ゴロウデ・ラックス'17年09月放送分

 

'17年09月放送分
第264回放送
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第265回放送
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第266回放送
17.09.21
第267回放送
17.09.28



♪番組の説明

祝・7年目突入!!『ゴロウ・デラックス』とは…?
SMAPで一番おしゃべり好きの稲垣吾郎がMCを務める業界唯一無二のブックバラエティ
毎週1冊(課題図書)、巷で話題の本からベストセラーまで様々なジャンルの本を深く紹介!!
さらに、
大御所作家先生からまだテレビに出ていないニューキャラまで幅広いゲストをお迎えし、トークする番組。


 

第267回放送 '17.09.28 24:58〜
ゲスト:安藤忠雄 【課題図書】「安藤忠雄 仕事を作る―私の履歴書―」

オープニング。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さぁ、今夜はですね、あの『表参道ヒルズ』を設計された方がいらしてます。
吾郎:うーん、よく行きますよ。
外山:そうですか?
吾郎:はい。気持ちいいじゃないですか、何か。
外山:気持ちいい。
吾郎:吹き抜けになってて。
外山:そうそう。こうやって普通に歩いてるとどんどん上の方に上がっていく…
吾郎:そうそう。そういった意味では、東横線の渋谷駅も吹き抜けになっていて。
外山:そうそう。乗換えでね、行きますけど。
吾郎:ヒカリエよく行きますから。
外山:あ、そうですか?(笑)
吾郎:渋谷近辺は、まぁ、テリトリーなんで。
外山:という方が今日、いらっしゃいますんで。
吾郎:ねぇ、楽しみですね。
外山:お話をじっくり伺いましょう。
吾郎:はい。


本日のゲストは建築家の安藤忠雄さん。先ほど話が出た表参道ヒルズ、東急東横線澁谷駅が安藤さんの建築・・・って言われても、関西人の私には全くピンとこないものがあり(汗)、Wikiで調べた範囲では関西では、サントリーミュージアム,兵庫県立美術館も安藤さんの設計建築物みたいです。もちろん、世界的にも活躍されていて、書き出したらきりがないですね。

そんな安藤さんが今般、出された本『安藤忠雄 仕事をつくる』が本日の課題図書。

外山:課題図書。
吾郎:はい、おもしろかったですねぇ。若い方に、本当、読んで頂きたいなぁ、と思いましたし。うん、喝を入れられるような、我々も。
外山:ではさっそく、お呼びいたします。今夜のゲスト、安藤忠雄さんです。

安藤さん登場。もちろん、普通に入っていらっしゃったのですが、開口一番;

安藤:すごい絶望的な

と、ポツリ。

吾郎:絶望?!
安藤:絶望的なセットやね(笑)
外山:絶望的っていうのは、どういう???(笑)
吾郎:僕ら、自慢のセットなんですけど!
安藤:(笑)
外山:あははは(笑)
吾郎:ダメですか、このセット。
安藤:すごいですねぇ〜。

まぁ、確かに、壁が金ピカ装飾だし、セットの奥には金ピカダルマが控えているしで、インパクトはありますよね(汗)

外山:絶望的っておっしゃったのは、初めてですね、安藤さんが。
吾郎:それは・・ど、どういった?
安藤:私、コンクリートで無装飾な建築を作ってるやない?
外山:そうだ!
吾郎:どっちかっていうと対照的。
外山:そうですね、(ゴロウ・デラックスのセットは)キラキラしてますからね(笑)。たまには大丈夫ですか?
安藤:大丈夫(笑)

外山:今されてるお仕事っていうのは何件ぐらいなんですか?
安藤:まぁ、大阪生まれ大阪育ちで大阪からやりたいと思ってるんで、でも大阪では1つしかない。全国で20ぐらいあるんですけども、あと35ぐらい外国なんですよ。スイス、フランス、イタリア、ドイツ…
外山:へぇ〜。
安藤:それから、アメリカ、韓国、中国、台湾…
吾郎:すごいですよ。
安藤:よー働いてるでしょ?
外山:本当に!
吾郎:はい。

簡単に安藤さんを紹介するために、代表作を説明。

吾郎:そしてまぁ、一番、身近に見れる…僕も渋谷に住んでいるので。
安藤:あ。
外山:そっかそっか。
吾郎:表参道ヒルズは、ね?

表参道ヒルズは元々は「同潤会 青山アパートメント」があった場所。写真を見る限り4階建てかな?それほど高い建物ではありません。その雰囲気を残すために、表参道ヒルズは街路樹(ケヤキ)の高さを超えない範囲とし、景観が配慮されてます。

吾郎:そう…、僕は原宿でずっと、まぁ、寮があってずっと住んでいたので、やっぱり昔の同潤会アパートのときのイメージがすごくあって。これ(表参道ヒルズ)ができたときは凄く、ねぇ、衝撃だったんですけど。
安藤:これね、同潤会アパートの前は8分の1の勾配?(約7°の勾配)、坂でしょ?
吾郎:はい。
安藤:だからその坂をそのまま中に引っ張ってきてるんですよ。
吾郎:ああ!だから(建物の中も)坂になってるんだ。今気付いた!
安藤:外が坂ですからそのまま中も坂にね。建築っていうのは、その、やっぱり周囲の環境をどういうやつを味方にするかという。これは坂を味方にした。
外山:へぇ〜
吾郎:へぇ〜。これ、元々アパートだった部分も外に、端っこに残ってますよね?
安藤:残ってるでしょ、1個。
吾郎:ここカッコウイイですよねぇ〜
安藤:やっぱりそこにあったものを残すいうのも私は大事やと思うんですよ。
吾郎:うん。

国内外で多くの仕事を抱えている安藤さん。

外山:本当にかなりお忙しいと思うんですけど、今、マネージャーさんみたいな方は?
安藤:私。
外山:ご自身で?
吾郎:スケジュール管理とかは大丈夫なんですか?
安藤:自分で全部やる。

と言いながら、ご自身のスケジュールが書かれた手帳を見せて下さいました。スケジュールが連日、びっしりつまってます。ゴロウ・デラックスも9月4日(月)15:30〜17:00でしっかり記載さてました。

吾郎:マネージャーさんとかに電話で起こしてもらわなくて大丈夫なんですか?
安藤:ああ、そんなん、全然問題ない。
吾郎:僕、出発の1時間ぐらい前にマネージャーさんに電話で起こしてもらってるんですよ(^^;)
安藤:ええ!
外山:ええ!
吾郎:ダメですね。
安藤:私、全然、ぱっと起きて。
吾郎:全部自分で。
安藤:全部自分で。
吾郎:甘えちゃいけないな。

そんな多忙な毎日を送られてる安藤さんですが、2009年にガンで大手術をされてます。胆のう、胆管、十二指腸を全摘出。その後、ガンが再発し、すい臓,脾臓も摘出されてると。そうなると、絶望しかねない状況のようにも思いますが;

安藤:切らなあかんっていうから、切ったんですが、向う(将来)に何かをしないといけないという希望があればですね。向こうを見て生きなあかん。で、私はまだ青春(?)の限り生きようと。エネルギーのある限りと思ってます。
吾郎:それはご本を読ませて頂いて伝わったし、きっと変っていらっしゃらないんでしょうね、若いときから。
安藤:その感覚(?)でずっと行こうと。ふふふ(笑)。もう、全然、内臓ありませんからね。
外山:本当ですよ、もう…。


御年76歳、今回の課題図書で安藤さんが半生を振り返った一節を吾郎さんが朗読。
曰く、『模範というには程遠い』人生だそう。つまり、かなり無茶苦茶なことをされてきたわけですね(笑)


安藤忠雄 人生年表
 17歳 建築家なのに、元プロボクサー
 18歳 師匠は、自分
 31歳 飲み仲間は、政財界のドン
 48歳 名建築の裏では、依頼主と意見が大激突

当時、実家の近くにボクシングジムがあり、ファイトマネーが結構よかったことと、ケンカしてお金がもらえるところが魅力だったようですが(笑)、1ヶ月程度でプロになったそうです。
そのときの経験なのか、「人生は誰も助けてくれない」「人生はある面では戦い」という思いは今も残っているようです。

その後、安藤さんは家庭の事情で大学にもいけず、独学で学び始めました。現物を見るために、奈良や京都に出向き、見ることで勉強したそうです。あと、京都大学や大阪大学に進学した友人を頼って、こっそり授業を受けたりもしたそうです(汗)。でも、それだけ食べていくために稼がないといけないと必死だったということなんですね。

その後、28歳で事務所を立ち上げますが、仕事は無し。コンペにも落選し続けます。
ただ、どういう繋がりなのかの話はなかったですが、この頃、当時のサントリー社長・佐伯敬三氏と飲み仲間だったそう。

安藤:10年ぐらい付き合ったときに、『ひょっとしてお前、建築家らしいな』と、こう、聞いてきたんですよ。
吾郎:へぇ〜。それからその依頼が来たんですよね、サントリー美術館の。
外山:すごい話ですよね?
吾郎:これすごいよねぇ〜。

そんな繋がりで設計したのが大阪・天保山にあるサントリー美術館(1994年)。既にこの頃は、建築家・安藤忠雄として有名だったとは思いますが、設計のことには何も言われず「任せた」と仕事をさせてもらったそうです。
余談として、同時期に、当時のアサヒビールの社長・樋口廣太郎氏からも、美術館(アサヒビール大山崎山荘美術館 1995年)の設計依頼も受けたそう。
当事者たちは全く気にしていなかったようですが、サントリーとアサヒというアルコール飲料メーカーのライバル社から同時期に仕事を受けたことで、周りは結構、ざわついたらしです(そりゃそーだ(笑))


時代は遡って、安藤さんの名前を全国的に知らしめたのは、『住吉の長屋』。この設計で1979年日本建築学会賞受賞してます。普通の一戸建ての家でですが、コンクリート打ちっ放しの長方形の細長い建物。今だとアート的な建物ではよく見られますが、当時だとインパクトが強すぎたかもしれないですね。
ちなみにこの建物、窓や空調設備は一切無く、本当に生活に必要なものが何なのか、突き詰めたデザインなのだそう。・・・って、そういう家に暮らすのは、普通の感覚だとちょっとムリかなぁ(汗)

安藤:中庭があるんです。こっから光が入る。で、この家ね、こう(玄関から)入るでしょ?
吾郎:(玄関の真上の屋根)ここ穴あいてますよ。
安藤:で、ここ空いてるでしょ?
吾郎:水、漏っちゃいますよ。
安藤:で、家に入ったと思ったら、(雨だと)上から水がばーっと落ちてくる。面白いやろ、これ?
外山:えっ!!玄関の真上をわざわざ空けたんですか!?(笑)
吾郎:雨降ってたら玄関がびしょびしょになる。
外山:何でですか?(大笑い)
安藤:イタズラ、いっぱい作ったんや。

他にも、寝室からトイレに行こうと思ったら、中庭をわざわざ傘を差して通り抜けないと行けなかったりと、第三者から見るととても住みにくい家になってるんだそうです(爆)。ただ、依頼者は気に入ったのか、もう、40年も住んでいる建物だそうです。

安藤:完璧なエコハウスって言われてるんですよ。冷暖房も無いから。
外山:冷暖房なくて、夏は??
安藤:自分の体力にかかっとるわけですよ。いいじゃないですか!
吾郎:夏、絶対暑いですよね?
外山:何か、便利ってものを、今、すごく求めてるじゃないですか?でも(この家は)便利じゃないものじゃないですか?
安藤:便利だけが生活じゃないでしょ?ちょっと不便なことがあってもいいじゃないですか?これは便利を超えた家。まぁ、稲垣さんにもこういうのに住んでもらわないと。
吾郎:・・・・・はい・・・・
外山:まさかだって、入ってきて、上から、ねぇ?
吾郎:そうですね。玄関から傘ささなきゃいけない。
安藤:面白いでしょ?
吾郎:利便性よりも自然との共存とか、その、それは何ですか、そっちを選ぶんですか?
安藤:私は昔、長屋に住んでいましたから、自然との共存がいいな。暑いときは暑い、寒いときは寒い、生きてる感じがじっくりくるじゃないですか?・・・と、思う人はそれがいい。便利で機能的がいい人はまた違う家がいいと。どっちもありますよね?
吾郎:気に入ったところに住むといいよね?うちのマンションの中庭に、何か、水が張ってあって、池みたいな、プールみたいな。それがいつもキラキラして。
安藤:それはいい。
吾郎:すごい気に入ってるんですけど。安藤さん風の建物なんですけど。
外山:へぇ〜。


他にも、“自然との共生”をテーマにした建築は数多く手がけていらっしゃいますが、依頼者と意見が対立することも当然あるようです。
光の教会(スタジオに模型を持ってきて頂きました)では、教会の壁に大きな十字のスロットが入っていて、光で十字架を表現されるつくりになってます。

安藤:ここに十字架あるでしょ?
外山:はい。
安藤:私はここに、十字架の中にガラスを入れたくなかったんですよ。
外山:入れたくなかった?でも、ガラスを入れないと…
安藤:寒い。

・・・(笑)。そりゃそうだ。

安藤:私は寒いけれども、心を寄せ合うのに寒いのも良いんじゃないですか?って入ったらエライ怒られましてね。
外山:あらまぁ。
安藤:で、行く度にね、「安藤さん、ガラスは取りませんよ」言われてるからね。
外山:ふふふ(笑)
安藤:そのうちに取ってやると。
外山:あははは(笑)


ちなみに、現在、国立新美術館(東京・六本木)で開催中の『安藤忠雄展』では、この教会の1:1スケールの模型が置かれているそうです。

吾郎:ガラスはどうするんですか?
安藤:ガラスは今回は無しにしようと…。おもしろいやろ?
外山:ええ。
吾郎:そもそもガラスを抜きたいというのは、自然との共存という?
安藤:自然がまっすぐ入ってくるでしょ、ガラスが無かったら。光の教会を作りたいと思ったのは、私、85年に初めてヨーロッパ行った時に、ヨーロッパで教会見て、光の美しさに感動したもんですから、心の中にしっかりと残ってる。例えば、稲垣さんの歌声を、歌った声を、ずっと心の中に残ってる人はいっぱいいるわけでしょ?・・・(その)ように、我々は建築を通して心の中に残ってる場所を作りたいと思ったんですね。
外山:でも結局、自分が本当にやりたなと思う事ができないときもあるわけじゃないですか?
安藤:そうそうそうそう。
外山:けど、やっぱりずっと建築家として続けてるという、まぁ、理由というのは?
安藤:やっぱり、みんな一緒でしょ?歌い続けてる、私も作り続けている。やっぱり自分の仕事に誇りを持ってやりたいと。これはもう、やっぱり誇りを持ってやれる仕事が見つかってよかったなって思ってます。
吾郎:人の心に残り続けるっていう。すごく印象的で。やっぱり人なんですね。人が集う場所。僕らの仕事もそうですけど。
安藤:うん、そうです。やっぱりうーん、声と光やね。光が自分の心の中に残る。あの光綺麗やったなと。声も綺麗やったなぁ、と。そういうものを作りたいと。だから、誇りをかけて生きてる限りやりたいと思ってます。
吾郎:ちなみにご自身はどんな家に住まれてるんですか?
安藤:私、あの、マンションに住んでる。
外山:えっ?
一同:(笑)
吾郎:あれっ?一番、便利なやつじゃないですか。
安藤:私の事務所は自分で設計したやつ。
外山:あ、そっかそっか。
安藤:事務所は自分の魂がいるところですから。家は便利がいいと。マンション、便利ですねぇ。
外山:あはははははは(笑)
安藤:(笑)


今日も最後は山田君のハンコでした。


(17.10.08 up)



 

第266回放送 '17.09.21 24:58〜
ゲスト:阿川佐和子 【課題図書】「バブルノタシナミ」

オープニング。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さぁ、今夜なんですが、インタビューの名手のあの方です。
吾郎:そうですね。今、ご挨拶させて頂いたら5分ぐらい喋ってました。喋りたくなっちゃうんですね。
外山:ふふふ(笑)

そして、席について、早速、阿川さんをお呼びします。番組には2012年2月23日にも出演頂いてます。
まずは、今年5月にご結婚されたということで、その話題から;

吾郎:ご結婚おめでとうございました。
阿川:ありがとうございます。
吾郎:結婚されないみたいな話、してましたよね、番組出て頂いたとき?
阿川:しないっていうか、もう・・・
吾郎:しないっていうか、結婚には拘らないとか、そういうお話を…
阿川:そうですね、それはそう思ってた。それはそう思ってた。
吾郎:でも、元々結婚願望自体は?
阿川:昔からあったんですよ。まぁ、私たちの世代だったら20代半ばぐらいまでにはするだろう…という風な気持ちでいたのに、いくらお見合いをしても決まらないし、えっ、どうすんの?って言ってるうちに、TBSで仕事を始めて、それでもまだ結婚願望残ってたから。子供が産めなくなったような歳になったとき、私、子供を育てたかったんで、それが無くなっちゃったら結婚する必然が特になくていいかなという風に思ってた頃には、「結婚に拘らない」とは言ってました。
吾郎:そっか、そっか、そっか。

と、阿川さんに話を振ったら、聞き上手の阿川さんは、すぐに吾郎さんに対してカウンタートークを展開。

阿川:どうですか、そちらは?そちらは?ってこともないけど。
吾郎:僕ももう、43なんで
阿川:もう、43ですよ!
吾郎:はい。いやいや、色々だから、今日、聞きたいんだよね、僕たちね。
外山:ねぇ。

と、ここは何とか阿川さんに話を戻した吾郎さん。

吾郎:僕たち独身なので。
阿川:お2人とも?
吾郎:はい。やっぱいいですか、結婚?
阿川:えっ・・・(照)。いいっすよ!ふふふ(笑)
吾郎:いいっすか?
阿川:まぁまぁ。ぼちぼち。
吾郎:楽しそうだもん、だって。
阿川:ふふふ(笑)。楽しそう…
吾郎:何かすごく幸せそうですね。

結婚して、内政的(家庭内)の話で言うとあまり変化がないけれど、外(世間とか)に対しては、生活・老後の安定を示し、周りの人たちに安心をもたらすものなのだと実感したそうな。

阿川:結婚しない理由は、私だってそうだったけど、それぞれあるわけですよね?それぞれに自分が納得している理由が。
吾郎:うーん、そうですね。やっぱり本当に若い時っていうのは、例えばパートナー(恋人)がいたとしても、やっぱり「そういう(アイドルという)仕事をやっているから」とか。
阿川:そっか。アイドルのときにね。
吾郎:まぁまぁ、それはゼロではなかったと思うんですけど。
阿川:うん。
吾郎:今は逆に心配されちゃうと思うので。それはもう、平気だと思うんですけど、ただ、まぁ、その間に、何か、独りで生きていける術を自分で磨けちゃって。(そんな)自分がいたりとか。
阿川:別にご飯作ってもらわないと生きていけないというわけじゃない?
吾郎:何でも自分でできるし。本当にできるんですか?
阿川:はい。
外山:ふふふ(笑)
阿川:料理もできるの?
外山:全部できますよね?
吾郎:そういうの、趣味になっちゃったんで。そうなんですよ。
阿川:ああ、じゃぁ、もう、ダメだぁ
吾郎:今度だから、家にラブドール入れようかなと思って。
阿川:(笑)
外山:あははははは(笑)
吾郎:それ冗談ですけど。でも、絶対に人間成長してないと思うんです、僕、43の割に。
阿川:そうですかね。私だって人の言えないけど。
吾郎:だから、ここで人間成長しなかったらダメですよね。・・・・・結婚しよう!
阿川:あははは(笑)。今日はどうもありがとうございました。

結局、阿川さん仕切りで、吾郎さんについての話になっちゃって、番組終わっちゃったよ・・・(苦笑)



中々本題に入らなかったですが、ここでようやく本日の課題図書は『バブルノタノシミ』についてのトークを。
まずは、このバブルとは何だったのかを考えるきっかけになったエピソードを吾郎さんが朗読。
海外で、バブルの頃といえば、日本人=集団で爆買していたのが、最近はそうではなく、東日本大震災のときの行動などからも見直されているという話を聞いたそう。

バブルとは1980年代後半から19990年代初頭の日本で起きた未曾有の好景気のこと。お金を使うことが正義というか、金だけが正義というか・・・何かそんなイメージがあります(汗)(汗)(汗)

その頃、阿川さんはTBSの報道番組『情報デスクToday』でアシスタントを担当(1983年〜1989年)。深夜生番組だったこともあり、バブルの頃の”アゲアゲ”な思い出は無かったそうです。テレビ局なんて、最も”アゲアゲ”なのだろうと思うのですが、「番組が悪かったのかな」と阿川さん(爆)。

吾郎:僕なんかは。
阿川:僕はデビューしてたでしょ?
吾郎:ぼ・・・(SMAP結成が)88年なんで。この局に初めて来たのは89年で。ベストテンが終わりそうな頃だったので。
阿川:ああ!
吾郎:先輩の光GENJIがいたりとか。
阿川:はい。ローラースケートで(TBSのテレビ局がある)赤坂、走ってましたよね?
吾郎:あの頃に、まぁ、それころ(ジャニーズ)Jr.としてここに来たのが初めて。88年〜89年だったので、だからもう、(バブルとは)すれ違いなんですよね。
阿川:大体、SMAPはほら、最初、全然、売れなかったから。
吾郎:そう。しかもバブルが終わったぐらいから、僕ら出てきたっていうイメージがあると思うんで。デビューが91年なんで。
阿川:アフターバブルチームだったのね。
吾郎:そう(苦笑)。そういう感じですよね。
外山:でも、91年に武道館で初めてのコンサートしてますよね?
吾郎:・・・(苦笑)。バブルじゃないですか!
外山:バブルでしょう?!
吾郎:だけど、やっぱり忙しすぎて、遊んでる時間も無かったので。
阿川:お小遣いとかもらわなかったの?
吾郎:お酒も飲まないですから。17歳ですから。夜の街にも行かないじゃないですか?
阿川:うん。
外山:ああ、だからお金が貯まっちゃって、最初に買った車が
吾郎:マセラティ。
阿川:!!!
外山:(笑)
吾郎:バブルじゃん!!!
外山:そういうことだ!!!
阿川:バブルじゃん!マセラティが最初の車なんですか?!
吾郎:そうですね。あの、僕、19歳ぐらいの時なんで。
阿川:このバブル男がっ!
吾郎:バブルだ!!
外山:気付いて下さってよかったぁ〜(笑)
吾郎:(笑)

で、やはり吾郎さんの話に逸れてしまいました。そっか、吾郎さんはバブルなんだね(苦笑)。



再び軌道修正・・・(汗)。今日のゲストは阿川さんなので、阿川さんの話。
阿川さんは、バブルを知る世代であるにも関わらず、生活はアンチバブルな生活をしてました。それは厳格なお父様の影響が強かったみたいですね。『贅沢をすると罰が当たる』というような感覚が見についてしまってるようです。
阿川さんの「サランラップも2回使うしね」というコメントに親近感(笑)。

阿川:じゃぁ、紙袋問題は?
吾郎:あ、紙袋も捨てない。
阿川:包装紙リボン問題?
吾郎:あ、それは捨てちゃいます。
阿川:ふふふ(笑)。最近、(紙袋が)すごく素敵なデザインだったりするから、紙袋こうやってると(並べてると)、棚いっぱい紙袋になる。
外山:ふふふ(笑)

ここで、また吾郎さんが、阿川さんの新婚生活に話を振り始めました。えっ、いいの?またカウンターが来るんじゃない?(汗)

吾郎:それは、結婚してて問題は無いんですか?パートナーの方とは?
阿川:うん・・・だいぶ文句言ってるけど(笑)
外山:うん…。
吾郎:(笑)。そういう価値観ってさぁ、もう、変えられないじゃないですか。
阿川:ああ!!!
吾郎:そういうことを言ってるんですよ、僕らこれから40過ぎて結婚するときに。
阿川:ああ、その価値観の差異が?
吾郎:差異が。
阿川:ああ…ええ、ええ、ええ。それが嫌だ?
吾郎:いや、多分、あわせると思うんですよ、相手に。ちゃんと。
阿川:でも、自分の中に我慢している感じなの?
吾郎:そう。そうするといつか爆発しちゃうんじゃないかなと思うんだったら、最初から、はじけるバブルだったら経験しなくてもいいんじゃないかなみたいな。爆発しちゃうんだったらね。
阿川:でもねぇ。
吾郎:我慢しちゃうんですよ。
外山:言わなきゃ。言わないんですか?
吾郎:僕ね、優しいんですよ。

じ、自分で言っちゃった…(汗)

阿川:優しいの?
外山:ええ!!怖い!!

自分のことを“優しい”という吾郎さんに対して、それを“怖い”という外山さんのトークバランスがいいわぁ〜(笑)。

吾郎:優しいんです(笑)
阿川:あははは(笑)
吾郎:優しいんです。
阿川:ふふふ(笑)
外山:怖い!そっちのが怖い!!言ってくれないと。
阿川:でも、嫌なのね、心の中では、すごく嫌なの?
吾郎:嫌だけど、あまり女性に言えないんですよ。
阿川:例えば?
吾郎:女性に言えないんですよ。押し付けられない、自分が嫌なこととか。
阿川:例えば?
吾郎:部屋の温度とかって、大体、温度の話って結構、男女って合わないですよね。
阿川:ああ、違うんですね。うん。
吾郎:女性は寒がりだし、男は熱がりだし。そういうのは多分、言えないんですよ。
阿川:い、い、言えない…と?
吾郎:だったら、独りでいる方がいいやと思って。
阿川:例えば鍵はここに置くと決めたとか?
吾郎:ああ、決めたいですねぇ、僕だったら。
外山:あははは(笑)
阿川:決める感じがするな。
吾郎:決めたいな〜。鍵の置き場所決めたいっ!冷蔵庫の中も…だだ、ぐちゃぐちゃ…
阿川:あ、常にぱっと開けたら。
吾郎:緩い感じが嫌なんです。何か・・・綺麗に。
阿川:(外山さんに向かって)私と結婚できないね。
吾郎:(外山さんに)できないでしょ、僕と?
外山:えっ、やって下さるんだったら別にいいですけど。あははは(笑)。あたし何様?!みたいになってるよね(大笑い)
吾郎:髪の毛とか落ちて、気にしない人、結構いますよね?
阿川:ああ・・・でも、それは
吾郎:女の人って、あんまり気にしない人の方が多いと思いますよ。もう、ずっとそれと付き合ってるから。
阿川:でも、それは言われると、『あ、いけないんだ』って思うわけだから。
吾郎:でも、そういうことって女性が一番言われたくない事じゃないですか?
阿川:そんなことないと思う。
吾郎:綺麗に片付けろよ、とか。ゴミ、落とすなよって。女性としてプライド傷つきませんか?
阿川:全然(キッパリ)
外山:それは考えすぎですよ。
阿川:考えすぎ。それが嫌いなんだってことが分かった方が楽になると思う。
外山:言わなかったら我慢の一方ですよ。だから爆発するんですよ。
吾郎:・・・・・・(笑)
阿川:そうですよ。それ我慢された挙句の果てに、5年後ぐらいにね、「実は君の髪の毛の始末が嫌いだった」とか言われたら。
外山:そう、言ってよ、あのとき!!!なりますよ。
阿川:その時言ってよ!ってなる。
外山:ねぇ?そうですよ。
阿川:人間はみんな違うもん。何が心地良いとか心地悪いとか。
吾郎:違いますよね?
阿川:男の人は、だって電気つけっぱなしが好きだし。
吾郎:僕みたいに暗いのが好きで、楽屋なんか占いの館みたいですからね。
阿川:ええ!!?本当に?(笑)
外山:あははは(笑)
阿川:どうして電気つけないの?
吾郎:嫌なんですよ。明るいの嫌なんです。
阿川:うちでも???
吾郎:僕、家なんて真っ暗ですよ。
阿川:食事するときどうするんですか!?
吾郎:あ、ここ。何かスポットライトだけ当てる。
阿川:あ、スポットライトで!?
吾郎:はい。
阿川:占い師みたいにしてご飯食べてんの??(笑)
吾郎:嫌なんです、明るいの。
阿川:でも、嫌なんですも、好きな女の子が居て、「私、明るい部屋でご飯食べたい!」って言われて、ええ〜って思っても?
吾郎:あ、そしたら、いいと思っちゃうんです。まず最初、思っちゃうんです。好きな相手だったら。
阿川:あ、思っちゃうんだ。
吾郎:うん。好きな子が明るい部屋でご飯食べたいって言ってるんだから、そうしてあげたいなって思うんです。これ、心から思う。
阿川:そこが優しいのね。
吾郎:でも、それが続けているうちに嫌になってくるんですよ。
外山:あははは(笑)
阿川:それは、それが嫌になったんじゃくて、女の子が嫌になってるだけじゃないんですか?
吾郎:あ、それもあるのかな・・・・誰か、紹介して下さいよ、じゃぁ。
阿川:えっ、難しすぎて紹介できないよね。
外山:あははははは(笑)
阿川:この人(外山さん)どうですか?
吾郎:今、楽な気がしてきた、外山さん。
阿川:おおらかっぽい。
外山:ちょっと待ってください。
吾郎:だって、僕、自分でやったらいいんでしょ?
阿川:同じ様な性格だったら成立しないじゃない。
吾郎:やっぱり違うところは持ってたいんですよ。例えば、自分が神経質すぎたら、ある程度おおざっぱとかおおらかとか、持ってる人に惹かれますし。
阿川:そうですよ。
吾郎:(外山さんに)結婚しよう!
阿川:あはははは(笑)
外山:何言ってんですか(笑)
阿川:合うと思うなぁ〜
外山:本当に、怒られますよ。
吾郎:僕、今、ゲストになってますよ。大丈夫ですか?



三度、話を戻して、本の話。
“品格”について語っている部分を外山さんが朗読します。阿川さん曰く、『品格とは自らにはめるタガである』と。
品格とは少しの我慢であると仰います。なかなか出来てないと阿川さんも自省されてましたが。
お店で、他のテーブルが五月蝿いときに迷惑だと思うものの、別のお店に行った時に、自分たちも注意されたことがあるという例を取り上げ、中々自分がやってることに気付きにくいと言う阿川さん。

阿川:だから言わなきゃダメ!彼女に!

と、やっぱり話が戻ってしまいました(笑)

吾郎:彼女に?
阿川:彼女に。
吾郎:お店に五月蝿いお客さんがいるんだったら、そういうのを意図もしないように、そんなの気にしないような、何か…心の持ち主に本当はなりたいんです。
阿川:!!!!ふふふ(笑)
吾郎:店員さんがすいませんでした、って後から謝ってきたら、何て俺は悪いことをしてしまったんだ、それが店員さんに伝わってしまったんだ、イライラしてるのが。だったら怒んなきゃいいのに、最初からって思うんです。だからむしろその店に行かなきゃいいのにって。
阿川:本当は直接、五月蝿いよっ!って。
外山:(笑)
吾郎:言っちゃっていいってことですね、じゃぁ?

そういう結論だと、さっきの我慢とまた違った話になってませんか?(汗)

阿川:稲垣さんなんてね、そういうのを『うるさいっ!』なんて言うのは、翌日ネットニュースですよね。
外山:そう、なっちゃう…
阿川:だから我慢しなきゃいけないことがいっぱいあって、かわいそう…
吾郎:・・・(笑)
外山:かわいそうですねぇ…
阿川:かわいそうねぇ?
吾郎:すいません、話が脱線しちゃって。これ、本のお話、できましたか?
阿川:十分!十分、頂きました、ありがとうございました。本日は世界文化社から出している『バブルノタノシミ』。
外山:(笑)
阿川:ええ。阿川佐和子が書きました。オバさんの愚痴と言ってもいいような本ではございますが、お気に召しましたらどうぞお手にとってお買い上げ頂けましたら幸いでございます。
外山:あははは(笑)
阿川:本日は、今日はありがとうございます。

と、一人で番組を〆ちゃった阿川さん。まだ、山田君のハンコがあるんですけどね(爆)

この日の作品はバブルっぽくワインを飲んでる阿川さんのハンコでした。

外山:楽しかったですねぇ。
吾郎:楽しかったです。何か、すっきりしました。
外山:あははは(笑)
吾郎:今日、仕事した?
外山:しました(笑)
吾郎:話しただけじゃない?
外山:何か、やっぱりそういう力があるんですよ、全部、言っちゃうっていうか。
吾郎:そうそう。すっきりしました、何か。
外山:今夜のゲスト、阿川佐和子さんでした、ありがとうございました。
吾郎:ありがとうございました。


(17.09.24 up)



 

第265回放送 '17.09.14 24:58〜
ゲスト:篠山紀信(第2夜) 【課題図書】「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN」

前回の続きで、ゲストに篠山紀信さんを迎えての第2夜。前回は課題図書「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN」をベースにしたトークでしたが、今回は課題図書から離れ、これまでに篠山さんが撮影された写真の中から、さまざまなエピソードを紹介して下さいました。

  1970年

この年に篠山さんは故・三島由紀夫さんの写真撮影もしてました。ちょうどゴロウ・デラックスでも三島由紀夫のインタビュー本の紹介をしたばかりでもあり、タイムリーですね。篠山さんは、三島さんが亡くなる1年ほど前に死をテーマにした写真を撮影してます。写真のモチーフはヨーロッパの宗教画『聖セバスチャン』(3世紀後半にローマで殉教し、戦士・兵士や黒死病の守護聖人となっているが実在したかどうかはは不明)。上半身裸で両手を縛られ、体には矢が刺さっているという絵です。

篠山:それをですね、三島さんが、『自分でやるから、お前、写真撮れ』。
外山:えっ、ご本人から?!
篠山:そうです。
吾郎:(^^;)
外山:ええ!
篠山:コレを撮ったら、この写真、三島さんがすごく気に入ってね、“男の死”っていう写真集を出そう!って三島さんが言い出したんですよ。
吾郎:ほぉ〜。
篠山:で、男の死に様を、色んな死に様をやると。それこそ“忠臣蔵”のね、白装束を着た侍さんが切腹をする高貴な切腹から、魚屋のあんちゃんが出刃包丁持って魚まみれの中、ぎゃってやって死ぬとか。それを10いくつも考えたの。それでそれを写真集にしようってことで、撮ったんですよ、ずーっと1年がかりで。
吾郎:1年がかりで?
篠山:そう。で、最後に撮った写真の1週間後に本当に自分で自衛隊に入ってって、本当にああいう死に方をしちゃったの。僕がね、撮ってるときにね、いつも死について話をしてたんだけど、本当に三島さんが死ぬなんて全然思わなかった。
吾郎:あ、全くそういう前触れもなかったんですか?
篠山:なかった。僕はね、毎回死のことについて考えてるわけですよ。『篠山君ね、血糊はMax Factroの何番がいいから』なんてね、『あそこ行って買っておいてよ』とかね(笑)、そんなことまで喋ってるわけよ。そうしたらね、その最後の撮影の1週間後に亡くなられたんですよ。
外山:うわぁ…。
篠山:結局だから、この写真集は出てない、今まで。
外山:ええ!
吾郎:あ、そうなんですか?
篠山:うん。あまりにも画が残酷なもんだからね。
外山:えっ、どっかに仕舞ってあるんですか?
篠山:・・・・・(^^;)。教えませんよっ!
外山:あははは(笑)
篠山:仕舞ってる場所なんて。
吾郎:えっ、(今スタジオに在る『聖セバスチャン』をモチーフにした)この写真はみんな見ていいんですか?
篠山:これは三島さんが生前中に、『いいよ、出そうよ』って言った写真。
吾郎:じゃぁ、誰も見てない写真がまだあるんですね?見せてくださいよ。
外山:ねぇ?
篠山:・・・・。(笑)

写真家をやっていると、撮った後にすぐにその方が亡くなられる事も多いようです。

篠山:考えてみれば写真はさ、秦でいく時を記録しているだけじゃないですか。撮った瞬間にもう、過去じゃないですか。だからやっぱり写真と死はやっぱり関係あるんですよね。



  1971年

アポロ14号が月面着陸したこの年、篠山さんは宇宙で撮影するような写真を撮りたいとアメリカ・デスバレーでヌード写真を撮るなど芸術的な作品を撮っていたそうです。

が、一方でそういった写真とは全く対照的な写真集『オレレ・オララ』を出版されます。これはブラジル・リオのカーニバルを撮影したもので、それまでは写真=作品としてカメラ雑誌に出していたのですが;

篠山:もっと世界の色んなことから出来て行くものの方が写真っぽいんじゃないかな。写真ってそういう力があるんじゃないかなって思って。じゃぁ、自分がどう言ったって言うことは聞いてくれな、リオのカーニバルに行きたい!
吾郎:真逆ですよね?

リオのカーニバルは四日間、昼も夜も踊り続けるお祭り。道を渡るのも人々が踊っているので渡れないような状況で、ではどうすればいいかというと、自分もサンバを踊ればいいのだと。カメラを持って踊りながら進むと、すっと道を渡れてしまったんだそうです。

篠山:これじゃないか。物を受け入れちゃえばパッと開いてくれてスッとそこが見えてくる。これがね、それを教えてくれたのがこの本(写真集)なんですよ。
外山:ああ!
吾郎:なるほど。
篠山:だから、僕自身が考えて力づくで何か作り上げようっていう写真はやめよう。
吾郎:なるほど。
篠山:世の中に起こってる面白い人・事・物、そういうものの所に積極的に行って、それで一番いいタイミングで一番いい角度で撮るのがそれが一番いい写真なんじゃないかと。っていうと、私は何をしたかっていうと、『芸能写真家』になったんですよ(笑)
吾郎:それまでは『芸術写真家』?

明星、少年マガジン、GORO・・・そんな大衆的なメディア(雑誌)の方に進んでいったんだそうです。また極端な転換ですね(汗)


  1977年

篠山さんが37歳のときに撮影した山口百恵さんの写真(雑誌『GORO』に掲載)が紹介されてます。
自身、「山口百恵の写真数あれど、やっぱりこれが最高傑作じゃないかなぁと思う」という写真。場所は夕方の山中湖、沈みかけのボート(木船)の先端に黒の水着姿で横たわっている写真で、とても色っぽく、そして綺麗な写真です。雑誌GOROのグラビア写真だそうです。朝から明星用、少年マガジン用の表紙・グラビアを撮影をし、最後の最後にGORO用を撮影。

篠山:いいじゃないですかぁ。これ、夕日か何かの逆光で入ってきて、ものすごくすっごい色っぽい写真なんだよね。それでね、みんなに聞かれるの、これ、どうやって撮ったんですか?これ、どういうことを百恵さんに言えばこういう表情するんですか?
吾郎:うん。
篠山:よーく考えたんだけどね、単にも百恵さんは疲れてたんだと思う。
外山:ええ!!
吾郎:(笑)。あの、これ、ぐたっとした感じが?
篠山:ぐたっとしてる(笑)
吾郎:すごく夕日を浴びた何か、アンニュイな表情してますけど。ぐたっとしてる?
篠山:でも、ぐたっとしててもさ、それを色っぽく撮っちゃうさ、カメラマンの力量っていうのが。
吾郎:もちろんでございます。
篠山:あははは(笑)
吾郎:でも、それこそさ、人形のようにも見えるし、不思議ですよね、写真って。絶妙ですよね、足とか、それこそ水滴。

ちなみに山口百恵さんの撮影する際に、ヘアメイクを綺麗にしてくるのだけど、それは篠山さん的には気に入らないので、まずそれを崩してから撮影するんだそうです。面白いですね。



  1980年

篠山さんは、故・ジョン・レノンさんの遺作となったアルバム『ダブル・ファンタジー』のジャケットも撮影されてます。このジャケットは、ジョン・レノンさんと奥様のオノ・ヨーコさんのキスシーン。

オノ・ヨーコさんから依頼があり、ニューヨークのセントラルパークで撮影したんだそうです。あまり構えた感じではなく、軽く「キスしてみたら?」「ああ、いいよ」みたいな感じで撮影が行われたものらしい。

篠山:これで、7,8枚しかないんだよ、撮ったの。
吾郎:ああ、そうなんですか?最初からこういう構図が決まってて、もう、これを狙いに、撮りに行ってポーズさせたとかじゃないんですね。
篠山:全然。大体、僕、ほら、あんまりそういうのはやらないんだよね。

アルバムに使われているジャケットはモノクロですが、実際にはカラー写真。このアルバムが発売されたのが1980年11月発売で、翌月にジョン・レノンは亡くなります。
スタジオにはそのカラー写真が登場。アルバムのジャケットは2ショットがアップになってますが、実際にはもう少し回りの湖や建物が写っているんですね。



そして、番組最後は、篠山さんと吾郎さんの撮影会。ほとんど自らは写真には写らないという篠山さん、吾郎さんと一緒に写真を撮っちゃいましょうという企画です。カメラマンは外山さん・・・って、外山さん、これは結構プレッシャーだよねぇ〜(笑)

外山:篠山さん、どういう感じでっていう。2人で。ポーズとか?
篠山:吾郎ちゃんはさ、人形みたいに知らんぷりして。
吾郎:知らんぷりするんですか?
篠山:うん。僕がさ、『吾郎ちゃん』

と言いながら、肩にもたれかかるようなポーズを取る篠山さん。

篠山:(カメラマンの外山さんに)そういう時、もう、撮ってないとダメ!
外山:あははは(笑)。わかりました、行きます!・・・あ、行きますが言わなくていいんだ。
篠山:言っていいよ。

と言いながら何枚か撮影をする外山さん。吾郎さんは外山さんがシャッターを押すたびにポーズを少しずつ変えてるのはさすがって感じでしょうか。


・・・えっと、この写真、この後、どうなるんでしょう?せめてTBSさんの公式サイトに掲載とかしてくれないですかねぇ。色々と“解禁”になったことですし。


最後はもちろん、山田君のハンコで〆でした。


(17.09.17 up)



 

第264回放送 '17.09.07 24:58〜
ゲスト:篠山紀信 【課題図書】「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN」

オープニング。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さぁ、今夜は写真を撮り続けて半世紀以上。そして、出版した写真集、何と300冊以上という。
吾郎:はい!
外山:時代を激写してきた伝説の写真家がゴロウ・デラックスに出て下さいます。
吾郎:はい。やっと出て頂いたって感じですね。
外山:本当ですね。
吾郎:あの…、まぁ、色んな有名人を撮られてきたので、色んな貴重なエピソード、聞かせていただきましょう。
外山:そうですね。
吾郎:はい。

今夜のゲストは篠山紀信さん。説明が不要なぐらい有名な写真家さんですね。その篠山紀信さんが“人形”をモデルに撮った写真集「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN」が今回の課題図書。特に、ラブドールと言われている人形を人間を撮るかのように撮影した写真集です。

早速、篠山さんをスタジオにお迎えしてのトーク。

篠山:いやぁ、呼んで下さってありがたいです。
吾郎:いやいや、こちらこそありがとうございます。
篠山:本当に。
外山:お越し頂いて。
吾郎:わざわざ出て頂けるとは。
篠山:とんでもない。この番組は出版界ではね、もう、評判の番組でね、『本出すとみんなここへ出たがってますって。なかなかね、出れないんだよ』って。『今日はお前、頑張ってこい』って言われました(笑)
外山:ふふふ(笑)
吾郎:誰が『頑張って“こい”』って言うんですか?(笑)
篠山:いや、出版社が(笑)。
外山:光栄です。ありがとうございます。
吾郎:ねぇ、ありがとうございます。

いや、冒頭からいきなり嬉しいお言葉!!!

外山:で、吾郎さん。
吾郎:そうです。
外山:ねぇ?最近。
吾郎:今年に入って、こちらの『家庭画報』さんの雑誌。

スタジオに『家庭画報 4月号』が用意されてます。そう、吾郎さんの写真&インタビューが掲載された雑誌で、その写真を撮影したのが篠山さん。もう、この記事は、タイミングも内容も、強く印象に残るものとなりました。

外山:そうですよ。
吾郎:撮って頂いて。はい、嬉しかったです、すごい。何か、昔から本当にお世話になってる先生なので。
篠山:もうね、何度も・・・
吾郎:10代の頃から。19歳ですよ、初めてお会いしたときって。
外山:ええ!
篠山:(笑)
吾郎:19〜20際のときに、篠山さんのスタジオに行って。まぁ、ちょっと上半身ヌードみたいな感じになって。
篠山:あははは(笑)
外山:そのときは?
吾郎:そう。
外山:へぇ〜。
吾郎:それで、何か、その…、スタジオに篠山さん、入ってくる前に、軽く筋トレをしておいてくれって言われて。腕立て伏せとかして、ちょっとこう、パンプアップして、みたいな。そう、それで写真を撮っていただいて…。

そして、『家庭画報』の写真は、いつもの吾郎さんの写真とはかなりイメージが違うものでした。

篠山:吾郎さんってほら、何か、ちゃんとスタティック(静かなイメージ)な感じで撮るのが似合うようなイメージを持ってるんですよ。だからあんまり動かしたりなんかしないんだけど、僕はね、こんときね、「跳んで!」とかね、
吾郎:そうそう。
篠山:「回って!」とかね。
外山:へぇ〜。
吾郎:そう。そうなんですよ。

そう。そうなんですよ!!!その動きがこれから吾郎さんの今後の活躍を期待させるもので、本当によかったんですよ!

篠山:色々ね、動いてもらった。
吾郎:そう、僕、あんまり動くの得意じゃないので...
篠山:ははは(笑)
吾郎:やっぱりこう…しっとりと椅子に座って写真撮る方が楽だし、慣れてるんですけど。
篠山:でも、ごろちゃんはね、男前だからね
吾郎:いえいえ。
篠山:こう、静かにしておると、だったら自分のポーズ、するんですよ。絶対、いい男に撮れるって所を知ってるし。結局、それに嵌るのが悔しいから、こっちは。
吾郎:へぇ〜。あ。
篠山:「回って〜」とか「ジャンプして〜」とか。ジャンプね、本当にその人の性格が出るのよ。
吾郎:あ、そうなんですか?!
篠山:うん。
外山:ええ〜、どういうこと?
篠山:ジャンプって面白いもんで、ひょうきんにバン!って跳ぶ人もいれば、ポンって跳ぶ人もいれば。
吾郎:ああ、僕、すっごい苦手なんですけど。
篠山:何か、苦手っていうのがなかなかいいでしょ?何か苦手感、出てんじゃないですか。
吾郎:そうそう。苦手なんですよ。本当、基本的には。

再びそのジャンプしながら撮影した写真が画面に映し出されます。すっごい好きなんだけどなぁ。

吾郎:だから、普通だったらやりたくなって言うところなんだけど、まぁ、でも、すごく、はい、信頼関係があるので。やらせて頂いて。
外山:へぇ〜〜〜。えっ、(撮影は)どれぐらいの時間で?
吾郎:あ、でも、そんなに・・・
篠山:それはね、写真っていうのは早く撮らなきゃダメなの。
外山:へぇ〜。
吾郎:そうなんですか?
篠山:うん。だってこれ、さぁ、1回撮るだけでも相当エネルギー要りますよ。だからやっぱり、ぱっとその瞬間にいいのを撮らないと。
吾郎:あ!でも、早い印象がありますよね。
篠山:1回目が一番良く撮れる確率、すごく多い。1回目っていうのは自分が出るんだよね、割と。
吾郎:へぇ。
篠山:無防備。


さて、改めて今回の課題図書「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN」は、”ラブドール”を被写対象とした写真集。ラブドールとは、等身大の女性の形をした人形で、ボディがシリコンで作られ、とにかくリアルに作られている人形を指します。

今回、このラブドールを撮影したというのは、明治学院大学の山下裕二教授からオファーがあったことが始まり。日本美術を研究されている方で、この方がラブドールをテーマに写真集を作りたいと思い、篠山さんにオファーが来たのだそうです。

吾郎さんの朗読は、写真集の冒頭に書かれた山下裕二教授のコメントを朗読。

吾郎:・・・(ラブドール)家に、欲しいですね。

ご、吾郎さん!!!問題発言ですよ、それはっ!!

篠山:あははは(笑)
外山:でしょうね。いや…
吾郎:いるだけで癒される。
外山:…絶対、そうだろうな、って思います。
吾郎:みんな好きだよ。みんな男の人が好きなバランスですよね、顔といい体といい。何なんだろう。
外山:細すぎず、太すぎず、なっていうんだろう、そういう感じですよね。
吾郎:だから余計人間らしいという。

今までも人形というものを対象には写真を撮ってはきているという篠山さん。ただ、あくまでも人形としてアートとして撮ったものでしたが、このラブドールはどんどん人間に近づけて精巧に作られるようになってきたこともあり、今回の写真集は人間を撮影するときのようなライティングで撮影をしたそうです。


ここで、篠山さんの写真撮影術について。

 篠山流 撮影術 その1
 人形は人らしく 人は人形らしく撮影

実は今回の写真集、テーマはラブドールですが、中に人も混じって撮影している作品もあります。その写真は正しく、人が人形っぽくやり、人形はなるべく人間のように、という意図で撮影したそうです。

 篠山流 撮影術 その2
 撮影場所の下見はしない

篠山さんはほとんどロケハンをしないそうです。下見をしたときと実際に撮影するときでは状況が同じとは限らない、むしろ天候なども違うので同じ時は無いという考え方なんですね。

 篠山流 撮影術 その3
 ラブドールも人間も表情は自分で見つけに行く

ラブドールを人間だと思って撮るという篠山さん、その対象(彼女)の表情が美しいと思えば、そこに行って撮ればいいと。


外山:ねぇ、何かお話を聞きながらね。
吾郎:聞いてさ、解説して普通写真集、見れないからね。
吾郎:ちょっと、ラブドールのロケ行きたいです、篠山さんと。
篠山:ははは(笑)
外山:(笑)
篠山:いや、もうね、そしたらもう、使っちゃいますよ、吾郎ちゃんをそのまま。
外山:本当だ!本当ですよね、お人形さんみたいな。
吾郎:・・・・・・
篠山:お人形だもん。
吾郎:いやいやいや。

自分からロケに行きたいと提案したくせに、そういう風に言われたら言われたで、弱い吾郎さん(笑)

篠山:そのまんまもう。
外山:うん。
篠山:・・・こう、動かないで

で、篠山さんがしたのと同じポージングを吾郎さんが取ります。おお!!!さすが素敵じゃないですかっ!

篠山:そう、そう、ほら!もう。
外山:本当、本当。
篠山:ほら!もう、そのまんまじゃん。
外山:ねぇ?

ちょっとした吾郎さんのポージングを見て、篠山さんも外山さんも盛り上がってくれるのが嬉しい。おっ、これは案外、企画が実現するかも!

吾郎:(黙ってお辞儀)
外山:よかったですね。じゃぁ。
篠山:いいなぁ。。。
外山:今度、楽しみに…
篠山:今度ね。
吾郎:はい。
篠山:ねぇ?
吾郎:いくらでも使ってください。

ゴロウデラックス、あくまでブックバラエティなのだから、出された本を紹介するばかりの企画じゃなくて、自分たちで本を生み出す企画があってもいいですよね!!!
ああ、これから色んな可能性が膨らむじゃないですかぁ〜!!!!!


ここからは、篠山さんが撮影してきた数々の写真について、印象深かったものについて話を聞かせていただきます。

まずは、黒柳徹子さん。『トットひとり』という黒柳さんの本の表紙にもなっている黒柳さん自身のセミヌード写真。これは1968年、黒柳さんが28歳のときに撮影された写真で、世の中が活性化してきた時代で、一方で日本ではまだ、裸というものがタブー視されていた時代に対して、そのタブーを取り払っていくことに挑戦した写真ということになります。

・・・と、この日の話はここまで。他にも数々の著名人を撮影してきた篠山さん、お話は次週にも続きます。 山口百恵さん、故ジョン・レノンさん、故三島由紀夫さんを撮影してきたエピソードが語られるそうですよ。


(17.09.10 up)



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