛 :まさか、馬鹿なことを考えて無いよな。とにかく詳しい事が分かったら連絡するから、君はここを動くな!
美沙:・・・。
衛 :愛子、母さんを頼んだぞ。
そうして、衛は出かけて行った(頼もしい、衛君というのも違和感はあるけど、格好いいのは大歓迎さ!(*^^*)。でも、一番狙われてるのは、衛自身だと思うのだけどねぇ〜(^^;))
残った礼子は夫の仏壇に向かって涙ながらに語り始める。
礼子:私のせいね。お父さんが借りたお金を返さないまま逝ってしまったから、その後、私がちゃんとしなかったから…。
愛子:お母さん・・・。
その二人の様子を見て、ある決心を固める美沙。
【JTS ロビー】
JTSのロビーで、衛のことについて、有紀(岡本綾さん)から話を聞かされる下柳(成宮寛貴さん)。
下柳:久保さんが安藤さんの実家に?
有紀:ええ、今は警察が見てくれてるって。
下柳:そっか。
有紀:でも、どうして久保さん、そんなに衛のことを・・・。
そこに丁度、衛が通りかかり、下柳は有紀ちゃんそっちのけで声を掛けてます(笑)。衛も衛で有紀ちゃん、無視だし…(汗)。
下柳:安藤さん!大丈夫ですか?
衛 :ああ。
下柳:何か、僕にできる事ありませんか?
衛 :ありがとう、何かあったら頼むよ・・・。
下柳:はい。
【衛の実家】
美沙は一人庭に出て、海を眺めながら両親との写真を取り出す。
【JTS 専務室】
衛は島谷(伊武雅刀さん)と面会し、美沙の両親が亡くなった事件について、島谷に確認しようとやってくる。と、同時に、昨晩起きたこと、そして小学校で知りえたことを報告する。
島谷:人を死なせて、自分も死んだ?!!久保君の父親が?!
衛 :はい。
島谷:・・・まさか、あのとき私が追いつめた犯人が・・・?
衛 :犯人の名前が分かりますか?
島谷:確か・・・。
島谷の持ち出したファイルを覗き込む衛。
衛 :松本道男・・・やっぱり。
確かに久保の父親の名前がそこにはあった。
【廃工場】
その頃、廃工場。ボロボロになった久保は、ライターの火をつけたり消したり・・・。そこに久保の携帯に電話が。美沙からだった。
久保:何の用だ?
美沙:安藤さんから聞きました、あなたのお父さんが借金を踏み倒された話。私、あなたの気持ち、分かる気がします。あなたの力になれるかもしれません。会って話せませんか?
(それにしても、このドラマ、携帯電話でのやりとりが多いなぁ〜。全てを失っても、みんな、携帯電話だけは失くさずに持ってるし…。携帯電話の会社がスポンサーなだけはある?(違う会社のかもしれないけど))
【JTS 専務室】
ファイルから、めぼしい情報をメモしている衛。その衛に島谷は、当時の状況を詳しく話し続けている;
島谷:松本道男は、川崎で大きな工場を経営していたんだ。それがつぶれて、融資を断られたあの銀行に押し入ったのだ。
衛 :僕の父の・・・借金が原因なんです。
島谷:えっ?
そこに、衛の携帯に電話が。
衛 :どうした、愛子?
愛子:美沙さんがいなくなっちゃったの、どこにもいないの!!
(と、衛は自由に外出してるし、美沙もいなくなっちゃうし、警察は一体何を・・・(汗))
衛 :分かった。とにかく、お前と母さんは家を出るな。
そう言って衛は電話を切り、急ぎ出かけようとする。
島谷:何かあったのか?
衛 :美沙がいなくなりました。明の行きそうな場所を探してみます。
そんな衛を島谷が止める。
島谷:落ち着け、安藤!ここは警察に任せておいたほうがいい。君が動くと、危険だ。
(と、このドラマにしては珍しく、非常に真っ当な意見がかえって新鮮だったわ(苦笑))
そう島谷に言われた衛だが、しかし・・・
衛 :専務・・・僕はずっと用心深く安全に生きることが正しいことだと考えてきました。でも・・・それだけでは解決できないこともあると思うんです。きっと、父の事だけじゃなくて、明を追いつめた本当の原因は僕自身になると思うんです。それが解決すれば、明を止められると思うんです。
島谷:しかし・・・。
衛 :これ以上、あいつに、道を踏み外してほしく無いんです!
島谷:・・・わかった。但し、絶対に危険な事はするなよ。
衛 :はい、失礼します。
島谷を説得し、衛は一人、部屋を出て行った(まぁ、ここは一人で行かないとねぇ。主役だし(^^;))。
【廃工場】
そのとき、美沙は一人で川崎までやってきていた。久保がいる廃工場の中に入っていく。そこに久保はいた。
久保:本当に一人で来たんだ。
美沙:!!・・・はい。
久保が美沙を呼び出したその工場は、久保の父親がやっていた工場。20年前に人手に渡ったが、結局、つぶれてしまっていたのだ。そんな身の上話をする久保に、今度は美沙は自分の過去についての話をする。
美沙:東横信用金庫って知ってますよね?20年前、そこを襲った強盗が、私の家に逃げ込んで火をつけたんです。
久保:・・・。
美沙:私の両親は、あなたのお父さんの巻き添えになって死にました。
久保:どういうつもりで言ってる?
美沙:恨むつもりは有りません、あなたがやったことじゃないし、そんなことしても、あなたも私も苦しむだけですから。
久保:あんたの恋人が死んだ、もともとの原因は俺だぞ。それでもあんたは俺が許せるのか、俺が憎くないのか?
美沙:憎いです!!!でも、許すしかないんです。もう、誰かを恨みながら生きてくなんて嫌なんです!私は久保さんの事、恨みません。だから久保さんも、安藤さんのことは許してあげて下さい。
久保:・・・。
「お願いします」と頭を下げる美沙。(でも、イマイチ説得力が感じられないのは私だけですか?(汗)。聞く耳持たずにあれだけのことをしてたわけだし…。衛と美沙が、少しずつ変わりながらここまで来たという前提が、このセリフの中には見えないというか…。本来、結構、重要なシーンだとは思うんだけど)。
そんな美沙の言葉に対して、久保は嘲り笑う。
久保:あはははははは。無理だよ!!!思い出せよ!
表情が一変した久保は、美沙に詰め寄る。
久保:安藤は俺たちの敵なんだよ!俺の親父がああなったのは、安藤の親父が金を返さなかったせいじゃないか!あんたの親が死んだのも、あんたの恋人が死んだのも、みんなあいつのせいなんだよ!あいつが俺たちの人生、滅茶苦茶にしたんだよ!
美沙:・・・。
久保:俺の力になってくれるんだよな!
迫る久保を振り払って逃げようとした美沙だったが。
【JTS ロビー】
エレベータを降り、出かけようとする衛の元に、Misaから電話が入る。
衛 :美沙、どこにいる?
だが、電話の声は美沙ではなかった。
久保:俺だよ・・・。
衛 :!
久保:美沙と一緒なんだ。川崎までお前も来ないか?
衛 :川崎?川崎の何処だ?
衛が電話をしている様子を、玄関警備の下柳がじっと見ている。
衛 :わかった・・・行くよ。
久保:一人で来いよ。じゃないと、あの女、どうなっちまうか知らないぞ。
(ここで、久保は、衛が一人で来ると本当に思っていたのだろうか。信じていたのだろうか?まぁ、単にその方がドラマっぽいから、というだけの理由だとは思うけどね(^^;))
そうして、久保は一方的に電話を切った。
衛 :・・・。
久保の指定した場所に出かけようとする衛に、下柳が声を掛ける。
下柳:何かあったんですか?
衛 :いや・・・。
何も言わずに行こうとする衛だったが;
下柳:安藤さん!!
そうして、衛は振り返って・・・。(きっとこの後、下柳に事情を話したんでしょうね)
【廃工場】
一人で川崎の廃工場までやってきた衛。
衛 :明!!!
だが、人影は無く、工場の奥まで入っていくと、美沙が工場の柱にロープでくくりつけられていた。
衛 :美沙!
まず、美沙の口のロープを緩める衛。
衛 :どうして来たんだよ!
美沙:ごめんなさい。終わらせたかったんです。とにかく、逃げよう。
と、続いて手首のロープを緩めたところで、久保が姿を現した。
久保:本当に来てどうするんだよ。馬鹿か、お前?
衛 :美沙には手を出すな。関係ないだろ?
久保:その女が勝手に飛び込んできたんだぜ。そいつ、俺に何て言ったと思う?俺のこと許すかわりに、安藤の事も許してやれだとさ。
衛 :・・・。
そんな久保に、衛は説得をはじめる。
衛 :明、話がしたいんだ。僕は、明の事ずっと友達だと思ってたよ。お前、馬鹿だと思うかもしれないけど、本気で思ってたよ。
久保:へぇ〜。俺の親父もお前の親父のことを、親友だと思ってたらしいぞ、莫大な借金を背負ってやるぐらいのな。
衛 :・・・。
久保:六年のとき、この工場つぶれてさ、金の事で親父とお袋が毎日喧嘩するんだよ。子供心になんとかしたくてさ、給食費盗もうとして、お前に邪魔されたんだ。
衛 :・・・。
久保:その後、学校でずーっと泥棒って虐められてさ。
衛 :ずっと恨んでたのか?
久保:恨もうにもお前の親父、死んで転校しちゃうし、俺の親父おかしくなるし、それどころじゃなかったよ。生きてくだけでせいいっぱいだったよ。俺もお袋も。いいことなんて、何にもなかった。
美沙:・・・。
久保:働きすぎでお袋死んじまうしよ。やっと就職できた会社があっという間に倒産しちゃうし。こんな人生、何の意味があるのか、って思ったよ。そんなときに、出会っちまったんだよ、お前と!!!
衛 :・・・。
久保:あれは、俺の会社がつぶれたその晩だった。
そうして、久保は、その運命の変わった日のことを話し始める;
とある、居酒屋。会社が倒産し、自棄になって一人で酒を飲んでいる久保。その久保のいる後ろのテーブルに、衛が同期と飲みにやってきた。
衛 :ごめん、ごめん、遅くなっちゃって。
同期1:おお。
衛 :専務と話し込んじゃってさ。
同期2:すごいよな、安藤。専務のお気に入りだもんな。
同期1:同期じゃ衛が一番の出世候補だよな!
後ろから聞こえた「安藤」「衛」の言葉に反応し久保は振り向き顔を見る。テーブルにいるのは、幼い頃のあの写真にあった衛だと確信する久保。
久保:お前は一部上場の社員でさ、専務のお気に入り。納得いかなかったよな〜。お前は俺より惨めでいてくれなきゃ、辻褄が合わないんだよ。
そして、乾杯する衛と同期は、なおも話を続ける;
同期2:・・・だけど、友だちに10万貸したら、全然かえってこなくてさ。
衛 :それはね、貸す方が悪いよ。どんなに親しくても、お金の貸し借りはしないことにしてるんだ。自分の身は自分で守らないとね。
同期1:それがお前のポリシーだもんな。
その言葉に、久保の瞳に怒りの炎がメラメラと(うわっ、結局、美沙と同じパターンですかい。いくら『知らないうちに誰かを傷つけていることがある』ってのがテーマとはいえ、また振り出しに戻っちゃうのか…。これだって久保の逆恨みでしかないのだけど、衛のキャラもあまりお友だちになりたくない雰囲気だし、肩入れしにくいのよね。最終回まで主役に肩入れしにくい脚本って・・・(ToT))。
当時のことを話しながら、久保は自分の復讐の理由を話し続ける。
久保:俺はその言葉を聞いたとき、俺に生きていく理由ができた。お前と同じ会社に入って、絶対、お前の上になって、お前を地獄に落としてやろうってな!!
衛 :・・・。
久保:そのために、ほんと、俺は努力したよ。警備員の中途採用でどうにか会社にもぐりこんでさ、それからずっと寝ずに勉強して、いろんな人に頭下げて取り入って、どうにかお前と同じ営業部に引き上げてもらって。
そして、今度は置いてあった鉄パイプを手にして話し続ける;
久保:なのに!おまえはいつも肝心なときに俺の邪魔をするんだよ!
衛 :プロジェクトのことか?
久保:一年かけて練った俺の企画が、3日前に出したお前の企画とそっくりだって言われてさ。
衛 :そこで、薮元に俺を襲わせたのか?
久保:お前が病院に運び込まれている隙に、俺がプレゼン成功さして、その企画を俺が頂く。それだけのことだったんだよ!
衛 :・・・。
久保:なのに、アンタの恋人が余計な真似したせいで!
手にした鉄パイプで、周りの設備を叩きまくり、暴れる久保。
久保:なんでこうなっちまったんだよ!俺はただ、おまえに思い知らせてやりたかっただけなんだよ。俺はもう終わりだよ。
そう言って、久保は今度は泣き崩れる。そんな久保に、ようやく衛の口からでた言葉が;
衛 :終わりじゃないよ!今からでも罪を償えば、やり直せるって!
久保:・・・。
衛 :そのときは僕も手を貸すから!
久保:!
だったりする。(それは、地雷を踏んでるでしょう、衛君・・・成長して無いやん)。
久保:手を貸すだと!お前はいつもそうやって上から物を言うんだよ、ふざけんな!!!
一気にヒートアップした久保は、鉄パイプで衛を殴る。
美沙:安藤さん!!!
倒れる衛。
久保:やっぱり、お前殺すしかないのかな。
久保が振り上げた鉄パイプを、手だけ自由になってる美沙がそれを止める。
美沙:やめてください!!!
今度は美沙に殴りかかろうとする久保だが、その間に衛が入りこみ、それを止める。
久保:何するんだよ!
衛 :これ以上、明に、罪を重ねて欲しくないんだよ!!!
久保:だまれ!!!
そうして、二人はもみ合いに。薮元や借金取りさんに比べると、なぜか善戦している衛君。さすが主役!(←緊張感の無いコメントですみません(汗))。そして、衛が倒れたときに、手元にあったブロックで、久保の後頭部を一発殴り(おいおい)、頭を押さえて倒れこむ久保。その間に、衛は美沙のロープをほどこうとするが、久保は灯油(らしきもの)の入った一斗缶を手にする(な、何でこんなものが。久保がどこからくすねてきて、最初から準備していたとしか思えないのだが・・・(笑))。
辺りに灯油をまき始める久保。
衛 :何するんだよ、明!!!
久保:終わりにするんだろ。終わりにしてやるよ、これで。
そして、頭から残りの灯油をかぶる。呆然と見つめる衛と美沙。
久保:俺だって、終わりにするしか無いんだよ。この先、生きてく理由なんてないんだよ。
衛 :・・・。
そして、久保はライターを手にする。
衛 :やめろ!!
衛が飛び掛るが、あっさりといなされて(笑)、倒れこむ。久保がライターに火をつけようとしたその瞬間、工場の扉が開き、下柳が飛び込んできた。
久保:!!!!!
下柳は久保に体当たりし、二人そろって倒れこむ。その際に手から落としたライターに手を伸ばそうとする久保だったが、今度は衛が久保のその手を押さえ込み、と、同時に警官隊が突入し、久保を取り押さえる
衛 :大丈夫か?
美沙:はい。
ようやく美沙のロープを解く衛君。
下柳:やっと、安藤さんを助けることが出来ました。
衛 :ありがとう。
下柳もようやく1年前のトラウマから解放されたのね。
大川:殺人未遂の現行犯だな。逮捕します。
(えっ、これって殺人未遂なの???)
そうして、大川に手錠を掛けられる久保。
衛 :・・・。
久保:・・・。
久保は無言のまま衛を見つめながれ連行され、その様子を衛も無言のまま見送った。
【城西警察署】
夜。廊下のベンチで島谷が待っている。そこにやってきた衛と美沙と、刑事さんたち(下柳は?(笑))。
衛 :専務・・・。
島谷:大変だったな。
衛 :はい。
島谷:とりあえず、一つ区切りはついたということだろう。
大川:ええ、じゃぁ、今日はここでお帰り下さい。
刑事:また明日、事情聴取を行いますから。
島谷:じゃぁ、行こう・・・。色々、お世話になりました。
帰ろうとすると、そこに礼子と愛子がやってきた。
衛 :母さん。
愛子:どうしても来たいって言うから…。
愛子:刑事さん、お願いがあるんです。
面会室。大川の計らいで、礼子は久保と面会することになった。衛もその場に同席する。
久保:・・・。
礼子と視線を合わせずに、久保は着席する。
礼子:安藤礼子です。申し訳有りませんでした・・・。
久保:・・・
愛子:あなたの大切なお父様に、本当にご迷惑おかけしてしまいました。助けて頂いた事、絶対忘れてはいけないことなのに、それなのに私は、自分たちのことが精一杯で、いつの間にか忘れてしまって、ずっと今まできて・・・。今頃になって謝ってもどうしようもない事は分かってます。でも、どうしてもあやまりたくて・・・明さん、ツライ思いをさせてしまって・・・。本当に申し訳ありませんでした。
深々と頭を下げる礼子。衛も一緒に頭を下げた。久保は号泣した。
(このシーンで久保の魂は解放されたのでしょうか? 『今さら言われても・・・』そういう涙とも受け取れるわけで。この後、久保がどうなるかは、このドラマ的には久保が「許す」ことができるかどうか、ということなんでしょう。ただ、そこまで描いて欲しいとは思わないけど、衛との関係がどうなるのか、そこだけははっきりとしておいて欲しかったです。最終回はそこがメインだったのだから・・・)
【街中】
帰り道。美沙を途中まで見送りつつ、一緒に歩いている衛。
美沙:全部終わりましたね。
(いや、まだまだ終わってないと思うのだが。明日も事情聴取のために警察に行かなきゃいけないんでしょ?)
衛 :そうだな・・・。
改めて、鞄から封筒を出す美沙(いつの間にこんなものを準備したのやら)。
美沙:これ、安藤さんへの借用書です。
衛 :えっ?
美沙:何年かかるか分かりませんけど、ちゃんと返済しようと思ってます。
衛 :だけど・・・。
美沙:甘えたくないんです。ずっと亘一人に甘えてきたから、だから私はあんな過ちを犯してしまったんです。一人でも生きて行ける人間になりたいんです。
衛 :分かった。
衛は封筒を受け取った。
美沙:それじゃぁ。
そうして、二人は別々の道をいく。別れ際;
美沙:安藤さん・・・私の事、守ってくれてありがとうございました。
美沙は衛に頭を下げ、そのまま二人は分かれた。
【美沙のアパート】
美沙がアパートに戻ってくると、外で尾崎が待っていた。
尾崎:あの男、捕まったんだってな。
美沙:はい。
尾崎:やっと俺との縁も切れるな。
美沙:お世話になりました。
尾崎:もう、俺なんかに関わるんじゃないぞ。
そうして、美沙は部屋に戻り、尾崎は、ポケットから「ひかりの家」での子供達の写真(そこには当時の美沙も写っている)を取り出す。って、素敵!(笑)。
【JTS 専務室】
数日後なのかなぁ。警備服姿の衛君は、島谷の元にやってくる。
衛 :プロジェクト凍結の話、聞きました。
島谷:そっか。
衛 :専務、辞めるおつもりですか?
島谷:責任をとる立場にいるのは、私だ。
衛 :他にも責任をとる方法はあるんじゃないでしょうか?
島谷:・・・。
衛 :このプロジェクトを実現させないと、本当の意味で責任をとったことにならないと思うんです。もし、許していただけるのなら、プロジェクト再開のために力を尽くしたいと思います。今まで一緒にやってきた専務の元で、実現したいんです。
島谷:!
衛 :お願いします。
そうして、島谷は内ポケットから用意していた「辞表」と取り出し、それを握り潰した。
島谷:ありがとう。
(と、こちらは想定の範囲内だけど、納得のケリのつけ方でした)
【JTS 廊下】
専務室を出てきた衛は、警備の職場に戻ろうと、廊下を歩いているところに、高山が声を掛けてきた。
高山:大変でしたね、安藤さん。また営業に戻ってこられるんでしょ。僕のことも考えておいて下さいね。
衛 :君の事は丁度専務と話していたところでねぇ。
高山:はい?
衛 :暫く休んでいていいそうだよ。
高山:?
衛 :謹慎処分だってさ。
高山:えっ?
(と、こちらもまた、妥当な処分で・・・(^^;))
【美沙のアパート】
一方の美沙と瞳は・・・。
瞳 :私、美沙が亘といるのを見て、悔しくて声も掛けられなかった。でも、亘が死んで初めて美沙に優しくなれるような気がして。美沙が悲しんでるのを見て、嬉しかったんだよ、きっと。ごめんね。
美沙:もういいよ、どんな理由でも瞳がそばにいてくれて、私は救われたよ。
瞳 :許してくれるの?
美沙:それが大事な事だって、やっと分かったの。
(だから、美沙一人でいい子ぶってるってどーよ!!!)
海。亘のために、花束を投げ入れ、そのまま海を眺めている美沙。そこに、美沙の携帯に亘から電話が入る。
美沙:亘、亘なの?どにいるの?
亘 :美沙のすぐそばだよ。
そうして、遠くから美沙の方に一歩一歩歩いてやってくる亘の姿が見える。
亘 :ごめんな勝手に居なくなって。美沙の事、守ってやれなくてごめんな。
美沙:大丈夫、私もちょっとは強くなったから。
亘 :もう俺が居なくても平気みたいだな。
美沙:えっ?
亘 :もうこれも、必要ないよ。
そして、亘は美沙のピアスをはずし、海に投げ込んだ。
亘 :ずっと美沙の事、見守ってるからさ、一番美沙が、幸せになるように生きろ!
・・・。美沙は一人、部屋で目を覚ました。ベッドの側には、薔薇のピアスが落ちていた。
(夢落ちの最後は、美沙バージョンだったのね(^^;)。でも、今回のは美沙の心にケリをつける方法としては、いい夢落ちの使い方だったんじゃないかなぁ、とは思います。ちょっとクドイいとは思ったけど(^^;))
【JTS 屋上】
夕方。今度は衛と有紀のケリのつけ方;
有紀:私さ、晃一とやり直すことにした。
(へ?それはまた、唐突な・・・)
衛 :そっか。よかったな。
有紀:衛、何かたくましくなったね。衛が強くなれたのは、美沙さんのおかげだね。
衛 :えっ?
有紀:出会って良かったんだと思う。私たち、あのまま付き合ってても、きっと上手くいかなかったと思う。
衛 :・・・。
有紀:美沙さんの事、ちゃんと支えてあげてね。
そうして、去っていく有紀。
衛 :・・・。
(って、こっちのケリのつけ方は、力づくじゃないかい? 美沙の話もいいけど、衛と有紀もお互い、出会ってよかったと言って欲しかったよ・・・(ToT))
【美沙のアパート】
数日後。美沙のアパート。そこはもう、誰も居なくて・・・
【海岸】
海で、薔薇のピアスをじっと見ていた美沙は、そのままピアスを海に放り投げた。そのとき、携帯の電話がなる「Mamoru」だった。
衛 :どこにいるんだよ?
美沙:・・・。
衛 :黙っていなくなること無いだろ。心配させるなよ。
美沙:・・・。
(と、ここの電話での話し方、あまり衛らしくないと言うか…。急に男っぽくなってないか?(^^;))
そして;
衛 :どれだけ探したと思ってるんだよ!!!
それは、電話の声ではなく、生の衛の声だった。美沙がその声の方を振り返ると、衛がゆっくりと近づいてきた。
美沙:安藤さん。ごめんなさい。もう、大丈夫ですから、私。
衛 :・・・。
美沙:明日から私が育ったひかりの家で働く事になりました。
衛 :そうか。
美沙:生きる理由も1つ見つかったような気がします。
衛 :えっ?
美沙:何年か先の私がどうなってるか、自分で確かめてみたいんです。それを楽しみに、生きてみようと思います。
衛 :僕も楽しみにしてるよ。君に出会えて、僕も少しは変われたような気がする。
美沙:・・・これで本当にお別れですね。
って、またお別れなんですか。一体、このドラマ、二人の別れのシーンが何度あったことやら。衛も必死に美沙の行方を探して、そして「僕も楽しみにしてるよ」なんて言ったばかりのところで、あっさりと「別れ」って・・・。借金も返さないといけないでしょうにとか、久保の裁判もあるだろうにとか、一気に色んなことを考えちゃったよ…。と、疑問に思っていたら、衛も;
衛 :ああ。
と、合意してるし…。
美沙:それじゃぁ。
そうして立去る美沙。美沙の後姿が徐々に小さくなっていく。そんな美沙の後姿に向かって叫ぶ衛。
衛 :美沙!!!!!!
衛 :僕はいつでも、君の味方だから!!
その言葉に振り返る美沙;
衛 :僕はいつでも、君のことを考えてるから!!
美沙:!
衛 :君は一人じゃない!
その言葉に涙を流す美沙。そしてその美沙を見送る衛の目にも・・・。お互いの気持ちを確かめて、そしてそのまま二人は別れた。
(と、直前のやりとりは若干の違和感はあるけど、このラストシーンは結構、好き。抱きしめるでもなく、離れるでもなく。映像の美しさも加えて、いいシーンだったように思います。衛君、眼鏡だったけど・・・(TOT)。
だからこそ、個人的にはこのドラマ、ここで終わって欲しかったです。この後のエピローグに時間を費やすぐらいなら、もっと前半の久保との対決で、衛と美沙と久保の3人の思いをもっとぶつけ合うようなシーンを見たかったです)
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【一年後】
JTSに出社する衛。ああ、一年が経とうとも、コンタクトに変えようとは思わなかったのか、衛君!!!最後の最後までファンサービスが無いなんて、私は悲しいぞ!
衛のモノローグ:そして、一年が過ぎた。
プレス発表の場。記者たちが大勢、集まる中、衛が壇上に立っている;
衛 :安全構想都市計画のプロジェクトリーダーを務めます、ジャパントータルセキュリティーの安藤衛と申します。どうぞ、よろしくお願い致します。
一同、拍手で迎えられる衛。そこには、警備員としていながらも、思わず拍手しちゃう下柳君もいたりして。そして、もちろん、島谷専務や、有紀も・・・
衛 :安全にとって最も大切なことは、人と人とのつながりです。今回のプロジェクトでは、最先端セキュリティーシステムの中で、人と人とがふれあい、安らぎを育める都市空間作りを最重要テーマとして取り組んでまいりました。
そして、プレス発表が終わり、会場のロビーにて、島谷に声を掛けられる衛。
島谷:安藤君!今から有紀と下柳君と一緒に、昼飯に行くんだが、たまには君もどうだ?
衛 :すみません。今日は大切な人の命日なんで・・・。
島谷:そっか。今夜の商談には遅れるなよ。
(↑この発言が出た段階で、ラストオチの嫌な予感がしたんだよな)
衛 :はい。大丈夫です。
そして、衛は花を手に亘の墓にやってきた。既に、先に誰かが参ったのか、同じような花が既に墓前に置かれていた。その花に並べ、そして墓前で手を合わせる衛。
その後、衛は『ひかりの家』に。遠くで子供達と生活している美沙の姿が見える。その様子を見るだけで、その場を立去る衛(って、それじゃぁ、恋愛偏差値の夏目君やん!)。
美沙:・・・?
女の子:ねぇ、お姉ちゃん、彼氏いないの?
美沙:えっ?(笑)
女の子:教えてよ!
美沙:いないよ。
女の子:好きな人は?
美沙:心の中で思ってる人はいるよ!
女の子:どんな人?
美沙:私の事・・・守ってくれた人(^^)。
(だから"衛"ですかい?あはは。ああ、このシーンは無い方がよかったかなぁ。進展があるならいざしらず、お互いが思い続けているというのは、想像の範囲以上のものではないわけだし)
そして、夜。商談に向かう衛君。映像のトーンとしては、第一話のコミカル系に逆戻り。だけど、逆戻りはして欲しくなかったなぁ。常套手段ではあるかもしれないけど、今回のドラマは、未来に進んでいく人の話なのだし、ならば未来に向かっていくところで終わって欲しかった。ドラマが最初の頃に逆戻りをしちゃうと、私の中で、ドラマの当初に抱いていた複雑な思いまでもが一緒に戻ってしまった。
衛のモノローグ:人生に危険はつきものだ。恐れてばかりいては仕方が無い。肝心なのは起きてしまったことと、どう向き合うかだ。悲しいことの先には、きっとまた、光が現れる。僕はそう信じるようになった。僕にできることは、そのとき正しいと思ったことをする、それだけだ。
なんて思いながら歩いていると、またまた人と肩をぶつけてしまう衛君。成長が無いわけで(笑);
衛 :すみません。
男:あっ、すみません。
と、そのまま肩をぶつけた男性は立去る。何事も無かった事にほっとして歩いて行く衛(って、見ているこっちもホッとしたよ)。だけど、次の瞬間;
「た、助けて!!」
という叫び声が。見ると、まさしく2年前の自分と重なるような暴行を受けている男の姿が・・・
衛 :!
って、こんな終わり方いやん!(ToT)。とりあえず、衛よ、そういうい場合は警察に電話しろと、突っ込んでおくぞ。
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