第232回放送 '16.12.22
秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「BLACK TIGER―ブラックティガー―」
今回は、いつものスタジオではなく、ロケ。場所は東京某所という雰囲気ですが・・・
吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。
吾郎:さぁ、今夜は年内最後の放送ということなんですが、ここはどこでしょう?
外山:ここはですね、東京都葛飾区亀有駅前です。
吾郎:うん。
外山:今夜は、この、“両さん”にまつわる方がついに登場してくださいます!
ここで少し映像を引くと、外山さんの隣には、“両さん”(両津勘吉)の像が画面に映りこみました。漫画・こち亀にまつわる方が今回のゲストということになります。
吾郎:わかった。
外山:えっ?
吾郎:(ドラマでもやった)香取慎吾君。おじゃMAPとコラボレーション。
さすがにそれはないですねw
今回の課題図書は、『こちら葛飾区亀有公園前派出署』、つまりゲストはその原作者の漫画家・秋本治さんです。1976年に週刊少年ジャンプで連載がスタートし、単行本全200巻を区切りとして、今年9月に連載終了したばかり。今回は、その秋本治さんの作業場であるアトリエびーだまにお邪魔しました。
吾郎:先生、今、何描かれてるんですか?
秋本:えっとね、西部劇の『BLACK TIGER』っていうやつを描いてます。
吾郎:あ、これからやられるという?
秋本:はい。
吾郎:『こち亀』が終了しても、お休みとか全然無く、こうやって、今、やられてるんですか?
秋本:そうですね、その直後から、これ(BLACK TIGER)のネームに入って。
外山:へぇ・・・
吾郎:へぇ・・・。一年間ぐらいハワイに行ってきてもいいよね?
外山:本当ですね。そういう感じにはならないんですか?
吾郎:そうですよね。
秋本:あんまり休むと、こう…、モチベーションが下がっちゃうんですよね。だから、終わった直後に、次の描いた方が、もう、(勢いで)行くんで。
吾郎:そうですよね。先生が生でね、こう…、“両さん”を描くところを見てみたいので、こちらにちょっと描いて頂いても…
秋本:あ、わかりました。
吾郎:いいですか?
で、実際にさささっと、マジックで“両さん”の横顔を描き上げてくださいました。実際、目の前で見ると感動ですよね。
さて、作業場から、応接室のような部屋に場所を変えてトークです。
吾郎:こち亀の連載、本当に長い間、お疲れ様でした。
外山:ねぇ、お疲れ様でした。
秋本:ありがとうございます。
吾郎:みなさん、一番、お聞きしたいと思うんですけども、このタイミングでなぜ、『こち亀』の連載を終えられたのかな、っていうのは?
秋本:はい、はい。コミックスが今年で200巻を迎えるということで、それと同時に連載が40周年というのもあって、それで、両さんとしてはお祭りが好きなキャラクターなので、じゃぁ、40周年で200巻のおめでたい時に、こう…すっと消えるのが一番、キャラクターに合ってるかなってことで。だから僕自身のっていうよりも、やっぱりキャラクターの幕引きとしては一番の花道になるかなってことで、今年を選びましたね。
吾郎:そっか、キャラクターのことを考えてという…。
秋本:そう。
ここで、秋本さんのこれまでの半生を振り返ると・・・
1952年 東京都葛飾区亀有に生まれる
中学時代 自主トレーニングを重ね、同人誌「星」を制作・出版
この中学時代の同人誌の現物を拝見。この当時、同人誌が流行っていたものの、周りに同志がおらず、全て自分ひとりで制作されたのだそうです。ただ、目次には色んな人の作品が連なっているように書かれてるのですが、本当に全て一人で作ったのだとか。いや、中学時代の作品としては、さすがのクオリティです。
高校に入ってからは、今度は仲間が出来、そのお仲間と同人誌を制作。秋本さんのここで掲載されている作品を見ると、どちらかというと劇画調で、とても大人っぽい作品。
1971年 株式会社タツノコプロに就職(18歳)
タツノコプロがガッチャマンなんかを作っていた頃に、動画の制作に関わっていたそうです。そうやって昼間はアニメーションのお仕事、夜は自宅で漫画を描くという生活。この頃に作られた同人誌には、少女マンガタッチの作品が!
外山:少女マンガ!
秋本:そうなんです。
外山:でも、描いたのはこのときが?
秋本:いや、当時から結構、描いてました。
外山:そうなんですか…。
吾郎:秋本先生、こち亀とかいうイメージからさ、少女マンガっていうと何か、かけ離れた感じがしますけど。
外山:しますね。
秋本:でも、元々、やっぱり独特の世界感ですし、まわりもすごく綺麗ですし、絵が可愛いし、すごく興味があって描いてましたね。だから、(こち亀に出てくる)麗子(というキャラクター)なんかは、結構、少女マンガからきてますよね。
外山:ああ!
吾郎:ああ!
秋本:元々、この髪の感じとか。
同じ同人誌に、ベトナム戦争をテーマにした超劇画タッチの漫画(ベトナム戦記)も収録されてます。
吾郎:へぇ!ああ、すごい!こういうの!
秋本:そう。だから、M16だけど、M16の前のストーナーっていう原型の銃なんですけど…
吾郎:ああ!僕、それ、いま言いたかったんですよねぇ〜!
外山:あははは(笑)
秋本:(笑)。そこまで知ってるんだ!
吾郎:手榴弾の感じとかも。
秋本:昔の感じですね。詳しいですね(笑)
吾郎:パイナップルついてる前なんですね。
秋本:そうです。
吾郎:たまらないですね、これねぇ。
そして、今回の課題図書の『こち亀』の話に。
1976年 こち亀が月例ヤングジャンプ賞に入選。こち亀の連載開始(23歳)
絵のタッチも連載開始当時からは、少しずつ変化してきています。そういえば、作品の中で、それを自虐的にネタにされていたこともありますね。さきほどの戦争漫画の一ヶ月後の作品だそうで、劇画タッチが少し残っています。最初はギャグ漫画で描くつもりは無かったようで、「こんな変ったお巡りさんがいたら面白いんじゃないか」という発想から描かれたものだそうです。
吾郎:(表情が)悪いですよね、両さん、このとき。
秋本:悪いんです。恐いお回りさん。
外山:すぐに撃っちゃうんですね(笑)
秋本:そう。
ヤングジャンプ賞に入選がきっかけでスタートした連載でしたが、秋本さん自身、ギャグ漫画を描かれたのは初めてということもあり、続けることは難しいと思って、連載の最低限である「10話」を目標にがんばられたんだそうです。だけど、描いてるうちにギャグ漫画も面白いと思うようになったのだとか。
外山:(漫画を)描いてるときは、ちょっと両さんになっちゃうみたいなところはないんですか?
秋本:いや、そこは結構冷静に。
吾郎:両さんっていうキャラクターのマネージャーさんとか。
秋本:そう、そう。彼だったら、これ、できるだろうっていう、つまりそういうことですね。
吾郎:両さんのことが1番好きな人なんだ、近くにいる、マネージャーさんで。
秋本:そうですねぇ〜。
吾郎さんにとって、マネージャーさんってそういう位置づけなのかな・・・。
今回の朗読は、やはりこち亀の漫画から。『突撃!クレーンゲーム』(73巻の8話に収録)を朗読しますが、その配役は・・・
外山:吾郎さんは両さん。ははは(笑)
秋本:(笑)
吾郎:全く両さんっぽくないよ。
外山:どっちかっていうと中川さんっぽい。
秋本:中川ですよね(笑)
吾郎:香取君呼んできた方がいいんじゃないですか?
そのほか、山田君が中川と大原部長のダブルキャストで、外山さんが司会者&麗子のこちらもダブルキャストで朗読をしました。
外山:(笑)
吾郎:・・・先生、すいませんでした。
外山:でも、違うかなと思ったら…
秋本:結構、2枚目の感じですよね。一所懸命寄せて作ってくれて。
吾郎:あははは(笑)
こち亀の連載が終わり;
2016年12月 グランドジャンプにて新作「BLACK TIGER」の連載開始
2017年 2月 ジャンプSQにて「Mr.Clice−ミスタークリス−」連載開始
2017年 2月 週刊ヤングジャンプにて新作「ファインダ−京都女学院物語−」連載開始
2017年 3月 ウルトラジャンプにて「いいゆだね!」連載開始
と、大忙しです。4作品並行しての連載というのがすごいですね。中でも、「ファインダ−京都女学院物語−」は少女マンガだそうで;
吾郎:そっか、子供の頃、描かれてた少女マンガがここできたんですね。繋がってたというか。
外山:そうですねぇ。
秋本:『BLACK TIGER』はアクションもので、バンバン撃ちあうっていう西部劇なんです。
外山:で、この女性は?
秋本:これが主人公ですね。っていうのも、西部劇だと男の世界という感じなんですけども、そこに女性が入ったら面白いなぁ、と思って。彼女が使う銃は、特別な大口径で、もう、熊でも倒せるぐらいの銃を2丁使いこなして。
吾郎:それはやっぱり口径は44?
秋本:50口径なんです。
吾郎:50口径なんですか?!?!!
秋本:世界最大の銃の口径なんですけど。
吾郎:デザートイーグルを超えるんですか?
秋本:超える、超えますね。
吾郎:色々ミックスされてるんっですね。先生の今までの。
秋本:あ、そうですねぇ。
吾郎:少女マンガであったり、シリアスな、ねぇ、ドンパチ劇であったり。
そしてこの、『BLACK TIGER』第一話の冒頭部分を朗読します。
吾郎:こっから始めるんですね。西部劇とか知らないさ、今の若い子も、子供とかも、絶対夢中になると思う、この作品。
秋本:ああ、そうなんですねぇ。だから若い人に聞いたら、西部劇はちょっと見るとか、好きだっていうのがあったんで、じゃぁ、今回、敢えて西部劇描いてみよってことで描いたんですよ。
最後に再び、作業場に戻って、実際に描かれている様子を見学。さきほどの『BLACK TIGER』は劇画タッチということもあり線を描き込む量が多めですが、1本1本手書きで描かれてます。
と、そこで;
吾郎:何か、お願いがあるんじゃない?
外山:えっ・・・(笑)、言わせます??(笑)
吾郎:ちょっとお願いが。
外山:是非ですね、ゴロウ・デラックスでお願いがありまして、あの、ここにいる稲垣吾郎さんをですね、あの、『BLACK TIGER』に登場させて・・・
吾郎:いやいや、そんなこと・・・僕から言えないよ(笑)
外山:(笑)
秋本:(笑)
吾郎:図々しいじゃないか。
外山:だから、私が言ってるじゃないですか(笑)
吾郎:え、いいですか?
外山:できますか?
吾郎:お願いできますかね?
秋本:何とかやります。
外山:あ。
吾郎:この世界にいけるんですよね?
秋本:だって、すごい銃に詳しいじゃないですか。もう、そのまま行けちゃう感じですね。
吾郎:僕、何、銃、持つんですかね?
秋本:あははは(笑)
外山:あははは(笑)
吾郎:まぁ、やっぱり先生の、今日、一日、お話させて頂いて、先生が僕に持ったイメージでやっぱり銃を選んで頂く…。
秋本:はい。
吾郎:とにかく、銃は持たせて下さい!
秋本:はい。分かりました(笑)
メチャクチャ役得。
そして、さくさくさくっと描いて下さいました。
秋本:こういう感じで稲垣さんが・・・
吾郎:すごいすごい。ええ、名前書いてあるよ!!見て!
外山:あ、これは探す楽しみが。
秋本:そうですね。
外山:ええ
吾郎:すごーい!!すごくない?
外山:すごいですよ。
ってことですが、テレビの画面には、その誌面の様子は映らず。実際、作品を見てのお楽しみ、ってやつですね。2017年2月号のグランドジャンプ(『BLACK TIGER』が表紙です)をチェック!
最後は、山田くんによるウエスタンな秋本先生の消しゴムハンコ・・・これで番組〆かと思ったら、更に秋本先生から吾郎君へのプレゼントが用意されており、“銃を構える吾郎さん”をプレゼントして下さいました。そんなに甘えかしちゃダメですよ!!!
吾郎:すごい!!44マグナム、僕、持ってるじゃないですか。ええ!ありがとうございます。
秋本:いえ。
吾郎:よかった、いい番組だね。
一同:(笑)
番組最後、改めまして;
外山:ゴロウデラックス、来年もよろしくお願いします。
吾郎:よいお年を。
2017年もよろしくお願いします!
(17.01.08 up)
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