恋愛偏差値 第二章
〜 第四話 [29歳の結論。恋と人生正解は1つじゃない]〜
Introduction
『社長が倒れた今、
御子息である勇作さんに会社を纏めて頂きたいんです』
その日に夏目に掛かってきた1本の電話に、夏目の中で衝撃が走った。その電話を受けた後、琴子に会うために守屋のガラス工場の前までやってきた夏目。だが、工場の敷地内で、従業員たちと明るくはしゃぐ琴子の笑顔を前に、夏目は結局、琴子に声を掛けることができなかった。
そのまま、車に乗り込み、発進させた。
(今回、番組冒頭から悩んでますね、夏目君。またその悩みっぷりが、ヒロインよりも目立ってるし…(^^;))
[通販会社ディノス→守屋ガラス工場 〜 交渉]
琴子は通販のカタログにリンドベルイヤリングを掲載してもらおうと、通販会社の部長に守屋とともに面会していた。
部長に口を聞いてくれた琴子の知人も「面白い商品だと思いますよ、品質も確かですし」と後押ししてくれているが、すぐにはOKを出さない部長。
その日の夕方、琴子と守屋は工場に戻ってきて、通販会社への売り込みの様子をみんなに話している。
守屋 「感触は五分五分いう感じかなぁ」
琴子 「商品がいいんだから、絶対に載せてもらえますよ。
っていうか、何が何でも載せてもらわきゃ」
琴子の勢いに、「琴子ちゃんがついていれば、鬼に金棒なの」と盛り上がる育子達。イヤリングの次は、"上輪","首飾り",携帯ストラップといったアイデアを出しあい、果てには;
守屋 「将来は世界進出!」
と守屋は日本的な風鈴は外国人にも受けるに違いないと確信している様子。そして;
琴子 「高宮さんがゆーてた貿易やりたいってゆうあの夢、あれもそんなに遠く
ないと思うで。
まぁ将来的にはうちで正社員としてやってもらってもええねんけどね〜」
その言葉に、ことこは嬉しさ半分、複雑な気持ち半分・・・。
[病院→五嶋通商オフィス 〜 逡巡]
夏目は父が入院しているその病院にやってきていた。特別個室〜病室の外から覗くその部屋には、静かに眠る父の姿があった。その姿をしばらく見つめ、そして夏目は病院を出ていった。
水沢 「亜細亜商事の後、継ぐことにしたの?」
五嶋通商のオフィス、デスクに座っている夏目に声を掛けた。もちろん、夏目君はその質問には答えず、黙っている。
夏目 「・・・」
水沢 「そう簡単には決められないか。
一人で敵陣に乗り込んでいくってことだもんね。
で、高宮さんには相談したの?」
夏目 「・・・」
水沢 「また、し損ねちゃったんだ…。
いっつも最後の1歩が踏み出せないんだから…」
夏目 「!・・・彼女には関係ないから」
環の言葉に、少し怒ったようにオフィスを出ていく夏目。
(最後に、無口な夏目に代わって、環が夏目の心情の語り部役みたいになってきちゃいましたね。夏目の思っていることは、何でも分かるってか?一体、2人の関係ってどのぐらい深いんだろう?!?!?!)
[BAR Air 〜 環の気遣い]
琴子が一人、Airで飲んでいると、そこに環がやってきた。環の姿を見て、店を出て行こうとする琴子だが、それを環が制する。
水沢 「彼ね、五嶋、辞めるかもよ」
琴子 「辞める?!」
水沢 「五嶋辞めて、亜細亜商事の後、継ぐかもしれない」
琴子 「決めたんですか?」
水沢 「さぁどうだろ。自分で聞いてみたら?」
琴子 「私にはもう、関係ありませんから」
水沢 「(笑って)彼の携帯に出たこと気にしてるんだったら、大丈夫よ。
あれ、嘘だから」
琴子 「嘘?!」
水沢 「夏目君に頼まれたの。あのときはただ、2人で飲んでただけ」
琴子 「・・・」
水沢 「彼ね、あなたにのめり込むのが怖いから、自分の心さらけ出すのが
怖いから、私にあんなこと頼んだの。ほんと、素直じゃないよね」
琴子 「・・・」
[五嶋通商ビル 〜 プロポーズ?]
環の話を聞いた琴子は、夏目に会いに五嶋通商のビルの前までやたが、なかなか中には入れずにいた。ビルの中を覗いてみたり、引き返してみたり、玄関口で迷っていると、ちょうどそこに夏目が戻ってきた。琴子の姿を見つけ、夏目は躊躇いながら、だが言葉はいつものように琴子に声を掛ける。
夏目 「・・・何しに来たんだよ?」
琴子 「別に。勘違いしないでよ、未練があって来た訳じゃないから」
夏目 「・・・」
琴子 「・・・」
(ちょっと拗ねた感じの夏目君も好き!(おいっ!))
夏目はそのまま琴子をオフィスに連れてくる。オフィス内は既に誰も居なかった。夏目はデスクにカバンを置き、琴子に尋ねる。
夏目 「何?」
琴子 「何、って訳じゃないけど…。
いや、水沢環さんが、この間の電話は嘘だったって、
わざわざ言いに来てくれたから…」
気まずそうに視線を落とす夏目君。
琴子 「今更、嘘だとか言われてもあれはあれでかなり傷ついたんだから」
夏目 「・・・。だったら、何で来たんだよ!」(←いじけ口調)
琴子 「・・・。会社、継ぐことにしたの?」
夏目 「?!」
琴子 「お父さんと仲直りできたんだ・・・」
その琴子の言葉に戸惑いを感じつつ、自らのカバンの中から、亜細亜商事のパンフレットを取り出す。
夏目 「なぁ、人のことよりさ、自分はどうなんだよ?
古びたガラス工場でバイトなんかしていていいのかよ?
軍手して、顔中ススまみれになって」
琴子 「来たの?」
夏目 「バイトはあくまでも生活のため、就職までのつなぎなんだろ?
貿易会社に入って、世界中を飛び回るのが夢だって言ったよな。
あれ、嘘じゃないんだろ?!」
琴子 「嘘じゃない!」
夏目 「だったら・・・」
琴子 「?」
夏目 「だったらさ、俺のそばで夢に近づいてみないか?」
琴子 「!」
夏目 「亜細亜商事に入らないか?受けさえすれば、100%合格する」
琴子 「どういうこと?」
夏目 「俺と一緒に闘ってみないか?
会社は継ぐことにした。けど、それは敵陣に乗り込むってことなんだ。
俺と一緒に敵陣に乗り込んでみないか?」
そう言って夏目は琴子に亜細亜商事のパンフレットを差し出したが、琴子はすぐに何も言えなかった。
夏目 「考えてみてくれ」
(これってプロポーズ???ったく、ホント素直じゃないんだから…。環さんじゃないけど、見ていてイライラしちゃうわ)
[喫茶店 〜 29歳の結論]
真央 「それって遠まわしのプロポーズですよね!!」
琴子は真央といつものようにお茶をしている。もちろん、話題は夏目との話。
琴子 「う〜ん、まぁ。…えっ、プロポーズじゃないわよ、就職よ、就職!」
(↑おいおい(笑))
真央 「『一緒に闘ってみないか』って、そういうことですよね?」
琴子 「そう・・・かな?」
一流企業への就職、社長夫人になる将来の待っている玉の輿…これ以上、琴子にとって理想通りのことは無いだろうと琴子をけしかける真央ちゃん。
真央 「29歳の結論、楽しみにしてます」
琴子 「分かった・・・」
[守屋ガラス工場]
朝。ガラス工場の事務所。琴子が職場にやってくると、守屋が知人に意気揚々とした雰囲気で電話をしている。もう既に、リンドベルイヤリングがカタログに掲載され、全国から注文が殺到している夢を自慢げに話していた。
一人複雑な思いの琴子。
[五嶋通商オフィス]
その日の夜。今日も一人でオフィスで残業中の夏目は、電話で亜細亜商事の松井と話をしている。
松井 『書類、届きましたでしょうか?』
夏目 「ええ・・・でも、まだ、継ぐと決めたわけじゃありませんから」
”新組織図 案”が刷られた資料を机の上に放り出す。そこには”専務取締役 夏目勇作”の文字が;
松井 『まだそんなことを仰ってるんですか?もう、Partyは迫ってるんです』
夏目 「・・・」
(いきなり”社長”か?と最初は思ってたのですけど、”専務”なんですね。まぁ、それでもすごいんだけど)
[琴子の部屋 〜 招待状]
風鈴の音が響く部屋で琴子は一通の封筒を開く。その中には、招待状が同封されていた;
「亜細亜商事創立70周年記念パーティ」
招待状に同封された手紙には;
『パーティに来てくれたら、人事部長に紹介する 夏目勇作』
淡白に(淡白すぎるぞ!)それだけが書かれていた。
招待状には、Partyの日時は『8月23日(金) 18:00〜』とある。慌てて琴子は部屋のカレンダーを確認する;
琴子 「来週・・・」
そのPartyは、一週間後に開催される。
[通販会社ディノス 〜 単独交渉]
琴子は単身、ディノスに乗り込んだ。リンドベルイヤリング掲載のOKを何としても、先日面会した通販会社の部長から得ようと思ったのだ。
琴子 「これ1つに、何人の職人さんの技術が使われているか御存知ですか?」
「これ1つに、どれだけの汗が流されているか御存知ですか?!」
手作りの良さがあると、懸命に訴える琴子。
[守屋ガラス工場 〜 背水の陣]
ガラス工場の事務所。
守屋 「掲載してくれる?!」
琴子は単身、通販会社にカタログ掲載の交渉に行った結果を報告する。従業員が揃った事務所内は湧き上がるが、自らの決意を切り出す;
琴子 「それであの、今日でここを辞めさせてもらいたいんです」
琴子は就職先が見つかったので、今日限りにしたいと申し出る;
琴子 「みなさんには感謝しています。でも、貿易会社で働くのが私の夢だ
ったんです。失業した私を拾ってくれて、仲間にも入れてくれて、
ムシがいいのは分かってます。でも、夢をあきらめられないんです」
そんな琴子に、守屋はいつものように優しい言葉を掛ける;
守屋 「しゃーないやん、高宮さんの気持ち、分かってあげよ。
通販の仕事も一人で取ってきれくれてんで。あとは俺らで頑張ろうや!」
その言葉をとてもありがたく感じながら、琴子は作業服を守屋に返す。
琴子 「短い間でしたけど、ありがとうございました」
そんな琴子を、守屋ガラスの人々は温かく送り出したのだった。だが・・・
守屋 「ええ?!??!まだ就職するかどうか決まってないの?!」
工場近くの土手。琴子を見送りがてら、ともに歩いている守屋は、琴子から工場を辞めるのは仕事が決まったからではないと告白される。
琴子 「甘えたくないんです。もっと自分を追い込まなきゃって。
そうでもしないと、私ってほんと、優柔不断だから・・・」
守屋 「何?排水の陣ってやつ?」
琴子 「そんな格好いいものではないですけど・・・」
[BAR Air 〜 父への想い]
一方の夏目君も、一人でまだまだ悩んでます。いつもならグラスの白ワインを飲む夏目が、この日は水割りを口にしている;
夏目 「マスター、もう一杯」
森川 「ちょっと飲みすぎちゃうか?」
夏目 「いいから」
森川 「しゃぁないな・・・」
その日の五嶋通商ビル(かな?)のロビー。ビル内から出てくる夏目と松井。
松井 「まだ決めてないでいらっしゃるんですか?
Partyの日には、必ず返事を聞かせて下さい。
社長は当日、欠席されるでしょうが、それまでに決意を固めて欲しいと
仰ってました」
夏目 「あの人、本当にそんなことを言ったんですか?」
松井 「それは・・・もちろんです」
その松井とのやり取りを思い出しながら、自分はどうすべきか、自分は何を考えているのか、その自分の気持ちを見出せない夏目。夏目の前に、水割りが差し出される。
森川 「今夜、これで終わりにしとき」
夏目 「ねぇ、マスター。マスターはさ、好きでこの店、やってるんだよね?」
森川 「いやいやで仕事できるほど、人間できてへんしな」
夏目はゆっくりと水割りを一口飲む;
森川 「元々、オヤジが酒好きでな。門前の小僧、何とかって、やつ?」
夏目 「!」
森川 「血は争えんってことかな・・・」
夏目 「・・・」
夏目は手にしたグラスのウイスキーの残りを、一気に飲み干した。
(このシーン、夏目君の最後の決心に至る1つの重要なシーンなんでしょうね。でも、それ以上に、つんく♂さんと直接絡むシーンがあったということの方に驚いていた私…。夏目君がこうやって歩と絡むシーンがあるとは思ってなかったの…)
[某会社 〜 キャンセル]
翌日の昼間。守屋はタケルとともに、取引先に来ている。商品を納め、取引先をあとにしようとしたところで、守屋の携帯が鳴り、ディノスからカタログ掲載を断る電話が入った。
[BAR Air 〜 人間偏差値]
夜。琴子は今日も一人、Airでいつものカクテルを飲んでいる。お替りを頼んだ琴子に、歩は『ブルームーン』〜琴子が最初にこの店に来たときに作ったカクテルを出す。
そのまま当時の思い出話を続ける二人。上京してきたばかりのころ、代官山に始めて越してきた日にやってきたのがこの店だった。お酒も飲めないのに、少し背伸びした感じが可愛かったと・・・
琴子 「でも、もう、可愛いなんて言ってもらえる歳じゃなくなったんだよね」
森川 「年齢は関係ないやろ。人それぞれやし」
琴子 「そうかな・・・」
森川 「まぁ、ただ、琴子ちゃんの場合は、人間偏差値を上げる時期
かもしれへんな」
琴子 「?」
森川 「でないと、恋愛偏差値もあがらへんやろ?」
琴子 「・・・」
森川 「まぁ、彼もお互い様かもしれへんけど・・・この間、来てた」
琴子 「!」
森川 「えらい無茶して飲んでた。まぁ、彼も何か、悩んでるんちゃうかな…」
琴子 「・・・」
(恋愛偏差値と人間偏差値?!?!・・・う〜ん、ストレートなドラマの主旨説明シーン、ありがとうございます・・・(苦笑))
[琴子の部屋 〜 作業服]
亜細亜商事のパンフレットとPartyの招待状を前に、悩み続ける琴子。Party開催日は目前に迫ってきている。そこに、タケルがやってくる。
琴子はタケルから、通販の話がなくなったことを聞かされる。大手のガラスメーカーが横槍をいれてきたというのだ。工場のみんなも落ち込んでしまっている。
タケル「なぁ、俺たちを助けてくれよ。あんたが言いだしっぺだろ。あんたなら
何とかできるだろ?なぁ、あんたしかいないんだよ。頼むよ!」
琴子 「・・・無理だよ。私にそんな力なんてないの」
タケル「でも」
琴子 「それに、私はもう、あの工場、辞めた人間だし。
ほんと、力になれなくてごめん・・・」
タケルはガッカリした表情で、琴子の部屋を出て行った。琴子は動揺しながらも、どうすることもできない。ふと見ると、タケルは紙袋を置いていっていた。その中には、ガラス工場の作業服が入っていた・・・
[ホテル Party会場 〜 開場]
ホテルニューオータニ。亜細亜商事創立70周年の記念パーティの会場に、大勢の招待客が集まってきている。賑わうパーティ会場の片隅で、だが、夏目は周囲の冷たい視線を感じながら、一人でいた。
男1 「しかし、愛人の子だぞ」
男2 「でも、専務就任を発表するんだろ?」
男1 「社長、何を考えてるんだか。全くもう・・・」
そんな声も聞こえてはいるが、夏目は琴子の姿を探していた。そこに琴子ではなく、環がやってくる。
水沢 「お招きありがとう」
夏目 「おお」
水沢 「高宮さんも招待したんでしょ?今日は夏目君の晴れ舞台だもんねぇ」
夏目 「・・・どうかな?」
水沢 「えっ?」
夏目 「・・・」
水沢 「まだ決めてないの?」
夏目 「・・・」
水沢 「今日、発表するんでしょ?」
夏目 「・・・」
水沢 「もしかして、夏目君、まだ高宮さんにちゃんと話してないの?」
夏目 「・・・」
[街中]
夕方、一人、街中を彷徨う琴子。時計は、6:10を指していた。Partyが始まる時間である。
[ホテル Party会場 〜 父と子]
華やかなParty会場で、相変わらず一人ぼっちの夏目君。
男性 「あっ、社長!いらしたんですね」
松井 「容態が思ったより良くなったもんですから…」
その声がした方向を振り向くと、車椅子に乗った父 雅勝の姿があった。招待客たちと挨拶を交わし、そして父は夏目の姿に気づく。そのまま夏目に近づいて、一人の力で立ち上がり、息子と対峙する;
父 「決心は付いたか?」
夏目 「・・・」
父 「パーティの最後に、お前のための時間は取ってある」
夏目 「わかってます」
夏目は黙礼し、父の前を通り過ぎる。その夏目の様子を、不安げに見詰めている環。
(社長の容態の奇跡的な回復っていうのも無理があるけど(^^;)、夏目君と父親の対峙シーンを作ってくれたのは嬉しかったよぉ)
[街中 〜 環からの電話]
琴子の携帯が鳴る。電話に出るとそれは環だった(最後の最後まで、面倒見なきゃいけないから、環も大変だねぇ〜(^^;))。
琴子 「はい」
水沢 『高宮さん、水沢環だけど。Party、来ないの?』
琴子 「・・・」
水沢 『実は彼、後を継ぐか、まだ迷ってるみたいなの。
彼の父親、病気で倒れたのよ。だから、後を継いでくれって言われてたの。
でも、まだ決心がついてないみたいなの。
余計なお節介かもしれないけど、でも、今日は彼にとって大事な日なの。
それだけはあなたに伝えておく』
それだけ告げて、環は電話を切った。
[ホテル 〜 悩み続ける青年(^^;)]
おそらくPartyが始まってるであろう時間帯であるが、Party会場から出てきてしまう夏目。ホテル内の廊下で、一人になって最後の最後まで悩み続け、そして琴子がやってくるのを待っている。
(逃げてるし・・・(苦笑))
[街中 〜 風鈴]
同じく琴子も・・・。ふと、街中でリンドベルイヤリングをした女性を見かける。その女性の耳元で揺れる風鈴。
その風鈴に詰まった想い・・・今の自分がやりとげなければいけないこと・・・変わらなければいけないこと・・・そのために、自分は・・・
そのまま琴子は夢中で走り出した。
[ホテル 〜 PARTY]
夜、日も落ちて、ホテルの廊下で、うずくまっている夏目君。そこに、駆け足で走るヒールの音が響く。見上げると、そこには白のスーツを着た(ちゃんと琴子ちゃん着替えてますね(^^;))琴子がいた。琴子も夏目に気づき、ゆっくりと振り返る。
迎えに来た母親をようやく見つけた子供のように、安堵の表情を見せる夏目。1歩、2歩、3歩と琴子に近づき…だが、その表情とは反対に、夏目はいつもの強気な言葉を琴子に投げかける;
夏目 「本当に来たんだ。亜細亜商事は魅力のある・・・」
が・・・琴子は夏目がその先を話すのを制した;
琴子 「喋らないで!お願いだから黙ってて!じゃないと…」
夏目 「?」
琴子 「図星だった、あなたに言われたこと。
初めて会った時に、外見ばっかり装って中味空っぽだって言われたじゃない?
本当、ちっとも地に足ついてなかったし、背伸びばっかりしちゃって、
リアリティなんてまるで無かった。
上京したときの憧れがいつのまにか意地に変わっちゃって。
そのくせ、毎日毎日何の努力もせずにだらだら過ごしてた。9年間も!
ホント、勿体無かった。
その上、会社が倒産したら自分のこと棚に上げちゃって、今度は社会が
悪いとか言っちゃってんの。
そう思わないとやってらんなかったし、今までずっと、そんなだった」
夏目 「・・・」
琴子 「でもね、やっと気づいたの。私は・・・私は・・・」
琴子はゆっくりと夏目の顔を見る。
琴子 「スーツはこれが着納め」
そう、琴子は自らの決意を夏目に告げた。動揺した表情を示す夏目;
夏目 「・・・そ、そっか・・・」
琴子 「Partyのお陰なの。
Partyであなたに出会って、あなたに散々振り回された
お陰なの…」
夏目 「・・・」
そこに夏目を迎えに、父の秘書の松井が夏目を呼びにやってくる。
松井 「勇作さん、みなさんが中でお待ちです」
琴子の気持ちを納得したような、納得したくないような戸惑いの表情を示しながらも、会場に戻ろうとする夏目。そんな夏目に琴子が夏目の正面に回って、語りかける。
琴子 「本当はお父さんのこと、支えてあげたいんでしょ?」
夏目 「!」
琴子 「あなたが一緒に闘いたいのは私じゃない。そうだよね?」
夏目 「・・・」
黙って琴子を見つめる夏目。
そして、夏目はParty会場に戻り、静まり返る出席者を前に、ゆっくりと壇上に上がる。スポットライトが夏目に当たり、そしてその夏目の表情を会場内のスクリーンが映し出す。
Party会場内では夏目の父が、水沢環が、そしてその入り口では、琴子がじっと夏目の姿を見つめていた。
そんな琴子の視線を感じながら、夏目勇作はゆっくりと会場に向かって語り始めた。
夏目 「みなさん・・・
ここにお集まりのみなさんは、恐らく、私と社長との関係を御存知でしょう。
私はいわゆる正妻の子ではありません。
会場内は多少のどよめきが起きるが、そのまま夏目は静かに語り続ける。
夏目 「ですから、みなさんの中には、私の専務就任の話が持ち上がっていること、
快く思ってない方も大勢いらっしゃるでしょう。
確かに、私自身、そのことで父に反発し、ライバル会社である五嶋通商に
入社して、父と闘ってきました。
いち企業マンとして、父に勝てる人間になりたかった・・・。
でも、そこには企業マンとしてではなく、一人の人間として、自分を卑下
する気持ちだとか、勝手な・・・勝手な意地だとか、
・・・そういったものがいつも付きまとっていて、
父と闘うことだけがプライドだと言いながら、心の中では父を追い求め、
手にすることの出来なかった家族の絆みたいなものを、
ずっと探して・・・探し続けていたのかもしれない。
そう気づいたから・・・・だから」
そして、夏目は顔を上げ;
夏目 「だから、これからは父を支え、父と共に闘っていきたいと
思います。・・・今は素直にそう思います」
しばらく父の顔を見続ける夏目。そして・・・
夏目 「それを教えてくれたのは、そんな自分に気づけたのは、とある女性と
出会ったからです。
彼女は、彼女は僕の大切な・・・たい・・・大切な・・・友人です」
その言葉に、ゆっくりと涙を浮かべながら微笑む琴子。壇上の夏目もさわやかな笑顔を返した。
(このシーン、既に何度見直したか・・・)
[ホテルニューオータニ庭園 〜 firework]
夜の誰もいない庭園。会場を出てきた琴子と夏目。
琴子 「ここでいい」
夏目は何も言わず、そのまま2人は見つめ合う。ちょうどそのとき、夜空に打ち上げ花火が上がった;
夏目 「今年最後の花火大会らしいよ」
二人は、花火を見上げ、そして、再び見つめ合い、そのまま強く抱きしめあう2人。
ゆっくりと抱擁を解き;
琴子 「早く戻って。大勢の人があなたを待ってる」
夏目 「わかった。琴子も・・・早くいきな」
琴子 「うん」
夏目 「じゃぁ」
琴子 「じゃぁ」
そして夏目は琴子に背を向け会場に向かって歩き出す。
夏目 「実はさ・・・」
そう言って、夏目は立ち止まった。真剣な顔で振り向いて琴子の顔を見、だがその後、いつもの表情に戻って;
夏目 「うちの会社、200億の負債かかえてるんだよね」
琴子 「えっ?」
ちょっといたずらっぽい視線で琴子を見つめる夏目;
琴子 「(笑)。もう騙されない!」
夏目 「あはははは(笑)、だよな?・・・じゃぁな」
琴子 「じゃぁね」
そうして夏目は再びparty会場に向かって歩き出した。じっと夏目の後姿を見送る琴子。打ち上げ花火が夜空を彩り続けていた。
(最後、普通に別れるんじゃなくて、冗談めいたシーンがあったのは好きだったかな。花火をバックに二人の綺麗な旅立ちだなぁ、と素直に思えました)
[守屋硝子工場 〜 琴子のparty]
同じ日の夜。作りすぎた風鈴イヤリングを前に、意気消沈の従業員一同・・・
育子 「作りすぎちゃったねぇ・・・」
守屋 「無駄にしてもーたかな?」
琴子 「無駄になんかするもんですか!」
そこに突然、琴子が現れる。
琴子 「通販会社なんていくらだってあるんですよ。掲載勝ち取るまで、
何10軒だって回ります。私が責任をもってやり遂げて見せます!」
そう言って、琴子はカバンの中からタケルが置いていった作業服を手にする;
琴子 「守屋さん、ここに就職させてください。バイトじゃなくて正社員に
して下さい。ここから始めたいんです。みんなと一緒に守屋ガラス
を世界中に広めたいんです。
それが今の私の夢なんです。御願いします!」
深々と頭を下げ続ける琴子。その琴子に、守屋は明るく声を掛ける;
守屋 「おかえり!!」
その守屋の一言で、琴子に笑顔が戻り、みんな拍手と笑顔で琴子を迎え入れる;
育子 「これから琴子ちゃんの入社祝いと、通販成功に向けてのパーテーを
やるよ、パーテー」
聡子 「ったくもう、パーチーでしょ?」
守屋 「それは2人とも違うの…」
琴子 「パーティですよ、パーティ!」
琴子は晴れやかな表情で、最高の笑顔を浮かべていた。
<第四話感想> 幸せなドラマをありがとー(^^;)
どんどん話の進んだ1〜3話と比べると、比較的丁寧に話の進んだという印象の最終話(2人とも悩んでいるだけでしたからね)。
二人のそれぞれの心の動きが丁寧にかかれていて、よかったかなぁ、なんて思ったりしています。特に、最後の夏目君のスピーチは鳥肌ものですね(^^;)。ただでさえ4話しかないドラマなのに、あのシーンにあれだけの時間を割いてくれて、ありがとー(←結局、自己中なファン)。
とにかく、何だかいろんなものを感じたスピーチでした。上手く言えないけど、夏目君のこれまで生きてきた全てと、吾郎君がこれまで役者として(?)やってきたさまざまなものと、そういったものが入り混じっていたというか。って、私が勝手にいろんなことを想像してるだけなんですけど…。
個人的な思いとしては、二人が上手くいって欲しかったな、という気持ちもあったんですけど、あの展開で、そういう展開になってしまうと琴子が打算的に見えて嫌いになってたとは思うので、結果的にはあれでよかったと、無理無理に納得させてます。将来的に再び2人が恋人同士になるのかな?という考えもありますが、”社長夫人”ということを考えると、環さんタイプの方がお似合いかな?、とか(笑)
夏目君、結局、最初から最後まで迷ってましたね(吾郎君の優柔不断キャラ顕在?(笑))。
夏目君、琴子にちゃんとプロポーズしていたら、どうだったのかなぁ、なんて思ったりしています。最後の最後までちゃんと言わないんだもん、ひねくれすぎだよ。まぁ、そこが夏目君なのだけどね(^^;)。
最終回ゆえ、少しはドラマの内容について書こうと思ったんですけど、まぁ、こんなありがちなコメントだけでお許しを。とにかく、幸せな4週間でした。クール&ビューティなエリートキャラで、将来、社長さんになるような人物で、屈折した性格で、しかも妾の子という複雑な家庭環境(←この最後がやっぱり重要よねぇ(^^;))。こういうキャラクターは、一度はやって欲しいと願うけど、実際に役が回ってくることはそうは無いわけで(そんなコテコテの設定のドラマなんて、最近、そうは無いですかねぇ…)、とにかくそんな吾郎君を拝めたというのはとってもハッピーでした。ファンをやっててよかった・・・(笑)
(なお、今回のレポは、特に無言のシーンが多かったので(^^;)、その行間については勝手な解釈で記載しています。実際の脚本や演出の主旨とは違ってしまってるかもしれませんが、お許し下さいm(_ _)m)
(02.08.25)
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