Mの悲劇


第6話 『追いつめられた二人』

05.02.20 Sun 21:00〜21:54 TBS系列 にて ON AIR

 

 

■ ストーリー ■


衛のモノローグ:僕への復讐を生きる理由にしている女がいる。

  衛 :本当にすまなかった。
  美沙:安藤さん、もう、遅いですよ。

衛のモノローグ:その女は妹にまで手を伸ばし。

  衛 :ふざけるな!

衛のモノローグ:僕を罠にかけた。

  衛 :愛子はどこだ!!
  美沙:やめて下さい!
  衛 :愛子はどこだって!!?

  衛 :どうしてこんな映像が?
  大川:完全な住居侵入罪と強制わいせつ罪

衛のモノローグ:美沙は、一年前に死んだ恋人が受けた濡れ衣の苦しみを僕にも味合わせようとしたのだ。

  亘 :俺と結婚して下さい。俺の家族になって欲しい。

衛のモノローグ:美沙の悲しみの深さは僕の想像を超えていた。

  美沙:見たんですか?
  衛 :教えてくれないか、僕はどうしたらいい?どうしたら君を救えるんだ?
  美沙:あなたが、苦しむことだけが私の救いです。



【美沙のアパートの外】

アパートの階段で足を滑らせ、転落した衛は階下で倒れている(きゃっ(*^^*))。薄れる記憶の仲で美沙(長谷川京子さん)が近づいてくる姿が見えるが、そのまま視界がぼやけ、意識を失う。



【美沙の部屋・夜】

亘との思い出のビデオを見る美沙。ベッドの上には、そのまま気を失った衛が。衛の姿をじっと見る美沙。(恋人&自分のベッドに復讐相手を寝かせる不思議・・・)


美沙の中の一年前の記憶。今の衛と同じ姿勢でそのベッドにうずくまっている亘。

亘 :俺にはもう、なにもなくなっちまったな。
美沙:何言ってるの、腕さえ直せば、またやり直せるよ!
亘 :お前さ、俺以外のもの、何か見つけろよ・・・。
美沙:亘?

美沙は一年前の亘との会話を思い出しながら、部屋においてあるカレンダーを手にする;

   2月22日 WATARU BIRTHDAY

美沙:・・・。



【美沙の部屋・明け方】

衛 :う・・・あっ、痛っ

夜が明け、衛が足の痛みで目を覚ますと、美沙がその痛めた足に包帯を巻いているのが視界に入る。

美沙:気がつきました?
衛 :あ痛タタタ・・・君が助けてくれたのか?
美沙:分かってたんです私も。復讐なんて続けても、自分が傷つくだけだって。私の方が心に鍵をかけてたんです。安藤さんがその鍵を開けてくれたんです。
衛 :・・・。本当なのか?・・・僕を許してくれるのか?
美沙:あなたと一緒なら。
衛 :えっ?
美沙:お母さんの前で二人で婚約者を演じましたよね?その通りに一緒に生きていけませんか?
衛 :あっ、でも・・・僕も有紀っていう人が。
美沙:安藤さんが必要なんです!

そう言いながら、ベッドの上の衛を抱きしめる美沙。

衛 :あっ、いや・・・。
美沙:亘の代わりに、私を守って欲しいんです。
衛 :あっ、いや・・・。

・・・そうして・・・で、目を覚ます衛君。おいおい、今度はそっち系の夢オチかよぉ〜〜〜〜(笑)。


衛 :ああぁ〜。

と、若干情けないうめき声を上げて目を開けた衛君。夢だったと安堵しつつ、体を起こそうとするも起き上がれず。何と、両手両足がベッドにくぐりつけられていたのだ。そこは美沙の部屋。傍らでは美沙が衛に冷たい視線を向けている;

衛 :あっ・・・。
美沙:目覚めちゃったんですね。
衛 :これは、何の真似だ?
美沙:ずっと眠り続けてくれたら、それで済んだのに。
衛 :ちょっと、どういうつもりだよ!早く外してくれ!
美沙:決めたんです、私。
衛 :?!
美沙:今日で全部終わらせるって。
衛 :終わらせるって・・・

美沙の言葉の意味が分からない衛。



    「Mの悲劇」 THE TRAGEDY OF

Chapter6


【美沙の部屋・朝】

美沙の部屋のベッドの上で、身動きがとれずにいる衛。

衛 :なぁ、頼む。病院にだけは行かせてくれ!お袋の手術が昨日終わったばかりなんだよ。一度ぐらい顔を見せてやらないとさ。
美沙:・・・。
衛 :なぁ、頼むよ。
美沙:・・・。

美沙は衛の言葉に対して、まるで関心を示さずにいる;

衛 :返事ぐらいしてくれよ!大声で人を呼ぶことぐらいできるんだぞ。
美沙:私を救ってくれるんじゃないんですか?
衛 :・・・。
美沙:それともあれも嘘ですか?
衛 :いや、嘘じゃ無いよ。だけど…。

そこに、衛の携帯のベルが鳴る。が、手足が自由になら無い衛は電話に出れないわけで、美沙が電話を手にする;

衛 :なぁ、妹からか?そうなのか?お袋のことで電話してきたんだ。貸してくれ、なぁ!
美沙:・・・。

だが、そのまま電話を放置する美沙;

衛 :ちょっと。
美沙:亘の日記、見たんですよね?
美沙:私にも亘にも家族はいなかったんですよ。安藤さんも家族のことはもう忘れて下さい。

(って、すごい理屈だなぁ、美沙…)

衛 :えっ、どういう意味だよ!なぁ、なぁ、聞いてんのか?
美沙:・・・。



【病院】

その頃、愛子(浅見れいなさん)は病院の外で電話に出ない衛の携帯に留守電メッセージを入れていた;

愛子:どこにいるのお兄ちゃん。手術は無事終わったんだけど、不整脈が出て、まだ眠ってんの。お願い、早く来て!

そこに病院の看護婦がやってきて、愛子を呼ぶ。病室に行ってみると、担当の医師から、手術を終えた礼子(吉行和子さん)の脈も安定してきて、もう大丈夫だろうと告げられる。午後には麻酔も切れ、意識もはっきりしてくるだろうと。ひとまず安心する愛子。



【美沙の部屋】

ロープを外そうと懸命の衛。足をバタバタさせてみたり、ロープを噛み切ろうとしてみたり。それを見た美沙は;

美沙:諦めて下さい。今日で終わらせるんですから。
衛 :どうして今日なんだよ?なぁ!何を焦ってんだよ?こんなことをすればするほど、君だって辛くなるんじゃないのか?
美沙:勝手なこと言わないで!
衛 :・・・。
美沙:安藤さん、私を救いたいって言いましたよね?

小さく頷く衛。

美沙:だったら、亘を生き返らせてください!
衛 :・・・。
美沙:今日、亘の誕生日なんです。安藤さんも祝ってくださいね。あなたへの復讐が、亘へのプレゼントなんですから。
衛 :僕をどうする気だ?
美沙:やって欲しいことがあるんです。
衛 :・・・。



【JTS 専務室】

その頃、専務室で久保(佐々木蔵之介さん)と衛のことについて話をしている島谷(伊武雅刀さん)。久保に、いずれ衛を法人営業部に戻し、新規プロジェクトを任そうと考えていることを話す。さらに、美沙とのことが決着がついてからの話だがと前置きしながらも、有紀ともよりを戻させようと思っていると。それを聞いて、快く思わない久保(そこまで顔に出したら、専務に怪しまれますぜ、久保さん(笑))。



【JTS ロビー】

島谷との話を終え、不満顔でロビーへのエスカレータを駆け下りる久保はそのまま外出していく。

一方、同じくそのロビーの一角では、有紀(岡元綾さん)が、衛のことを心配して携帯に電話を入れている。

有紀:有紀です。ずっとつながらないので、何かあったんじゃないかって、心配しています。大丈夫だったら連絡下さい。待ってます。

そうメッセージを残して電話を切ったところに下柳(成宮寛貴さん)がやってくる;

下柳:安藤さんか?俺も電話したんだけど、つながんなくてさ。
有紀:どうしちゃったんだろう・・・
下柳:俺は取り返しのつかないことをしてしまったかもな。
有紀:晃一、衛に何かしたの?
下柳:とにかく安藤さんを探してくる。

下柳は由紀にそう言って、会社を出ていく…。(仕事は?)



【美沙のアパート】

その頃、美沙のアパートの階段を上がる男性の足音が。

部屋の中では衛と美沙の攻防戦;

衛 :何なんだよ、僕にやって欲しいことって?
美沙:これにサインして下さい。

美沙は衛に『500万円の借用書』を差し出す。もちろん、真っ当な金融業者の借用書ではない。

衛 :500万円の借用書?何のつもりだよ!
美沙:亘はあの事件のせいでデビューが中止になって、CD制作費や宣伝費まで保証することになって、500万円の借金を背負わされたんです。

(だからってそんな高利貸しに金を借りないといけなくなるようなところとデビューの契約しようとしてたのかよ…。それは最初から騙されていたんだろうなぁ、亘は…。ははは…)

衛 :その借金を、今は君が?
美沙:取り立て屋に追われるのって、想像以上に苦しいですよ。
衛 :だったら燃やしたりしないで、僕から奪ったあの金で返せばよかったじゃないか!
美沙:返済したいんじゃないんです。亘の苦しみを分からせてあげたいんです!
衛 :・・・。
美沙:償いはするつもりだって言いましたよね?
冷たくそう言って美沙は、借用書へのサインを促すように衛にボールペンを差し出す。衛は黙ってそのペンを手にし、借用書にサインをする。

美沙:・・・。ずいぶん素直なんですね?
衛 :君を救いたいという言葉に、嘘はない!


その二人の会話を美沙の部屋の外で聞いていた男=久保は立ち去っていった(久保が怪しく映る演出ではあるけど、中の様子が見えないこともあるし、衛のことを信用していたと言い訳はできるシーンなんだよな…)。



【病院】

ずっと眠っていた礼子が、ゆっくりと目を覚ます。

礼子:今日は良い陽気ねぇ・・・。

その言葉に、ベッドの傍らで眠っていた愛子が目を覚ます。

愛子:お母さん、分かる?私よ。
礼子:愛子のこと、分からないはずないでしょ?
愛子:よかった・・・。
礼子:衛は?
愛子:大丈夫・・・すぐ来るから・・・。

そう答えて母親を安心させる愛子。



【美沙のアパート】

衛の携帯が鳴り続けている。その横に、衛がサインおよび拇印を押した借用書を置く美沙。

美沙:羨ましいですね、みんなが心配してくれて。
衛 :まさか、僕以外の人間にまで、何かしないよな?
美沙:安藤さん次第です。あなたがいなくなれば、みんなあなたのことなんて忘れてくれるはずですから。
衛 :いなくなる?

そうして美沙は今度は衛に『辞表』を差し出す;

衛 :何の真似だ!!!
美沙:あなたの辞表です。
衛 :待ってくれよ!

そう言って、美沙の差し出した辞表を振りほどく衛;

衛 :待ってくれよ!10年勤めた会社だぞ!人の安全を守るこの仕事が僕の誇りで!この会社をやめたら、僕は・・・。
美沙:亘だって音楽だけが支えでした。高校を卒業してから、ずっと、デビューを夢見て。10年かけてやっと掴みかけたその夢をあなたのせいで失ったんです!
衛 :・・・。
美沙:あなたが辞めなければ、みんなが迷惑することになると思いますよ。それとも安藤さんは人の安全ではなく、自分を守ろうとしているだけなんですか?
衛 :分かったよ。それで君の気がすむのなら・・・書くよ。

そうして再びサインと拇印を押す・・・。

衛 :ここまでしたんだ。母の病院には行かせてくれるよな?
美沙:あなたはここにいてもらわなきゃ困ります。
衛 :これ以上僕から何を奪おうっていうんだよ!
美沙:一番大切な物が残ってるでしょ?
衛 :一番・・・大切な・・・もの??

美沙が3番目に衛に差し出したのは、今度は白紙の用紙。

衛 :今度は何を書けって言うんだ?
美沙:遺書です。
衛 :!!!


美沙:亘は命を失ったんですよ。
衛 :こんなことして、君は救われるのか?
美沙:私は救われたいなんて思ってません。
衛 :・・・。辛いのは分かるけど、死んだ彼だって君が何かを見つけて立ち直ることを望んでるんじゃないのか?
美沙:あなたにそんなこと、言う資格があるの!?!
衛 :けど、僕は君にそれを見つけて欲しいし、それを手伝えるなら、なんだってするつもりだ!!
美沙:私には亘がたった一つの光だったんです。
衛 :・・・。
美沙:ちょっと出かけてきますから、戻ってくるまでに遺書の内容を考えておいてくださいね。

そうして、衛が今サインをした『辞表』と『借用書』とを手にし、玄関のドアを開け、外に出て、鍵をかけた瞬間に動き始める衛君(美沙の姿が消えた瞬間に行動し始めてたけど、この辺もキャラが変わったよなぁ…と思う)。

衛は必死にロープをほどこうとするが普通に手足を動かしただけではとてもじゃないけど解けず。そうこうしているうちに、枕元にあったライトが床におち、一緒に床の上に散乱した若干の小銭などの中に”爪切り”を見つける。衛はその爪切りに、何とか手を伸ばそうとする。



【街中】

街を歩く美沙を、車で移動中の大川刑事(佐藤二朗さん)が偶然見かける。車を止めて、車から降り、じっと美沙の後姿を見送る大川。

【美沙のアパート】

その頃、衛は爪切りで手を縛っていたロープを懸命に切っている(爪切りというのが、中途半端にリアル・・・(笑))。

何とか手首を縛っていたロープを切り、続いて足を縛っていたロープを解きます(って、早っ。もう少し楽しませてくれても…(オイオイ>自分))。
右足を痛めつつ満足に歩くことも辛い状態で、部屋にあった若干の小銭と、そうして、再び衛君メガネ着用・・・うう、ロープを解いちゃっただけでなく、メガネも復活しちゃったわ・・・(ToT)。

そうして部屋を出て行こうとしたときに・・・棚の上に置かれていた楽譜に目が止まる;

  『ひかり』
   ・・・生きてく そのわけを・・・
   ・・・愛し合う喜びを・・・
   ・・・君が与えてくれた・・・二人なら・・・・

衛 :・・・。

衛はこういう状況に陥りながらも、美沙の気持ちを思う・・・



【瞳のマンション】

下柳は中西瞳(吉岡美穂さん)のマンションを訪ね、出かけようとする瞳に食い下がるように美沙の居場所を聞き出そうとしている。

下柳:あなたが知らないわけ無いでしょう!
瞳 :・・・。
下柳:相原美沙はここを自分の部屋だと言っておいて、僕と安藤さんをはめたんですよ!
瞳 :私は本当に何も知らないんです!!
下柳:あの女のしていることは犯罪ですよ。場合によってはあなたも同罪です。安藤さんと連絡がとれないんです。相原美沙の部屋を教えて下さい。
瞳 :どうして私がみんなから責められなきゃならないんです!
下柳:みんな?
瞳 :さっきもあなたの会社の人が来て…。
下柳:えっ、誰が?

(ってことは、久保さんが先にやってきていたのね。ならば見知らぬ先ほど美沙のアパート前に久保がやってきていたのも、説明はつくんだな…)



【JTS ロビー】

その頃、会社に戻ってくる久保。その携帯に公衆電話から電話が入る。

久保:もしもし?・・・安藤か?!・・・みんな心配してるぞ、今、どこだ?
衛 :ごめん、いま病院にいるから、携帯には出られないんだよ。みんなには一晩、病院に泊まるって伝えてくれないか?
久保:電話がつながらないから、あの女と何かあったのかって心配したよ。
衛 :大丈夫だよ。美沙とはちゃんと話し合って、僕が何とかするつもりだから、心配ないよ。
久保:そうか。慎重にな。

そういって電話を切ると、その背後に、美沙の声が聞こえた。

美沙:相原と申しますが、これを島谷専務に渡してもらえませんか?

美沙はロビーにある受付に何かを預けていた。美沙の様子を怪しみつつ、久保は受付に美沙から預かったものを確認しにいく。

久保:ねぇ、今、何預かったの?
受付:この封筒を島谷専務にって。
久保:OK。じゃぁ、俺が渡しとくよ。

そう言って、久保は封筒を受け取り、陰ですぐに封筒の中を開ける。中に入っていたのは衛の退職願いだった。



【美沙のアパート】

下柳は瞳から聞き出した住所をたよりに、美沙のアパートにやってくる。が、部屋の鍵が開いていて、しかも中には誰もいない。部屋に上がりこみ、ベッドに繋がったロープを怪しみながら手にする下柳。そうして、2月22日に“WATARU BIRTHDAY”と書かれたカレンダー・・・。



【病院】

タクシーで病院に到着した衛を、財布を持ってる愛子が出迎える。(このドラマ、有りえない展開でありながら、そういうところはちゃんと細かいところまで描いているというか・・・)。何も言わずに足を引きずりながら歩く衛を心配する愛子。

愛子:ねぇ、お兄ちゃん、今までどこに行ってたの?
衛 :ごめんな、愛子・・・ごめん。
愛子:だって、ねぇ、何かあったの?
衛 :大丈夫だって・・・あっ。

と、痛めた足のせいで態勢を崩しながらも、愛子に支えられながら、礼子の病室へと急ぐ衛。

愛子:ちょっと。だって、その足!!
衛 :母さんの手術は成功したんだよな?
愛子:うん。

そうして、礼子の病室にやってきた衛は、ベッドの側に座り、礼子に語りかける;

衛 :ごめんね、母さん、どうしても抜け出せない用事があって。どう、具合は?
礼子:衛の顔も見られたし、すぐに元気になってみせるわ。
衛 :はぁ・・・よかった・・・。

そうして、衛は母親の手を取り、強く握りしめる(・・・って、思わず吉行さん、いいなぁ〜とか思っちゃった(笑))

礼子:夢の中にね、お父さんが出てきたのよ。
衛 :父さんが?
礼子:まだ、俺のところに来るのは早い。もう少し衛や愛子のそばにいてやれって。勝手な人よね。泥棒に入られてから、お酒におぼれて、病気が原因だったけど、自分から死んでいったようなものだった。あの頃は父さんを支えられなかった私が情けなくてね・・・。
衛 :・・・どうやって立ち直ったの?
礼子:あんたがいたから。
衛 :?
礼子:何にも出来ない小さな子供のクセに、いっつも私や愛子を守ろうとしてくれて・・・。それが嬉しくってね。
衛 :・・・そうなんだ。僕でも力になれたんだ。
礼子:・・・。
衛 :今だって一緒だよ、母さん。

そうして、愛子も礼子の手を握る。

衛 :僕たちがついてるから、大丈夫だよ。
礼子:ありがとう。

(いいシーンだわぁ〜。じーん(;o;))



【西新宿】

事件現場にやって来た美沙。あの事件の日…;

  衛 :た、た、助けて下さい!
  衛 :あ、ありがとうございます。本当に助かりました。

 衛を助けた亘は、その後、その男に刺される。そうして、その後、裁判所での亘の様子:

  亘 :何で俺が有罪なんだよ!何であの人は来てくんなかったんだよ!

そんなこの1年の出来事をじっと思い出す。

美沙:今日で終わりにするからね・・・。

そこに借金取りの尾崎(大西滝次郎さん)がやってくる。



【城西警察署】

大川刑事が美沙についてどうやら調べている様子。美沙の携帯電話の名義人から、亘の事件と自殺のことを知り、その傷害事件の相手の男のことを部下に調べさせる。



【西新宿】

美沙:お話していた借用書です。

美沙は尾崎に衛に書かせた借用書を渡し、かわりに尾崎は美沙の借用書を破りチャラにする。

美沙:あなたとも、やっとお別れね。いろいろご迷惑おかけしました。
尾崎:どこへ行く気だ?
美沙:あなたには探せない場所です。

そういって、尾崎の前を立去る美沙。



【JTS 専務室】

島谷と有紀がいる専務室で、下柳は美沙の部屋で見たことを報告している。

島谷:死んだ恋人の誕生日?
下柳:安藤さんと連絡がとれないのもそのせいかもしれません。
有紀:考えすぎじゃない?衛は病院よ。久保さんが連絡を受けたの。
島谷:いや、相原美沙がこれまで安藤君にしてきたことを考えたら、考えすぎじゃないかもしれない。
下柳:それと名前のことなんですが、相原美沙の本名は香田美沙でした。
島谷:香田?
下柳:相原というのは死んだ恋人の苗字だったようです。
島谷:香田美沙・・・?
有紀:どうかしたの?
島谷:いや、なんでもない。

そういって茶をすする島谷。(みんな怪しいって・・・(笑))



【美沙の部屋】

買い物袋を手にして、アパートに戻ってくる美沙。玄関の扉があいているのを目にする。急いで部屋の中に入いってくると、そこには衛の姿はなく、力なく手にした買い物袋を床に落とす;

美沙:嘘つき・・・。

(って、別に何も約束はしてなかったと思うが・・・(苦笑)。ここはその前のシーンではっきりと衛君に「絶対逃げない」とかって”約束”しておいて欲しかったな。くどいかもしれないけど、その方が、後のシーンも理解しやすかったのに…)



【JTS ロビー】

JTSにやってきた大井刑事と約1名の役立たずの刑事(笑)。ロビーから続くエスカレーターを上りながら;

  「相原亘を刺したチンピラはヤブモトマサシ。
   余罪もあって一年半食らったらしいんですが、刑期が短縮になって、
   一昨日仮出所したそうです」

なんていう刑事さんたちの会話を、エスカレータのすれ違いさまに耳にしちゃう下柳。(うーん、ナイスな偶然(笑))



【JTS 会議室】

久保と、なぜか高山も一緒に、大井の話を聞いている。どうやら大井は衛君を訪ねてきたようだが、謹慎中とのことで久保と高山が対応している模様。(だけど、衛を訪ねてきたなら、営業じゃなくて、警備課に行くんじゃないのかしらん、この場合・・・)

大井:そうですか、安藤さん、謹慎中なんですか。いや、電話も繋がらなくてさ。
高山:病院にいるからですよ。ね?
久保:ああ。
高山:あの女には僕らも迷惑してるんですよ。怪文書で安藤さんを中傷したり、警察沙汰を取引先にリークしたり。ねぇ?
久保:ああ。

と、生返事を続ける久保。

大井:久保さんは一番のねぇ、友人ってことなんですけど、相原美沙さんについて、何か知りませんかねぇ?
久保:ちょっと待って下さいよ。安藤は何度も警察に相談したって言ってましたよ。何なんですか、今頃になって!!
大井:うーん、まぁ。
刑事:しかし当時の状況としましてはですね、相原美沙を明確な加害者と決め付ける根拠もなかったわけでして。
久保:・・・。
大井:・・・?



【JTS 資料保管室】

夕刻。鍵のかかったロッカーから、「警備事故報告書」のファイルが並んだ中から『1984年下半期』と書かれたファイルを取り出し、何やら調べ物をしている島谷専務。その中に、長女・香田美沙さん 軽症 という文字が。

島谷:・・・。

(ああ、専務まで美沙とかかわりがあるなんて、ご、強引すぎる!!!)



【美沙の部屋】

夜。一人、亘の誕生日を祝う美沙。ワインに錠剤を何錠か放り込む。亘との写真を見て:

美沙:結局、二人きりだね。

と呟く美沙。さらに、亘との写真を収めた写真たての中から、もう一枚、一部焼けた別の写真を取出し、涙を流しながらその写真を眺める。

美沙:どうして私を愛してくれた人は、みんな死んじゃうんだろうね・・・。光なんて見つからないよ・・・。

そうして、ワインを口にしようとしたときに、玄関で物音が;

美沙:!

その物音は、足を引きずって戻ってきた衛だった(きゃぁ〜、それでこそ衛だぜ!(*^^*))。驚きの表情を見せる美沙;

衛 :ああ、いや・・・病院に・・・行ってたんだ。逃げたわけじゃない。他には誰にも会ってないし、キミのことも誰にも言ってない。
美沙:どうして戻ってきたのよ。
衛 :?
美沙:せっかく出てったくせに、自分を守って生きるんじゃなかったの?また私に復讐させたいの?
衛 :僕には君に責任があるんだ・・・。
美沙:・・・。
衛 :本気なんだ、君を救うためだったら何だってするし・・・もう絶対、約束は破らない
美沙:・・・。



【JTS オフィス】

その頃、久保のデスクを勝手に調べている下柳と有紀。そこに久保が戻ってくる。

有紀:久保さん!衛がいないんです。病院に電話したら、昼間ちょっと立ち寄っただけだって。
久保:えっ?
下柳:どういうことですか?久保さん、嘘をついてたんですか?
久保:嘘じゃ無い。安藤がそう言ったんだ。
下柳:じゃぁ、ここにあったこの辞表は何ですか?

と、衛の辞表を久保に見せる下柳。

有紀:衛の辞表をどうして久保さんが?
久保:きっと美沙に脅されて書いたんだろう。こんなもん、専務に渡せるわけないだろ。
下柳:美沙と何かあるって、気づいてて黙ってたんですか?
久保:話し合って自分で解決するって安藤がそう言ったんだ。俺たちが口を挟んでどうなる問題じゃない。
下柳:話し合いなんかで解決する問題じゃないでしょ。だからあなたも、あの女の部屋まで行ったんでしょ。
久保:!!
下柳:あなたは本当は安藤さんがどうかなればいいって思ってるんじゃないですか?
久保:お前だって、どうして急に安藤を心配する?この前まで目の敵にしてたんじゃないのか?1年前の事件に、何か関わりがあるんじゃないのか?
下柳:どういう意味ですか?
有紀:何の話なの?

久保はそれ以上何も言わず、席においていたコートと鞄を持って、オフィスを出て行った。



【美沙の部屋】

黙って床に座っている衛と美沙。机の上には、亘の楽譜と、美沙の家族の写真が置かれている。

衛 :これ、彼の歌だろう?彼だって、君に何かを見つけて生き続けて欲しいって、そう言ってるんじゃないのか?
美沙:・・・。

そこに衛の携帯に有紀からの電話の着信が入る;

衛 :出ていいかな?望みどおりにするから。
美沙:・・・。
衛 :有紀のことも諦めさせるつもりだろう?せめていい別れがしたい。

何も答えない美沙を前に、電話に出る衛。

衛 :もしもし、有紀?
有紀:どこにいるの、衛。正直に教えて。
衛 :僕は大丈夫だから。
有紀:だって。じゃぁ、あの辞表は何なの?
衛 :あれは・・・自分の意思で書いた辞表だ…もう、会社には迷惑はかけられない。
有紀:今からあえない?
衛 :もう、君とも会わない方がいいと思ってる。
有紀:もう合わないってどういうことよ。
衛 :今までありがとう。専務にも君からよろしく伝えてくれ。
有紀:衛?衛!!

衛はそのまま電話を切る(って、そこまでするかぁ〜、衛君よぉ。今度は有紀を傷つけてるんだぞぉ〜)。



電話を切った衛は美沙に話しかける;

衛 :小さい頃に父親が死んで、父みたいになら内容にと、人一倍安全には気を遣って、今の会社に入って。僕は幸せにありついたつもりでいた・・・。けど、自分を守ろうとするそんな生き方が、いつの間にかに人を傷つけていた。・・・・君と出会ってよく分かったよ。いつか君はさ、『あなたを生きる理由にしたい』って言ったよね。でも、他にいくらでも生きる理由はあるんじゃないのか?

美沙は泣きながら;

美沙:・・・もう楽になりたいんです。帰って下さい。今更、生きて、何があるんですか!
衛 :・・・。
美沙:両親が死んで、亘に会うまで私はずっと一人だった。亘が死んでまた一人ぼっち。私の大事な人は、もう写真の中にしかいないんです。
衛 :けど、彼が死んでも、君は独りで生きてきたじゃないか。
美沙:亘の借金だけでも返したかったのよ!でも、もう疲れたわ・・・一周忌のあの日、あなたに出会ってなかったら・・・もう、今頃私・・・だから私のことなんて気にしないで下さい!
衛 :一人でも生きてきたから・・・だから彼にも会えたんだろ!!?君だって本当は生きる理由を見つけたいんじゃないのか?君にとって彼が光だったように、彼にとっても君が光だったはずなんだ。

二人は立ち上がり;

美沙:じゃあ、どうして亘は死んじゃったの?私がいたのに・・・どうして・・・私一人を残して死んじゃったの?!
衛 :目の前の光を見失うときだってあるさ。

と、どこまでも美沙に優しく話しかける衛君。だけど・・・;

美沙:!!!どうして見失ったんですか?
衛 :彼にとってあまりに辛い現実があったから…。
美沙:どうしてそんなことになったんですか?
衛 :あの日、僕に出会ったから…。
美沙:それだけですか?
衛 :僕が約束を忘れて、彼の無実を証明できなかったから…。

美沙の問いかけに震える声で答える衛;

美沙:なのにどうして、あなた一人だけ生きてられるんですか!!!
衛 :僕が死ねば満足なのか?
美沙:亘は自分で命を絶ちました!
衛 :僕は・・・自分からは死ねないよ。
美沙:!
衛 :でも、どうしてもそうしたいなら、それで君が救われるなら、君の手で殺せばいい!
美沙:出来ないって思ってるんですか?

美沙は台所の包丁を手に、衛に向ける。だが、衛はその場にじっと立っている;

衛 :・・・。

美沙はそのまま衛に迫るが・・・

美沙:ごめんね亘。生きてる間も、死んじゃってからも何にもしてあげられなかったね。
衛 :・・・。

そうして、急に亘の楽譜や日記を鞄に詰め始める美沙。

衛 :どこへ行く?なぁ、ちょっと、待てよ!

と、ひき止めようとする衛だが、あっさりと美沙に振り払われて、足を怪我しているものだからずっこけて…。

衛 :あっ!!!
美沙:本当は、私だって分かってたんだと思う。
衛 :・・・。
美沙:こんなことしたって何にもならないって。・・・もう、解放してあげるわ。

そう言って部屋を出て行く;

衛 :ちょとっと、待てよ!!!なぁ!!!何処行くんだよ!!!



【美沙のアパートの外】

足を引きずりながらアパートの階段を降りてくると、丁度そこに有紀と下柳がやってくる(って、またタイミング悪くやってくるのね、有紀ちゃん…)。

下柳:安藤さん!
有紀:衛!!!
衛 :有紀・・・。

そうして、衛に抱きつく有紀。(下柳の前なのにね(笑))

有紀:よかった、無事で。どうしたの、何があったの?
衛 :ごめん、急がなきゃ。
有紀:えっ?
衛 :美沙を一人きりにしちゃ・・・。
有紀:私はずっと心配してたんだよ、本当に心配してたんだよ!
衛 :一人にしちゃダメなんだよ。

有紀を置いて美沙を追う衛。置いていかれた有紀は、その場に崩れる。



【あの場所へ】

衛は路上でタクシーを捕まえ、あの場所へと急ぐ。


その頃、美沙もタクシーに乗り、あの場所に向かっていた。鞄に入っていた携帯には、mamoruからの着信が。


衛がいくら美沙の携帯に電話をしても、美沙は出ない。

衛 :すみません、急いで下さい!



【西新宿】

その頃、一人で1年前の事件のあった現場にやってきた下柳は、”衛が男に殴られていた場所”を目にしている。そうして、その場所には、その男の姿が・・・。驚く下柳・・・(って、下柳は顔を知ってるのかよ!)



【海岸】

タクシーから降りた美沙。そのまま一直線に防波堤を歩く。


衛も海岸に到着するが、その頃、既に美沙は防波堤の先端にまでやってきて、そして・・・




■ 感   想 ■

美沙ぁ〜、もっと頑張れよぉ〜〜〜〜〜〜。

と、今回ばかりは美沙を応援してしまったという…。

今回で衛と美沙の関係が変化するという局面ですが、『衛をもっといぢめちゃえ!!!』なんて思いながら話の前半部分を繰り返し見ちゃうわけです(←ただの阿呆です)。このシチュエーションは話の流れ上、必然性なのかどうかは別にして、とにかくファンを楽しませてくれるなら、とても嬉しいわけですね。でも、こういうシチュエーションを楽しんでいるというのはファンとしては歪んでる(苦笑)。

とまぁ、最初はそういうシチュエーションで楽しみつつも(笑)、衛君のキャラとしても、もはや揺らぐことも無く強い男の子になってくれて、非常に頼もしく見れるというのが嬉しいです。最後に再び美沙の部屋に戻ってくるところなんて、そうこなくては衛君ではなくてよ!!!と喜んでしまったわ(笑)。

さて、次回からは、一年前の事件にまつわる新たな展開に向かいそうです。折角、衛君がいい男になってきて、心穏やかに”いじめられる衛君”を堪能できそうな気持ちになってきたのに、ちょっと残念と思ってしまうところもありますが、でも、残り4話ですしね。最終回に向けて、事件がどう膨らんで収束されていくか、楽しみです。

・・・でも、残り4話もあるのかぁ〜。このドラマの展開の速さなら、もう1波乱や2波乱あっても不思議じゃないな。それにドラマのタイトルも『悲劇』だし、まだまだ”いじめられる衛君”を期待していいのかも?(笑)

(05.02.27)


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