Mの悲劇


第2話 『もうひとりの婚約者』

05.01.23 Sun 21:00〜21:54 TBS系列 にて ON AIR

 

 

■ ストーリー ■

衛のモノローグ:どこに落とし穴があるかわからない。だからこそ、僕は用心深く生きてきたつもりだった。それなのに・・・

  「助けてください!」

あの日の電車の中での出来事が回想される。

衛のモノローグ:その日を境に、順風満帆だったはずの僕の人生が大きく狂い始めた。全てのきっかけは彼女とであったことだった・・・

警察で拘留され、仕事上でも大きな契約が破棄され、そうして謹慎処分。衛に次々と襲い掛かってくる悲劇・・・

衛のモノローグ:仕事に失敗し、婚約中の恋人とも亀裂が生じた。

  「本当はこれ、探してたんじゃないの?パパが別れた方がいいって」

  「あなたを生きる理由にしたいんです」
  「思い出せません、私たちが会うの、あの電車が初めてじゃないんです」

衛のモノローグ:不可解な言葉を残して彼女は消えた。追いかけるとまた、新たな災難が僕を襲った。

  「信じていいんだよね?」
  「当たり前だろ。そんなもの気にしてどうするんだよ」

衛のモノローグ:そして、僕がようやく恋人との関係をとりもどしたとき・・・彼女は再び現れた!!

冬の海。婚約者の有紀との関係を修復した衛。そんな二人の様子を遠くから眺めている美沙。

衛のモノローグ:彼女とであってから、僕の苦難の日々が始まった。



    「Mの悲劇」 THE TRAGEDY OF



Chapter2


【衛の部屋】

夜。衛の部屋に、有紀が訪ねてきている。部屋の中は、いくつもの荷造りされたダンボールが置かれている。

衛 :ごめんな、引越しの準備、始めちゃってて。
有紀:ねぇ、衛。私、思い切って有給とって引越ししちゃおうと思って。
衛 :えっ、いいのか?専務は僕と別れろって言ってるんだろ?
有紀:うん。大丈夫。何だかんだ言っても、パパは私に甘いの。一緒に暮らせば怒ってたことなんてすぐ忘れるわよ。ふふ(笑)
衛 :・・・
有紀:何?
衛 :ああ…、驚いてるんだ。君が専務に逆らうなんてさ。
有紀:自分でも驚いてる。パパに逆らったの、生まれてはじめてかも。衛のせいだよ。
衛 :ああ…。
有紀:謹慎があけたら仕事で挽回して、パパのこと見返さないとね。
衛 :うん。

完全に有紀との関係も元に戻ったところなのに、正しくそこに、衛の携帯にMisaからの電話の着信ベルが鳴る。

衛 :・・・
有紀:?

同時刻。夜の街。衛に電話をしている美沙。だが、美沙は、いつも追いまわされている男の姿を見かけて電話を切り、急ぎ夜の街に消える。従って、衛の携帯の電話のベルも鳴り止む。

有紀:電話いいの?
衛 :!ああ、仕事の電話だから、あとで掛けなおす。
有紀:・・・
衛 :何?
有紀:衛のこと信じていいんだよね?
衛 :当たり前だろ?僕には有紀しかいないよ・・・



【JTS 玄関口】

朝、出社する衛は、会社の玄関口に島谷の車が到着したのを目にする。島谷に駆け寄る衛。

衛 :専務、おはようございます。あの・・・有紀さんのことなんですが…

島谷に有紀の話をしようとする衛だが、「安藤君、私は許したつもりはないからな」と、一蹴される。その様子をじっと見ている警備員の下柳。



【JTS 衛の職場】

部下達を前に、これまでの仕事でのミスを謝罪する衛。

衛 :みなさん、今回は僕のミスのせいで迷惑をかけて、本当に申し訳ありませんでした。これまで以上に頑張って信頼を取り戻しますのでよろしくお願いします。

しかし、そんな衛を部下達は冷ややかな視線を浴びせるだけだった(って、露骨すぎるよなぁ。衛に人徳が無いのか、この会社が嫌なやつばかりなのか、どっちなんだろう?)。

久保:気にすんなよ。新しいデカイ契約を取ってきたら、みんなお前をすぐに見なおすさ。じゃん!丸菱地所臨海マンションの契約書だ!話し持ちかけたら好印象で、今日のアポイントも取れてる!
衛 :ああ、いつもすまないなぁ。
久保:俺には遠慮するなよ。

そこに美沙から職場に電話が入る。だが、衛は電話を取り次いだ女性に「ごめん、いないと言ってくれ」と指示し、電話を切ってもらう。

久保:例の携帯拾った女か?
衛 :ああ。

電話はいないと切ったものの、美沙からファックスが届いていた。ファックスにはピアスの写真と美沙からのメッセージが記されていた;

  『このピアスです。白いバラの形をしています。
   よろしくお願いします。相原美沙』



【JTS 1階 ロビー】

丸菱地所に営業に出掛けようとする衛と久保。

衛 :逆恨み?
久保:うちの警備システムで捕まった犯人、補償問題で揉めてる客、ライバル会社の関係者、逆切れしたクレイマー・・・気をつけろ、美沙っていう女もその類かもしれん。

そんな話をしているときに、背後に、受付で衛とアポイントを取ろうとしている女性の声が聞こえる;

  「法人営業部の安藤衛さんにお会いしたいんですが…」

その声は美沙だった。

衛 :君!!!
美沙:安藤さん!
衛 :困るよ!
美沙:でも、私、あのピアスがどうしても…。
衛 :ああ、分かった。外で話そう。
久保:俺も一緒に行こう。
衛 :ああ、大丈夫、すぐ終わるから。待ってて。

そうして、衛と美沙は出てった。

久保:・・・



【喫茶店】

喫茶でテーブルにつき、衛に話を切り出す美沙。

美沙:どうして電話に出てくれないんですか?
衛 :ああ、ごめん。忙しかったし、それに…。
美沙:それに?
衛 :やくざみたいな男に君の事で脅された。やっぱり金が目当てなのか?
美沙:私のこと、そんな風に思ってるんですか?
衛 :ああ、いや…。
美沙:お話しましたよね、誰かに付けられてるって・・・借金があって、あの男が朝晩、部屋に取り立てに押しかけてきて、怖いんです。助けて欲しいんです。力になってくれるって言いましたよね?
衛 :うん、まぁ、安全な部屋を探すぐらいなら僕にも出来るから。
美沙:よかったぁ〜。嫌われたのかって、心配だったんですぅ。
衛 :・・・
美沙:ところで、ピアスはまだ見つかりません?
衛 :・・・。君は…見てなかったのか?

衛はあの海で自分がピアスを放り投げた光景を頭の中で思い出す。確かにあの様子を美沙に見られていたと思っていたのに・・・

美沙:何をです?
衛 :あ、いや。この間なぜ、君はあの海にいたの?
美沙:思い出の海なんです。このピアスをくれた人との。だから、あのピアスだけは…。

そこまで聞いて、衛はこれ以上、美沙と話す気にはなれなかった。

衛 :わかった。もう一度よくさがしてみるから。今後、君からは電話してこないでくれ。会社に凝られるのも困る。連絡は僕からするから、そういうルールにしてくれ!
美沙:私のこと、避けてるんですか?
衛 :・・・。君と出会ってからおかしな事ばかり起きる。仕事も上手くいかない。もう、君とは関わりたくないんだ!
美沙:安藤さん、まるで心に鍵をかけてるみたい・・・。
衛 :前にも言いましたよね?自分の身は自分で守る主義なんです。

そういい残して、衛は立去った。

美沙:・・・

その二人が会っている様子を下柳が偶然が見ていた。



【丸菱地所】

丸菱地所の打ち合せエリア。その一画で客(ラサール石井さん)にプレゼンをしている衛と久保。衛は特にセキュリティーの大切さを力説している。

衛 :泥棒が奪うのは財産だけでは有りません。家族の笑顔も奪われます。将来の希望も奪われます。時には生きる気力さえも…。失ってからでは遅いんです。
客 :安藤さん、もしかして、そういう経験がおありですか?
衛 :はぁ、子供の頃に泥棒に入られまして、母は随分と苦労しました。
客 :ほぉ、そうですか・・・。
久保:彼の安全意識の高さがこの防犯システムにも反映されていると思います。どうぞよろしくお願いします。
客 :わかりました、前向きに検討させて頂きます。



【帰り道】

丸菱地所との打ち合わせも手ごたえを感じながら岐路につく衛と久保。

衛 :ありがとう、明のおかげだよ!
久保:何言ってるんだよ!おまえの実力だよ。この契約さえまとまれば、専務の機嫌も直るさ!
衛 :うん。
久保:じゃぁ、俺はこれで。

ここで衛は久保と分かれる。衛は朝、美沙から会社に届いたファックスを手にする。だけど、偶然の突風にファックスが飛ばされちゃって、それを拾ったのは一人の女性=中西瞳(吉岡美穂さん)。

衛 :あ、すみません。
瞳 :・・・。
衛 :あの・・・。
瞳 :あ、ごめんなさい。

拾ってもらったファックスを受け取り、その場を立ち去ろうとする衛に、瞳が声をかける;

瞳 :あの。。。そのピアス、探してるんですか?
衛 :ええ。
瞳 :それ、うちの店でも扱ってるはずですよ。



【ジュエリーショップ】

そうして、話は非常にうまく進み(^^;)、衛は瞳の働く店にやってくる。だが、今品切れなので、明日入着すると言われ、衛は予約を入れる。



【JTS 専務室】

島谷の部屋にやってきた衛は、丸菱地所と新規契約が結べそうだとの報告をする。島谷の表情もこれまでのものとは変わり、好感触!



【衛と有紀の新居マンション】

仕事も上手くリカバリできそうな状況になり、衛は気持ちも軽く有紀の待つマンションへとやってくる。

衛 :有紀〜。
有紀:おめでとう。新しい契約取れそうなんだって?
衛 :うん。

部屋に上がると、ベランダの向こうに、もう一人別の女性がいることに気付く。

衛 :あっ、友だち?
有紀:うん。

そうして顔を見せた女性は、美沙だった・・・衛に対して、ゆっくり会釈する美沙。

衛 :!!!
有紀:紹介するね。
美沙:来週このマンションに越してくる、相原美沙です。始めまして。
衛 :あ、始めまして。安藤衛です。
    (ああ、始めましてと言っちゃうのね、二人とも)

マンションの前で引越しの下見に来ていた美沙と出会った有紀。そのまま美沙は部屋に上がりこんできていたのだった。お茶を入れている有紀に;

美沙:有紀さん、お部屋、見せてもらっていいですか?
有紀:どうぞ。

と衛に見せつけるようにしながら、家の中を歩き回る美沙。衛も美沙に合わせるように「ここが寝室なんですよ…」と言いながら寝室に入る。有紀に聞こえないように、声を潜めて美沙を問い詰めようとする衛;

衛 :どういうつもりだよ!
美沙:お二人のこと、いろいろ教えてもらいました。幸せそうだし、やっぱりお金のある人は違いますよね…。私も住むならこんなとこがいいなぁ。
衛 :ルール違反だろう。もう、帰ってくれ!
美沙:でも、ピアスも探したいですし。
衛 :僕が探しておくから。言っとくがな、ここには住めないぞ!
美沙:有紀さんに私たちのこと怪しまれますか?
衛 :怪しまれるも何も、ほら…。
美沙:一緒にここ、泊まったじゃないですか!
衛 :君が勝手にソファーで!!
美沙:もう、出会っちゃったんですよ、私たち。きっと運命なんです、あの電車で再会したのは。
衛 :言いがかりはやめてくれ、再会だなんて。僕らが会ったのはあれが初めてだ!
美沙:!!!
衛 :迷惑なんだよ!

「お茶が入りましたよ」という有紀の言葉に、二人のやり取りはここでとまる。結局、美沙はお茶を飲むことなく「じゃぁ、私はこれで」と引き上げようとする。

有紀:えっ、帰っちゃうんですか?
美沙:有紀さんが言った通り、衛さんって、本当に素敵な方ですね。じゃぁ。
衛 :ああ、じゃぁ、気をつけて。

美沙が帰り、二人きりになった衛と有紀;

衛 :・・・
有紀:ねぇ、衛、今度の土曜日、衛のお母さんのお見舞いにいこうと思うんだけど、平気かなぁ。
衛 :もちろんだよ!おふくろも楽しみにしていたから、きっと元気になると思うよ。
美沙:うん。



【病院へ続く海岸沿いの道】

数日後、温かい日差しの中、衛と有紀が病院へ向かって二人並んで歩いていると、海岸では海の中にどんどん入っていく美沙の姿が・・・。有紀をほったらかして(^^;)、美沙の方に向かって走っていく衛;

衛 :何してるんだよ!!!
美沙:ピアス・・・捨てたんですね。
衛 :・・・見てたのか。
美沙:安藤さんのせいですよ。
衛 :・・・。

そうして、さらに海の中に入っていく美沙。そうして美沙の姿が、海の中に沈んだ。

衛 :相原さん!相原さん!!!

叫びながら海に入っていく衛・・・で、夢オチ。ベッドから飛び上がように跳ね起きたその顔は、青ざめ、汗が流れていた。疲労でそのままベッドに沈む衛。(きゃぁ〜、夢にうなされる衛君、素敵(*^^*))



【ジュエリーショップ】

瞳の勤めるジュエリーショップにやってきた衛。予約しておいたピアスを購入し、そのまま店先で、すぐに美沙に「ピアス、見つかりました」と電話する。衛は郵送を希望したが、美沙にできれば直接受け取りたいといわれて、仕方なく美沙と再び会う約束をした。



【水族館】

美沙の過去の思い出。恋人からそのピアスを渡されている。

その水族館の大水槽の前で、美沙は衛と会う約束をしていた。衛からピアスを受け取る美沙。

衛 :・・・。
美沙:(ほほえんで)ありがとうございました。

美沙は衛が購入して渡したその片方のピアスに対して、特に何も言わなかった。

衛 :(ほっとして)あ、それと転居物件だ。予算別にいくつか揃えておいた。話は通しておいたから、あとは君と担当者でやりとりをしてくれ。これで僕には用はないはずだ。

そう言って衛が立ち去ろうとすると;

美沙:また会いますよ。私たち、そういう運命なんです。
衛 :・・・。

美沙はまたその謎の言葉を残して消えた。



【丸菱地所】

衛 :どうしてです!話が違うじゃないですか!

先日の丸菱の客の元に出向くと、衛は突然、契約はできないと言われた。

客 :今朝、こんなものがうちの会社に届きました。『凶悪警備会社に注意』。

先日の痴漢と傷害騒ぎの話を知っている者から、衛は脅迫犯だとの誹謗ファックスが届いていたのだ。衛がいくら犯罪者じゃないと言ってみても、留置されたのは事実であり、それ以上、何を言っても話は聞いてもらえなかった。と、同時に、久保から電話が入る。

衛 :もしもし、明か?
久保:大変だ、安藤、すぐ会社に戻れ!



【JTS オフィス】

久保の連絡で、至急オフィスに戻ってきた衛は、久保から一枚のファックスを見せられる。

久保:安藤、このファックスが各社にばら撒かれたらしい。

久保から見せられたファックスは、先ほど、丸菱地所に届いたファックスと同じものだった。

衛 :どうして・・・



【JTS 専務室】

わけも分からないまま、島谷に呼びだれた衛。このファックスのために、既に10社から契約を打ち切られ、これらは全て衛の責任だと断言する島谷。これ以上衛が動けば動くほど、損失が出る。もう、何もしなくて言いと告げる。



【海岸】

夕方の海岸で美沙は花を放り投げる。



【バー】

久保と二人で飲んでいる衛。(これって、一応、衛を慰めてるのか?)

久保:やっぱりお前、狙われてるな。まぁ、とにかく、あの女には気をつけた方がいい。
衛 :やっぱり明もそう思うか?
久保:だって、おかしいだろう?この間の傷害事件のリークにしたって、今回のファックスだって、お前に悪意を持っている人間がやっているとしか思えない。全部、あの美沙っていう女と出会ってからだろう?

久保にそう言われて衛は黙ってうなづく。

その頃・・・



【瞳の部屋】

ジュエリーショップの店員 中西瞳の自宅に美沙も一緒にいる(おお、この二人がグルだったのね…。その設定にはびっくりだよ)

瞳 :美沙、これ・・・。

封筒を美沙に手渡す瞳。

美沙:ごめんね、瞳。泊めてもらっている上に、お金まで…。
瞳 :いいの、いいの。困ったときはお互い様!それよりさ、あの安藤さんって人、何なの?
美沙:そのうち、ちゃんと教えるね。
瞳 :・・・

気になりつつも、それ以上は何も聞かない瞳。



【夜の街中】

その夜の帰り道。また、美沙を付け回しているあの男に追われる衛。必死に逃げ、とある倉庫に逃げ込む。倉庫の扉に鍵をかけ、男が中に入ってこれないようにしたものの、その鍵のかかった扉の隙間から向こうで男の叫び声がする。

男 :言えよ。言えよ!!!
衛 :な、何をです?
男 :あの女はどこだ?
衛 :し、知りません。ほ、本当に知らないんです!

すると男は、倉庫内にこぼれた揮発性の液体に向けて、火のついたタバコを放り込む。またたくまに引火して燃え上がり、衛は着ていたコートで、必死に火を消した。と、そのとき、扉が開き、非常にタイミングよく警察がやってきた。

警察:おい!何をやってるんだ!!
衛 :ああ、助かりました、ああ、助かった!!!

顔中、すすだらけになり、警官にすがりつくと、いきなり手錠を掛けられしまう衛。そのまま警察に連行されてしまい、今度は不法侵入と放火の容疑で取調べを受けるのだった(ああ、こんなシーンなのに、思わず笑ってしまった自分に自己嫌悪…(ToT))。



【JTSの会議室】

騒動になったことで、衛を呼び出す島谷。

島谷:警備会社の人間が、連続して警察沙汰・・・
衛 :僕は被害者なんです!
島谷:限界だな。
衛 :ですから、僕は被害者なんです!!
島谷:辞令だ。

  『常駐警備部 常駐警備課』

衛 :営業職入社の僕が、現場警備ですか?僕にはまだやり残した仕事が!
島谷:自覚してくれよ、君が営業にいると、会社全体が迷惑するんだよ。
衛 :僕を信じてくれないんですか!
島谷:おい!自分が何をしたのか分かってるのか!こう何度も裏切られたら、いくら私でも守りきれないだろう!首になっても文句は言えない状況だぞ!君だけ特別扱いするわけにはいかないんだ!現場警備も重要な職務だ。私も長いこと現場にいた。そこで人の安全を守るというのがどういうことなのか、一から勉強しなおすんだな。
衛 :・・・



【JTS オフィス】

衛 :机の荷物を片付ける衛。課員からは白い目で見られている。荷物をダンボールにつめ、そのままエレベーターは奈落へと落ちていった・・・。(あう…(ToT))



【JTS 警備課】

その警備課。新しく上司になった人物から警備員の制服を配給される衛。そこで、ずっと衛を陰から見ていた下柳の下で衛は仕事をすることになる。

下柳:このあいだはどうも。
衛 :このあいだ?
下柳:・・・いえ、何でもありません。よろしくお願いします。
衛 :よろしくお願いします。

意味ありげな視線を衛に向ける下柳。



【JTS オフィス】

その頃、プロジェクト開発課長に久保が任命されていた。歓迎ムードで久保を迎える課員たち。



【JTS 玄関口】

夜。退社する有紀に、玄関で待ち構えた下柳は声を掛ける。

下柳:有紀!安藤さんのことは忘れた方がいいんじゃないのか?
有紀:どういうつもりで言ってるの?
下柳:おまえのことが心配なんだよ!あの人、他にも女がいるんだぞ!
有紀:・・・。



【衛の部屋】

部屋でまたまた落ち込んでいる衛。そこに;

衛 :有紀・・・?

ドアの覗き窓の向こうに有紀の姿が見える。扉を開き、有紀を部屋に入れる。

有紀:落ち込んでるだろうからカレーでも作って元気つけてあげようかな、と思って。
衛 :・・・
有紀:大丈夫。絶対、パパに元の部署に戻させるからさ。
衛 :ありがとう。
有紀:あ、やだ。私、ルー買うの忘れちゃった。
衛 :あ、僕が行ってくるよ。いつものでいいんだろ?
有紀:うん。

と、その間に衛の部屋を調べ始める有紀(ああ、有紀ちゃんまでそんなズルイ大人になっちゃって…(ToT))。



【衛のマンションの外】

衛がマンションから出て行く。その姿を見て、衛の自宅に電話を掛ける美沙。

  「先日、ピアスをお買い上げていただいた店の中西と申しますが、
   実はあのピアスに不良品の苦情が届いてまして、
   万一お客様の商品にも不具合があった場合には…」



【衛の部屋】

衛の自宅ではその美沙の電話が留守番電話に録音されている。ちょうど、衛の部屋を家捜ししていて、白薔薇のピアスをみつけた有紀は、その電話のメッセージにさらに疑念は深まっていき、思わず電話の受話器を取る;

有紀:もしもし、それ、どんなピアスですか?
美沙:白いバラの花をあしらったピアスです。

(うわぁ〜、有紀までそんなことで信用しちゃって、もう・・・)

    :
    :
    :

衛が部屋に戻ってくると、有紀の姿は無く、かわりにメモが置かれていた;

   「明日のお母さんのお見舞いには行けません。
    衛との事 もう一度考え直させて下さい。さようなら。有紀」



【夜の街】

その後、夜の街を彷徨う美沙は、男に呼び止められる;

男 :何処に隠れてた?

美沙はその男に瞳から借りた金を手渡す。



【「相原」名義のアパート】

真っ暗なアパートの一室で、恋人の映像を見ている美沙。昔、部屋でギターを粉々にした後、恋人が泣き崩れるようすを思い出す。それと同時に思い出される、衛の『助けてください!』という叫び声。



【衛の部屋】

一方の衛は何度有紀に電話をしても、全く通じることはなかった。



【病院へ続く海岸沿いの道】

そうして、病院へ続く海。結局、衛はまたもや一人で病院に向かう。と、美沙が海で、波に濡れるのも意に介さずピアスを探しているのが目に留まる。(これは偶然なのか、策略なのか?ここだけがわかんないのよね)

衛 :何してんだよ!何してんだよ!
美沙:(泣きながら)どうしても、見つからないんです!
衛 :・・・。見てたのか?

衛の言葉も耳に入らず、ひたすら当てもなく海の中にあるはずのピアスを探す美沙。

衛 :無理だよ!見つからないよ!ごめん、本当に悪かった!ごめん!本当に悪かった、僕が悪かった!本当にごめん!本当に悪かった!!!

衛は膝ほど深さの波打ち際で、土下座して美沙に対して何度も何度も謝り続けた。(ま、まもタン・・・(ToT))



【ホテル602号室】

ホテルの一室。バスローブ姿のふ・た・り(きゃっ(*^^*))。

衛 :すまなかった・・・。
美沙:もう、いいです。
衛 :だって、大事な人からもらったピアスだったんだろ?なのに僕はそれを。自分が恥ずかしい。

うなだれる衛(って、衛君、素直だなぁ〜)。そんな衛の姿を見て、美沙はカバンの中から恋人の写真を衛に見せる。

衛 :この人が君の言っていた、一年前に亡くなった大事な人?
美沙:・・・。
衛 :素敵な人だね。
美沙:・・・

美沙は更なる”衛の一言”を期待したが、それも叶わず、衛はそのまま写真を美沙に返す。

そこに、衛の携帯に電話が。

衛 :ああ、愛子か。また彼女の都合がつかなくてさ。わかってるよ、僕だっておふくろに紹介して元気付けてやりたいけど、こっちにも都合がさ。えっ、分かった!すぐに行く!

美沙:何かあったんですか?
衛 :いや、おふくろの検査結果が良くなかったみたいで、近々手術することが決まった。
美沙:!

そうして衛は急ぎ洗面室に行き、着替えを行う。衛の携帯とサイフに目が行く美沙(話の展開上、携帯とサイフを置いて洗面室に入ったのは不問にするけど、もう、濡れてた服は乾いたのか?)。そうして着替えた衛に美沙は次の罠をかける;

美沙:私でよかったらやりましょうか、彼女の代役?
衛 :えっ?



【衛の母親が入院している病院】

母親の病室を、美沙と共に訪れる衛。

衛 :遅くなってごめんね。
礼子:まぁ、綺麗な方。
美沙:初めまして、相原美沙です。

美沙は、先日、有紀と話をした情報を上手く利用し、話を合わせて母親に取り込んでいく美沙。衛はその様子を複雑な気持ちで見ている。その場にいるのもたまらなくなり、衛はジュースを買ってくると言って席を外す。

その頃、有紀が病院にやってくる。有紀は一通のメールを受け取っていた;

  「母の容態が急変した。とにかく来てほしい。
   励ましてやって欲しい。病室は507号室。衛」

もちろんそのメールは、美沙が先ほどのホテルから衛の目を盗んで有紀に送信したものだった(って、だから何で病室の部屋番号まで美沙が事前に分かったんだよ!!!!!)。病院のロビーですれ違った衛と有紀だが、双方気づかずに、衛はロビーのソファーに座り込み、有紀は衛の母親の病室に向かう。すると、病室には美沙の姿が;

美沙:お母さん、衛さんから聞いてます?実は私たち結婚しようと思ってるんです!

耳に白いバラのピアスをつけた美沙が衛の母親と話をしている。その場を立去る有紀。一方の美沙は;

美沙:ああ、パジャマを買うように言われたのに、私・・・。
礼子:いいんですよ!
美沙:ダメですよ!衛さんからカードも預かってるんです。
礼子:あら、あの用心深い衛がカードをおあずけするなんて、本当に美沙さんのこと信頼してるのね。ねぇ、あの暗証番号、どうしてだか知ってる?
美沙:どうしてですか?
礼子:私のお誕生日を忘れないようにって、本当に優しい子でねぇ。
美沙:では、私行ってきます。

部屋を出て、洗面所で花瓶の準備をしている愛子に、「何かプレゼントをしたい」という名目で礼子に誕生日を尋ねる美沙。


一方、衛はロビーで有紀の姿を見かける。

衛 :有紀!有紀、どうして?
有紀:あのピアス、美沙さんのだったんですね・・・

そんなことを言われても、当然、衛には何のことだかまるで分からない。だが、有紀は衛に向かって指にはめていた婚約指輪を衛に投げつけて;

有紀:あなたは最低の人間です。

と言って立去っていった。わけがわからない衛。病室に戻ってくると、美沙は買い物に出かけ、母親は眠っていた。呆然と何も出来ない衛。愛子に;

愛子:ね、今月分の入院費、月末前だから忘れないでね。
衛 :分かった、今日のうちに振り込んでおく。

という会話で、ようやく立ち上がり、病院のキャッシュコーナーに向かう。そこでようやく衛は財布の中のカードが全て無くなっていることに気づくが、その頃、既に、美沙は銀行のATMでお金を引き下ろしていた。



【タクシー】

衛も美沙を追って、街へ出る。タクシーの中で、銀行に電話を入れる;

衛 :あ、もしもし、キャッシュカードの紛失です、すぐに停止して下さい。今すぐ!

衛 :あ、それから残高も確認していただけますか?

衛 :ちょっと待って下さい!ゼロ円って?!全額引き出されたってことですか?



そうして、衛は美沙に電話をする;

美沙:もしもし。
衛 :君がやったんだな!
美沙:何の話ですか?
衛 :とぼけるなよ!キャッシュカードだよ!3つの銀行からあわせて1100万円!犯罪だぞ!
美沙:また私のせいにするんですか?
衛 :君以外に考えられないだろう?!
美沙:証拠があるんですか?
衛 :証拠?
美沙:万一そうだとしても、私のこと探し出せます?
衛 :・・・
美沙:安藤さん、私のこと、どこの誰だか何もしらないですよね!あはははは。
衛 :・・・
美沙:心の鍵、緩めちゃいましたね。
衛 :・・。
美沙:決めたんです、私。
衛 :何を?!
美沙:あなたから全て奪ってやるって!
衛 :・・・

衛 :どうして、どうして僕なんだ?!


広場の真ん中で、崩れ落ちる衛。それを実は美沙は遠くから見ていた。


■ 感   想 ■

今回も救いの無いまま、話は終わり・・・(ToT)。

今回も衛一人を中心に話は進んでいった感じです。それだけものすごい転落人生ってことなんでしょうか?おかげでこちらは、最初から最後まで息を抜くことも出来ず・・・(ToT)。

ストーリー展開はまだ暫くはこのままなのでしょうけど、ストーリー的な厳しさ(←いろんな意味で)は我慢するとしても、それ以上に主人公なのに、周りに理解者がいないというこの状況は見ていて厳しいなぁ。

理解者という意味では、今のところ母親と妹&有紀&久保がいるのかもしれないですけど、当然、母親と妹は衛の状況を知らない。有紀も、ふらふらと態度を変えるし(^^;)、そういう意味で唯一の理解者は久保になるわけですが、久保が一番怪しんだよねぇ。これまでの状況では仕事のトラブルは久保の仕業としか考えられないわけで、それ以前に何て言ったって佐々木さんだし(←こちっちの方が重要ポイント)、絶対に油断できないわけで(苦笑)。

今回で、仕事の肩書きと恋人と財産を失った衛君。仕事を完全に失う(=解雇される)ことは無さそうに思えるけど(JTSのみなさんがレギュラーだしね(^^;))、次に失うのは・・・???


美沙が衛を恨む理由はそれ相当のものがあるんでしょうけど、現金を盗んだあの過程を見ると、ちょっと同情できなくなっちゃったな(何だかあそこは致命的だったかも)。美沙が失ったであろう物の大きさを考えても、衛に対する復讐がそれ相当に見合ったものとは思えないし(第三話を見れば、納得できそうな理由が出てくるのでしょうか?)。

なもので、いかに不甲斐ないヤツでも、やっぱり私は次回からも衛を応援するわっ!!!!!(笑)

(05.01.30)


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