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'16年9月放送分 |
第219回放送 16.0901 |
第220回放送 16.0908 |
第221回放送 16.0915 |
第222回放送 16.0922 |
♪番組の説明 祝・4年目突入!!『ゴロウ・デラックス』とは…? SMAPで一番おしゃべり好きの稲垣吾郎がMCを務める業界唯一無二のブックバラエティ 毎週1冊(課題図書)、巷で話題の本からベストセラーまで様々なジャンルの本を深く紹介!! さらに、 大御所作家先生からまだテレビに出ていないニューキャラまで幅広いゲストをお迎えし、トークする番組。 |
第223回放送 '16.10.20 桂歌丸「歌丸 極上人生」 吾郎: (16.10.** up) |
第220回放送 '16.09.08 村田沙耶香「コンビニ人間」(芥川賞作)、荻原浩「海の見える理髪店」(直木賞作) ゴロウデラックス恒例の、芥川賞・直木賞受賞の作家さんを招いてのトークですが、いやはや、半年経つのって早いですねぇ〜。 吾郎:こんばんは。 外山:こんばんは。さぁ、今夜は、第155回芥川賞,直木賞を受賞されたお二人をお迎えします。 登場したお二人に、それぞれ吾郎君から花束が。そうして並ぶゲストの男女の組み合わせの2人を見て; 吾郎:カップルみたいですね。 一同:(笑) 吾郎:授賞されて何か大きな変化はございましたか? 荻原:特に大きな変化は無いですけども、あんまり知らない人から「おめでとう」と言われたり。 吾郎:そうですよねぇ。 村田:アルバイトを今、お休みしているので、それが一番大きな変化です。 吾郎:ちょっと、お休みしましょう、今の時間・・・。 さて、席についてのトーク。 吾郎:お二人が会ったのは、受賞会見が初めてなんですか? 萩原:そうですね。 村田:はい。 吾郎:対談とかも無いですか、今まで? 村田:無いです。 吾郎:初々しい、カップルのような…(笑)。これからすごく、時間を共にする事が多いし。 外山:そうですね。 村田:初デート的な(笑) 吾郎:2人とも、雰囲気が何か似てらっしゃる。何だろう、うん。 ちょっとほんわかとした雰囲気? まずは芥川賞受賞の村上さんの作品『コンビニ人間』の紹介から。 吾郎:みんなビックリしたと思いますよ。まさかこれ、ご本人が本当にコンビニで働いて、今もなおというのは。 外山:今もなんですね。 村田:今は、この間店長に会って、ちょっとお休みください、また復帰します。 吾郎:いやぁ〜。 外山:やっぱり、コンビニを小説の題材に選んだっていうのは、働いていたから? 村田:近すぎるのは書けないので、一生コンビニを舞台にした小説は書くことができないだろうなと思っていたんですが、すごくリアルな小説を書きたくて、書いては捨てをしている間に、急に、今書いてみよう、って思ったんですよね。 主人公は36歳未婚でコンビニのアルバイトとしてしか働けない女性です。 吾郎:まぁ、(この主人公は)村田さんに似ていると思うんですけど。モデルはやっぱりご自身? 村田:逆に、そこ以外はむしろ共通点があまり無いかもしれないですね。 荻原:それ聞くと、安心しますね。どこまで本人とリンクしていることなのか。 吾郎:そっかそっか。 荻原:(本の)中の人間と、作者と、やっぱり読む方って同一視するんですよね。変な趣味とか書くと、そういう趣味があったとか。自分ではそういうことを経験してるのに、今回の(村田さんの作品を)読んでると、あまりにリアルだから、作者イコールなのかなってついつい思ってしまう。その罠にはまってしまいますね。 元々、村田さんは私小説を書きたかったのだが挫折したという経緯があるらしい。それで、今は、登場人物の”設定”をすべて作ってしまわないと作品が書けないのだそう。創作ノートには、イラスト入りで登場人物の設定を書いたりしてるそうです。 そこは荻原さんも同じだそうで、ノートに登場人物の似顔絵を描いたりするそうです。 村田:あ、そうなんですか。似顔絵の話が一致した事、初めてです。 荻原:あ、そうですか。 村田:身長とかも(小説を)書く上でイメージ。視点がどのぐらいの高さなのかとか。 荻原:そうそう、身長も書きますね。 吾郎:へぇ〜。 荻原:見上げるのか、同じぐらいの目線なのかっていうのを、ねぇ、意識しないと。 村田:重要な要素ですよね。 荻原:意外と共通点、ありますね。 村田:ありますね。 吾郎:あははは(笑) 村田:似顔絵見せ合ったりしたいですね。 荻原:ねぇ〜(笑) 吾郎:じゃぁ、後は2人で。 外山:っていう感じでしたよね?(笑) ここで、荻原さんに『コンビニ人間』を読んだ感想を伺います。 荻原:とにかく、セリフ自体がすごく上手いなって。人間って、理路整然と喋ったりしないじゃないですか。小説だと、ついついちょっと説明しようとして、硬い感じになってしまって、僕なんかもちょっと気をつけてるんですけど、それがもう、何か、本当に上手いこと、多分、意識してやられてるんだと思うんですけど。多分、頭の中で音声が聞こえてて、それを書き上げてるんじゃないかなと。 村田:そうですね。頭に映像や音声が先にあるタイプですね。それを書き写してるような感じですね。 荻原:自分はどっちかっていうとそっちですね。 吾郎:共通項が。 村田:何か、普通の人間って人数が多いから普通ってことになっているだけで、カメラの場所を変えると、例えば主人公の古倉さんの場所から見ると、普通の人間はすごくグロテスクだったり、へんてこだったり、それを私は慈しむ様な気持ち、うん、可愛らしいと思いながら書いてたんで、そのへんてこなのを。でも、読む人によってはすごく怖い小説かもしれないし。自由に読んで欲しいですね。そういう風に読んでもらえると嬉しいです。 村田さんは普段、月・火・水の週3日間、コンビニで8:00〜13:00までアルバイトをされてます。従って、アルバイトに出かける前、夜中の2時に起きて、バイトまでの間に集中して、自分で決めた“やること”をやっていくというような作業で小説を書き上げていくのだそう。 村田:作家って専業でやると、曜日感覚とかもなくなってしまうので、コンビニって曜日感覚とかあと、季節とか。 吾郎:外も見えるし、人とも接するし。 村田:そうですね。 吾郎:色んな事をやっぱり、社会の窓口になる。 荻原:偉いです。素晴しいですね。書くためにですよね。 村田:本当に怠け者なんです。専業で書いてらっしゃる方を本当に尊敬していて、自分は本当にコンビニが無いと書けない(笑) 吾郎:正にコンビニ人間!すごいなぁ。 さて、この後は、荻原さんの直木賞受賞作『海の見える理髪店』について。 荻原さんは元々、コピーライター。そのときの“文章”についてのこだわりが感じられる作品です。 吾郎:(選考理由で)読み心地のよさ、って仰ってましたけど。 外山:分かる。 吾郎:やっぱりそれっていうのはコピーライターでやられていた経験が活かされてる? 荻原:どうなんでしょうね。あの、1行、2行で文章を書いて仕事をしてきた人間なので、最初は長いものを本当に書けなくて、でも、やっぱり同じ文章を書くことなんだからという風に居直って、結構、細かいところを未だに気にするんですよ、てにをはがどうとかこうとか。 吾郎:ふーん。 荻原:「て」と「を」をひっくり返したらどうなるかとか。 吾郎:それって何か、コピーライターさん。 ストーリーは好き嫌いがあるので仕方が無いけれども、1つ1つの言葉はちゃんと磨いていけば、『文章はちょっと気持ちいいねと思ってもらえれば』それでいいとおっしゃいます。 今回の小説は、編集者の方の意見を初めて聞いて書いた小説だそう。具体的にアドバイスを受けたりというわけではないようですが、仕事とは関係の無い場で、編集者さんの父親&祖父の話を聞き、その設定をもらって書いてみようと思ったんだそうで、自分で設定を考えずに人からもらったのは初めてだとか。 そして、村田さんがこの『海の見える理髪店』を読んだ感想として; 村田:『人を殺めたことがあるんです。』っていう、その1行が入ったときに、今までの人のいいおじさんの… 吾郎:そっかそっか、急にね。 村田:がらっと変る。短編の醍醐味を感じました。この1行を見たときに、これはものすごくいい短編だってことが、やっぱり分かるんですよね。 逆に荻原さんが今回のご自身の作品に対して込めた思いは: 荻原:一編一編のどっかのシーンなりフレーズなりをちょっと覚えといて、何かどっかで思い出してくれればありがたいなと。それぞれお土産みたいなものをね、ちょっと小物のお土産を用意したつもりなので、まぁ、よかったら持ち帰ってくださいなっていう程度ですかね。 (16.09.25 up) |
第219回放送 '16.09.01 是枝裕和「映画を撮りながら考えたこと」 吾郎:こんばんは。 外山:こんばんは。今夜のゲストは映画監督の方なんですが、この方の作品はご覧になったことはありますか? 吾郎:はい、もちろん。1990年代から。はい。多分、全部観てるんじゃないかなっていうぐらい、すごい好きなので。お会いできるの嬉しいです。 外山:ねぇ、そうですよね? 本日のゲストは映画監督の是枝裕和さん。是枝さんが書かれた「映画を撮りながら考えたこと」が課題図書で、タイトルどおり、映画の世界での裏話を色々と書かれてます。 そして、この春、アメリカのアカデミー賞選考の新会員の候補となっています。 吾郎:新会員に招待されたという・・・びっくりですよね? 是枝:ネットで知りました。 吾郎:えっ、そんなもんですか? 是枝:ネットに出てて、『あれっ?』っていう。 一般人と同じレベルで知り、その後、案内のメールが直接届いたのだそうです。 是枝:『受けますか?受けませんか?』って。 吾郎:あ、直接くるんですか? 是枝:直接メールが来ましたね。僕のメールアドレスでしたね(笑) 吾郎:へぇ〜。来年には、それが(是枝さんの1票が)票になってるんですもんね。今後、どうやって審査していったりとか、どういった世界なんでしょうね? 是枝:そうですね。 吾郎:ベールに包まれてるじゃないですか?色んな噂もあるし。 是枝:どういう形になってるのかね。ちょっとだから、そういう興味本位もあって、意外とそういうの、テレビディレクター目線で、じゃぁ、こういうの面白いから、勉強してみようかなぁ、って。 さて今回は、課題図書をベースに、映画の裏話を。 是枝さんが監督された映画『海街diary』について。まずはキャスティングについて、これは監督自らが決めたのだと。そして、この映画に出演した広瀬すずさんには、”口伝え”の形で演技指導をしたのだそう。 吾郎:大切だね。 外山:口伝えって、どういうことなのかな?ってちょっと思うんですけど。 是枝:僕がその場で、セリフや芝居を伝えていく、その場その場で。台本は読まずに現場に来てもらう。 共演のほかの女優さんはセリフを覚えてきてるのだけど、広瀬さんに対してだけそういう指導の仕方をしたということなのかな? 吾郎:相手のセリフに耳を傾けないと芝居ができない、(口伝えだと)相手のセリフを覚えてるわけじゃないから。それって一番大切なことですから、お芝居で。当たり前のことなんだけど、それが当たり前の事が、どんどんできなくなってきちゃうんですよね、お芝居って。 是枝:そうなんですよね。 吾郎:僕らなんか、いつもダメだなぁ、って思うんだけど。でも、そこに気付いた彼女が凄いよね。『それで(相手の台詞が)聞けるようになったからよかった』、って言ってるんだと思うし。 また、是枝さんは『現場で思いついたものが一番面白いですね』と仰います。 吾郎:今回の映画でもいっぱいそういうシーンがあったんですかね? 是枝:現場で長澤(まさみ)さんが、マニキュアをスタッフに塗ってたんですよ。楽しそうに。あ、いいなって思って、妹にやるかな、と思ってね。 そうして、急遽、そういうシーンを採用したんだそうです。 是枝:目の前の役者さんから思いついたシーンが一番撮ってても楽しいですし、そこのアイディアは間違いない気がします。自分の頭の中で考えたことよりも。 外山:でも、吾郎さんだったら、急遽シーンが増えますってなったら? 吾郎:いや、楽しいでしょうね。もう、こういう監督の現場だったら。テレビでね、もう1本収録が増えますって言ったら怒りますよ。 是枝:あははは(笑) 外山:あははは(笑)。そうですね、それは大丈夫だと思います(笑) 是枝:ドラマの現場で、朝来て、台詞が全然変っちゃった… 吾郎:あ、多いです、多いです。 是枝:あ、そうですか。ちょっと安心します、そういう話聞くと。 実際に、台本をスタジオに持ってきていただきました。とはいえ、実際の台本に対して、現場ではその台本を持参することはなく、絵コンテを現場にもって行き、それだけで撮影するような形になるんだそう。その絵コンテも、かなり手直しが入ってます。 外山:監督しか分かってないということもあるんですか? 是枝:うん。なるべく共有しようと思ってるんだけど、『あ、伝わってなかった』ってことも結構ありますね。 外山:ええ!大変!! 吾郎:この間、僕、映画出演して、このカット、僕、絶対いいなぁ、って自分でちょっと自信があるシーンがあったんですよ。そのカットが、カットされてたんですよ。 是枝:(^^;) 吾郎:後姿だけで。でも、演技は顔だけじゃないよね?(キリッ)・・・大丈夫ですか? 是枝:大丈夫です。 外山:ははははは(笑) 吾郎:気持ちよくお芝居したからダメだったのかな。それがダメなのかな、逆に。 是枝:役者さんのやった感と、それが作品の中でいいかどうかは。 吾郎:違いますよね。 是枝:違うと思います。 吾郎:だから、分かってるんです。こんなこと言いたくないんですけど。 是枝:(笑) 吾郎:つい。 外山:ははははは(笑) 吾郎:この辺でアップ撮った気がしたんだけど、いい具合にこっち(カメラの側)から涙が流れたりとか。でも何か、後姿で終わってて。 是枝:あははは(笑) 外山:ははははは(笑) 是枝:気持ちは分かります。僕もあの、アップ撮っちゃったのを結果的に、現場で撮って、”アップ、使わないかもしれない”と思いながら、使わないかもしれないと思いながら撮ったアップって、結構、後々、悩むんですよ。 吾郎:本人覚えてますよ、アップって。・・・これ僕、言わない方がいいですか、監督に?(笑) 是枝:いや、そんなことないです、ないです。 吾郎:本当に? 是枝:お互いに撮っていても、きっと。わだかまりがあるよりは(^^; 吾郎:でも、言われたくないですよね、監督だったら。 是枝:(苦笑) 外山:でも、(本の)中で相談してってありますよね、監督? 是枝:・・・でも、言われた事ありますよ。 吾郎:(^^;;;; 外山:もし、そうやって言われたら、そこはカットしたんですってことをお伝えするですね。 是枝:説明します。説明する義務あると思います、監督に。ちゃんと『背中が泣いてたんで』って言うと思いますよ。 吾郎:ま、でも、背中なんですよ、本当に 外山:(笑) ってことで、映画『少女』の宣伝映像を挟み込んでくれて、TBSさん、ありがとう!!! さて、課題図書の方に話を戻して(笑)、今度は映画業界の話について。例えば、東京国際映画祭。 海外から映画監督を招待するのはいいのだけど、昔は招待するだけして、滞在期間中は放置されていて、お金が無い監督さんになると、ホテルでカップラーメンというようなことも実際にあったんだとか。 吾郎:知らなかった。 今は、是枝さんがチェアマンにその辺の話をしたりして、食事スペースが作られるようになったりと、改善はされてきている模様。 吾郎:日本の映画祭が遅れてるっていうのかな、まだまだダメだなって思う事っていうのは?なぜなんでしょう、海外と比べて。 是枝:多分、日本って、オリンピックもそうだけど、スポーツもそうだけど、スポーツが私たちに何をしてくれるのか?ってことをまず考えてしまう。 吾郎:そっか。 是枝:東京国際も、映画が日本に何をしてくれるのか?ということをどうしても考えがち 吾郎:はいはいはい。 是枝:けれども本来は、映画が潤うために、私たちが何ができるか 吾郎:映画が潤えば僕らの心も潤うわけだし。 是枝:結果的には。 吾郎:そうかぁ。 是枝:結果的には全然違ってくると思うんですけどね。 是枝さんは、映画祭は作家を発見し、育てていく場所だと言います。たとえば映画祭で新人賞を撮った監督が、また何年か後にまた迎え入れると、お互いが共に育ったという意識を持つようになる。映画祭はそんな場所だと言います。 一方で、是枝さんといえば、ヴェネツィア映画祭、そうなると、先ほどの論法で行くと、ヴェネツィア映画祭が育てた映画祭という意識が、周りにも強く、今度はカンヌ映画祭で受け入れてもらうのに時間が掛かったなんて話もされてました。 課題図書の中には、映画にまつわるお金の話も。 興行収入の半分が映画館がとり、残りを配給会社、制作会社が必要経費をとり、最後に残った極僅かな利益を出資者で分ける。監督に入ってくるのは、その僅かに残った純利益の○%といった額しか入ってこないんだそうな。 是枝:(監督といっても)あまり夢を見られないってとこがあるんですよね。 吾郎:映画監督ってさ、そんなこと考えなくっていいよね、芸術家なんだから。 是枝:知りたがりなので。どうお金が動いてるのかとか、嫌いじゃないので。 最後の山田君のハンコは、是枝さんがお好きな北野武さんとのツーショットを描いたものでした。 (16.09.18 up) |