ゴロウデ・ラックス'17年01月放送分

 

'17年01月放送分
第233回放送
17.01.12
第234回放送
17.01.19
第235回放送
17.01.26



♪番組の説明

祝・4年目突入!!『ゴロウ・デラックス』とは…?
SMAPで一番おしゃべり好きの稲垣吾郎がMCを務める業界唯一無二のブックバラエティ
毎週1冊(課題図書)、巷で話題の本からベストセラーまで様々なジャンルの本を深く紹介!!
さらに、
大御所作家先生からまだテレビに出ていないニューキャラまで幅広いゲストをお迎えし、トークする番組。


 

第235回放送 '17.01.26
浅田次郎「黒書院の六兵衛」

いつものオープニング。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さぁ、今夜なんですが、作家界の重鎮の方がいらっしゃいます。
吾郎:はい。ちょっと緊張しますよね。
外山:そうですね。
吾郎:どうしよう、怖い方だったら。
外山:ええぇ〜(笑)

それぞれの席に座って;

吾郎:いやー、でも、嬉しいですよね。この番組に。
外山:嬉しいです。まさかね、いらして下さるとは思いませんでした。
吾郎:ねぇ?ずっとオファーし続け。
外山:ようやく。
吾郎:はい、ようやく。

ここでゲストの浅田次郎さん登場。お着物姿で来て下さいました。

吾郎:いつも、直木賞・芥川賞が発表されると、そのゲストの方に。
外山:そうですね、お話伺いますよね。
吾郎:審査する側の、選考委員の方のお話って、あんまり聞いたことが、実は…
外山:そうなんです。
吾郎:無かったんですよね。

そう、今回のゲストの浅田さんは、過去に直木賞を受賞された作家さんですが、現在はそれを選考する側の方だったりします。今回の第156回直木賞の選考も関わられました。

外山:今回はね、恩田陸さんが直木賞受賞されましたが。
浅田:今回の作品は、音楽と言う言葉では本当は、字では表すことができないものを果敢に挑戦して小説にしたっていうところに良い評価があがりましたねぇ。
吾郎:どんな話し合いをされるんでしょうね、その…料亭なんですよね。
外山:新喜楽(という料亭が選考会場になってます)
吾郎:結構、長い時間なんですか?
浅田:みなさん、熟読してきますからね。選考委員も9人…
外山:直木賞は、はい。
浅田:いますけれども、少なくとも2時間…もっとありますかねぇ。そのときによって時間は違いますけどね。
吾郎:へぇ〜。
浅田:ま、あっさり決まっちゃうときもあれば、中々決まんない時もありますから。
吾郎:最初、本題に入る前に何か、いろんなお話とかされますよね?

そういえば、ゴロウデラックスに過去にゲストで来て下さった作家さんの中には、選考委員の方もいらっしゃいますよね。そういう話をしたことあったりするのかなぁ。

浅田:あ、これは不思議なものでね、あの…
吾郎:どんな感じなんですか?
浅田:会場になる座敷にはいきなり入るわけではないんですね。
吾郎:はいはい。
浅田:で、そこの芥川賞が1階で、直木賞が2階でやってるんですが、同じフロアにある別室に、まぁ、控え室に集まって、メンバーが揃ってから選考会場に行くという形なんですけども。控え室に集まってるときには、不思議なぐらい、この、作品に関する話題はしないですね。これはタブーですね。
吾郎:タブー?
浅田:タブー。世間話しかしない。それで、会場に入って、コの字型に席が組まれてるんですが、そこのお座敷で、入ったところからスタートと。
外山:へぇ〜
吾郎:へぇ〜
浅田:お互いの先入観、全く無いですね。
吾郎:すっごい緊張感ありそうですよね。
浅田:やっぱり、他の文学賞の場合は、何々賞作家って言われないでしょう?でも、直木賞作家の場合は、一生、直木賞作家。とても作家の人生の中ではかなり重たいものなんですよ。その人の作家人生を決めるっていう緊張感は、その選考会場には、それが一番ありますよね。
吾郎:そうですよねぇ〜。何かちょっと白熱して、空気が悪く…揉めてしまったりとか、そいうことにも?
浅田:ありますよ。
吾郎:なってしまいますよね、真剣ですからね。
浅田:うん。その人の読み方によって、やっぱりそれぞれ小説は違うから、だから、孤独の「○」になっちゃうときもあるし、孤独の「×」ってなるときもあるし。そのときは責任持たなきゃダメなんですね、その理由に対して。だから、ちゃんと論理的な説明ができなければならないですから。
外山:
吾郎:あれ、俺だけ違った、みたいな?
外山:ねぇ。
吾郎:先輩の作家さんにはちょっと言いづらいとかさ、そういうのがありそうだよね。
浅田:それはあんまり無いですね。
吾郎:そこは無いですか?そいうのは平等に?
浅田:それは意外と文壇というのは、先輩後輩っていう考え方は無いと思いますね。あんまりそういう序列というのは意識しないですね。
吾郎:ああ。。。であって欲しいですけどね、ついね、選考委員になった一年目とかだったりとか。
外山:ちょっとね、自分の意見言っていいのかなとか思っちゃいますよね。
吾郎:言っていいのかなぁ〜みたいになっちゃうよね。

今回の直木賞の発表は、浅田さんが代表して記者さんの前で発表されてます。

吾郎:会見をされる方っていうのは。
浅田:今回、僕、久しぶりでしたね。
吾郎:そうでしたね。それはどうやって決まるものなんですか?
浅田:えっとねぇ、一応、推した人の誰かがね。でも、受賞するからには大概の人が推してるから、そいういうときっていうのは、選考会終わった途端にトイレ行った人なんですよね、大体ね。
外山:あはははは(笑)
吾郎:えっ!?
外山:あ、そうだったんですか?
浅田:今回そうなんです。前も同じパターンのときがあったんで。
外山:あはは(笑)
吾郎:(^^;)
浅田:だから、帰ってきたら決まってたんですよ、「じゃぁ、浅田さんお願いします」ってことになってたから、これはしまった、トイレ・・・
外山:あははは(笑)
浅田:トイレ行ったせいかと思ってね。まぁ、それも7,8年前の話しだったんで、今回はうっかり行っちゃったんですね。
外山:(笑)。7,8年前だったので、ちょっとね。

ゴロウデラックスだからこそ聞けるエピソードですね。


そして今回の課題図書『黒書院の六兵衛』。日経新聞に連載の小説で、大政奉還前、江戸城明け渡しの期日が迫る中、場内に無言で座り続ける正体不明の武士・六兵衛が主人公の小説です。
その主人公が最初に登場したシーンを吾郎さんが朗読。

外山:キチンとした人なんだ。
吾郎:キチンとしてるってことですよね。何か、最初は歴史小説だから難しいのかなぁって思ったけど、やっぱりもう、恥ずかしいんですけれども、言葉が分からない言葉があったりとか。
外山:私もです。
吾郎:でも何か、どんどんどんどん引き込まれましたし、すごく読みやすかったですし。
外山:そうなんです。
吾郎:サスペンスとかミステリーみたいな感じで。
外山:面白かったぁ〜。

最初は、江戸城の中で謎の侍と鬼ごっこをしているという夢を見たんだそうです。それがすごく怖かったそうなのですが、それで色々と想像しているうちに話が出来上がったと。

浅田:日経新聞の締め切りも迫ってることだし、これにしよう・・・
吾郎:(^^;) 夢でこれにしようって…


話の筋は大体決めてから書き始めるという浅田さん。ただ、あまりきっちりとは決めずに書き始めるようで、最初からノートにきっちりと決めてしまうこともあったようですが、それをすると話が広がらず、弾力性を残しておかないとダメだと感じてからは、ノートを作るのをやめてしまったんだそうです。
今回は新聞連載のもので、読者も楽しみつつ、小説家としても楽しみながら書かなきゃいけない、そんな書き方をされていたそうです。

そして、吾郎さんがポツリと;

吾郎:ちょっと映像になったところも観てみたいですよね。

なんて言ってみた所、冗談で浅田さんも;

浅田:どうですか、あの、主人公で。

とか言ってみた所;

吾郎:あ、よろしくお願いします。

即答かい!!(笑)

外山:(笑)
吾郎:本当ですか?先生が、もう、僕って言えばいいんですよ。映画化したいんですけど、浅田さんって行った時に、あ、主人公はゴロウデラックスって番組で会った稲垣君じゃなきゃやらないよ、って先生が一言言えば、絶対に僕はできます
外山:あははは(笑)
浅田:台詞の無い主人公ですよ?かつて無かったんじゃないですかね?
吾郎:(笑)。でも、役者としては、これは役者冥利につくというか、演技のね。
浅田:これは、その、しなのよさとか、表情のよさとかよっぽど無いとできないでしょうね。
吾郎:初め、ちらっと見て目線を落としたとかって描写があったじゃないですか。ああいう、難しい・・・。まぁ、(主人公も自分も)40前後ですから!
浅田:(笑)
外山:そうですね…(笑)

原作者に面と向かって売込みとは、ちと図々しいとは思いつつ、だけどこういう売り込みも必要だよなと最近、特に思います。実現する/しないじゃなくてね。実現するといいな(言霊)。


さて、ここで、浅田さんがこれまでに出版された小説を振り返ります。
今も4本の作品を同時に連載されてます。ただ、似たような話は書かないようにされていて、混ざらないようにしていると。一方で、こちらの小説は筆が乗るけど、違う作品はあまり筆が進まないというケースもあるようです。

初めての文学賞は、『地下鉄(メトロ)に乗って』で第16回 吉川英治 文学新人賞を受賞。えっ、新人賞?と思いましたが、作家になりたいと思っても中々なれなかったんだそうです。

浅田:中々デビューできなくて、40になるわけなんだけど、デビューした後もあんまり信じなかったですね、自分の、もう大丈夫だという風には思わなかった。今だってそんな思ってないですよ。
外山:今でもですか?
吾郎:今でもですか?
浅田:そらぁだって、何の保証もないですから、仕事の。
吾郎:これだけ・・・
外山:そうですよ。
浅田:だからこうやって書き続けなきゃならないっていうのは、自分で怖いんでしょうね。書いてないと怖いの、自分で。
吾郎:そっか、でも、先ほど直木賞ってものをとると、人生…、直木賞作家になるって冠もつくわけじゃないですか、自分の。何か、自信にもなってさ・・・
浅田:そういう意味では文学賞はすごく励みにはなるんですよ、自分の。もう大丈夫だぞ、もう大丈夫だぞ、って言われてるような気がするんですよ。でも、それって、やっぱり頭の中では信じていいものかどうかって思っちゃう。
外山:へぇ…。
吾郎:でもそれが、ずっとやり続ける原動力だし、やり続けられるってことなのかな。
浅田:自分からこれを取ったら何も残らないという怖さもあるんですよ。普通さ、ちゃんとした教育を受けて、ちゃんとした会社に行ってっていう人は、例えばその会社辞めてもどこかの会社に行くだろうと思うけども。
浅田:これは…読み書きすることができなくなったら、何の取り柄があんだろうって話しを考えてみたんだけど、何にもないのよ。
外山:でも、それってすごいですよね、自分からこれを取ったらって思えるものがあるっていうのが凄いですよね。
浅田:これ・・・これを教えてくれたのが直木賞でしたね。直木賞頂いたときにすっごい皆さんに祝福されたときにそのことに気がついた。
吾郎:直木賞で安心するのではなくて、より自分に対してそういう。
浅田:複雑な気持ちだったですね、それがありがたくもあったし、また怖くもあった。


ここで、とある雑誌に掲載された浅田さんの仕事場の写真を紹介。障子もあるような和室に着物姿で執筆されてます。

吾郎:格好いい!いわゆる作家さんの佇まいじゃないですか、この…着物着て
浅田:着物着てるのは伊達じゃないんですよ。あの…、畳に座るタイプの人は、着物じゃないと長くは座れないんですよ。
外山:ああ・・・
浅田:ズボンは絶対ダメ。
外山:
吾郎:胡坐かかれてるんですよね?
浅田:うん。じゃぁ、なぜ畳に座るのかって言ったら資料が置けるから、360度に置けるから。

今回の課題図書で言うと、江戸の地図を右側に置いて、左側に江戸城の図面があって、背後に辞書などが置いてあったりと、そんな状態なんだそう。

浅田:だから、資料を使う時代小説作家というのは、畳に座わらねばならず、畳に座るときには長くもたないから着物を着なければならず。だからこれ、仕事着ですよ。だから外に出るときは着替えますよ。
吾郎:えっ、逆に?
浅田:もちろん。
外山:ええ!!
浅田:だって恥ずかしいじゃない。
吾郎:いや、格好いいですよ、このままでいきましょうよ。
外山:何で恥ずかしいんですか?!
浅田:作家の家から着物来て出てきてみな?近所の人。恥ずかしいよ?!
外山:何でですか?
吾郎:いやいやいやいやいや。
浅田:せめてトレーニングウエアに着替えます。
吾郎:いや、トレーニングウエア、ちょっとびっくりしちゃいます。だって、(着物姿が)格好いいですもん。安心しますし。これであって欲しい。
浅田:今日もTBSさんに着物を着てきてくれって言われたから着物を着てきたんで。だから、近所の人の目につかないように、飛び乗るんですよ車に。
外山:ええ!!
吾郎:全然・・・
浅田:恥ずかしいじゃない。
外山:浅田さん、着物ですよ。
吾郎:着物でいいんです!
浅田:だから、普段の生活は割と洋風。食べるものも割と。
吾郎:あ、そうなんですか。
外山:じゃぁ、お茶とかじゃなくて、コーヒー飲むんですか?
浅田:コーヒー飲む。コーヒーばっかり飲んでますよ。
外山:お好きなんですね。
浅田:さっき楽屋で、お茶の冷たいのと温かいのとどちらにしますか?って。そういう風にしか見えないのかなぁ、って。
吾郎:(笑)
外山:イメージがね。
浅田:コーヒーっていう選択肢が普通あるでしょう?!
吾郎:イメージが勝手に。
浅田:一応、あわせて、温かいのを・・・
外山:言ったんですか?!


そして、次に見せていただいたのは、こだわりの原稿用紙。浅草・満寿屋というお店のものなんだそうですが、やはり手書きということにこだわりはお持ちのよう。

浅田:原稿用紙に字書くの、好きなんですよ。気持ちいい!エクスタシー?
外山:へぇ〜
吾郎:へぇ〜。嬉しいですね。
外山:ねぇ?
吾郎:(イメージとして浅田さんが)パソコンじゃ嫌だよね。
外山:よかった、そこはね(笑)
浅田:覚えようとしたんですよ。でもね、やっぱり、エクスタシー感じなかった。速いのは分かるし、読みやすくなるのも、それは分かった。これはすごい武器になるだろうなとは思ったけど、気持ちよさが足りなかった。
外山:気持ちいいっていうのはねぇ?
浅田:それは機械に半分、渡してるような感じがした。
吾郎:肉体の一部じゃないと・・・、肉体から出るものですから。
浅田:だからねぇ、そのときに、やっぱり辞めよう、と思ったのが今日に至る。


そんな話をしているところで、山田くんのハンコ。浅田さんにちょんまげをつけて、六兵衛さんをイメージした作品でしたが、浅田さんの反応は薄かったかなぁ・・・(汗)


(17.02.05 up)



 

第234回放送 '17.01.19
町山智浩「さらば白人国家アメリカ」


オープニング。

外山:こんばんは。
吾郎:こんばんは。
外山:普段はですね、今夜のゲストの方、アメリカに住んでるんだそうです。
吾郎:ねぇ。アメリカといえば、結構、僕、入国しづらいんですよ。
外山:えっ、何でですか?
吾郎:何か、アメリカに行くと、結構、止められることが多いんですよね。
外山:ええ!

ならばヨーロッパ方面とかでいいんじゃない?(笑) またショパンみたいなドキュメント番組、見たいわ〜


今夜の課題図書は、町山智浩さんが書かれた「さらば白人国家アメリカ」。町山さんご自身も、今はアメリカに住んでいらっしゃって、今回の番組出演のためにわざわざ日本に戻っていらっしゃったと。
・・・えっと、この番組のギャラ、飛行機代が出るぐらいもらえるのかしらん?と、すぐにお金のことを心配してしまった私を許して。。。

町山さん、私自身は映画評論家のイメージしかなかったですけど、元々は宝島社の編集者さんで、映画秘宝を創刊した編集長さんでもあります。今はアメリカにお住まいということですが・・・

吾郎:何か持ってきて下さった。
町山:はい。アメリカで買ってきたものがあるんで。

と言いながら取り出したのは、この放送日(1月20日)アメリカ大統領となったトランプ氏のイラストが描かれた靴下。他にもトイレットペーパーも。

吾郎:トイレットペーパー、すごいね。
町山:大統領の顔でオシリを拭くと。
吾郎:怒られないんでしょうかね、アメリカでは。
町山:ねぇ。いや、別に。
吾郎:自由の国と言ったって。


さて、最初に今回の本を出したいきさつを。映画評論として活躍されている町山さんですが、2004年当時の大統領選のときに、大統領選や政治について書いて欲しいと言う雑誌社からのオファーがあったそうで、そのときの経験もあり、昨年の大統領選についても各地を回って取材をし、今回の本を出されるに至ったそうです。

吾郎さんがトランプ氏について書かれた部分を朗読。

外山:町山さんはどっちが勝つと思ってたんですか?
町山:トランプが勝つとは全然思ってなかったですよ。
吾郎:やっぱりそうなんですか?
町山:投票日の朝の、ヒラリー・クリントンさんの勝利の可能性は83%だったんですよ。

番組でも改めて説明されてましたが、票としてはヒラリーさんの方が200万票多かったのが、アメリカ独自の選挙人制度により、逆転しちゃうんですね。

町山さんの分析では、ラストベルト(五大湖周辺の地域。昔、鉄鋼・自動車などで重工業が栄えた地域)の人たちは、自由貿易協定であるTPP、NAFTA反対のトランプさんに票を投じたために、トランプ大統領が誕生したのだろうと。
他に、トランプ支持者の集会に行くと、銃・ライフルをあからさまに携えた人たちがいるのだそう。銃の携帯が許される州の人たちがトランプさんを選んだという相関もあるみたいです。

今回の課題図書には、実際にアメリカに住んでいる町山さんならではの、アメリカの現状を取材していること。喩えばマリファナ(大麻)は、最近、合法化される州が増えているのだそう。むしろ、元々、大麻使用者があまりにも多く、解禁しても社会的に影響が無かったらしい(笑)。むしろ、規制して、逮捕、検挙に税金を投入するよりも、大麻に税金をかけ、収入を得た方が合理的ということなんでしょうね。


さて、話がどんどん飛んじゃいますが、町山さんの本業、映画評論について。最近、凝っているのは、ビデオもDVDにもなっていない映画を探して観るということ。逆にそういう活動をしていると、日本のビデオ会社がビデオ化したりということもあったりするそう。

そんな作品の中から、今回、番組では2本を紹介。

1本目は『裸のジャングル』という映画。アフリカで象牙を乱獲するハンターたちが、原住民たちの怒りを買い、逆に捕まって狩られる側になるという話。実際に、アメリカであった話がベースになっているそうです。 吾郎さんは「面白いなぁ。これ、絶対観たいなぁ」とは言ってましたが、本当に観るのかなぁ。まぁ、吾郎さんは社交辞令で「観たい」と言う人ではないのだけど。

2本目は『フェイズW 戦慄!昆虫パニック』という日本未公開の映画。タイトルからしてB級映画の香りがぷんぷんしますが、ヒッチコックのスタッフだった人が監督した作品で、異常気象で高度な知能を持った蟻が人間に対して反乱を起こすというSF映画。


最後の山田くんのハンコは、時間があまり無かったのでと言い訳しながら、初めてハンコと切り抜き写真のコラ作品となりました。でも、ハンコとコラージュを組み合わせるのも新しくていいんじゃないかな。


(17.01.29 up)



 

第233回放送 '17.01.12
売野雅勇「砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々」


2017年最初の放送・・・といっても、いつもどおりのオープニング。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さて、今夜のゲストは80年代の歌謡曲黄金時代を牽引した作詞家の方です。
吾郎:はい。
外山:吾郎さん、この頃好きだった曲ってあります?
吾郎:いや、いっぱいありますよ、だって。
外山:ええ。
吾郎:姉がだって、ほら、チェッカーズとか。ねぇ、大ファンだったので。うちのお姉ちゃんはアイドルになりたかったんですよ。
外山:ええ!そうなんですか。
吾郎:弟の方が顔がいいから、僕がアイドルになったんですけど。
外山:ふふふ(笑)。自分で言ってますけどね。
吾郎:(黙ってうなづく)



今回の課題図書は、「砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々」。著者の作詞家・売野雅勇さんが当時の思い出を綴った本だそうです。

吾郎:こんなにも名曲を・・・っていうか、あの曲もこの曲も、全部売野さんなんだなぁ、っていう。
外山:本当。ねぇ!?
吾郎:ちょっとお話伺うのが楽しみですけれども。


今回のゲスト、売野雅勇さん登場。中森明菜さん、チェッカーズ等々、番組冒頭のVTRで売野さん作詞の曲が紹介されてましたが、確かに『80年代アイドルブームの立役者』と言っても過言では無いぐらいのヒット作を手がけていらっしゃいます。今回はそんなヒットソングの舞台裏についてトークします。

まずは、本のタイトルの『砂の果実』という言葉。これは、中谷美紀さんに書いた曲から、編集者の方が選んだものだそうです。この曲の作曲は坂本龍一さん。

吾郎:この頃、すごくこう…、坂本龍一さん、元々僕、大ファンだったので。
売野:はい。
吾郎:何か、コンサート行かせて頂いたりとか、あと、雑誌の対談とかで、お会いさせて頂いて、レコーディングスタジオにも遊びに行かせて頂いて…。
売野:ああ、本当?
吾郎:すごい、可愛がって下さったんですね。
売野:ああ、そう?
吾郎:その頃にちょうど、女優の中谷美紀さんをプロデュースし始めたので、中谷さんのコンサートやライブ会場にも、僕、行かせて頂いて。
売野:あ、本当?
吾郎:この『砂の果実』って曲、本当にいい曲だなぁって思って。
売野:うん。
吾郎:大好きでした。まだシングル(サイズのCD)の時代で。
売野:そうねぇ。
吾郎:(坂本龍一さんの)娘さんも歌ってらっしゃるんですよね。
売野:あ、そうそうそう。
吾郎:美雨さんも。暗いんだけどね。
売野:暗いの。
吾郎:生まれてこなければよかったんだ、本当はよかったんだ、っていうような。僕は砂の果実っていう、氷点下の青空ってね。
売野:そうそうそう。

元々、坂本龍一さんから売野さんに、とにかく暗くて、暗さにドキドキする詞を書いて欲しいと言う注文があったのだそう。そこで、太宰治の(作品の中にあった)『生まれてきてすみません』というフレーズを軸に、詞を書いたのがこの曲なんだそうです。


そしてここから、『売野雅夫ヒットソング・ザ ベストテン』のコーナーに(笑)。何とスタジオには、『ザ ベストテン』の番組で実際に使っていたものが用意されました。

吾郎:えっ、本物?
外山:本物ですよ。
吾郎:当時のまんま?
外山:一台しかないんですからっ!

と、外山さんが必死にアピールしているのに、本当に当時のものなのか、疑いのまなざしで見ている吾郎さん。

吾郎:絶対、こういうほら、TBSのバラエティで使うからだよ!
外山:違うんですって!!
吾郎:本当に?
外山:そう。今回、特別に貸してもらいました。


  第10位 少女A 中森明菜 1982年

この曲は元々、沢田研二さんのために作った曲を書き直したものなのだそうで、沢田研二さんには、男性が少女を誘惑する詞を書いたのが没になり、それを少女目線で書き直したのが『少女A』なのだそうです。 しかし、逆に中森明菜さんはこの曲を歌いたがらなかったのだそう(そりゃそうですよね(笑))。でも、それがヒットするから分からないですよね。


  第9位 め組のひと ラッツ&スター 1983年
  第8位 涙のリクエスト チェッカーズ 1984年


吾郎:当時のアイドルの方々ってさ、やっぱり本人たちと、その、歌っている姿っていうのがダブって見えるよね。
外山:うんうん。
吾郎:だから、チェッカーズなんて、僕ら、この人たちが作ってる歌詞って、バンドだから自分たちが作っている楽曲だと、僕、ずーっと思ってましたし。
外山:思いましたね。
吾郎:そこに歌わされている感じが無いんだよね。
外山:ない!はい。
売野:アイドルっていうと、アイドルの私小説でね、自分の物語であるかのごとく歌うっていうのが普通になっちゃって、ちょっと、いい傾向なのか悪い傾向なのかわかんないんだけど、そうするとトータルでパッケージとしてすごい売れるものができる、プロダクトとして価値が上がるみたいな感じで、そうやって作られてた事があったね。
吾郎:うん。

吾郎さん、自分もアイドルだったのに、この辺のことをものすごく客観的に語ってますね。逆に、自分たちのことをどう見ているか、まぁ、今すぐには無理なんだろうけど、そんな話も聞きたいなぁ、なんて思いました。

吾郎:僕がさぁ、この芸能界に、こう…、会社にね、履歴書送るときに、この頃のチェッカーズのフミヤさんをバックに写真を撮った。あ、テレビに映っているフミヤさん、テレビで映ってアップで歌っているフミヤさんの前に立って、それでフミヤさんと同じ格好をして、真似してる写真で、僕、送ったんです。
外山:へぇ〜。
売野:あ、そう(笑)
吾郎:はい。(カメラに)写真お貸ししますけど。

で、間に挿入されたのが、当時の吾郎少年の写真。ん?ちょっと雰囲気が違う。

吾郎:ちょうど、中学、僕が2年の頃。ねぇ、懐かしいなぁ、と思って。


  第5位 ジュリアに傷心 チェッカーズ 1984年
  第4位 神様ヘルプ! チェッカーズ 1985年
  第3位 2億4千万の瞳−エキゾチックジャパン− 郷ひろみ 1984年

売野さんが、『2億4千万の瞳』の詞を書くにあたって、最初は、高尚なものを目指したんだそうです(笑)。イメージは、“日本の詩歌全集”に載ってもおかしくないようなもの。
そうして出来上がった詞に、作曲の井上大輔さんが曲をつけ、出来上がった曲が;

  ♪おくせんまん! おくせんまん!

みたいな(笑)。最初に聞いたときには、「あまりにも俗悪な、下世話な」と思ったのだそうです。

吾郎:だけど、それが化学変化というか。
売野:そうそう。
吾郎:世の中の人にウケちゃったわけですよ。
外山:あははは(笑)
吾郎:で、郷ひろみさんの感じと。
売野:だから、自分の浅はかさとかさ、思いあがり、傲慢さに気がついたわけ。「バカ言ってるんじゃないよ。ヒットしないとダメなのよ!」みたいな。これをね、教わっちゃったんです。


  第2位 六本木純情派 荻野目洋子 1986年
  第1位 Somebody's Night 矢沢永吉 1989年

最後の曲は、矢沢さんに曲が書きたくて、売野さんの方から矢沢さんに手紙を書いて、曲を書きたいということを伝えたものだそうう。地方のライブ前に、アルマーニのスーツでわざわざ迎え入れてくれて、その気持ちに打たれたんだとか。
この曲の歌詞で好きなのは、『♪哀しい絆を情事と呼んだ……』という部分。言葉の意味をこうして定義づけ、歌詞の中に入れるのが好きななのだそうです。それでまた聴いてくれた人が、歌に共振してくれたらと。

吾郎:何かまたこれ、お話伺ってから、聴いてみたい。もう一回、僕、家に帰ってまた聴きたいなぁ、って。
外山:そうですね。


(17.01.15 up)



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