第277回放送 '17.12.07 24:58〜
ゲスト:西村 京太郎 【課題図書】「十津川警部 予土線に殺意が走る」
オープニング。
吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さて今夜は日本トラベルミステリー界のレジェンドの西村京太郎先生をお招きしております。
吾郎:はい。どんな方なんでしょうねぇ〜。
外山:ねぇ?
吾郎:楽しみですけど。
外山:そうですね。
吾郎:う〜ん♪
外山:(スタジオに)ちょっと人が多いですね、いつもより。
吾郎:そう。このスタジオの緊張感がね。
外山:ふふふ(笑)
西村京太郎さんと言えば、説明が不要なぐらい有名な小説家さんですが、これまでに596作品(2017年10月末現在、累計発行部数2億部)もになるということで、スタジオには作品すべてを並べたパネル(本棚風)まで登場。ちょっとスタジオが隠れるぐらいの大きさになっちゃってます。
吾郎:へぇ〜、すごいなぁ・・・。全部頂戴。
外山:あははは(笑)
ってことで、さっそく、西村さんとのトークがスタートです。
外山:ご紹介します。今夜のゲスト、西村京太郎さんです。
吾郎:よろしくお願いします。
西村:ありがとうございます。
外山:(番組冒頭に出てきた作品名が並んだパネルを見ながら)ねぇ。
吾郎:圧倒されてしまいますね。
外山:ねぇ、固めてねぇ、ご覧になって…?
吾郎:こうやってまとめて見られることは無い・・・?
西村:全然ない。書きすぎですよ。書きすぎ。
吾郎:いやいや。書きすぎと言えば書きすぎですけど(笑)
外山:あははは(笑)
西村:自分でも思ってる。
と、西村さんの代表作と言えば、十津川警部のシリーズ。いわゆる2時間ドラマも数多く作られている人気シリーズですが、今回はその十津川警部シリーズの最新作『十津川警部 予土線(ローカル線)に殺意が走る』です。
内容は世界的イベント開催者 東海元(とうかいはじめ)とそこに渦巻く陰謀を描いたミステリー。予土線と言えばホビートレイン(新幹線ひかりの0系もどき列車が有名(笑))で、そのホビートレインについて書かれた部分を外山さんが朗読。
吾郎:これがね、ちょっとキーワードになってくんですよねぇ、今回は。
外山:(本の表紙にあるホビートレインの写真を指して)これ、乗りたいですもん。四国行ったら乗ろうと思って。
吾郎:四国、一緒に行く?!
西村:(笑)
外山:何言ってんですか(笑)
吾郎:(笑)
外山:行きます?これ乗りに??
吾郎:四国行きたいと思った!
外山:ねぇ?
まぁ、仕事でもいいし、プライベートでもいいので、好きに行ってくださいな(笑)。でも、番組で紹介した本に関連して、後から現地に行ってみるとか、そういう趣向もたまにはあってもいいかもです。(予算やスケジュールの問題はさておき(汗))
吾郎:東海元さんはいくつぐらいの設定のイメージ…?
西村:大体、中年ですね。40代かな?
吾郎:40代ですか・・・へぇ〜・・・・・・結構、何か、僕なんかどうですかね?(笑)
お、最近、また積極的な売り込みw
外山:あ、いいんじゃないですか?
西村:40代ですか?
吾郎:43です。
西村:あ、いいなぁ〜。
外山:ねぇ、ちょうどいいですね?
吾郎:(笑)
西村:(スタジオに)来てんだ、今日、十津川の人(プロデューサー)かな?うん、あの人に頼めばいいんじゃないかな。
※実際、TBS系列で内藤さん主演で十津川警部シリーズは続いているのです。
外山:頼めば?
吾郎:あ、ありがとうございます。なんか、こういうときに売り込んでいかないとちょっと。今後、色々と心配なので。
外山:あははは(笑)。何言ってんですか!
吾郎:あの、ぜひ、よろしくお願い致します。
外山:ねぇ。本当に。
吾郎:見てみたいでしょ?(←自分で言う(笑))
外山:見たいです。
吾郎:見たい!?
外山:見たい!!
吾郎:(笑)
外山:あははは(笑)
吾郎:売り込む場にさせて頂いております。
どんどん売り込んじゃえっ!!!
ま、実際、本当に吾郎さんが出てもおかしくないわけですが。プロデューサーが来ているというのは最初からそういうこととか?(笑)
さて、ここから西村さんの小説の書き方について。
まずはネタ集めから。今、12社の出版社に対して小説を書いているんだそうです。それで毎年11月に各出版社の担当者に集まってもらい翌年書くものを決めるという会合が開かれるのだそう。それから、12社の担当者が2社ずつ×6組に分かれてと共に2泊3日のネタ集めの取材旅行に行くのだそう。
トラベルミステリーの極意
ネタ集めのためなら変態であれ!
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列車の中でいろいろと聞いて回る、死体を隠せる場所を探して回るんだそう(笑)。車掌さんに聞いたりするので変な目で見られると。それでも最近では逆に教えてくれたりすることもあるそう。
吾郎:最近。だってさ、電車に乗ってて車掌さんでさ、西村先生来たらさ、びっくりするでしょ?!ウチにもキタ!!みたいなさ。ミシュランが来るみたいなものだからさ。
外山:(笑)
そして、トリックを考えるのに必要なのは、『時刻表』。今はネット検索で調べちゃうことが多いですが、やはり時刻表が基本ですよねー。
時刻表を見ると、例えば平日は8:45に到着する列車が、土曜・休日だけは8:43に到着する、なんていう情報が書かれてます。それを見て、その到着時刻2分の差を利用して人を殺そうと考えるのだそうです。ミスリードもできますもんね。
トラベルミステリーの極意
売れるためには1か所間違えるべし
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間違いがあると、読者からの抗議の手紙がたくさん出版社の方に来るんだそうです。それも反響ですよね。でも、そ、そういう発想でいいんですか?!(笑)
西村さんの小説は、ミステリーのファンも多いですが、鉄道ファンの読者も多いようで、そちらからの反響(抗議)が来ちゃうんですね。
西村:でも、嬉しいことは嬉しいですね。読んでくれたんだから。
さらに・・・
外山:そんな西村先生なんですけど、累計販売数2憶部、売り上げてる先生・・・。
吾郎:まぁ、あの…、要するに2億部も売れたんだから、先生、どれくらいお金持ってんの?って番組は聞きたがってるんですよ。
スタッフ:(笑)
まぁ、西村さんぐらいの儲け方になると、逆に素直にお金の話を聞けますよねwww
吾郎:お金、すごい使われるんですか?結構、あまり?
西村:一応、使いますけどね。ロールスロイス買いましたけどね。
外山:ええ!!!えっ、何でまた?好きなんですか?
西村:いや、乗ってみたんですよ、外車ショーがあって。じゃぁ、(係員に)乗るな!って言われたんで、そしたら「買うから」って言っちゃったんです。そしたら連れてかれて、事務所へ。それで契約書書かされた。
外山:あらま。えっ、いくらしたんですか?
西村:3,300万。
外山:ええ!!!
吾郎:ええ!!!先生、衝動買いする値段じゃありません。
西村:あははは(笑)。結局、ほとんど乗らないで。
吾郎:えっ、乗ってないんですか?
西村:だって運転できないから…
外山:え〜〜〜〜っ!できないんですか?
西村:うん。
外山:免許持ってないんですか?
西村:持ってない。
吾郎:えええええ!!!免許持ってないのに買っちゃったんですか?
西村:うん。
外山:ええ!先生!!
西村:何となく買っちゃったよね。
吾郎:何となくですか?
西村:契約書書いちゃったからしょうがない。
外山:そっか。
吾郎:何か、先生の頭の中がミステリーですね。すごいなぁ。
ここで、西村さんのご自宅拝見VTRです。ゴロデラ番組スタッフ、ダメ元で自宅撮影をお願いしてみると、まさかのOKを頂いたようで、今回、熱海にあるご自宅を激レア映像が流れます。
まずは書斎。愛用ボールペンはPILOT。そして本棚には鉄道関係の資料がぎっしり入ってます。・・・・が、執筆は机の前ではなく、ベッドの中で寝たまま書くことが多いそう。奥様がベッドがインクらだけになるとカンカンに怒ってる声がVTRに入ってました(笑)。
他にも時計のコレクションやライカのカメラコレクションなども棚にたくさん。金持ちの道楽だなぁ(汗)
映像はスタジオに戻って、今度は執筆活動について伺います。今、年間12本の連載を抱えている西村さん、1冊の文庫本として発売されるまでに7回の連載がまとめられて本になるというペースのようです。したがって、年間12冊の本が最低でも出版されるという。
吾郎:1か月に1冊は書いてるってことだよね?
西村:雑誌みたいですね。
外山:すごい。大変だ・・・
吾郎:大変だけどその積み重ねでここまで、ねぇ?
外山:そんな大変な中、実はですね、先生がゴロウ・デラックスのために、何と、吾郎さんが主役のミステリーを書き下ろして下さいました。
吾郎:何と!
実際に直筆原稿の映像がVTRで挿入されてまして、深夜番組なのに本格的な番組(←失礼な表現)になっちゃってますよー。
番組方から“吾郎さんが主演の短編ミステリーを”とお願いしちゃったのだそうです。
それを吾郎さんと外山さんの朗読で・・・というのがいつものパターンですが、実際にドラマのように吾郎さん(=後輩役)、外山さん(=先輩役)での映像付き。スタジオでの朗読と、途中、吾郎さんと外山さんによる実際のドラマ仕立ての映像をかぶせながら、朗読が進んでいきます。
サヨナラは握手の後で
吾郎(朗読):私は今、あの男を殺そうと思っている。名前は、吾郎、フルネームは立石吾郎だ。
外山(朗読):私は年齢をとり、人気も下り坂だ。そろそろ引退だなと陰で言う奴もいる。だが、私にはその気はない。
吾郎(朗読):そんな私には立石吾郎が邪魔なのだ。若いし人気も上り坂だ。何よりの問題は私のゆく世界と彼の世界が同じだということだ。そのため、彼が一歩進めば私は一歩退くことになる。そのうちに私はこの世界から追い落とされてしまうだろう。そうなる前に彼には消えてもらわなければならない。
外山(朗読):私は二日がかりで殺す方法を考え、それに必要なものを揃えることにあした。青酸カリ、手に入りにくいが工業用青酸カリならメッキ工場で使われているから何とか手に入れた。指輪、男性用のサイズの大きいもの。画鋲、針の先がとがっている。白い恋人、北海道の菓子。彼の故郷の菓子。東京駅で買える。これだけ揃えておいて私は彼に電話した。
外山
『これはしばらく内緒にして欲しいんだが、実は引退を考えているんだ』
吾郎
『えっ、そんなこと考えないで、あと何年も働いてくださいよ。先輩がいてくれないなんて困りますから』
外山
『そう言ってもらえるのは嬉しいが、もう決めたんだ。色々と君に話しておきたいことがあるから、これから来てくれないか』
吾郎
『分かりました。じゃぁ、行きます、喜んで』
外山
『車だといいね。私のマンションは車だと遠いから』
外山(朗読):念を押さなくても車で来ることは想像がついていた。カーマニアで最近、ベンツS600を買っているから、そのベンツを自慢したいはずなのだ。一時間後に車でやってきた。そのあと、話し合いになったのだが、私は何度も引退をほのめかした。私の後を継ぐのは君しかいないと繰り返すと、彼は笑顔になり、この世界の第一人者になったような顔をした。帰るという彼を計画通り車のところまで送っていった。彼が運転席に入り、ハンドルに手を置いたところでドアをノックした。彼が窓を開けた。「君のために札幌で買っておいたものを忘れていたんだ」と白い恋人を渡す。その時、窓越しに手を差し出した。指輪をはめ、それに画鋲を装着し、針先に青酸カリを塗っていおいた手である。白い恋人をもらった直後なので、彼は何の疑いも持たずに握手に応じた。一瞬、チクリとしただろうが、彼はそのままアクセルを踏んだ。白いベンツはあっという間に私の視界から消え去った。
吾郎(朗読):このあとで彼がどのあたりで死ぬかはわからない。(とにかくサヨナラだ) 私はゆっくり眠りたい。少し疲れた。
以上、朗読終わり。
吾郎:僕、死んじゃいましたね、これ。
しみじみつぶやく吾郎さん。
外山:そうですよ(笑)。
吾郎:何で外山さんが殺すの、僕のこと?
外山:ふふふ(笑)
吾郎:これでも、本当に考えて下さったんですよね?
外山:考えて下さって。
吾郎:本当にありがとうございます。
西村:いえいえ。
吾郎:でも何か、僕、殺してみるっていうイメージになられたんですか、先生の中で?
西村:イケメンだからね。
外山:えっ、イケメンだから?!?!
西村:イケメンはね、癪に障るんだよ!
外山:あははは(笑)
吾郎:いやいや(汗)。そんな。
西村:腹立つね。
外山:だから殺されちゃった。
吾郎:(笑)
さて、番組最後の山田君のハンコの作品は、電車に乗ってる西村さん。窓から顔を抱いて景色を見ているような、そんな作品でした。決してどこかで殺人が起きてないか探してるわけではないです(笑)
(17.12.17 up)
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