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'17年06月放送分 |
第251回放送 17.06.01 |
第252回放送 17.06.08 |
第253回放送 17.06.15 |
第254回放送 17.06.22 |
第255回放送 17.06.29 |
♪番組の説明 祝・7年目突入!!『ゴロウ・デラックス』とは…? SMAPで一番おしゃべり好きの稲垣吾郎がMCを務める業界唯一無二のブックバラエティ 毎週1冊(課題図書)、巷で話題の本からベストセラーまで様々なジャンルの本を深く紹介!! さらに、 大御所作家先生からまだテレビに出ていないニューキャラまで幅広いゲストをお迎えし、トークする番組。 |
第255回放送 '17.06.29 24:58〜 ムロツヨシ「ムロ本、」 番組は先週に続いて、ムロツヨシさんをゲストに迎えて「ムロ本、」について語ります。 この「ムロ本、」には、ムロツヨシさんをよく知る人たちとの対談やインタビューが3章掲載されてます。 『ムロツヨシ×新井浩文 対談−[人間・ムロツヨシについて]』 『福田雄一インタビュー−[役者・ムロツヨシについて]』 『若葉竜也×水野宗典×本多力 鼎談−[演出・ムロツヨシについて]』 そこには、芸能界の先輩から後輩まで色んな方々の名前も登場します。 ただ、お酒を飲み始めると説教をするというクセがあるそうで、「最近、連絡くれないですね」という後輩さんたちもいるそう・・・(汗) それでも、芸人の阿佐ヶ谷姉妹のお二人は、家まできてくれて家事をやっていってくれたりするそう。 他には名前が出てる小泉孝太郎さんは、ちょうどTBSで別番組を撮ってたらしく、そこにお邪魔して、リアルにこの収録の後、飲みに行く約束をしたそうです(笑) 吾郎:リリー(・フランキー)さんとは? ムロ:リリーさんとは最近飲めてないんですけど、一時期、よく、飲まさせてもらいましたね。一度、本当に怒られたことがありまして、あの…、永山絢斗くんと飲んだ事があって、僕、ある日、すっごく仕事も無くてお金無かったんですよね。で、飲むことになって、「絢斗くんごめん、ちょっと今日、お金ないかも…」「あ、いいすよ」つって、「今度絶対返すからごめんね」っていう、まぁ、友達(瑛太)の弟に格好悪いんですけど、本当にどうしても無理だったんですね。で、それを何とリリーさんが聞きつけて、呼び出され、座れと。「お前、絢斗にお金出させたらしいな。みっともないことやめろ」ってことを言われまして。 吾郎:ええ! ムロ:「お前はもう、どんなことがあっても格好つけなさい。そういう年だし、みっともない。友達の弟に金を出させる、そんなみっともないこと絶対するな」、って言われて。そこからですね、どんな手段を使ってでもお金を出し始めたのは。 吾郎:あははは(笑) ムロ:ワタクシ、どんな手段を使っても年下と飲むときは、どんな手段を使ってでもお金を出すようにしてます。リリーさんの教えを裏切っちゃいけないと思いまして。 なんて言いながらも、この日、飲む約束をした小泉孝太郎さんなんかは、今も「払わせてくれない」んだそう。小泉幸太郎さんとムロさんのマネージャーがご飯を食べに行くという状況になったときに、馴染みのお店だったのでそのお店の方にも話をして、「今日は僕が出させてください、最後に。ちょっと格好つけさせて下さい」と言ってあったのに、その後話をしたときに「あ、そうだ、この前のお金、俺が払わせてもらったから、怒らないでね」と言われたそう。 ムロ:だから、マネージャーの分のお金、孝太郎が払ってるんですよ。格好良すぎじゃないですか!! 外山:ええ〜! 吾郎:格好いい。 ムロ:格好良すぎなんですよ。だから怒りに行きました、さっき。 吾郎:あはは(笑) ムロ:「たまには手柄よこせ!」 吾郎:今日が勝負ですね。 ムロ:今日が勝負ですね。「いいじゃん、いいじゃん」って笑ってましたけど。いいじゃんじゃねーよ。マネージャーが一番恐縮してて、「すいません、ありがとうございました」 そりゃそうですよね。(汗) そして、最初に名前が出た瑛太さんにも結構、ご馳走になってるそう。初出演の映画(サマータイムマシン・ブルース)から一緒だったそうですが、最近になって、ムロさんがお金を払おうとすると; ムロ:「何格好つけてんの?昔払わなかったくせに!ちょっと金持ったからって、格好つけんな!」って、わざとそういう言い方して払わせてくれないんですよね。 吾郎:まぁ、何でも言える仲というか。 外山:ねぇ? また、鶴瓶さんとも飲みに行った事があるそうで、このときは同級生まで「呼んでいいよ」と言ってもらい; ムロ:同級生の友達も、「えっ、何で?鶴瓶と飲めるの?!!訳わかんないですよね。」 外山:あははは(笑) 吾郎:あははは(笑) ムロ:「そうだよな!その感覚一緒だよ。そりゃそうだよ!」 半信半疑のままタクシーで向かったそうですが、実際、鶴瓶さんを交えて飲んだようです。行きのタクシーでは鶴瓶さんのことを呼び捨てだったのに、帰りは同級生のみなさんも「鶴瓶さん」になってたそう(笑) 吾郎:理想のお酒の飲み方とかありますか? ムロ:あの、リリーさんと飲んでると、やっぱり下ネタとか言いながら、まぁ、楽しいんですけど、後輩でも楽しく飲めるようなお酒の飲み方。鶴瓶さんもそうですけど。難しい話しなんてしない、説教なんてない・・・そういう飲み方をしたいですね。変りたいです。 吾郎:熱くなっちゃうんですか? ムロ:熱くなっちゃう。俺、本当に、本当に頑張って欲しくなっちゃうんですよ、後輩たちに。だから、急げ!ってなっちゃうんですよ。もう、今急がないとダメじゃない!!ってなっちゃうんですよ。何で今、のんびりしてんの?!とかになっちゃうんですよ。 吾郎:ああ。まぁ、でもやっぱり、さらっと。飲むときは割り切って。 ムロ:そうです。それができりょうになりたい。それを今、こうやって言うようにしてます、わざと。飲み方が格好悪いって言って、自分を変化させようと。 吾郎:あははは(笑)。へぇ〜。 外山:でも、何か、お友達がすぐ出来そうですもんね。 ムロ:そうですね。仲良くなりたいと思っちゃう。八方美人、十六方美人、三十二方美人という感じで。 外山:(笑) 吾郎:でも、苦手な方とかいるときないですか?大勢と飲んでると。僕、やっぱり2〜3人とかの方が好きなんですよ、僕は。 ムロ:ああ。 吾郎:やっぱ、何人か多いとさ。初対面の人とかいると、1人、すごく駄目な人とか。 ムロ:ダメっていうか、嫌われることはあります。こういう風に誰とでも(仲良く)やろうとする人が嫌いな人もいるじゃないですか。やっぱり、そういうのって嘘っぽいとか。浅く広くみたいなタイプ嫌いなんですよとか、言われたりするんですけど。だから最初、嫌われてもいいと思ってるので。嫌われても何とか会話して、次どっかで会ったときに、「あの時一緒に飲まさせてもらって」っていう会話を継続させて、こいつどんどん話しかけるから、もう、嫌いになってる方がきついな、って思わせる。 外山:(笑) 吾郎:(笑) ムロ:嫌いになってると労力つかうんですよ。嫌いになってると労力使うんですよ。俺の事、嫌ってるって思っても、どんどん来るから、もう、諦めようって思って、みんな諦めてくれるんですよ。その瞬間が好きです! 外山:あははは(笑) ムロ:あ、今、諦めたって。好きにならなくても嫌いになることを諦める瞬間ってあるんですよ。でも、僕は仲良くなりたいですし。 吾郎:仲良くなりたいって思うんですか? ムロ:やっぱり人を知りたいので。 吾郎:ああ・・・。この人はもういいやとか?興味ないや・・・ ムロ:あんまりないですね。ないです、ないです。だったら仲良くなって… 吾郎:へぇ〜。どんな人でも?自分と全く違うと思っても? ムロ:できる限りお話はしたいですし。 『どっか、の台本−シナリオ集的な』 今回の本の中では、舞台の短編のシナリオに挑戦されてます。 ムロ:これが連載を8年前に始めた時なんですけども、役者と言う職業をしていると、やっぱり台本を手にすることが嬉しかったり、読み方一つで芝居が変ったりとか、色んな台本には関わりがあるので、その台本のありがたみや、読み方を知るために、何をしたらいいだろうと考えたときに、自分で台本を書く場所があればいいのかなぁ、と思いまして、連載の話を頂いたときに、「台本を書かせてもらってもよろしいでしょうか?」、1ページだったので、1ページ内で収まる、1〜2分の台本を書かせてもらえないですか?・・・そういう思いで台本を書きました。 外山:1話完結の台本が22本。 吾郎:そうなんですね。 ムロ:いやぁ〜、苦しかったですねぇ。締め切りがあるから書けるんですね。迷惑をかけちゃうから、かけたくないから書く。書きたいから書くんじゃない。約束したから書くんだ! 吾郎:でも、作家さん、みんなそう仰いますよね、締め切りがないと書けないって。 そして、今回、連載の第一回目の台本『黒船』を、今から朗読します。 ムロ:(吾郎さんとの)初めてのお芝居…。 外山:初共演。 吾郎:何でゴロウ・デラックスなんだろうね?! ムロ:(笑) 吾郎:ドラマでやろうよ。 ムロ:・・・。 吾郎:これ、中々無いよね、朗読を共演できるって。 ムロ:そうですね、無いと思います。 吾郎:俳優さんどうしでも無いと思う。 ムロ:ただ、ちょっと緊張はしますね。自分が書いたものに吾郎さんが読んでくれて、(自分が)相手役もやるっていうのは。 吾郎:いやいや、そんなことないですよ。僕も緊張しちゃいますけど。 外山:ねぇ。楽しみ。この間のロバート秋山さんの…(笑)。子役のみち君。 ムロ:ああ!観た! 吾郎:『ペペー!ペペー!』 外山:あははは(笑)。終わんないの。あれ以来。 吾郎:コントだから。 外山:そうですよ、今回、本気の! 吾郎:ね。はい。
ト書きは外山さん、そして登場人物の兄を吾郎さん、弟をムロさんが朗読します。 タイトルの黒船とはこの兄弟が小学生の頃に拾ってきたネコの名前。2人は大人になり、実家の母親にこのネコを任せっきり。そして、このネコに母親のことを任せっきり。そのネコが死んだことで、兄が久々に実家に帰ってくる。そこで交わされる兄弟の会話。 吾郎:いやぁ、いいですねぇ。 外山:何か、兄弟みたいでしたよ。 吾郎:そう、僕も何か兄弟みたいに思えてきたり。 ムロ:最初緊張したんですけど、やっぱり嬉しくなっちゃった、何か。 外山:(笑) ムロ:何か、(台本を)書いたときのことを急に思い出して、『これ、あの稲垣吾郎と朗読するんだぜ』って。しかも、テレビの前でやるんだぜって。 吾郎:あははは(笑) ムロ:敢えて今、呼び捨てにしたんですけど。 外山:うん、うん、うん、うん。 ムロ:それで最初のト書き・・・の、外山さんが読んでくれた時、何だろう、嬉しくなっちゃって。“プロが読んでる!!!!”って思って。 外山:(笑) ムロ:『この8年前の稚拙な文章をプロが!!プロが!!うぅわぁっ!!』って思ったら。最初本当に照れくさくて。 吾郎:照れくさいですよね。 ムロ:うん。 吾郎:今、何か、バラエティでトークしてて。(いきなり)ちゃんとお芝居っぽいし、一応。しかもご自身で書かれたもので。 外山:ええ。 ムロ:最初、「今からでも断れねぇかな」って、最初実は思ってたんです。 外山:うそぉ〜(笑) 吾郎:あはは(笑) ムロ:だけど。 吾郎:ちょっと様子変でしたもん、さっきから。 ムロ:でも、始まって、ト書きを読んでくれたときに『はっ』ってなって、隣に吾郎さんがいる雰囲気に『はっ』ってなって、書いたときの自分を『はっ』って思い出して、『おーい!』って話しかけてました。 外山:ええ!! ムロ:『これすげーぞ!』って。 吾郎:えっ、それ、後付ですよね? 外山:あははは(笑) ムロ:・・・・・・・ 吾郎:そこまでは後付じゃないですか? ムロ:そこまで言っちゃったら後付っぽく聞こえますよね? 吾郎:あはは(笑) ムロ:でも、ちょっとは本当です!ちょっとは本当です!ちょっと後付とちょっと本当です。 『ムロツヨシ インタビュー − 独り語り的な』 最後はムロさんのインタビューで締めくくられているのですが、そこには家族の話が多かったという印象を外山さんは持ったようで、そこで出てくる質問が; 外山:ムロさん、結婚してですね、家族を作る気持ちはあるんですか? と、急に下世話な話に(笑)。とはいえ、ムロさん自身、自分が書いた本を読んで、『自分も親になりたい気持ちは、少し出てきているのかなぁ、と』と仰います。そう言いながら、ムロさんから逆質問; ムロ:願望はお二人はあるんですか?願望は無いんですか? 吾郎:いやぁ〜、これはもう、無いとは言い切れないよね。 ムロ:外山さんも同じかな。イエス/ノーじゃないやつですね。 吾郎:うん、そう・・・。でも、経験はしてるじゃないですか、独身の感じは。この幸せは。 ムロ:はい、はい。 吾郎:(一方で結婚は)全く未知の世界ですからね。 外山:そうですねぇ。 吾郎:それを経験するとまた・・・役者っていうか、お芝居とかも・・・・ ムロ:ああ、もう、同じです。 吾郎:思いますよね? ムロ:同じこと考えます。 吾郎:父親の役とか。 ムロ:先輩たちが、やっぱりした方がいいと言いますね。「お前なんか、もっと軽い気持ちで、失敗してもいいからしろ」とか言う先輩とか同級生とか、いっぱいいますね。 吾郎:うん。 ムロ:失敗しちゃいけないと思ってるんで。親がそうだったので。 吾郎:そうですよねぇ。でも、それはあるよね、この年になるとね。もう、何か、失敗したくない。 ムロ:失敗したくはない。 吾郎:この年になってからの結婚だとね。 失敗したくないというか、若い時だと勢いで結婚できても、段々、勢いじゃできなくなるんでしょうね。 そして、最後に; 吾郎:まぁそして最後に、喜劇役者としての今後の目標は? ムロ:うーん、まぁあの…、僕を今、覚えてくれてる人が少しずつ増えてきた実感はあるんですけども、ムロツヨシって顔が浮かんで、その次に何かの作品が浮かぶっていうのがまだ無いと思うんです。浮かんだとしても、僕が主役じゃなくて、誰かが看板を背負ってくれてる作品だと思うので、いつか自分が主演の代表作で、ムロツヨシの顔を見たらこの作品が出てくる、というような作品を作りたいのと、それを積み重ねて、もちろん、主演だけがやりたいわけではなく、主演以外でも楽しい喜劇を作っていき、最終的にこれから先、『あなたの好きな喜劇役者は?』とか『気になる喜劇役者は?』の中に、質問に、『ムロツヨシです』と答える人が1人でも多く作れたらなと。そのためには代表作を作らなきゃいけないし、もっとふざけなきゃいけないし、ふざけるために自分をわざと隠す場所を作らなきゃいけないのかっていうことを考えなきゃなぁ、と思って、こういう風な真面目に語ってるところを意識付けさせようかなと思ったり。 吾郎:ふふふ(笑)。ちょっと自信なくなってきましたね。 ムロ:(笑)。いや、ちょっと長く語りすぎた。 吾郎:最初… ムロ:僕ね、最近、あの… 吾郎:いや、よかった、よかった、よかった。大丈夫、大丈夫。 ムロ:…きゅっとしたいんですよ。 外山:あははは(笑) 吾郎:編集で上手くやる。大丈夫。 ムロ:言ってることをきゅってできたらいいと思うんです。40歳の男として。 外山:あははは(笑) 吾郎:上手く編集する。 ムロ:きゅっとしようとしたら、どんどん説明しててこうなって(膨らんで)しまう。 吾郎:焦んなくていいです。 ムロ:すいません。さっきも見抜かれて申し訳ないです。 外山:あははは(笑) ムロ:すいません、本当に。 吾郎:いやいや。 ムロ:仰るとおりなんですよね。 番組の〆はもちろん、山田くんのハンコですが、今回はプライベートでも交流がある2人だけあって、“メイクしてないムロさん”を作品化してました。髪の毛ボサボサな感じ。作品自体は、ムロさんも「すごいね」と関心してましたが、 ムロ:この前、家でバッタリ会ったときに、これ(ゴロウ・デラックスに)出る、決まってる前だったんですけど、『あれ、たまに見てるよ』って言ったら、『そうなんですよ。あの、ハンコのやつ知ってます?』『知ってるよ。だってあれ、見てるもん』って言ったら、『面倒くさいんですよ』って。 山田:あははは(笑) いやいやいや。分かるけど、ハンコが無かったら出番無いんだよ、本当。 吾郎:(笑) 外山:あはははは(笑) ムロ:『前情報も何にもなくて、あのスタッフ、ちょっと頭おかしいですよ。突然言ってきて、突然やれって言われて、閉じ込められてるんですよ』って聞いてて。僕、このスタジオに入るときに、本当に閉じ込められて手、『あ、言ったとおりだ!』って。この子に作り話は一切、無かったと。 ムロさん、そんな爆弾発言しちゃって、この後、大丈夫だったのかなぁ、山田くん・・・・(汗) (17.07.02 up) |
第254回放送 '17.06.22 24:58〜 ムロツヨシ「ムロ本、」 いつものオープニング。 吾郎:こんばんは。 外山:こんばんは。さぁ、今夜のゲストが、ドラマ、映画、バラエティ番組でも抜群の存在感を発揮している喜劇役者さんです。 吾郎:はい。役者の方がゲストなのもさ、珍しいんですけど。 外山:ねぇ〜。そうですね。 吾郎:“喜劇”役者さんですよね。 外山:はい。 今夜のゲストはムロツヨシさん。どうしても最近ではバラエティ番組で見かける印象の方が強いですが、肩書きは喜劇役者さん。そのムロさんが月刊誌『プラスアクト』で長年書いてきた連載をまとめたのが今回の課題図書『ムロ本、』です。エッセイ本かと思ったら、それ以外にも私小説あり、舞台の脚本ありと、内容も盛りだくさんです。 外山:肩書きに喜劇役者とありますけれども。 ムロ:まぁ、すごく、恥ずかしいんですけども、僕らがすごい子供の頃とか、喜劇役者さんって誰?って聞いたら、植木等さんとか、渥美清さんとか言う方がいらっしゃるかもしれませんけども、喜劇役者、今、誰が好きですか?って聞かれても、喜劇役者って誰のことを言うんだろう?とか、もちろんいろんな先輩の役者さん、いらっしゃいますけど、いらっしゃらないと思って。で、僕は喜劇をずっと舞台でやりたいと思ってまして、何ならちょっと、今、敢えて自分から言うのもいいのかなぁ、と思って。お恥ずかしいですが名乗らせて頂いてるという感じですね。 吾郎:うん。 ムロ:だから、喜劇役者だったら笑わせてみろよ!とかね、言われると思うんですけども、そのときは『違うんです。喜んで劇をやる役者なんです』って言い訳を。 吾郎:あはは(笑) 外山:なるほどぉ。 ムロ:言い訳も作ってあります。 さて、ムロさんの本業は役者ですが、吾郎さんとは今回が初共演。 外山:(ムロさんと吾郎さんは)初共演・・・ 吾郎:はい。そうですね、ドラマじゃなくて・・・。でも、僕、やっぱりこれ(ムロ本、)を読んでからお会いするから。 ムロ:ああ、そうですか。 吾郎:不思議ですよね ムロ:でも、嬉しいです。読んでもらってるというのと、会う前に。そしてそこをテレビカメラ達が映しているという現状にもう、もう、トチ狂ったのか、髪、結んじゃいました、今。 外山:あははは(笑) ムロ:今までほとんどテレビで結んだ事ないのに。 吾郎:ちょっとオシャレな感じ。 外山:ねぇ? ムロ:もしかして、森山未來を意識してる? 外山:あははは(笑) 本の話に戻って; 吾郎:結構、前の話も多いんですか? ムロ:はい、一番最初は8年前なので。まさか8年かけて本になるとは思ってなかったですし。 そして、この本は、文章表現として「。」(読点)が一切なく、全て「、」(句点)が使われてます。 どうしてそういう表現をしたのかと聞くと、舞台の台本をワープロを使って書き始めたときに、「…」を出すことができず、仕方なく「、、、」を使っていたそうな。どうやったら「…」を出せるのか覚えないまま来てしまい、もういいや、となったそうです。 ムロ:それ(「・」や「。」)を使わない人=俺、っていう風に自分で決めたので。 吾郎:でも、中々いないからいいんじゃない、意外に?(笑) 外山: ムロ:そうですね。まる(。)を使わなくなっちゃったんで、嘘をついて後付の理由で、まる(。)を付けたら終わっちゃうじゃないですか、と。点(、)は続くじゃないですか・・・ 吾郎:後付上手いですね。 外山:あはは(笑) ムロ:後付上手いですよ。僕、結構、後付の理由、いっぱい使ってるんですよ。 今回の番組は、『ムロ本、』が喜劇役者・ムロツヨシの全てを書いた台本にもなっているとことで、この『ムロ本、』の目次に沿って進行していきます。
最初の、『ムロツヨシ、−序章的な』ということで、まずはムロさんがこれまで出演された作品を振り返ります。 山田:よくね、会うんですよ。 ムロ:バッタリ会うんですね。あの、友達の家で。 吾郎:友達の家で? 山田:友達の家っていうか、小栗旬・・・ ムロ:彼にとっては義理の兄の家にいるので。 ちなみに最近も会ったようで、ちょうど山田くんが小栗さんに兄として説教をされていたときに、ムロさんが遊びにやってきたそう。ただ、山田くんは酔っ払っていたので、その説教の内容を覚えてないと打ち明けてましたが・・・ ムロ:あははは(笑)。お前、これ見たらまた怒られるよ! 山田:(滝汗) 山田くんの話はさておき、ムロさんの出演作品について。初めて本格的に映像作品に出演したのは2005年。そこには、『交渉人 真下正義』があります。 吾郎:『交渉人 真下正義』ねぇ。観たよ! 外山:観ましたよ。 ムロ:います、います、僕。 吾郎:居た? ムロ:まぁまぁいい役ですよ。 吾郎:犯人?犯人? ムロ:犯人じゃないです。あれ、犯人出ない映画ですから。 吾郎:(笑) 外山:あははは(笑) 主人公の真下の隣にいるような役らしいのですけど・・・覚えていない吾郎さん。他にも、2007年のテレビ番組『ガリレオ』(フジテレビ系)なんかも有名な作品ですが、こちらは1話にちらっと1カットだけ出ているらしいwww ムロ:1シーンじゃないです、1カットです。その頃、僕、自分で『ワンカット役者』読んでましたから。 吾郎:1シーンじゃないんですね。 ムロ:1シーンじゃないです、1カットが多かったですね。 吾郎:どこで(ムロさんを)知ったんでしょうね・・・、僕ら。いつの間にかに・・・。 ムロ:・・・なんですかね。僕はもうずっと必死なんですけど。 吾郎:そりゃそう(笑) ムロ:全てに爪痕を残そうと… ご本人的には2011年の『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレ東系)から、街で役名で呼ばれるようになり、2013年の『ごちそうさん』(NHK 朝ドラ)で広い層にも認識されるようになったと。 吾郎:朝ドラってびっくりするぐらい声かけられますよね? ムロ:かけられます、本当に。 吾郎:僕も、人生で初めてドラマに出たのが朝ドラなんですよ。 ムロ:えっ、そうなんですか? 吾郎:平成元年、15歳の時なんですけど。 ムロ:すげーーー。 吾郎:現代版の朝ドラだったんですよ、『青春家族』って。やっぱりびっくりします、ハワイとかに行って気付かれましたね。 ムロ:ああ〜。 吾郎:朝ドラ、すごいですね。 ムロ:朝ドラ、すごいですね、僕も。 吾郎:思いませんでした? ムロ:おばあちゃんに話しかけられて、『ええ!』って。何見てくれたんですか?って(聞いたら)、『ごちそうさんの教授でしょ?』って。 ちなみにムロさん、30歳(2006年で合ってます?)直前までバイトはしていたそう。 ムロ:ユースケ(・サンタマリア)さんに、よく、ご飯を連れていってもらってて。ちょうど29歳のときに、『ムロくん、いい加減、バイト辞めなさい』って言ってくれて。『バイトをやってたら、君の性格はのらりくらり食べていけちゃうから。とにかく(役者に)絞りなさい』と。バイトを辞めなさいって言ってくれて、30歳の誕生日の前の日までやって、30歳からぴっと辞めるようにしました。 吾郎:へぇ。のらりくらり君はできちゃうんだから、っていうのもよく分析してますよね。 ムロ:よく見てくれてたんだと思います。 吾郎:ねぇ。ムロさん、確かに器用・・・(バイトでも生活)できそうだもんね。 そして、器用という意味では; 吾郎:バラエティ番組は結構、出られてて。 ムロ:えっと、やっぱり舞台でお客さんが入るっていうのは、知ってもらわなきゃいけない、っていうのがあるんですよ、僕と言う人間の存在を、役者も。そういう意味で、例えばバラエティとかで「ムロツヨシです」って連呼させてもらって、「何なんだよこいつ」って覚えてから、「舞台やってるんだ。じゃぁ、1回ぐらい観に行ってやろうかな」という意味でバラエティに出させて頂いている気持ちはあります。その中で番組には一所懸命貢献したいとは思うんですが、ユースケさんとか、大泉洋さんという先輩を見ていたので、何かしらこういう風に見てて楽しい、でも、役者が本業なんだといつか逆転すればいいなということで、バラエティに出たときは覚えてもらおうと、ムロツヨシというカタカナ5文字、「ムロツヨシ」って喋ってました。 吾郎:うん…。 外山:舞台もずーーっと続けていらっしゃって。 吾郎:そうなんですよね。何か本当贅沢だけど、そういう経験は僕は、経験してきてないから。そういう人にしかできないお芝居って、まぁ、あるじゃないですか。もう、絶対それは羨ましいなと思いますし。 ムロ:ああ、そうですか。 吾郎:うん。自分にはできないことだし、でも、それに拘りすぎても自分もいけないなと思うし。 ムロ:うん、うん、うん、うん、うん。 吾郎:道が違ったといえば。 ムロ:そうですね、はい。 吾郎:うん。 『数、ある記憶の中から−自伝的な』 これは“数(カズ)”を主人公にした小説が掲載された章になります。自身のことを“数”に置き換えて書いたものですが、生まれて間もなくの両親がケンカばかりしていてムロさんが4歳のときにその両親が離婚の記憶から始まります。 ご本人にとっては大変な記憶ではありますが、ただ、それを人によっては『不幸自慢』と取られる可能性がある。実際、周りの人にそう言われたこともあるようで、活字にする際も読者にどう捉えられるかという恐怖があったそうですが、「自分に向けてでもいいから書いてみよう」ということで書いたんだそうです。 したがって、ムロさん自身は、“おばあちゃんっ子”。役者を目指したいということを告げたときには、ものすごく泣かれたそうです。大学は理科大の理学部数学科だそうで、確かにそこから役者は繋がらないですよね、普通。今回、そもそもなぜ役者になりたいと思ったのかというエピソードについては話がなかったですけど。 そして、27歳のときに『サマータイムマシン・ブルース』の映画に出演が決定。本広克行監督の作品で、小劇場での舞台が終わった後、観に来てくれた人たちと飲みに行った際に、そこに来ていた本広監督に、とにかく“ムロツヨシ”と名前を連呼して宣伝しまくったそう(笑)。そういう売り込みもあって(笑)、映画出演が決まったそう。 ムロ:で、監督に言われたのが、『お前の野心は綺麗だ』と。『そこまで言うんだったら1回使ってやる。自分の思うようにできるか試してみなさい』って言われて、絶対に期待を裏切っちゃいけないという思いだけでガムシャラにやって。今でもそのときの映画のお芝居を見ると、うわぁ〜(T_T)ってなりますけど、このときの全力は間違いなくこれだなっていうのは残っているので、恥ずかしいですけどこれはもう、残ってよかったなって思います。そこの場所をくれた本広さんには感謝してますし、その後、『サマータイムマシン・ブルース』の撮影が終わってから全く芝居する場所がなかったんで、踊る大捜査線のスピンオフを撮るという噂を聞きつけて、(本広さんに)会いに行って『出してください』って言って、考えとくわって言ってくれたんですけど、台本渡してくれたプロデューサーさんが、実は前からあなた出ることは決まっていて、ムロが絶対出してくださいって言いに来るからそれまで待て言われてました、って。 絶対に調子に乗るから、ムロさんの方から出してくださいと言うまで口止めされていたんだそう(笑) ここで朗読。 普段、食べれなくて借金ばかりしてきた従姉妹&幼馴染に映画出演の報告をしにいくシーン。 数=ムロさんの役を吾郎さん、その従姉妹を外山さん、幼馴染を山田くんが担当します。 ・・・が、山田くん、事前に台本読んでないし、朗読も一部間違えちゃうし、しっかりムロさんに怒られてました。 吾郎:これ、(本の中で)全部(の話)が、「これは、喜劇」で終わるのは?この理由は何かあったんですか? ムロ:あの、まぁ、“数”は自分のことですけども、自分が結局最後、これを、死ぬときなのか何か終わるときに、『喜劇だったな』と思いたい。まぁ、最初の喜劇役者と名乗る理由もそこにあるんですけども。できれば僕の記憶とか、これから作る側の作品、そして自分が周りで起こせる範囲のものはどうにかして喜劇にしたいな、喜劇であって欲しいなという願いと、自分がそうあろうという意思をみなさんに伝えさせてもらうために、あと、自分のことを書いたから最後に、何度、両親が別れようが、ネコとの悲しい別れも全て喜劇にして、自分はとらえられたらな、 とらえてますよという意思表示ですかね。 次週はムロさんと吾郎さんの特別朗読講演だよん。 (17.06.25 up) |
第253回放送 '17.06.15 24:58〜 新保信長「字が汚い!」 オープニング。 吾郎:こんばんは。 外山:こんばんは。吾郎さん、 吾郎:はい。 外山:コンプレックスってありますか? 吾郎:コンプレックスですか?字が汚い。 という発言と同時に、画面には『稲垣吾郎』と吾郎さん手書きの文字が表示されます。いつもならワープロ文字で表示されるところですが、今回の課題図書にあわせてアレンジしてきてるところが番組関係者のみなさんの遊び心がうかがえます。 外山:じゃぁ、今夜の課題図書は吾郎さんにピッタリ!(笑) 吾郎:あの、言ってることとやってることと、字が違う。 外山:吾郎さんっぽくないんだ、字が。 吾郎:うん。だから、絶対、字書きたくない。 外山:ええ!! 席に座りながら; 吾郎:バラエティ番組とかで、(フリップに書く)クイズの答えとか。 外山:ああ!実は嫌なんですか? 吾郎:すっごい嫌だ。 外山:ええ〜! 吾郎:だからもう、めちゃくちゃもう、僕はね、今回、この本、共感しちゃいましたよ。 外山:はい。課題図書、『字が汚い!』。ふふふ(笑) 吾郎:何かね、・・・ま、まぁ、お呼びしてからお話しましょうか。 外山:そうしましょうね。 ゲストの新保信長さんが登場です。元々はフリーの編集者さんであり、ライターさんでもあるという肩書きをお持ちの方ですが、あわせて漫画家・松田奈緒子さんの旦那様とも紹介されてました。 ・・・で、その、紹介VTRで、何でBGMが“♪六甲おろし”なんだろう? 外山:すごいタイトルですね(笑) 新保:まぁ、そのまんまです。 吾郎:本当に僕も、正にこれがコンプレックスで。ちょっと頑張ればいけるのかなって、今後。今からでも遅くないのかな、って思って。 外山:そうですね。 吾郎:外山さん、どう?自分の字は? 外山:私もあんまり好きでは無いですけど、やっぱりハガキとか書く機会が多いので。綺麗にはなりたいなと思いました、これ見て。 新保:自分の名前ぐらいは、ちょっとこう…綺麗に書けるようになればいいなと思って、色々やってみました。 外山:何かでも、読んでて、(字の)好みってあるんだな、って思いました、自分の。好きな字って。 吾郎:さっき僕が言ったことと一緒。自分のキャラクターとか、生きてきた証じゃない、字とかって。 外山:そうですね。 吾郎:自分はこういう人間だよってことを表すものとしては、すっごく重要だよね。 外山:本当ですね。 さて、今回の課題図書ですが、まずは、新保さんご自身が自分の字と向き合うきっかけとなったエピソードについて本の中で書かれている部分を吾郎さんが朗読します。 きっかけは某有名漫画家さんにオファーするために手書きで手紙を書こうとした際に、自分の字を見て『何じゃこりゃ!』と思ったそう。具体的には筆跡が子どもっぽくて拙いと(汗)。 実際にそのときに書きかけた手紙が画面に映されます。吾郎さんの反応としては; 吾郎:可愛いじゃないですかねぇ〜。 とか言ってますが、この場合は新保さんの仕事柄、字が可愛いというのは褒め言葉ではないですね。字としては丁寧に書かれてますが。 新保:何か子どもっぽくて、真剣にお願いしてるんだけども、ふざけているように見えるのかなっていう。 吾郎:結局その手紙は送られたんですか? 新保:ええと、いや、ちょっとこれを送ったら逆効果かなと思いましてですね、結局、打ち直して、手書きっぽい書体でプリントしたものを送って。 吾郎:あはは(笑)。ええ!送らなかったんだ! 外山:ねぇ? 吾郎:まだオファーの返事、もらえてないんですよね? 新保:そん時はちょっとまだダメって感じでしたねぇ。 吾郎:大物漫画家・・・ 外山:ありますよね。本当に、綺麗に越したことはないじゃないですか?展覧会とかって、名前書いて下さいって。 吾郎:ああ、結婚式!!!結婚式!!! 外山:結婚式とかもそうだし。 吾郎:縦書きだし難しいよね。… 外山:そう。筆ペン渡されるとどうしようと思う。 吾郎:僕、一つ言い訳していいですか?左利きなんですよ。 外山:そうですね。 吾郎:漢字の書き順がやっぱりね、自分なりの書き順をしちゃってることが多いので。上手く書きようがない。キャラに合ってればいいんだけどね。 外山:確かにね、吾郎さんはもう、あれですよ、イメージが。 吾郎:字、綺麗であって欲しくない? 外山:そうそうそう。“ペン字です!”ぐらい綺麗そう。 吾郎:このイメージ…、パブリックイメージと現実とのギャップというものに、僕はずっと苦しんでます。 さて、ここからは、本の中にも書かれてますが、新保さんが実際に実践したものを紹介。
新保さんが実践したのは、以下の4冊。 ・30日できれいな字が書けるペン字練習帳 宝島社 ・100字できれいになるボールペン字練習帳 マイナビ出版 ・まっすぐな線が引ければ字はうまくなる 日本実業出版社 ・練習しないで、字がうまくなる! サンマーク出版 最初にチャレンジしたのは、『30日できれいな字が書けるペン字練習帳』だそうで、今回それをスタジオに用意し、吾郎さんと外山さんがやってみます。 外山:これどういうことが難しかったですか? 新保:えっとですね、あの、一番最初、字から始まるんじゃなくて、縦線、横線を引くコーナーがあるんですよ、最初に。 外山:本当だ!線を書く練習をしようから始まるんだ。 新保:これがまずできないですね、まっすぐ線を引くという事が。 吾郎:(書いてみて)あ、できない。まっすぐ、意外と引けない! 実際に吾郎さんが書いた線が画面に映されてますが、お手本は等間隔に同じ長さの線を縦に7本書いてありますが、まっすぐ平行に引くことが実はなかなかできてません。 吾郎:そして横ですよ、問題の。(左利きなので)押して書く。 外山:何か、改めてやると難しい。 吾郎:横が難しいんだなぁ。横が欠点なんだ。自分の欠点が分かってくる。 外山:あ、いいじゃないですか。 続いてはひらがなにチャレンジ。お手本の方には、線を膨らませて書くとか、空間を大きく開けるとか、バランスよく書くためのポイントも添えられてます。 吾郎:ひらがなっていうのは曲線を如何に書くか、美しくね。 外山:ああ・・・ 新保:『い』とかもちゃんと丸まってないといけないんだって。 4冊の本をチャレンジした新保さんですが、一番よかったのは、意外と『練習しないで、字がうまくなる!』が一番響いたと。具体的に書く練習をするものではないですが、上手くなるコツというか、“発想の転換”があったのだそう。 新保:どういう風に考えて字を書けばいいかっていう、コツを教えてくれる本なんで。例えば香典袋とかに名前を書くときに、鉛筆で線を引いて、真ん中に線を引いて、中心線を引いて、そこに丁寧に書いて後でその鉛筆の線を消せばいいじゃないかって、っていうのをこの本では教えてくれるんですよ。 外山:確かに香典袋とか、ご祝儀袋って難しい。 新保:下手なら一手間かけろっていう風にこの本では。なるほど!って思いましたね。 そうして、字が綺麗になるために練習を続ける新保さんは、他の人の字も気になるようになったということで昔の文豪の字を調べ始めたんだそうです;
太宰治の文字は、ちょっと丸みを帯びた可愛らしい字。神経質なイメージとはちょっと違います。 夏目漱石の字は、素直な読みやすい文字。 一方で、江戸川乱歩は達筆というか、雑な草書体。そして、直木三十五の文字は原稿用紙の1マス1マスの右上に小さく文字を書いていたりします。これはこれで読めない(T_T) 吾郎:でも、最近はパソコンが多いのか、じゃぁ…。 新保:まぁ、そうですね、今の方はもう、大体、パソコン。まぁ、年代、上の方だとまだ手書きで書かれてる方もいらっしゃいますけど、若い作家さんなんかは、もう、本当に全部パソコンですよね。 吾郎:読みやすいのかなぁ…。 なので、今の作家さんはいわゆる“手書き原稿”というものが残らないと。それはそれで味気ない気もしますが、芥川賞と直木賞を受賞した作家さんは、日本近代文学館に原稿を資料として寄贈するという慣習があり、逆に手書きの作家さんたちは寄贈用に冒頭部分だけ原稿を起こしたりするそうです。 外山:やっぱりその方の字を見たいっていう・・・ありますね、作家さんのね。 吾郎:編集の方もどうなんだろうなぁ。もしかしたら(作家さんの)字を見た方が、そのときの気分とか、心が読み取れるかもしんないし。 外山:ああ・・・そうですねぇ。 吾郎:どうなんでしょうね。 新保:まぁ、でも、原稿を頂くんだったらぶっちゃけ、メールで頂いた方が…。 外山:(笑) 新保:間違いも少ないし、早いのでありがたいことはありがたいです。 ・・・(笑)。まぁ、お仕事になると、効率的な方がいいですよね(苦笑)。 続いては;
綺麗な字を書きたいと思いつつ、ならばどんな文字が理想なのか? 新保さんの場合は、美文字ではなく、単にいい感じの字が書きたいのだといいます。 外山:美文字って素敵なんだけど、ちょっと特徴がわからないというか。 新保:そうですね。やっぱり人柄がそこにあんまり感じられない。 新保さんは、写真家の荒木経惟さんの字が、決してお上手ではないのだけど、大人の色気があって好きだと。一緒に仕事したときにお礼の返事が来たのを見てそう感じたんだそうです。 吾郎さんは、本に出てきた中では、やはりペン字の先生の字が好みだったようですが; 吾郎:5回生まれ変わっても無理だよ。 と(笑)。なぜに5回なんだと、どうでもいいところで突っ込みたいですけど、そんな吾郎さんの発言に対して外山さんが; 外山:もう、字まで綺麗だったらちょっとねぇ・・・。どうします? と、面倒くさそうに突っ込みを。 吾郎:いや、なりたいよ!こんな字書けたらすごいじゃん! 外山:すごいですけど、それこそ完璧になっちゃいますよ。 と、そこまで外山さんに言わせるというのも、ある意味吾郎さん、すごいんだね、やっぱり。 吾郎:無理かな、今からの人生。 外山:じゃぁ、(練習)やってみればいいじゃないですか。(←投げやり) 吾郎:あはははははは(笑) 一方の外山さんは、「やっぱり永さんの字が好きだったですねぇ」と。そこはもう、外山さんにとっては譲れない位置づけなんでしょうね・・・。
外山:まぁ、字は人をあらわすと言います。 吾郎:・・・(苦笑) 外山:本では、筆跡診断の方もね。 新保:そうですね、取材させてもらってます。 ここで、新保さんが取材をしたその筆跡診断士の林香都恵さんにスタジオに来ていただきました。診断用に吾郎さんと外山さんはハガキの宛名を書いてもらい、それを診断して頂きます。まずは吾郎さんの字の鑑定。 林:ものすごく素直で真面目な方の字です。 吾郎:(笑) 嬉しそうな吾郎さん・・・というより、ちょっと照れが入ってるかな。 林:どの字も、すーっと入ってる“起筆すなお型”っていう字なんですね。クセ字の方というのは書くときにガッキンと入ったりとか、これ“(起筆)ひねり(型)”って言うんですけど、そういうのがある人っていうのは、我が強かったりするんですが、稲垣さんの字も外山さんの字もそうですが、全部、すーっと入っているクセのない字なんですね。こういう方はものすごく素直なんで、物事をすーっと捉えられる素直な方なんですね。 吾郎:なるほどね。 特に、自分の名前の「郎」の最後の一画の縦線が、しっかりと長く引かれていること。本来日本語は縦に書くものですが、この縦の線が長いということは、自分軸がしっかりしているというのを表すんだそうです。花まるもらってました(笑) 吾郎:嬉しい!字で初めて言われた!!! 外山:花まるですよ。 林:いい感じです。 吾郎さん、字で初めて褒められたかのように言ってますが、昔、笑っていいとも(のスペシャルだったかな?)に出演した際に、毛筆で『無言』という字を書いて、武田双雲さんに褒められていたのを思い出しました。あれは確かに良い字だったな。吾郎さん、字がコンプレックスと言うけれど、少しだけ綺麗に見えるポイントさえマスターすれば、それこそ味のある素敵な文字を書くんじゃないかという気はします。 そして、一方の外山さん、丸みのあるかわいらしい文字をかかれてます。ハガキに書いてる文字の配置もバランスが取れていて見やすいです。 林さんの診断によると、文字の角が角ばっておらず丸みを帯びている=“転折が丸い”ので、効率性を重視し、アイディアが豊富であり、クリエイティブな仕事をする人にこういう字を書く人が多いんだそう。 外山さんに比べると、吾郎さんの字は、ハガキ面に対して、住所の書き出しがかなり右端に寄ってます。こんな風に端に書くのは恥ずかしがり屋だそう。 林:(文字を見る限り)ちょっと壁に寄りたいかな、みたいな。 吾郎:あ、でも、あります、あります。もう、ずっと壁に寄っていたいです。 林:ふふふ(笑) 吾郎:人前なんか出たくない。テレビも嫌だよ。 林:恥ずかしがり屋。 吾郎:映りたくないよ。 外山:(笑) そして、吾郎さんと外山さんの文字には共通点もあって、2人とも文字の「トメ」が弱いと。従って書くのも速くなりますが、よく言えばもたもたせずに仕事が早い、一方ではせっかちであるとも言えます。 ただ、文字としてはしっかりトメた方が格好いいので、「吾」の字をサンプルに練習します。コツは、第一画目を凹んだ感じに、「五」の一番長い一画を、反らして盛り上がったように、そうして「口」は元気にやや大きめに書くのがいいそうです。 吾郎:ありがとうございます。何か、よかったねぇ〜。 外山:自分はね? 吾郎:(笑) 外山:あはははは(笑) エンディング。 いつもは普通に流して見ちゃうスタッフロールですが、冒頭、吾郎さんの名前のテロップが直筆だったように、スタッフさんの名前まで直筆に!!!これはやられたなぁ。こういうお遊びというか、チャレンジができるというのは、本当にいい番組だなぁ。くれぐれも、10月以降も番組継続を心から祈ります。 外山:吾郎さん、どうでした、今日は? 吾郎:いや、もう、勉強になりました。 外山:ねぇ・・・ 吾郎:本当恥ずかしくて。今までなるべく字に触れないで生きてきたんですけど。 外山:本当、新保さんのおかげでちゃんと字と向き合うことができましたもん。 吾郎:そう。今まで向き合ってなかった。 新保:そうですねぇ。意識するだけで全然違いますからね、やっぱり。 そうして、山田くんのハンコは、やはり新保さんの似顔絵なのですが、プロ野球阪神タイガースのファンということで、虎の応援ハッピを来た新保さんと、阪神タイガース応援歌の歌詞が書かれてました。この字を見て; 吾郎:山田くん、字、いいよ。 山田:あ、本当ですか?僕、字、汚くて結構書きたくないんですよ。 と、吾郎さんと同じようなことを言ってますが、キャラクターと合ってる字というか、こういうハンコ作品と組み合わせると悪くないですね。 新保:味ありますよ。 吾郎:味あるじゃん。「ぞ」とか。 山田:「ぞ」?!???!?!?!?!? 吾郎:「ぞ」好き。 山田:本当ですか。 新保:単純に(字が)コロコロとしてて、何か可愛らしい。 吾郎:できれば、字のコレクションにして頂いて…。 山田:よろしくお願いします。 新保:しっかりコレクションします。 (17.06.18 up) |
第252回放送 '17.06.08 24:58〜 塩田武士「罪の声」 オープニング。 吾郎:こんばんは。 外山:こんばんは。さて、今夜のゲストなんですが、日本中を震撼させたある未解決事件をモチーフにして書いた小説が今、すごく話題になってるんですが、その作家さんですよ。 吾郎:そうなんですよね。どんな方か、ちょっとお会いできるのが、はい、楽しみですけど。 外山:本格的なテレビ出演は、ゴロウ・デラックスが初めてということで。 吾郎:あ、そうなんですか? 外山:ええ。嬉しいですよね。 吾郎:王様のブランチにやられませんでしたか? 外山:あははは(笑) ゲストの塩田武士さん登場。元、神戸新聞の記者という経歴を持つ作家さんです。 外山:今回ね、本格的なテレビ出演は初めてということで。 塩田:そうなんですよ。ラジオは結構、出させて頂いているんですけど、テレビは初めてで。(スタジオにいるスタッフの)人数がすごいんだなぁ、と思って。 吾郎:すごい少ないですよ。スタジオ、はじっこでこんだけ・・・ カメラさんがスタジオ内の様子を映してますが、スタジオの片隅に5人ほどの姿が見えるだけ。(って、映らないところにはもう少しいらっしゃるでしょうけど(汗))。確かにゴールデンのバラエティと比べると少ないですね。 塩田:本当、見たら閑散としてますよね。 吾郎:そうなんですよ。 今回の課題図書「罪の声」は2016年に山田風太郎賞を受賞し、翌2017年には、本屋大賞の3位に選ばれたという話題の作品です。 吾郎:あと、今回は文学賞も受賞されて・・・ 外山:そうなんですよ、山田風太郎賞というものを、この「罪の声」でね、塩田さん、受賞されたんですよね。 塩田:はい。 吾郎:おめでとうございます。 塩田:ありがとうございます。 ちなみに受賞賞金は100万円。ただ、いつの間にか奥様に取られてしまってたそうで。といっても、生命保険に入ったらしい(笑) さてさて、本題。今回の小説「罪の声」は、昭和に起きた未解決事件である『グリコ森永事件』を題材としたフィクション。 吾郎:今、おいくつなんですか? 塩田:今、38歳です。 吾郎:この事件が起こった頃って、まだ? 塩田:そうですね、まだ・・・ 吾郎:4〜5歳? 塩田:そうですね。4つのときですね。まぁ、関西人なので。 吾郎:あ、関西だったのか。。。 塩田:ええ。「キツネ目の男」と、あと、母親に「お菓子食べたらあかん」って言われたの覚えてるんですよ。 外山:何かワイドショーで、とっても(事件につちて)やっていたのを何となく覚えているんですけど。 吾郎:覚えてる、覚えてる。 外山:お菓子をこう・・・ 吾郎:まぁ、でも、これ、時効を迎えてしまったんですけどね、結局。 塩田:2000年に完全時効。 吾郎:で、これはなぜ、小説の題材に選ばれたんですか? 塩田:大学3年のときに、21歳のときに、グリコ森永事件の本を読んでたんですよ。本を読んでたときに、初めて事件にですね、“子どもの声を録音したテープ”、これが利用されてたということを始めて知るんですね。(計算すると、その声の主は)僕と同い年ぐらいで、しかも同じ関西に生まれ育っている。そう思った瞬間に鳥肌がぶわぁ〜、っと立って、どっかですれ違ってるぞ、というのがあって、この子の人生、一体、何なんだろうということがあって、この小説を書きたいと思ったのがきっかけ。 ただ、小説家になってすぐに書けたというわけではなく、2010年に小説家になって当時の担当者にアイディアを話したときには『それは確かに面白い』『ただ、今の塩田さんの筆力じゃ書けない』と言われたんだそうです。 ああ、小説ってそういうものなのですね・・・。 塩田:ただ、『このネタは講談社のネタやから絶対他社には言うな』って口止めされて(笑) 外山:へぇ〜。 吾郎:へぇ〜。 塩田:そこから8作品積み重ねてやっと2015年になって当時の担当編集者と今の担当編集者が、「塩田さん、預かってるのをそろそろやりませんか?」って言われて。 ただ、塩田さんの方も、想いが強すぎて“どうしても失敗できない。怖くなって断った”んだそう。ただ、2ヶ月後、担当編集者の方も; 塩田:『僕らも人事異動があります。今だったら講談社が前面バックアップできます』と。『だから今しかないです』 吾郎:うん。 塩田:人事異動をちらつかせるという奥の手を 外山:あははは(笑) 吾郎:あはは(笑) そんな経緯があって気合を入れて書くことになったんだそうです。 まずは、小説の冒頭部分を吾郎さんが朗読。 テイラーを営む主人公の1人・曽根俊也が父親の遺品の中から黒革のノートとカセットテープを見つける場面からスタートします。そのカセットテープの声の主が主人公のものであること、その録音された言葉が『ギン萬事件』で使用されたものであることを知る。 吾郎:これがねぇ。これ、最初から、もう、つかまれちゃうよね。この(テープの声の)『ばすてい』っていう言葉が、これ、実際の? 塩田:実際の、そうです。警察が記者にテープを実際に公開したときの。子どもの声が聞こえた瞬間、びっくりしたって言ってましたね。ずーっと大人の声やと思い込んでるじゃないですか、こういう事件って。まさか子どもを使うとはという。 吾郎:ねぇ〜? 小説にはもう一人の主人公・全国紙文化部の新聞記者である阿久津英士が登場します。こちらは仕事で過去の未解決事件を追いかけることになり、曽根と阿久津、それぞれの視点で物語が進みます。 主人公をテーラーにしたのは、職人である静かな日常から、事件を知ってからの非日常との落差を表現したかったから。もう一人の主人公を記者にしたのは、自らの経験ですね。勝負作として自らを投影できるものにしたかったということと、記者が事件について調べていくことで、読者目線で描く事ができると考えたからだそうです。 主人公を2人にしたのは、追うものと追われるものとの描写にするためでしたが、それだとただの過去と現在の話になってしまうので、今の時代に書く意味というのを考えたときに、未来に向かって主人公2人が追いかける。未解決ゆえに未来が描けると思ったのだそうです。 従って、この小説はフィクションなのですが、相当取材をされた上での作品であるがゆえに、フィクションとノンフィクションの境界が分からなくなる部分があります。その例として塩田さんが選んだ文章(キツネ目の男=犯人について描写した部分)を吾郎さんが朗読しました。 吾郎:・・・これは・・・ん?ノンフィクション?? 塩田:実際に怪しい人間が、まぁ、大阪府警の特殊班も見ているんですが、極秘潜入していた滋賀県警の刑事も見てたということですね。滋賀県警はキツネ目の男がベンチのところに貼ってたって言うんですけど、1984年の11月14日っていうのは、まだ、キツネ目の男の似顔絵が警察部内でも公表されてないんですよ。 外山:へぇ。 塩田:つまり大阪府警しか知らない可能性が高い。滋賀の人も知ってたかもしれないけど、知らない可能性が高いんじゃないかというのがあって。となると、あの男っていうのが本当にキツネ目の男やったんやろか?っていうのが疑問で浮かんで、じゃぁ、2人いたんじゃないか?っていうのが小説家的な視点ですゆよね 外山:へぇ〜。 吾郎:これ、本当の事実関係はわかってないんですか? 塩田:わかってないです。本当にキツネ目の男かもしれないし、でも、違うかもしれない。 吾郎:確認のしようがないですね。 塩田:そうなんです。 外山:読みながらもね、感じましたけど、取材・・・ 吾郎:そう。 外山:大変だった・・・。だって、今だって、何年の何月何日。すぐ出てくるぐらい読み込んでるってことのですよね? 塩田:そうですね。 こういう大きな事件では、それなりに公開情報というものもあるようですが、それらを全て読み、当時の地図を調べて聞き込み調査に出向いたりとか、新聞記者さんならではの調査力を使った上での小説となってます。 スタジオにはスーツケースいっぱいに、そうやって集めた資料を実際に持ってきていただきました。その中には犯人からの脅迫状や挑戦状のコピーなんかもあり、捜査資料はさすがにテレビでは映されませんでしたが、塩田さんがかなり厚かましく警察の方に押しかけて集めた資料のようです。 吾郎:これ、やっぱり記者時代のさ。 外山:ねぇ? 吾郎:だって、僕、初めて見たもん、警察の捜査資料。 外山:そうです、私もです。 吾郎:恐いね、ああやって見ると。 塩田:これは当時からしたら、みんな記者がすっごい見たかっただろうなっていう資料だと思います。 ちなみに、この『罪の声』は、連載されていたものだそう。講談社のHPを見ると;
とあります。説明文の中に“大幅に加筆修正”とありますが; 塩田:(最初)連載をしたんですね。連載をして、打ち上げをする予定やったんです、その連載を終えた。どうもこの・・・編集者の様子がおかしいんです。何かこう・・・しんどそうな顔をしてる。何でかなと思って。まぁでも、『楽しみですね、発売!』って振ったら、『塩田さん、発売できません』って言うんですよ。『この原稿、大手術が必要です』って言われて、『書き直しです』って言われたんですよ。 外山:ええ! 吾郎:ええ! 納得できないと思っていたものの、過去に担当した編集者3人が原稿にエンピツ(コメント)を入れたものを見せられ、そこにはびっしりとダメ出しが。 ・文章のブラッシュアップ。 ・旅行ガイド/紀行文的な要素は読者はこの本に求めてないと思います。別の作品でぜひ。 塩田:こんな冷たい指摘あります?! 外山:あははは(笑) 吾郎:(笑) 塩田:そもそも、『別作品で是非』要らんやろ!! 吾郎:どう思ったんですか、これ、届いて? 塩田:最初やっぱり酷い会社やと思いましたね。それでも、それでも、情熱をすごい感じて。 吾郎:ご自身としては、それで書き直したものは、やっぱりそれは正しいやり方だったというか? 塩田:連載原稿から生まれ変わった瞬間に、イケるって思いましたね、さすがに(笑)。さすがにこれはイケるって思いました。 ここで塩田さんから吾郎さんにお願いが。 塩田:あの・・・僕、やっぱり新聞記者の経験をしてて、で、当時、上司にすごいプレッシャーをかけられていたときのことを、段々、忘れつつあるというか。それはちょっとダメなんじゃないか。もう一度厳しく、しつけてもらおうということで、稲垣さんにこの…、鬼デスク、これを完璧な関西弁でやっていただき、 吾郎:あははは(笑) 外山:完璧な…(笑) 塩田:完璧じゃないと、その当時に帰れないですから。僕も反省できないと思うので。 外山:大丈夫ですか?(既に爆笑)。“完璧な”ですよ? 吾郎:大丈夫ですよ。 外山:大丈夫ですか? 吾郎:当たり前じゃないですか! 塩田:この掛け合いをさせて頂きたい。 吾郎:プロですから、こっちは。 塩田:あははははは(笑) 外山:こんなこと言ってますけど、違うっていうのをビシビシ。 塩田:いやでも、プロという風に伺ったので。 吾郎:(笑) 外山:あははは(笑) 塩田:この原稿を直した編集者のような目でちょっと・・・ ってことで、小説の中の阿久津を塩田さんが、鬼デスクを吾郎さんが掛け合いで朗読します。 デスク:おまえはイギリスに…取材に行ったんか?それとも紅茶を仕入れに行ったんか。さぁ、どっち?取材か紅茶か? 阿久津:取材です…。 デスク:ほぉ〜。じゃぁ、これで企画の原稿、一本書いてみるか?まぁ、この内容やったらせいぜい五,六行やな。高い取材費かけて、ええ?お前、一行なんぼの記者やねん?引退前の落ち合いか! ・・・って、全く迫力ないわなぁ〜(笑) 塩田:さすがプロですねぇ〜 吾郎:あはははははは(笑) 塩田:全編やりなおしです。 外山:あははは(笑) 当然、ダメ出しされちゃいました。まぁ、分かってはいたけどさ。 ・・・でも、そうなると、吾郎さんは一体、この関西が舞台の小説をどういう風に読んでんでしょうね。頭の中の映像、覗いてみたいです、私は(笑)。 吾郎:今、(収録開始から)1時間半経ちますけど、初めて汗かきました。 外山:ちょっと、どのあたり? 吾郎:どのあたり???全部だよ!わかんないんだもん、関西弁。でも、いずれ、でもさ、そういう役来た時大変ですよね。 外山:そうですよ。もしかしたらこの話しだって映画化されるかもしれない。 塩田:あ、そうですよ! 吾郎:・・・。現作者の方にこれを見せたらさ、絶対ないでしょ、そんな(オファーが来るなんていう)話。 外山:是非ね、作品になるときは・・・ 塩田:いやいや、もうね、そんなありがたい話があったら・・・ 吾郎:(外山さんの顔を見て)笑ってる!(笑) 外山:いやいや、関西弁はね、ここから頑張りますから。 塩田:本当に半笑ですね! 外山:(笑) 吾郎:笑ってるんですよ。 外山:こっから頑張りますもんね? 話を戻して、記者時代の話。当時、新聞社は兼業禁止だったため、内緒で作家活動をされてました。それが賞を取ってしまったことで、内緒というわけにもいかなくなり・・・ 塩田:賞を獲って、編集局長に事情説明に行くことになって、そのときにどっちかにしろって言われたら、辞めようと思って実は、内ポケットに辞表を入れてたんですよ。 外山:へぇ。 塩田:もう、本当に理解のある編集局長で、『両方頑張ってくれ!がんばれよ!』って言われて、ありがとうございますって言って、ああよかったと思って、編集局長室を出てエレベーターで降りたときに、部長が、『塩田、あの…、受賞記事、自分で書いて』って言われて、『えっ』 吾郎:(笑) 塩田:『自分の受賞記事、自分で書くんですか?』『そうや』って言われて。『何でですか?』『お前が一番、詳しいからや』。僕、そのまま本当に自分の記者パソコンで“本紙塩田記者受賞”ってパーって打って、分からないところは講談社に電話して、『あの、すいません、神戸新聞の記者で今回の受賞者の塩田と申します。この賞のなりたちについて質問したいんですが…』って、質問して、本当に自分で記事を書いて、デスクから、『お前、絶対、訂正出すなよ!』って言われて、僕は生まれて初めて自分の名前を自分の免許書で確認させられて、 外山:あははは(笑) 塩田:そのまま、『よし、これでいこう!』って出して。 そのときの実際の記事が映し出されます。 吾郎:(記事の中で)“塩田さん”って自分で言ってますよ。 塩田:そうです。 外山:本当だ!! 塩田:これ、全部自分で書いてるんですよ。 吾郎:面白いね。間違ってないしね。 塩田:そうです。これ以上正確な報道は無いんですけど。ただ、いいんか? 最後は山田くんのハンコで締めでした。 (17.06.11 up) |
第251回放送 '17.06.01 24:58〜 齋藤孝「漱石を電子辞書で読む」 オープニング。 吾郎:こんばんは。 外山:こんばんは。さて、今夜は『声に出して読みたい日本語』のですね、火付け役。 吾郎:これ、2002年かなんかに、僕も、はい、読ませて頂きました。声に出して読んでました。 外山:はい、私も読んでました。 吾郎:すごくブームになりましたもんね。 外山:なりました。 吾郎:本当、気持ちよかったんですよ。 今夜のゲストは齋藤孝さん。『声に出して読みたい日本語』を書かれた方で、明治大学教授である教育学者です。日本語にまつわる本を数多くだされていて、今回のゴロウ・デラックスでは「漱石を電子辞書で読む」という本について。 早速、スタジオに入ってきて頂き、トークスタートです。 外山:齋藤先生、吾郎さんとは? 齋藤:あ、今日は初対面ということで、よろしくお願いします。 吾郎:はい、よろしくお願いします。 外山:初めましてですか? 吾郎:そうですね。 外山:へぇ〜 吾郎:初めましてではないんですか? 外山さんと齋藤さんは、一度、永六輔さんとやっていたラジオにゲストに来て頂いた事があるんだそうです。 吾郎:何か、今日、言葉・・・緊張しちゃいますね。 外山:(笑) 吾郎:言葉のチョイス・・・ 齋藤:あははは(笑) 外山:でもね、先生って言葉遣いとしては、間違えてることがあるとするじゃないですか。だけど、面白い発想ですね、って思ってくださること、あるんですよね? 齋藤:そうですね、生徒に対しては、常にポジティブにしか向かわないんで。困ったときには、“ファンタスティック”って言う。 外山:そう!“ファンタスティック”って(笑) 吾郎:そこは“ファンタスティック”なんだ。 課題図書「漱石を電子辞書で読む」ですが、タイトルの通り電子辞書を使いながら夏目漱石の小説を読んでみましょうという本ですが、何気なく読み飛ばしてしまう言葉を電子辞書で調べることで、語彙力を上げることができると語っていらっしゃいます。ちなみに、今年は夏目漱石生誕150年なんですって。番組では、『坊ちゃん』と『こころ』を取りあげます。 が、その前に、なぜそもそも漱石なのか? 齋藤:今の日本語を作ったのは漱石だったんですよね。 吾郎:現代のね。 齋藤:これは、普通に今、書いたり読んだりしてますけど、こういう日本語の前は、もっと古い日本語だったと思うんですよ。漱石のは今でも読めますよね。 吾郎:そうですね。時代劇の台本とか、大変だもんね。 齋藤:そうですね。まぁ、漱石が使っていた日本語がスタンダードになっていったっていう意味では、漱石の語彙を知ると、大体、日本語の基盤ができる、っていう。 だから今でも国語の教科書で使われていたりするんですね。 さて、ここからは齋藤さんの“授業”がスタートします。って、本当にスタジオに教壇が用意されてるし。齋藤さんが個人でお持ちの電子辞書(EX word)と同じものが、吾郎さんと外山さんの目の前にも置かれていて、講義にあわせて実際に使ってみます。 まずは、『坊ちゃん』の一文を吾郎さんが朗読。 それ以来蒼くふくれた人を見れば必ずうらなりの唐茄子を食った酬いだと思う。 吾郎:・・・ありがとうございます。 齋藤:心に入ってきますね。 吾郎:本当ですか? 齋藤:ええ 外山:ふふふ(笑) 吾郎:気持ちいいですね。エクセレントですか? 齋藤:エクセレントですね。 外山:ファンタスティック? 吾郎:ファンタスティックか。 齋藤:いや、エクセレントです。 とにかく、褒められて悪い気はしないですよね。 齋藤:これはあれですか?聞き慣れない言葉とかありますか? 吾郎:ちょっとわかってなかったんですけど、そもそも、この「うらなりの唐茄子」って、どういう野菜ですかね? 齋藤:あははは(笑)。確かに。「うらなりの唐茄子」・・・ということで、ここで、ほっとかないで辞書を引いてみるという。 では、電子辞書でうらなりを引いてみましょう。 齋藤:外山さんの方が若干早い結果・・。 吾郎:あはは(笑) 外山:(自慢げに)出ました!ふふふ(笑)
さきっぽなので栄養が行き届いてない実を指す言葉のようです。もう1つの意味としては;
吾郎:これじゃないですか、これ。 齋藤:これですねぇ。うらなりって、これが漱石がこういう意味合いで使ったんで。 吾郎:だから辞書にまで出てるって。 では、もう一つの唐茄子ですが。。。
という他に;
ということで、こういった言葉から、登場人物の容姿として、栄養が行き届いていない青白い顔の人物像が思い浮かべることができるというわけです。 坊ちゃんの冒頭の部分に戻って、次に外山さんが朗読します。 小学校にいる時分、学校の二階から飛び降りて、一週間ほど腰を抜かしたことがある。 齋藤:この中には実はですね、坊ちゃんを読み解くキーワードがあるんですね。何がキーワードでしょうか?一つ選らぶとしたら? 外山:無鉄砲 吾郎:無鉄砲・・・ 齋藤:そうです。この無鉄砲が全編通して無鉄砲が続くわけです。 と、齋藤さんが解説している間にフライングして「無鉄砲」を調べ始めた吾郎さん。さっき、外山さんより調べるのが遅かったのが余程悔しかったと見えるwww 齋藤:いいですねぇ。こういう生徒がいると本当に助かります。 いやいや、そんな先回りするんじゃなくて、ちゃんと授業を聞いた方がいいと思うよ…(汗) さて、吾郎さんが先回りして無鉄砲の意味を調べた結果;
と出てきますが、今度はここにある「理非」という言葉がよく分かりません。そんなとき、電子辞書だと一発で飛べるわけです。
小説「坊ちゃん」では、『無鉄砲』というキーワードを最初に出すことで、どういう話が展開されるか目線付けたのが夏目漱石のすごさだと齋藤さんは語ります。 続いての教材は、「こころ」。その中の一文を吾郎さんが朗読。 「私は過去の因果で、人を疑りつけている。だから実はあなたも疑っている。しかしどうもあなただけは疑りたくない。あなたは疑るには余りに単純すぎるようだ。私は死ぬ前にたった一人で好いから、他を信用して死にたいと思っている。あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。あなたははらの底から真面目ですか。」 「もし私の命が真面目なものなら、私の今いった事も真面目です。」 私の声は顫えた。 外山:先生みたいでしたよ。 齋藤:これはね朗読CDとして売りたいぐらいです。 吾郎:・・・ありがとうございます。 齋藤:いやぁ〜、吾郎さん、気品がありますね、声にはね。 吾郎:気分がいいですねぇ〜。のってきましたよ。 齋藤:いい感じですね。ではこの中でのキーワードは何だと思われますか? 吾郎:キーワード、ああ、でも、真面目ってことばが4回か。 齋藤:そうですね。これでキーワード分からなかったら、ちょっとどうしようかと思いましたけど。 外山:あははは(笑) この『真面目』という言葉。「こころ」の中に全部で20回出てくる言葉なんだそうです。これを電子辞書で調べてみると;
こうして辞書で引くと、普段、日常で使っているのよりも重たい意味があることに気付きます。 吾郎:何か今、カタカナぐらいの印象がありますよね。マジメっていう。 齋藤:漱石の頃の真面目というのは、非常に重い言葉で、真面目に生きるかどうかが、もう、人物の評価の分かれ目なんですね。真面目でないと言われたら、ダメ人間だと言われたのと同じなわけですね。 吾郎:これは真面目という言葉が簡単には使えなくなってきますね。 齋藤:そうですね。「あなたははらの底から真面目ですか。」ですよ。こんなこと言われたらどうですか? 外山:耐えられないですよね、そこまで言われちゃったらね。 では、この流れで、『はらの底』を辞書で引きます。
胸よりも更に奥の奥という意味なんでしょうね。 齋藤:「切腹」というのは本当の本心を出すという。 吾郎:ああ、だから腹なんですか。 齋藤:そうですね。 吾郎:腹黒いとか。 齋藤:腹黒いと言われたら人として終わっている… 外山:そういうことになっちゃいますね。 吾郎:腹が立つとかもそうなの?結局。頭にきたとか? 齋藤:頭にきたよりももっとはらわたが煮えくり返る感じ? 外山さんが「こころ」のクライマックスシーンを朗読。 私はわざとそれを皆なの目に着くように、元の通り机の上に置きました。 そうして振り返って、襖に迸るっている血潮を始めてみたのです。
そんな血潮が迸るというとても激しい様・・・それが小説に出てくるKの最後の命の形として描写された言葉なのです。 最後に出てくる襖ですが、普通は何気に読み飛ばしてしまう部分ですが、この小説では21回も出てくる言葉。主人公とKの関係性をこの襖で示したものなのだと齋藤さんは解説されます。その襖に血潮が迸るというのは、それだけ強烈な印象を主人公に残す映像なのです。 齋藤:真面目、血潮、襖・・・このあたりはですね、大変この小説全体のキーワード。 吾郎:へぇ〜。それを踏まえてまた読むと。 齋藤:そうなんですよ。これ、堪らないでしょ、もう。電子辞書引いたら引いたでご機嫌になっちゃう。引けば引くほど言葉が楽しくなっちゃう。 最後のハンコは、齋藤さんを夏目漱石であるかのように、1000円札の肖像画となってました。齋藤さん、大絶賛ですが、褒められ慣れしてない山田くんはどうしていいかわからない風でした。 おまけ。 この「こころ」の小説は最初は、出版社側にお金がなくて、漱石側がお金を出したという、いわば自費出版だったそうです。 (17.06.04 up) |