■ ストーリー ■
衛 :美沙だ・・・
衛のモノローグ:人は知らない間に多くの人を傷つけているのかもしれない。
美沙:まだ思い出せないんですか?
美沙:あなたの記憶の中には、私たちのことなんて何一つ残っていないんですよね。
衛のモノローグ:傷つけた側が忘れ過去も、傷ついた側は決して忘れないのかもしれない。
下柳:俺は、あなたの力になれると思うんです…。
美沙:信じますよ、私。
衛 :2003年11月12日・・・その日、僕は・・・。
衛 :た、助けて下さい!
衛 :大事な商談があるんで、今日は失礼しますが、必ずお礼します。
・・・いや、させて下さい
衛 :僕は相原亘に会っていた!
美沙:あなたが唯一の証人だったのよ!
美沙:でも、あなたが来れば、亘は被害者だって証明できる。
そう思ってずっと待ちました。
でも、いつまで待っても現れなかった。
衛のモノローグ:僕が小さな約束を忘れたことが、大きな悲劇を招いていた。
美沙:私は安藤さんと出会ったのは運命だったと思ってます。
あなたからは何を奪ってもかまわないって思ってます。
頑張って下さいよ、あなたが私の生きる理由なんですから!
【西新宿の事件の現場】
衛は一年前の出来事を全て思い出す。自分の記憶の中に、亘と美沙がいたことを;
衛 :どう、詫びていいのか・・・。
美沙:・・・。
衛 :本当にすまなかった・・・本当に・・・。
美沙:安藤さん…
衛 :・・・
美沙:もう、遅いですよ。
衛 :!
冷たくそういい残して、美沙は立ち去った。
Chapter5
【Bar】
いつもの店で衛は久保と飲んでいる。今回の出来事の全てを話しているのだろう。
久保:それが、復讐の理由なのか?言いがかりだよ。お前が殺したわけじゃない。
衛 :けど、僕が助けてもらったお礼にさえ行ってれば、相原亘は死なずにすんだんだ…。少なくとも、美沙はそう思ってる。
久保:だからって、お前に何をしてもいってことではないだろう!?
衛 :それしか、美沙には生きる理由が無いんだよ…。
久保:・・・。
衛 :彼女の望みどおり、僕は、あの日のことを思い出してしまった。次に、あの女は何をしてくるんだろう?
久保:・・・。
【美沙のアパート】
ベッドの上にウエディングドレスを広げ、亘との思い出のビデオ見ている美沙。
美沙:ようやく思い出したわよ・・・。
涙を流しながら亘に報告を。そこに衛から電話が入る。衛は既に自宅に戻っていた。
衛 :安藤です。
美沙:・・・
衛 :どうしたら、許してもらえるんだ?お袋の手術が終わったら、償えることは、何でもするつもりだ。
美沙:羨ましいですね、安藤さんには家族がいて。私にも亘にも家族はいなかったわ。
衛 :・・・
美沙:お母さんの手術、もうすぐでしたよね?無事に終わるといいですね!
衛 :どういう意味だよ!
そうして、電話を切る美沙。衛は美沙の意味深な言葉に、またもや不安が増す(家族がいないなんていう設定がここに来て付加されるのね。また何かの伏線になっていくのでしょうか?でも、ここでの発言は、ますますもって逆恨みとしか・・・)
「Mの悲劇」 THE TRAGEDY OF M
【病院】
いつものように礼子の入院する病院にやってきた愛子。すると、丁度タイミングよく、受付で愛子に電話が入る。相手は美沙。愛子は警戒しながら美沙の電話に出るが、衛のことで話があると、美沙から言われる;
美沙:心配なんです。仕事のことでトラブルがあったみたいで。精神状態も普通じゃなくて。一度、お会いできませんか?
愛子:でも、兄は会わないほうがいいって。
美沙:愛子さんはお兄さんのことが心配じゃないんですか?
受話器を置く愛子。
と、そこに、何やら看護婦と口論している衛の姿が視界に入る。
看護婦:困ります、安藤さん!!
衛 :お願いします!そん女は僕を恨んでるんです。家族にまで危害を加えかねない状況なんです!
看護婦:どういう危害を加えるっていうんです?
衛 :ああ、それは・・・わかりません。しかし万が一に備えて用心するにこしたことはないでしょう!?
と、そんな衛の様子を見れば、顔から火が出そうなぐらい妹としては恥ずかしいわけで(笑)、慌てて兄の方に駆け寄る愛子。
愛子:お兄ちゃん、どうしたのよ!
衛 :いや、防犯対策で、内鍵を付けたいってお願いしてるんだけど、認めてもらえないんだよ…。
と、本当にいくつか鍵を手にしてるし…。シリアスムードを吹き飛ばす、衛君の行動(笑)。この程度の笑いなら好きかも。
愛子:そんなことして、何かのときにお医者さんが病室に入れなくなったらどうするのよ!
看護婦:どうしてもというなら、退院して頂くことになりますよ!
そう言われて愛子は衛が手にしている鍵を取り上げて;
愛子:ごめんなさい。大丈夫ですから。
衛 :・・・。
愛子:すみません。
と、ここだけ見ると、頼りない兄としっかり者の妹って感じの微笑ましいシーンなんだけどなぁ(笑)。
衛 :お前は分かって無いんだ、あいつのことを。
愛子:あいつって?美沙さんのこと?
と、兄弟が病室の前でもめていると、横から病室に戻ってきた母親の姿が;
礼子:騒々しいわね。どうしたの?
愛子:お母さん!もう、検査終わったの?
礼子:うん。
愛子:何でもない、何でもないよ・・・。
そうして、気まずい空気で病室に入ってくる3人。
愛子:あのさ、お兄ちゃん。
衛 :うん。
愛子:私、今日、用があるの。夕方までには戻るから、それまでお母さん、よろしくね。
衛 :うん。
愛子は取り上げた鍵を衛に返し、病室を出て行く。その二人の様子を、じっと見ている礼子は衛に問いかける;
礼子:何でもないことないでしょ?
衛 :・・・。
【JTS ロビー】
玄関口から2階へとつながるエスカレーターを上りながら、下柳は久保に、営業にできた安藤の欠員部分に自分を推薦して欲しいと直談判している。
久保:何言ってるんだよ。安藤は今、大変なんだよ!
下柳:どうして安藤さんをかばうんですか?久保さんは俺と同じ警備出身の人間でしょ?
久保:あいつは被害者なんだよ。
下柳:自分を守るために被害者のふりをしてるんじゃないんですか?本当の被害者はあの女かもしれませんよ。
久保:おい、まさかお前、相原美沙と会ったのか?
下柳:会ったらどうだっていうんです?
そう言いながら立去る下柳と入れ替わりに、高山がやってきて久保にあれやこれやと吹き込みます;
高山:敵意むき出しですね、下柳君。まぁ、有紀さん取られちゃったことで、相当、恨みも溜まってるみたいですしね。
久保:余計なこと言いふらすなよ。
って、高山さん、事情通すぎる…(衛だって、有紀と下柳が付き合ってたことも知らなかったのに…)。にしても、ここだけ見てると、久保さん、いい人・・・。
【JTS 某会議室】
会議室で会議の準備をしているらしい有紀ちゃんは、これまでの美沙との会話や、衛が瞳と会っていた様子などを思い出している。そこにタイミングよくやってくる下柳;
下柳:どうした?
有紀:晃一の言う通りだったかも知れないね、衛のこと。私疲れちゃった・・・。
下柳:俺が全部はっきりさせてやるよ。
と、何かを企んでる風の下柳君。
【病院】
病室で、何も言わず自分が持ってきた鍵をいじりながら、母親のベッドの傍らに腰掛けている衛君。鍵をガチャガチャいじってる姿が、可愛らしいというか、何と言うか。うん、かわいい(^^;)。
礼子:衛、私には美沙さんが悪い人には見えなかったし、鍵をかける前に、もっと心を開いてわかりあう努力をした方がいいんじゃないかしら。
衛 :僕がそうしたくても、向こうが拒むから…。
礼子:それが衛のせいだとしたら、あなた、もっと頑張らなくちゃ!
衛 :頑張る?・・・ああ、そうだね・・・ごめんね、手術前に余計な心配かけちゃって。
静かに首を横に振る礼子。(うーん、いくらなんでも母親から「頑張れ」なんていう言葉が出てくるとは…。衛君、一体、かぁちゃんにどんな説明のしかたをしたんだろう?きっと心配させるまいと、全ては話して無いんだろうなぁ、と勝手に推察。)
【美沙のアパート】
アパートを出たところで、借金取りの尾崎と接触する美沙。
美沙:力を貸してもらえませんか?
【瞳のマンション】
その足で瞳を訪ねた美沙は、借金取りから逃げるために、逃げてきたという風を装っている。仕事もやめたし、どうやって借金を返していくのか心配する瞳だが;
瞳 :まさか、また安藤さんから盗ろうとしてないよね?
美沙:もう、大丈夫だから。心配しないで。
瞳 :約束だよ。
美沙:うん。
瞳 :私明後日まで戻らないから、ゆっくりしていってね。
美沙:ありがとう。
瞳が自ら研修旅行に出かけ2〜3日留守にするその間、美沙に自分の部屋の鍵を渡した。
【JTS 警備課】
一方の下柳は隠しカメラの準備中。そこに下柳の携帯電話に、美沙からの着信が入る。その前に下柳が美沙と会った時には、美沙は「安藤さん、嘘つきなんです。有紀さんだけじゃなく、私とも結婚の約束をして、騙された私は色んなものを失って、そのことを責めると暴力まで振るわれて・・・」「でも、証拠も無くて、訴えることも出来ないんです・・・力になってくれるんですよね?」そう告白していたのだ。
そんな美沙の言葉を思い出しながら、下柳は電話に出る。
下柳:下柳です、準備は出来てます。夜なら大丈夫です。どちらに伺えば?
美沙:今から住所を言いますので。
美沙の言う言葉を聞きながら手帳にメモする下柳。・・・で、その様子を久保がこっそり見ている。
【西新宿】
あの事件の起きた現場。そこに久保がやってきている。(なんだ?)
【とある街の一角】
美沙に会うために出かけた愛子だが、人気の無い高架下で突然、尾崎に襲われる愛子。
【病院】
夜になっても病院に戻ってこない愛子を心配する衛。病院の外に出てきて愛子の携帯に電話するが、応答が無い。不安を感じる衛。
【某所】
その頃、愛子は狭い空間に監禁されていた。ドアを叩いても、誰も、何も、扉の向こうからは反応が無い。
【某ビルの中?】
尾崎から愛子の鞄を受け取る美沙。
【病院】
今度は病院内で、公衆電話から愛子の携帯に電話を掛ける衛。すると、今回は応答があった;
衛 :何してたんだ、愛子。夕方までには戻るっていう約束だろ?・・・もしもし、愛子・・・・もしもし・・・もしもし!!
だが、その電話の相手は美沙だった。
美沙:大丈夫、愛子さんは無事ですよ。
衛 :!!!!!美沙か。愛子と一緒なのか?
美沙:あなたにだけ家族がいるなんて納得がいかないんです。
衛 :頼むからやめてくれ!狙うなら僕一人を狙え!
美沙:助けたいなら私の部屋に来て下さい。
衛 :君の部屋?どこにある?
美沙:自分で探して下さい。
衛 :・・・そんなことして、何になるんだよ!
美沙:・・・
電話が切れる。
【城西署】
そうして今回も警察に行く衛だったが、まぁ、でも、いつものように相手にされない・・・かと思ったら;
大川:妹さんが?
衛 :誘拐されたんです。
大川:身代金の要求は?
衛 :それはまだ・・・
大川:脅迫状の類は?
衛 :それもまだ・・・
大川:・・・
刑事:だから相手にしてはだめですよ。妹さんだって、年頃でしょう?夜遊びから帰らない日ぐらいありますって。
衛 :いや、妹は相原美沙に連れ去られたんです!
刑事:いい加減にしていただけませんでしょうか!
衛 :いい加減にして欲しいのはこっちの方ですよ!妹に何かあったら、どうするんです!
大川:一応、手配してみるか。
刑事:ええ?
衛 :よろしくお願いします。
と、一応は衛の話を聞いた大川(まぁ、結果はやはりアテにならなかったわけだが)。
【街中】
その頃、美沙は下柳と会っていた。手には隠しカメラを持って・・・
下柳:もう一度伺いますが、あなたの言ってる事、信じていいんですよね?
美沙:私を疑ってるんですか?
下柳:わかりました。じゃぁ、行きましょうか。
そうして、美沙は下柳を”部屋”に案内する。
【衛の部屋】
夜が明けて。おそらく一睡もしていないであろう衛君。携帯電話が鳴り、出ると、相手は久保だった;
衛 :もしもし・・・ああ、明か・・・どうした?えっ?
(ここで、衛君、久保に妹が誘拐されたってことを話してたのか話してなかったのかどっちなんだろう?)
【JTS 警備課】
会社にやってきて、久保から話を聞いた衛;
久保:おい、ちょっと待てって。
衛 :だって、電話しているところ、見たんだろ?やっぱり僕の言った通りじゃないか。
久保:だからって、まだ美沙だって確認できたわけじゃない。
衛 :だったら、今、聞いてみればいいじゃないか。
久保:おい!
久保が制止するのを聞かずに、警備課に殴りこみ、下柳に詰め寄る衛。(おお、行動派だねぇ〜♪)
下柳:!
衛 :君も共犯なのか?
下柳:共犯?
衛 :相原美沙と一緒に妹を誘拐したのか?
下柳:訳の分からない言いがかりはやめて下さいよ。あなたは謹慎中の身でしょう?
衛 :美沙の部屋はどこだ!知ってんなら教えてくれ!
相変わらず冷ややかな反応を示す下柳のむなぐらを掴む衛君。(今日は強い?(笑))
下柳:そうやって彼女にも暴力を振るってたんですね。
衛 :何言ってんだよ。
下柳は衛の腕を振り解いて言う;
下柳:言っときますけど、彼女の部屋にはあなたの妹なんていませんよ!
すると、下柳の鞄を調べていた久保は、下柳の手帳から、美沙の住所を書かれたメモをみつける;
久保:これだ、美沙の部屋だ。
衛 :ああ、やっぱり。
下柳:何やってるんですか、久保さん!
久保:安藤、行こう。
下柳:・・・。
そうして、事務所を出て行く衛と久保。
【JTS ロビー】
急ぎ出かけようとする衛と久保・・・だったが、久保は衛を呼び止める;
久保:ああ、おい、安藤!お前、一人で大丈夫か?
衛 :えっ。
久保:いや、俺が一緒だと、あの女刺激するんじゃないかって。
衛 :そう・・・だな、一人で行くよ。
そうして、久保からメモを受け取り、衛は一人出ていく。
【某所】
監禁されたまま、怯える愛子。
【街中】
衛はタクシーで、美沙のマンション近くまでやってくる(お金はあるのか?(笑))。下柳から奪ったメモを見ながら、マンションを探し当て、階段を駆け上がる。
【瞳のマンション】
「303 相原」の表札のある部屋の前までやってくる。瞳の部屋の表札は、相原の名前に変えられていた。
衛はドアベルを鳴らすが、誰も出てくる気配はない。ただ、チェンーロックが掛かっていたものの、ドアの鍵は開いていた。衛は火事場の馬鹿力で扉を開けると、チェーンが外れた(簡単に壊れすぎだと突っ込まずに、これも美沙の仕業だと思いましょうね、皆さん(笑))ため、衛はそのまま部屋に上がり込む;
衛 :愛子!愛子!いないのか?
順番に各部屋の扉を開けて妹の名前を呼び続ける衛。そうして、その部屋の1つである寝室に入ると、そこに美沙がいた。驚いたような表情を見せる美沙だったが、その段階で白々しいと思いましょう、衛君(^^;)。
衛 :愛子!愛子は何処だ!
美沙:何の真似ですか!
衛 :愛子!いないのか?
美沙:・・・。
衛 :愛子はどこだ?
美沙:・・・。
衛 :ここに来たら、解放するっていう約束だろう?
美沙:・・・。
必死の衛に対して、ただ、にっこり微笑む美沙。
衛 :何だよ。
美沙:もう忘れたんですか?私全て奪うって言いましたよね。
衛 :愛子に何かしたのか!
美沙:出かけるんで、着替えたいんです。出て行ってもらえませんか?
衛 :ふざけるな!
美沙のその言葉に、切れた衛君。美沙をベッドに押し倒し迫る(←ここだけ書くとすごい表現(笑))。
衛 :愛子に万が一のことがあったら、許さないからな!
美沙:やめて!
衛 :愛子はどこだ!
美沙:やめてください!
衛 :愛子はどこだって!!
その様子を”カメラ”がずっと見ている。
美沙:やめて!
衛 :いい加減に目を覚ませよ!!こんなことをして何になるんだよ!
と、そこになぜか下柳の姿が(って、仕事は?>下柳君(笑))
下柳:何やってるんですか?
衛 :!下柳君…。
こんな状況でも、疑いを持つ相手に"君"付けで呼ぶとは、衛ってばいいやつだ・・・(笑)。
下柳:見ましたよ。これは立派な犯罪ですよね。
衛 :いや、違うんだ!この女が妹を誘拐したから。
下柳:あなたはいつもそうやっていい人のふりをして他人を傷つけてきたんでしょう?
衛 :・・・。やっぱり、お前らグルだったんだな。
【某所】
その頃、愛子が監禁されていた扉の鍵が外れる。恐る恐る扉を開けると、その先には男の後姿が立去るのが見えと、部屋の扉の目の前には愛子の荷物が置かれていた。
【瞳のマンション】
衛 :愛子はどこにいる?言わないなら警察呼ぶぞ!
下柳:大丈夫ですか?
さすがに下柳の目には戸惑いの表情が浮び始める。と、そのとき衛の携帯が鳴る。電話の相手は愛子からだった;
衛 :愛子か?
愛子:お兄ちゃん!
衛 :どこにいる?
愛子:男の人に捕まって・・・閉じ込められてて・・・
衛 :大丈夫か?待ってろ、すぐ行くからな。
衛は電話を切り、美沙と下柳に;
衛 :これ以上何かあったら、許さないからな。
そう言い残して妹のいる場所に急ぎ向かった。その場に残される下柳;
下柳:・・・。相原さん・・・あなたはまさか・・・。
美沙:帰って下さい。
【街中】
走る衛君。路上の傍らでうずくまる愛子の姿を見つける。
衛 :愛子!!
愛子:お兄ちゃん!
愛子の元に駆け寄り、強く抱きしめる衛君(ああ、いいお兄ちゃんだなぁ〜)。
衛 :大丈夫か?怪我は無いか?
愛子:・・うん。
衛 :・・・。
【タクシーの中】
衛の傍らで震える愛子。愛子を抱き寄せながら、衛は警察に電話している。相手は例の刑事である;
衛 :やっぱり妹は監禁されてたんです。母親が心配なんで、まずは病院に向かいますが、後で話を聞いて頂けないでしょうか?
【城西警察署】
衛の電話を受けている大川;
刑事:わかった。じっくり聞かせてもらうよ。で、どこの病院だ?・・・じゃぁ、またあとでな。
大川はそう言って衛の電話を切ったが、そこには、美沙がいた。
【病院】
母親の様子が気になり、まずは病院に愛子と共に病院にやってくる衛。タクシーを降り、愛子に;
衛 :大丈夫だよな。よし、行こう・・・
と、声を掛け、二人で母親の病室に駆け込む。礼子は、至って普通に病室に居た;
礼子:どうしたの、二人とも。何かあったの?
衛 :あ、いや・・・。ごめんね、遅くなって。てっきり愛子が来てるかと思ったからさ。
愛子:私も、お兄ちゃんがいるかと思って・・・。
礼子:・・・。
二人とも、母親には本当のことを言わないなんて、性格が真逆の兄妹だけど、似たところはあるのよね。
病室を出て、ロビーまで出てくる衛と愛子。母親が無事であることを確認した衛は、愛子に状況を説明している;
愛子:本当に私を閉じ込めたのは、美沙さんの仲間なの?
衛 :ああ、とにかく、母さんからは離れるなよ。
愛子:うん。
衛 :じゃぁ、僕は警察に行ってくる。
そうして、衛が愛子を残し、病院の玄関を出たそのとき、丁度サイレンを鳴らしたパトカーが到着し、大川が降り立つ;
衛 :刑事さん!美沙が捕まったんですか?
大川:何言ってるんだよ。君に用があって来たんだよ。
衛 :えっ?
大川:乗れ!
衛 :えっ、どういうことですか?
そのまま、有無を言わずパトカーに押し込まれる衛。
愛子:・・・。
【城西警察署】
既に日は暮れ。衛は警察で美沙の部屋、まさしくつい先ほどの出来事が撮影されたビデオを見せられる。
衛 :どうしてこんな映像が・・・
刑事:たとえ過去に男女関係があったとしてもだ、完全な住居侵入罪と強制わいせつ罪だ。
衛 :・・・
そうして衛が取調べを受けているマジックミラーの向こう側。美沙がミラー越しに衛の姿を見つめている。そうして傍らの刑事の質問に答える;
美沙:あの男で間違いありません。
刑事:相原さんも困った男と関わったものですね。ああいう真面目なのに限っておかしいのが多いから、気をつけませんと。一応、確認ですが、妹さんを誘拐したってことは?
美沙:え?
刑事:ありませんよね。それと以前、安藤のカードで下ろした金のゆくえなんですが…。
美沙:母親の入院費を支払って、残りは彼に渡しました。
刑事:ごくろうさまです、後はお任せ下さい。
美沙:よろしくお願いします。
そうして、再び衛が取調べられている部屋;
衛 :そうか・・・これが目的だったんだ。僕をおびき出してこのビデオを撮るために。そのために妹を誘拐したんですよ!
刑事:逆じゃねーのか。妹の誘拐も美沙を悪者にするためのあんたの狂言なんじゃねーのかよ。
衛 :そんなわけ、無いじゃないですか!美沙は僕を恨んでて、復讐しようとしてるんですよ!
刑事:だったら、何なんだ、これは!襲ってるの、おめーだろうがよ!
衛 :どうして分かってくれないんです!僕ははめられたんですよ!!!
相変わらず衛の言葉を聞いてくれる人は誰も居ない・・・
【JTS 専務室】
島谷:分かりました、何かありましたら、ご連絡下さい。
受話器を置く島谷。恐らく警察からの連絡が入ったのであろう(今回は会社に連絡が入ったのね…)。衛を心配してか、久保と有紀も島谷の元にやってきていた(へっ?みんな衛が警察に連行されたのを知ってたの?)。ってことは、久保がみんなにようやく事情を話したってことね。
島谷:まだ取り調べは続いているらしい。
有紀:衛はどうなるの?
島谷:大丈夫だよ、警察だってそんなに馬鹿じゃないはずだ。
(いや、そうとも限らんぞ、マジで)
そこに、下柳がやってくる。
島谷:下柳君?
久保:・・・。
下柳:もしかしたら、自分は、大きな間違いをしていたのかもしれません。
有紀:晃一?
下柳:事情を知っているのなら教えてください。安藤さんと相原美沙の間には何があったんですか?
と、素直な反応を示す下柳(そんなに早く改心するとは思わなかったよ・・・(笑))。島谷は下柳に、おそらく久保から聞いた話を、簡潔に話す;
島谷:一年ほど前に不幸な事件があったらしい。安藤君への復讐が、今の彼女にとっての生きがいなんだよ。
有紀:衛は、何も罪になるようなことはしてなかったの。
島谷:安藤君は約束を忘れてしまった。そのことが彼女にとっては大きな罪なんだよ。
下柳:・・・。
事実を聞き、黙って部屋を出て行く下柳。その後を追う有紀。その場に残る久保・・・?
島谷:どうした、久保君?
久保:ああ、いや・・・美沙が次に何をするか、不安で。
島谷:・・・。
久保:・・・。
や、やっぱり何かあるのか、久保さん!!!
【JTS 警備課】
誰も居ない自分の職場にやってきて、落ち込む下柳;
下柳:俺は、自分が恥ずかしい・・・。
有紀:私だって、衛にひどいことばかり言っちゃって。
下柳:いやな男だよ。
有紀:晃一をそう仕向けたのは、私かもしれないね。
下柳:・・・。
ってことで、これからは、みんな衛の味方になってくれるの・・・かな?・・・というほど単純でもなさそうなのが今回のドラマなんだろうけどね(苦笑)。
【城西警察署】
警察での衛の取り調べは、夜明けまで続いていたのか、衛と大川は机を挟んで向かい合って座っている。そこに大川の相棒の刑事がやってくる。
大川:逮捕状、出たか?
って、逮捕状、出てなかったのかよ!!
刑事:それが、被害届けは無効でした。
衛 :!?
刑事:書類の住所に、相原美沙という人間は存在しません
衛 :どういうことです、あそこは相原美沙の部屋ではなかったんですか?
刑事:・・・頭痛くなってきちゃった。
刑事:帰っていいですよ。
衛 :・・・
って、衛に対してそれだけかよ、刑事さん!傲慢な警察のイメージ・・・。それでも腐らない衛は実はものすごく凄いやつなのかもしれんぞ。
【病院】
その頃、病院では、母親の手術の当日。手術に向かう母親を見送る愛子;
礼子:衛、来なかったね・・・
愛子:風邪気味だったみたいだからさ、移しちゃいけないって思ったんじゃない?
礼子:あの子も頑張っているみたいだから、私も頑張らなくちゃ。よろしくお願いします。
そうして、車椅子に載せられて、礼子は病室を出ていった。
【城西警察署 玄関】
署を出てくる衛。携帯には愛子からの伝言メッセージが入ってる。
「大丈夫、お兄ちゃん?今、手術が始まったところ。
こっちは何も心配要らないから、また連絡するね」
ひとまず安心した衛の前に、有紀が現れる;
衛 :有紀・・・。
有紀:・・・。大丈夫?おなか、減ってない?
衛 :僕を心配してくれてたのか?
有紀:ごめんね、衛。何も知らなかったから、私・・・。
衛 :仕方ないよ。
有紀:・・・。
ってことは、衛と有紀ちゃんは和解したってことでいいんでしょうか?
有紀:マンションまで送ろうか?
衛 :ありがとう。でも、その前に行くところがあるんだ。
そうして、一人、またどこかに行こうとする衛。その後ろから有紀は語りかける;
有紀:危ない場所じゃないよね?!
衛 :大丈夫だよ!
ああ、ようやくほっとしたシーンが。ここの衛君、格好いいよね。こういう男なら有紀が惚れるのもちょっとは分かるかも(笑)。
【某所ビルの屋上】
尾崎とまたまた会っている美沙。何でわざわざこんなところで会ってるんですか?(苦笑)
尾崎:あんたの借金を押し付けるんじゃなかったのか?警察なんかに引き渡してどうするんだよ。
美沙:ちょっと懲らしめてみただけです。すぐに釈放されますよ。安心して下さい。
尾崎:そんなことしてどうなるんだよ?
美沙:・・・。あの人に出会ってしまった以上、私にはもう、やめられないんです。
【街中】
美沙の携帯の電話がなる。相手は衛だった。
美沙:そろそろ解放されるころだと思ってました。どうですか、濡れ衣をきせらる気分は?
(って、今更そんな話なのかよ、美沙・・・。衛から見れば痴漢の段階から、濡れ衣だらけなわけだが)
衛 :君は、自分の恋人と同じ苦しみを僕にも味あわせようとしたんだ。
美沙:そうよ。亘は無実の罪であなたの何倍も苦しんだんです。
衛 :とにかく、家族に手を出すのだけはやめてくれ。僕には何をしても構わないから。
美沙:言いましたね。その言葉忘れないで下さいよ。
(言っちゃったよ、衛君・・・(ToT))
衛 :償えることは何でもするつもりだ。会って話をさせてくれ。
美沙:あなたに話すことなんて、何もありません。
で、また、電話を切られちゃうわけで。
衛 :・・・。
そうして、衛がそのままやってきていたのは、美沙のマンションだと思っていた場所だった;
瞳 :安藤さん?
衛 :中西さん・・・
衛は、研修から戻ってきた瞳と、偶然、マンションの入口付近で会う。
【瞳のマンション】
瞳の部屋に上げてもらう衛。
衛 :君が美沙の友だちだったとは・・・。美沙のピアスを買わせたのもわざと、僕の鍵を美沙に渡したのも、君なんだろう?
瞳 :本当にごめんなさい。
衛 :中西さん、本当にそう思うなら、美沙の住所を教えて下さい。
(だから、衛君、優しすぎるよ。普通ならもっと瞳に詰め寄るよなぁ〜。最初の頃と相当キャラが変わったのか、最初からそうだったのか、どっちなのかわかんないけど)
瞳 :・・・。でも、美沙のことを思うと。
衛 :手がかりが欲しいんですよ。どうしたら、美沙に許してもらうことが出来るのか?
瞳 :・・・。そうですよね。美沙を立ちなおせることが出来るのは、安藤さんしかいないかもしれませんよね。
(美沙を立ち直せられる人間=衛という瞳の思考回路も相当強引だけど、そこは主役ってことなんだろうな(笑))
【西新宿】
再びあの事件の起きた場所にやってきている久保。そうして、下柳もこの場所にやってきて、じっと”衛が襲われた現場”を見つめている。だが、下柳の姿を見て、久保は声も掛けずに立去る。(何、この二人??)
【美沙のアパート】
美沙のアパートにやってきた衛。外からチャイムを鳴らしてもドアをノックしても中は留守。当然、鍵も掛かっているわけで。
衛が諦めて立去ろうとしたときに、都合よく足元に工具箱が置いてあるのを目にする。躊躇いつつも、中からバールを取り出しドアをこじ開ける衛。そのまま美沙の部屋の中入っていった。
【美沙の部屋の中】
入口の棚の上には、亘と美沙の仲のよさそうな写真が置かれている。・・・そうして、亘のギター、真正面に置かれた茶色の箱の中には、ウエディングドレスとビデオカメラ・・・。
衛 :・・・。
衛はビデオカメラを手に取り再生ボタンを押す。
2003年2月22日。亘の誕生日に録画したビデオ。あの海岸での二人の様子。
亘は今度、音楽プロデューサーに披露しにいくという曲を、ビデオの中で歌っている。
そのビデオを再生しながら、衛は今度は亘の日記帳を手にする。ビデオで映し出されているこの日のことを記したページを開いた。亘はこの日、美沙にデビューできたら結婚して欲しいとプロポーズしていた。
衛 :・・・。
亘 「結婚して下さい。俺の家族になって欲しい」
美沙「ありがとう、亘。私、もう、一人じゃないんだよね。
ずっと亘といれるんだよね」
衛 :・・・(ToT)
衛は自分が約束を守らなかったことで失ってしまったものの重さを目の当たりにする(ああ、吾郎君、こういう演技もするんだ…なんて思ってしまった。演出によるところもの大きいのだろうけど、いいよね。リピするのは悲しいからあまりリピってないけど)。
そこに美沙が帰ってきた。
美沙:!!!!
衛 :・・・。
美沙:見たんですか?私と亘の思い出を勝手に・・・
そのまま美沙は、亘の思い出の詰まった日記帳とビデオを抱え込む。その美沙の後ろから、衛は美沙に問いかける;
衛 :教えてくれないか?僕はどうしたらいい?君が失ったものが、あまりにも大きくて、どうしたら、砂浜で笑っていた頃の・・・何もかもが明るく見えていたときの・・・君に戻ることができるんだ・・・?
美沙:・・・
衛 :どうしたら・・・君を救えるんだ?
その衛の問いかけに対し;
美沙:・・・あなたが、苦しむことだけが私の救いです!
やはり美沙の口から出た言葉は、いつもと同じ言葉でしかなかった。
衛 :・・・
美沙:出てって下さい。
衛 :・・・
美沙:出てって下さい!
衛 :・・・
【美沙のアパート】
打ちひしがれながら、そのまま美沙のアパートを出て行く衛。呆然自失とした状態で、階段を降りようとしたところで・・・衛君は足を滑らせて、お、落ちたわ・・・(笑)
外で響く音に驚いて部屋を出てくると、美沙が部屋の外に出てくると、衛がアパートの階段の下で倒れているわけで。でも、格好いい・・・(オイ!>自分)。
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