恋愛偏差値 第二章
〜 第一話 [29歳で失業!!それでも恋は始まった]〜
Introduction
恋愛偏差値・・・
”バカ言わないで恋愛に優劣を決めるような偏差値なんて要らない”
・・・そう思われる方もいるでしょう
でも、そんなあなたももっと上手に恋が出来たらと
思ったことはありませんか?
いい女、イコール、恋愛が上手いとは限りません
正解の無い、教科書の無い恋愛の世界では
全ての人が素敵な恋をする可能性を持っているのです
これはあなたの物語です
あなたの恋愛偏差値はいくつですか?
[PARTY 会場 〜 最悪の出会い]
とあるParty会場の化粧室。鏡に向かって口紅を直している女性〜高宮琴子@29歳(常盤貴子さん)。琴子が手にしているその口紅は、琴子が担当している仕事に関係しているものである。
過日:アメリカの外資系企業 Sunrise Trade Co,Ltd.
この会社で扱う口紅の販売戦略会議中、入社9年目の琴子も企画担当者として出席していた・・・つもりであったが、琴子の扱いはようやくアシスタントになった程度の扱い。琴子に与えられたのは、やり甲斐のある自ら海外に出向くような第一線で働く仕事ではなく、雑用と「君も、これ、試してみて」と言って上司から渡された口紅だけだった・・・
・・・そんな琴子のやや屈辱的な思いの込もった口紅を鏡に向かいつけてみる;
琴子 「よし、っと」
そうやって琴子が気合をいれたとき、今回のPartyの同行に声を掛けてくれた職場の同僚の田島真央@24歳(金子さやかさん)がやってくる。いつまでも化粧室でもたもたせずに、早くParty会場に乗り込もうと言うのだ。
Party〜琴子たちが乗り込んだこの会は、会員制の『異業種交流クラブ』で行われる”懇親パーティ”。主催者は(株)五嶋通商の夏目勇作、さまざまな業種の第一線で仕事をしている人間が、仕事のパートナーを探すために定期的に開かれている会合である。
しかし、琴子たちの目的はただ一つ;
琴子 「もっといい男みつけてやる」
だったりする。ましてや昔の彼氏に結婚の先を越された琴子は、遠赤うこん@沖縄産(笑)も試し、おニューの白のスーツを着込み、今回のPartyにかける意気込みは相当のものである。そんな琴子を見て真央は;
真央 「この服なら仕事が出来る女って感じ」
琴子 「それって普段仕事が出来ないってこと?(--;)」
などと話をしながらも、医者や弁護士もいるという会場に、二人はいよいよ乗り込んだ。
会場では、すでに多くの人が会を楽しみ、交流を図っている。その中で、琴子は一人の男性(もちろん吾郎君!)に視線が止まる。その男性は他の2〜3の男女と談笑していた。(ああ、典型的な二枚目の登場の仕方じゃないですか!冒頭から嬉しすぎるぅ!)
男 「夏目さんはこの会を主催されて何年になるんですか?」
夏目 「そうですね・・・2年になります」
女 「私、前回から参加させて頂いております」
夏目と呼ばれたその男性をさして、真央が琴子に背後から耳打ちする;
真央 「あの人が、この会の主催者・・・」
琴子 「ふーん。結構いいじゃんね」
と琴子が振り返ると、既にそこには真央の姿はそこになかった。一人でちゃっかりターゲットの模索に出掛けたようである。おかげで、琴子は振り返った正面にいた男性と相手をする羽目になり、会社を興すつもりでこのPartyにやってきたのだなどと、適当に会話をあわせてその場を乗り切る。
そんなこんなで、琴子がようやく一人の男性の相手を終えたとき、真央が琴子の元に戻ってくる。琴子が手にしたその男性の名刺1枚に対し、真央は既に10枚程度の名刺を手にしていた。つまり短時間の間に、それだけの男性と接触したという証;
真央 「帰ったらこれでトランプしましょうよ」
琴子 「トランプ?」
真央 「私、じゃんじゃん集めてきますね」
真央は明るくそう言って、再び琴子の元を離れる;
琴子 「無邪気ほど恐いもの無いわね・・・53枚集める気?」
そんな琴子と真央を、遠くから眺めている会の主催者の夏目であったが、そのままシャンパングラスを持ったままガーデンに出て行く。
一方の琴子もシャンパングラスを手にとり、そして、なんとなく夏目が出て行く後ろ姿に視線が向く。そのまま夏目を追って、ガーデンに出て行く琴子。夏目を探し、キョロキョロと余所見をしながら歩いていると、思わずその目当ての夏目とぶつかってしまう。
琴子 「!」
夏目 「?!」
琴子 「すいません、(シャンパン)かかってないですか?」
夏目 「かかってないみたい」(←最初から淡々としてるよね?(^^;))
琴子 「よかった・・・
あの・・・主催者の方ですよね?
後輩がこの会のHPで拝見したらしくて。五嶋通商の夏目勇作さん?」
夏目 「君は?」
琴子 「高宮琴子といいます。丸の内の貿易会社でOLやってます。
外資系の会社で企画を」
夏目 「よく参加するの、こういうParty?」
琴子 「えっと・・・」
夏目 「?」
琴子 「実は初めてなんです」
夏目 「どう、参加してみて」
琴子 「緊張しっぱなし。すごいですよね、来てる人達。
税理士さんだとか弁護士さんだとか一流企業の方々とか・・・」
夏目 「まぁ、気楽に楽しめばいいんだよ」
琴子 「そうなんですか?
じゃぁ、ちょっと堅苦しく考えすぎてたのかな。いいんだ、それで…」
という琴子の言葉が終わらないうちに夏目が一言;
夏目 「けど、男が目当てだったら他でやってくれないかな?」
琴子 「?!」
あまりの夏目の発言に、言葉を失う琴子。
夏目 「君らから見たら、付き合うのに条件のいい男が揃っているかもしれない
けど、ここ、そういうPartyじゃないから」
琴子 「!」
夏目 「外見だけ綺麗に装って、仕事できますって顔して、
男に近づくのだけはやめてもらえないかな?
・・・じゃぁ」
夏目は手にしたシャンパングラスを近くのテーブルに置いて、そのまま琴子の前から立ち去ろうとする;
琴子 「何それ!私がそうだっていうんですか?!!!」
夏目 「(振り返って)親切で教えてあげたつもりなんだけど。
『中味空っぽでーす』って触れ回ってるのに気づいて
ないみたいだからさ」
琴子 「失礼じゃありません?初めて会った人に、中味空っぽだって言われたく
ないんですけど。あなた私のこと何も知らないのに、涼しい顔してよく
そんなこと言えますね!
外見だけ装ってる?私がそうだなんて、あなたに分かるんですか?」
と、どんどんヒートアップしていく琴子に対し、夏目はどこまでもクールに;
夏目 「・・・。付いてるよ」
琴子 「付いてる?何が!」
すると夏目は琴子に近づき、琴子の首の後ろに手をやる;
夏目 「ね・ふ・だ」
琴子 「あ、これは・・・」
慌てて動揺する琴子に、夏目は;
夏目 「あまり無理しない方がいいんじゃない?」
とさらに追い討ちをかけるように皮肉を言い、その場を離れる。
琴子 「なによあれ!!!」
(ああ、夏目君の一言一言がツボだ〜。皮肉一杯、でも、核心をつきまくってる夏目君って素敵だわ(*^^*))
再び化粧室。琴子は値札を外そうと、上着を脱いで、値札と格闘していた(^^;)。
琴子 「何よ!偉そうに・・・外見だけ装ってなんか・・・」
怒りが頂点に達した状態で、必死で値札を外そうとする琴子。そして、火事場の馬鹿力並みのパワーで値札を引きちぎり(^^;)、再びParty会場に戻り、真央を会場から引っ張り出そうとする琴子。
真央 「琴子さん、どうでした?」
琴子 「何が?」
真央 「さっき、あの人、追いかけていったじゃないですか」
琴子 「全然、大したことない。期待はずれ、大ハズレ」
真央 「どうしたんですか?」
琴子 「どうもしない。どうもしないから、帰ろ!」
怒りが収まらない状態で真央と共に退散しようとすると、一人の紳士(中丸新将さん)に声を掛けられる
男性 「こんにちは、君、この仕事初めてだよね?」
と挨拶代わりにワイングラスを手渡される琴子。と、そこに今度はもう一人、作業服の男性(山口智充さん)が、その中年紳士に向かって「社長!」と勢いよくやってきて、琴子にぶつかってしまう。それだけならいざしらず、琴子が手にしたワインが零れて琴子の胸元にかかってしまったからさぁ、大変。折角のおニューのスーツを台無しにして慌てる琴子を見て、男性は焦って、ハンカチで琴子の胸元を拭こうとしたり、できなかったり・・・(^^;)。中年紳士がその場を立ち去ろうとしたので、慌てて男性は自らの名刺を琴子にあずけ、「社長!」と再び追いかけていった。
琴子はなおもスーツを気にかけているが、真央がその名刺を見ると
『(株)守屋ガラス工場 社長 守屋俊平』
と。
真央 「社長だって・・・」
琴子 「あれで?ダッサ・・・」
と口走ったところで、ふと視線を感じて顔を上げると、遠くからその様子を夏目がじっとみているのに気づく。ちょっと馬鹿にしたような笑いをみせて、ワインを口にする夏目君(ああ、こういう嫌な感じが綺麗に決まっているのがいいのよぉ〜〜〜(*^^*)←早くも絶叫(^^;))。
[琴子の部屋 〜 燃え上がる闘志]
代官山にある琴子の自宅。Partyでさんざんな目にあった琴子は、服も着替え、パソコンに向かって問題のPartyのサイトにアクセスしている。そのホームページには画面には、Partyの主催者としての夏目のコメントと顔写真が掲載されている。
『外見だけ綺麗に装って、仕事できますって顔して、
男に近づくのだけはやめてもらえないかな?』
『”中味空っぽで〜す”って触れ回ってるのに気づいてないみたいだからさ』
怒りが納まらない琴子だが、なぜか夏目のその言葉が頭から離れない;
琴子 「中味ぐらいあるわよ!」
そして、そのページを閉じる琴子。
[琴子の会社 〜 29歳にして失業]
そして、翌日。共に出勤する真央に、琴子は部長に直談判する決意を話す;
琴子 「部長に掛け合って、もっとまともな仕事をさせてもらう!
会社に入ったときのようにパスポート片手に世界中を飛び回れるような
仕事をさせてもらえるように交渉するの!」
真央 「熱でもあるんじゃないんですか?」
琴子 「あるよ!『情熱』・・・仕事がしたいの!」
そして士気を高めて会社に出向くと、様子がおかしい。ロビーで社員たちがいつもとは違う感じでざわめいているのだ。
状況が分からないまま、丁度、ロビーに降りてきた部長をつかまえて聞いてみると、会社の社長が会社名義で10億の融資を受け、そのまま逃げてしまったと言うのだ。そして、アメリカの本社も見放したと。つまり;
琴子 「失業・・・」
呆然とする琴子。
琴子 「何でよ・・・」
[都内ホテルのParty会場 〜 最悪の再会]
数日後の都内ホテルの港区商工会議所創立50周年記念パーティ会場。琴子はパーティのコンパニオンとして働いていた。振袖姿でアルコールをサービスする姿は、琴子が抱いていた理想とは、あまりにかけ離れたものである。
琴子 「こんな姿、親が見たら泣くよね・・・」
真央 「結構、可愛くないですか?」
琴子 「格好じゃなくてこの状況よ。したくも無い笑顔振りまいて、何でお酒運
んでんだろう、私…」
真央 「失業したからでしょ」
琴子 「わかってるわよ(--;)。
9年間積み上げてきたものが、たった一日で消えちゃったのよ」
会社が倒産し、その後、何社か再就職のための面談も行ったが、ことごとく断られてきた。
早く就職を見つけて現状から逃げ出したいという琴子に、だからこそ今回のバイトを誘ったのだとう真央。貿易関係の人を上手く捕まえ、コネを作ることが出来れば、今の状況から早々に脱出することも夢じゃないのだ!
真央に叱責され、手段を選んでいる場合ではないと、トレイにいくつかの水割りを載せ、”真面目に”貿易関係の人間を探しに回る琴子・・・と、どこかで聞いたことのあるような男性の声が・・・;
夏目 「そうですか。
以前、ローマ,フィレンツェ,ベネチアなら行きましたけど」
女性 「そうなんですか?」
夏目 「特に個人的に気に入ってるのは、サンロレンツェ教会ですね。
あれは素晴らしいですね」
女性 「まぁ、私もあそこ大好きです」
夏目 「あの教会の中にいると、僕はこう…胎児の頃に戻ったようですね。
胎児って言っても覚えているわけじゃないけど・・・」
最悪な状況で琴子にとって最悪な人間がいることに気づき、焦る琴子。夏目の背後で、しばらく立ちつくし;
女性 「夏目さんの五嶋での御活躍はお伺いしています。
それで貿易に関する御意見を是非、お伺いしたいの」
夏目 「そうですか。でしたら、ラウンジに行きませんか?
ここじゃ落ち着いて話も出来ないし・・・」
女性 「そうですね。それじゃぁ、後ほど」
と、女性と別れた夏目が、琴子の方に振り返ったのと同時に、今度は琴子が背を向けて、顔を見られるのを隠す。しかし、その女性が琴子だとは気づいていない夏目は、何も考えずに;
夏目 「すみません、水割りもらえます?」
琴子 「・・・・」
と琴子に声を掛ける。意地でも顔を見られる訳にはいかない琴子は、背を向けたまま、自らの肩越しに、トレイを差し出す;
琴子 「どうぞ・・・」
夏目が水割りを手にすると、そのままの姿勢でその場を離れようとする琴子だったが;
夏目 「あの・・・グラス、下げてもらえます?」
と言われて一難去ってまた一難。それでも頑なに背を向けたまま、トレイを肩越しに差し出し;
琴子 「お下げします」
夏目 「?!?!?・・・置きます・・・」
琴子 「・・・」
夏目 「どうしたの?」
琴子 「気になさらないで下さい」
夏目 「いや、気にしてないんだけど・・・おかしいよ」
琴子 「失礼します」
と、そそくさとその場を離れる琴子。少し離れて「何でいるのよっ!」と、余所見をしている夏目に向かって呟いてみるが、その琴子の視線を感じたのか、夏目は振り返って、一瞬、顔があってしまう;
夏目 「???」
振袖姿の琴子の後を追う夏目と、さりげなーく逃げる琴子。何とか会場の出口に近づいたとき;
「ねぇ、どっかで会ったことない?」
と肩をつかまれ、振り返えると、先日のパーティにいた中年紳士がいた。
バイトが終わり、控え室で服を着替える琴子と真央。
琴子 「どう思う?」
真央 「逃げなくてもいいのに」
琴子 「逃げる?」
真央 「夏目さんですよ。私なら話しかけるけどな・・・」
琴子 「嫌味なヤツだよぉ〜」
真央 「ああ、意識してるぅ」
琴子 「してない。それよりもこっち」
と、琴子が真央に見せた名刺は『株式会社矢部トレーディング 代表取締役社長矢部正隆』と書かれている。琴子が真央に相談したかったのは、もう一人の中年紳士の方の話である。その中年紳士 矢部は琴子に貿易会社での仕事を紹介してくれるというのだが、琴子が呼び出された先が「HILTON TOKYO Room No.3107」・・・真央はホテルの一室を事務所代わりに使用しているのだろうと言うが・・・
[BAR Air 〜 最悪な展開]
琴子は代官山の駅で降り、そのまま『BAR Air』に足を運ぶ。バーのマスター森川歩(つんく♂)と挨拶をし、カウンターで一人飲む琴子。その琴子と少し間を置いて、男性が一人、席に着く;
夏目 「グラスで白ワインを・・・」
琴子 「あ。。。」
夏目 「?・・・あれ?」
森川 「?知り合い?」
琴子 「できれば、知り合いたくなかったんですけど・・・」
そのまま距離を置いて黙って座る琴子と夏目。
『株式会社五島通商 第一営業部 夏目勇作』
琴子の目の前に、自らの名刺を差し出す夏目。
夏目 「自宅の住所も要る?」
琴子 「要りません」
夏目君、静かに目の前に置かれたワインを回しながら(って、すみません、そういう細かいところがツボだったりする(笑))次に琴子に投げかけた質問は;
夏目 「女の姉妹は?」
琴子 「いません・・・は?何でそんなこと答えなきゃならないんですか?」
夏目 「一人っ子か」
琴子 「何なんですか?」
夏目 「さっき、そっくりな人間、見かけたからさ」
琴子 「・・・」
夏目 「一瞬でよく分かんなかったんだけど、似てたんだよな」
琴子 「その人はたぶん、私じゃないと思います。
今日は一日中会社で仕事でしてましたから」
夏目 「仕事ねぇ・・・」
琴子 「そっちこそ、ここで何やってるんですか?」
夏目 「飲んでるよ。・・・乾杯」
(↑このとぼけた感じが好きだ〜〜〜っ!城君っぽくない?(^^;))
と、夏目は琴子にグラスを差し出し、琴子もそれに応じる(なんだかんだと、琴子もペースに巻き込まれてる?)。琴子は自らのペースに戻そうと、逆襲を始める;
琴子 「ああ、そう。そういうことですか?」
夏目 「?」
琴子 「女の子飲みに誘って、断られたんじゃありません?
それで一人寂しく飲んでるとか?」
夏目 「・・・」
琴子 「あれっ、図星でしたごめんなさーい、的中しちゃって」
夏目 「つっかかるねぇ」
琴子 「丑年ですから」
夏目 「29か・・・結構、いってるな」
琴子 「・・・(--;)」
逆襲したつもりが、琴子、玉砕・・・(苦笑)。
夏目 「家、この辺り?」
琴子 「代官山に住んでちゃいけませんか?」
夏目 「ホント好きだねぇ、形から入るの」
琴子 「私がどこに住もうと勝手じゃないですか。ここは仲良しクラブじゃない
んだから、お説教される筋合いは無いと思いますけど」
夏目 「・・・」
琴子 「中味空っぽ、って言われたお返しです」
すると、また話は飛んで;
夏目 「仕事楽しい?」
琴子 「は?」
夏目 「今の仕事」
琴子 「こう見えても、かなり期待されてますから」
夏目 「へぇ・・・」
琴子 「ええ、ええ、ええ」
夏目 「だったら聞くけどさ、他の会社から誘われるほど期待されてる?」
琴子 「え?」
夏目 「俺は、さっき宴会の席で、ヘッドハンティングされたんだけど」
琴子 「へぇ〜」
夏目 「君はヘッドハンティングされたことある?」
琴子 「私は・・・」
夏目 「あるわけないよね」
琴子 「!(--;)」
夏目 「何か、自分に価値があるって勘違いしてない?」
と、さすがにそこまで言われて、切れる琴子;
琴子 「ちょっと自分が大手に勤めてるからって・・・五嶋通商ってほとんどが
コネで入社するんですよね?あなたもそのクチじゃないんですか?
大して苦労もしてこなかった人が、他人のことを見透かしたような事を
言わないで下さい。
私は何にも無いところからスタートしてるんです。しかも独りで。
ぬるま湯につかかってきた人が偉そうに言わないでよ!」
一気にまくし立てるその琴子の言葉に、黙ってグラスに口をつける夏目。
琴子 「失礼します」
琴子はそのまま店を出て行く。その後姿を視線で追う夏目。黙ったまま、なぜか口元に笑みを浮かべていた・・・
(今回、実はこのバーのシーンが一番のお気に入りなのです、私。二人の言い合いだとか、その微妙な距離感だとか(実際に二人の座っている距離もいい感じだし)、夏目君のとぼけ具合だとか、そういうものを全てひっくるめて好きだったりします)
一方、店を出てきた琴子は、先ほどの矢部の名刺を取り出す。なぜか夏目の言葉に必要以上に苛立ち、そしてとんでもない決意をしようとしてた。
[HOTEL HILTON 〜 もう一つの再会]
琴子は単身、矢島のオフィスにやってくる。
丁度、矢島は来客と隣の別室で面会中だった。その面会の相手は、同じく『異業種交流会』にいた守屋。別室から出てきた守屋は「話が違うじゃないですか!」と矢島にすがるが、矢島はそれを無視して今度は琴子を連れてその別室に入っていく。
別室で、琴子は矢島から貿易会社での仕事を探してもらう約束を取り付けるが;
矢島 「ちなみに今日、時間空いてるかな?
場所を変えて話そうか?そのつもりで来たんだよね?」
という言葉を投げかけられる琴子。さすがにすぐに答えるとはできなかったが、それでも覚悟をした・・・その瞬間、守屋が部屋に押し入ってきて、制止する矢島を殴り倒して(^^;)、琴子を部屋から連れ出したのだった。
ホテルを出て、帰り道、何も言わない琴子に対して、何とかその場を取り繕うとする守屋。
守屋 「あいつ悪いヤツやなぁ〜。たまたまバーンってやってもたけど、あんな
もんなぐられて当然やちゅーねん!大体、就職口紹介するからゆーて、
そんな要求飲むやつおらんって。なぁ?」
とはいえ、その言葉は、琴子にとってはかえって胸に突き刺さる言葉だった;
守屋 「ショックや思うけど、あまり気にせん方がいいんと違うかな?」
守屋はどこまでも琴子の味方をして、ハンカチを差し出してくれたが、琴子は自分の感情をどうすることも出来ず、冷たくその場を立ち去る。
[琴子の部屋→ハローワーク等 〜 琴子の再就職活動]
数日後、琴子は1本の電話で飛び起きる。飛び起きざるを得ない電話であった。家主から今住んでいる部屋の契約更新の話で、当然のことながら、そのためにお金が必要となる。さらに、カード払いの請求書も届き、その一方で現在の預貯金も日に日に減っていくばかりである。
いよいよ後がなくなる琴子。あちらこちらの会社の面接を受け、伝手を頼ったり、ハローワークに行くなどして貿易会社の就職口を捜すが、どうにもならない。もちろん、貿易会社にこだわることが、仕事選択の余地を狭めて入るのだが…
再就職活動もままならず、疲れきって部屋に戻ってくると、実家の母親から電話が入る。しかし失業したとも言えず、今日は有給休暇だと答えてごまかす琴子。
母親 「なのに、家におるが?」
琴子 「これから出掛ける」
母親 「デート・・・まさかねぇ」
琴子 「デートだよ」
母親 「本当に?」
琴子 「この間、すごく素敵な人と知り合って、しかもいきなりプロポーズとか
されちゃって、もう、参っちゃった」
母親 「プロポーズされたが?」
琴子 「ああ…でも、結婚はしない。ほら、今は仕事でキャリアとか積まなきゃ
いけないじゃない」
結局、琴子は母親にすら本当のことを言えないまま、電話を切った。
[五島通商のオフィス 〜 夏目の想い]
五嶋通商のオフィス。忙しそうに人が動き回っている。その中の一員である夏目も、慌しく動きまわっている。自らの席に戻ってくると、同僚の水沢環(細川直美さん)が電話の応対をしている。どうやら夏目への電話らしい;
水沢 「夏目君、電話」
夏目 「誰から?」
水沢 「アジア商事の社長・・・」
夏目 「後で掛け直すって」
水沢 「いいの?」
夏目 「いいから」
ふと、デスクの上においてある『異業種交流クラブ』参加者の名簿に目が留まる夏目。その名簿の最下段には、高宮琴子の名前があった;
「高宮琴子と言います」
「初めて会った人に、中味空っぽだなんて言われたくないんですけど」
「ぬるま湯に浸かってきたような人が、偉そうに言わないでよ!」
琴子の言葉の一言一言に、なぜか引っかかりを感じる夏目は、ある想いを秘めてオフィスを出て行く。その夏目の後姿を見送る水沢。
(このシーンは、今回一番気になるポイントですよね〜。予告を見ても、もう、ある程度の展開は分かるわけですが、もう、吾郎ファンとしては、てんこ盛りの設定で、とーっても幸せです(^^;)。今後、五嶋通商でのシーン、もしくは水沢さんとのシーンは要チェックだわ〜)
[琴子の部屋 → 守屋ガラス 〜 守屋の想い]
琴子の部屋には、床に赤で×マークばかりの入った求人情報誌や、名刺がばらまかれている。
琴子 「全滅だ・・・」
琴子は考えうる限りのことを行ったつもりであるが、貿易会社への再就職の道は、完全に閉ざされてしまっていた。
そのばらまかれた名刺の中から、ふと、守屋の名刺をとりあげる琴子。そして、先日のパーティで渡されたハンカチを返そうと、琴子は守屋の経営する下町のガラス工場まで出向く。
電車に乗り、下町の商店街を抜け、土手を歩き、その先に守屋のガラス工場はあった。もちろん、琴子が今住んでいる世界、働きたいと思っている世界とは180度異なる「町工場」の香りたっぷりの空間である。
守屋に面会しようと事務所にやっていくと、二人の中年女性 寿育江(鷲尾真知子さん)と大曽根聡子(大島蓉子さん)が琴子を迎える。しかも;
寿 「あれ・・・俊平ちゃんの恋人?!」
と勘違いされたりして。
琴子 「いえ、以前、お借りしていたハンカチを返しに・・・」
寿 「なんだ、つまんない」
とまぁ、慌てて恋人疑惑は訂正するが、肝心の守屋は出掛けているらしく、戻ってくるまで事務所で待たせてもらうことにする琴子。
その間、琴子が守屋が関西弁を話す理由なんていうのも尋ねてみると、二人は要らぬ尾ひれもつけて話を聞かせてくれた。守屋は、小さい頃に両親が離婚したのを機に、母親について関西で暮らしていたのだが、母親が死に、再び東京に住む父親の元に引き取られたというのだった。その後、父親も死に、その父が経営したガラス工場を継いで現在に至っている・・・という事情らしいのだが、寿さんと大曾根さんは3時の休憩が終わると、琴子を置いて事務所を出て行った。
・・・で、事務所に残された琴子は、なぜか事務所の電話当番をしたり、訪ねてきた近所の老人会の人たちの対応に追われる。特にその老人たちは、この日中に納める花瓶を持って帰りたいと言い、助けを呼びに工場に出向く琴子。途中、アラーの神にお祈りをしているイラン人だとか、職人気質の初老の男性や、無愛想な少年や・・・とにかくさまざまな人と遭遇するが、結局、誰も助けてくれず(^^;)、老人たちが自力でその花瓶を見つけたものを、車まで運ばされる琴子。だけど、その際に、爪まで割ってしまって、もう、踏んだり蹴ったり、大ショックの琴子さん。かなり凹んでいるところにようやく守屋が戻ってきて;
守屋 「あれ、何してんねんな?」
琴子 「爪が・・・(涙)」
夕刻・・・琴子を見送りがてら、ともに土手を歩く守屋。
守屋は就職先を探している琴子の事情を聞き、一方では自分の工場では人手が足りずに困っている事情を話す;
守屋 「職探してる子って、みな望み高いやんか。
条件のいい会社に入りたいっていうのは分からんでもないねんけどな。
でも、最近多いねん、ろくに電話の対応もよーせんくせにな、
”週休二日じゃないとダメです。残業なんかできませーん”とかって。
自分のこと棚に上げて、何ゆーとんねんゆー話や」
そんな守屋の言葉を聞きながら、琴子はまた夏目の言葉を思い出していた;
「仕事楽しい?・・・今の仕事?」
「他の会社に誘われてるほど期待されてる?」
「何か自分に価値があるって勘違いしてない?」
夏目に投げかけられた言葉の数々に対し、突然、守屋の前で自分なりに反論はじめる琴子;
琴子 「私だって頑張ってるつもりです。私だって9年間、それなりに努力して
きた。何が何でも企画の第一線でバリバリ働くんだって思ってた訳じゃ
ないけど、与えられた仕事ちゃんとやって、ようやくアシスタントにも
入れてもらえたし。そのうち望みが叶えばいい…、叶うもんだと思って
真面目にやってきた!一人で頑張ってきた!!
・・・なのに、何で会社が無くなっちゃうのよ」
ただ、黙って話を聞いている守屋。琴子はさらに続ける;
琴子 「私が何をした?!私は何にも悪くない。私は何にも悪いことなんかして
ない。悪いのは会社を潰した無責任な責任者じゃない!
女だっていうだけで軽く見る社会が悪いんじゃない!!
私は悪くない、私は何にも悪くない!!!
そんな琴子の理不尽とも思える叫びに、「それでも高宮さんは全然悪くない」と言う守屋・・・さらに、「あの社長も許せないやつだ」と・・・
でも、琴子もあの社長の所には分かってて行ったのだと告白する。分かってたから、意地を張って守屋に礼もいうことができなかったのだと、全てを世の中のせいにしている自分が間違っているということも分かっているのだと・・・
守屋 「高宮さんは一所懸命頑張ってるやん」
守屋はあくまでも琴子に対しては味方の立場を取り続ける。守屋自身も何とかここまで一所懸命やってきて、従業員の人たちとここまでやってきたのだと。だから琴子にも頑張って欲しいのだと話す;
守屋 「頑張ってたら、誰か気づいてくれるよ。
高宮さんのこと応援してくれる人、絶対出てくるよ。
世の中そんなに捨てたもんやないで」
守屋はそうしてポケットから取り出した自家製の風鈴”幸せを呼ぶ風鈴”を琴子に渡す。その小さな風鈴を手にして、ようやく笑顔を取り戻す琴子。
そして;
守屋 「そうや、就職先が決まるまで、うちでバイトしたらええねん」
守屋のその一言で、翌日、琴子はバイトとして守屋ガラスの事務所にいた。事務所には工場の従業員全員が集まっている。
イラン人のババ,その通訳担当の的場圭介(甲本雅裕),昔から働いている職人 沢井卓治(佐藤充),反抗期の近田武(武内孝太朗),そして寿育江と大曽根聡子。
その“個性の強〜い”人たちに囲まれて戸惑い気味の琴子は、さらに守屋に工場の作業服を渡されて、さらに内心、複雑な心境の琴子(^^;)。
そこに、琴子の携帯に、非通知設定での着信が入る;
琴子 「もしもし」
電話 『夏目です』
琴子 「夏目???・・・夏目っ!」
[BAR Air 〜 突然の告白]
その日の夜、『BAR Air』の奥のテーブルで琴子と夏目は向かい合って座っている。夏目は物静かにグラスを片手に(だから、そういう仕草が好きなんだって!!(^^;))、琴子に話しかける;
夏目 「何か警戒してない?」
琴子 「話って何ですか?」
夏目 「どうした、その指?」
(↑この命令口調も好き(*^^*))
琴子 「工場でちょっと…」
夏目 「?」
琴子 「パソコンの打ちすぎで」
夏目 「パソコン・・・。仕事、抜けられた?」
琴子 「予定はありましたけど」
夏目 「なのに来てくれたんだ」
琴子 「・・・」
夏目 「暇だったんじゃない?」
琴子 「あのね・・・。どうとでも取って下さい」
夏目 「今日は突っかからないんだ」
琴子 「山羊座ですから?」
夏目 「男いる?」
琴子 「・・・」
夏目 「いないか」
琴子 「さぁ、どうでしょう」
夏目 「パーティで探していたぐらいだしね」
琴子 「・・・。あの・・・一つ聞いてもいいですか?
ひょっとして、喧嘩売るためにわざわざ呼び出しました?」
夏目 「ひょっとして、喧嘩買うためにわざわざ来てくれた?」
琴子 「用が無いなら帰ります」
琴子は席を立ち、本当に帰ろうとする。その琴子の後姿に、話しかける夏目;
夏目 「この間は少し言い過ぎた・・・後悔したんだ」
琴子 「・・・そう」
夏目 「ごめん」
琴子 「いや、別に」
夏目 「お詫びにさ、男紹介するよ」
琴子 「やっぱり馬鹿にしてる?」
夏目 「大手に勤めてるやつでさ」
琴子 「会社が大きくても心が小さい男は好きじゃありません」
夏目 「学歴だって悪く無い」
琴子 「勉強が出来ても馬鹿はいます」
夏目 「年は29で、幸いに今は彼女がいない」
琴子 「へぇ・・・もてなさそう」
夏目 「おまけに結構、物好きだったりする」
琴子 「へぇ・・・ちょっとあなたね」
夏目 「付き合ってみる気無い?」
琴子 「遠慮します」
夏目 「何で?」
琴子 「当たり前でしょう!
そんなどこの馬の骨か分からないような男と何で私が」
夏目 「俺と」
琴子 「えっ?」
夏目も立ち上がり、琴子と正面に向かい合う;
夏目 「俺と付き合ってみない、結婚を前提に?!」
琴子 「・・・・結婚?!?!??!!」
カウンターでは歩が二人の様子を見ている。
琴子 「あの・・・」
ようやく琴子が夏目に何かを言おうとしたとき、夏目の携帯が鳴る;
夏目 「はい、夏目です。代官山・・・ああ、分かった。30分で行く」
支払いを済ませながら、夏目は電話を続ける;
夏目 「それより資材部に連絡をとって、明日の昼がリミットだからそれまでに
来てくれって。よろしく」
電話をおいた夏目に、琴子が尋ねる;
琴子 「仕事?」
夏目 「デート」
琴子 「は?」
夏目 「また連絡する。おやすみ」
店を出て行く夏目に何も言えずにただ、立ち尽くす琴子。
[次回予告]
琴子 「私、思いっきり振り回されている気がするんですけど」
夏目 「好きだよ」
2話目にしてキスシーンだわ〜!!!
(前のドラマでは11話かかったのに・・・(苦笑))
<第一話感想> クール&ビューティ
いや〜、幸せな75分でした、本当に。話の展開がどーのとか、キャラクター設定がどーのとか、そういったことを考える暇がまるで無いぐらい、夏目君にくらくらしてました。こんなことを言っちゃ、ダメなんでしょうけど、申し訳ないことに、本当に夏目君が素敵だったの〜(*^^*)
クールで、格好よくて、仕事が出来て、スカしてて、嫌味なヤツで、生まれが謎で・・・そんな王道キャラって始めてじゃないですか!?もう、吾郎ファンのためのドラマだと私は思ってしまうぐらい嬉しい!(^^;)
淡々とマイペースで語る様子は城君のようでもあり、ミステリアスなキャラは伊達君のようでもあり・・・勝手に色んな要素を感じているだけなのですけど、一番イメージに近いのは、いわゆる吾郎君のパブリックイメージそのものだったりして…(^^;)
何より、クール&ビューティだけじゃなく、ちょっと変なキャラっていうのがより夏目君を魅力的にしてますよね(そうか?)。でも、琴子に対しては、気にしているところをずけずけ言い放ち、本当に嫌なやつではあるのだけど、それが単に嫌味なやつにならないのは吾郎君ならではの雰囲気によるものでしょう!(勝手に断言)。
今はまだ何を考えているのかよく分からないキャラクターではありますが、早くも予告を見る限り次回から徐々に夏目君の背景も描かれていくようなので楽しみです。ああいう背景は脇キャラならではですよね。夏目君には脇キャラの王道をとにかく突き進んでいただきたいものですわ〜
間違ってるかなぁ、間違ってるよねぇ、こういう見方って・・・でも、やっぱり幸せ(*^^*)
(02.08.04)
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