ゴロウデ・ラックス'16年6月放送分

 

'16年6月放送分
第208回放送
16.06.02
第209回放送
16.06.23
第210回放送
16.06.30



♪番組の説明

祝・4年目突入!!『ゴロウ・デラックス』とは…?
SMAPで一番おしゃべり好きの稲垣吾郎がMCを務める業界唯一無二のブックバラエティ
毎週1冊(課題図書)、巷で話題の本からベストセラーまで様々なジャンルの本を深く紹介!!
さらに、
大御所作家先生からまだテレビに出ていないニューキャラまで幅広いゲストをお迎えし、トークする番組。


 

第210回放送 '16.06.30
ジェーン・スー 「女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。」

まずはいつものオープニング。

外山:こんばんは。
吾郎:こんばんは。
外山:さぁ、今夜のゲストですけども、3回目のご出演ですよ。
吾郎:まぁ、そのぐらい人気のある方で。
外山:そうなんですよ。
吾郎:何か、この番組を盛り上げてくださる。
外山:ええ。
吾郎:この番組っぽいですよね。
外山:そうですよね、古館伊知郎さんもお好きだそうですよ、この方のことを。
吾郎:そうなんですか。
外山:ええ。

そしてテーブルに座ってゲストを迎え入れます。

外山:今夜のゲスト、ジェーン・スーさんです。

もちろん、エッセイストとして有名な方ですが、TBSラジオでお昼に帯番組も持っていらっしゃるんですね。その縁もあって、3度目の出演となったのかな。今回の課題図書は「女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。」。

吾郎:また出してきましたねぇ〜。
外山:面白かったです。
ジェーン・スー:ありがとうございます。

まずはエッセイの冒頭部分を吾郎君が朗読。
アラフォー女性が、日常生活を送る上での葛藤(笑)。心身ともに”甲冑”を身に付けねばならないと。

吾郎:男にもあるもんだし。別に男女問わずね。
ジェーン・スー:そうですね。男性だと例えば腕時計とか、ネクタイとか、スーツとか。
吾郎:ああ、そうか。甲冑だよね。車なんかも。全部そうですよ。
ジェーン・スー:そうそうそうそう。
吾郎:女性だったら、今回一杯出てきますけど、赤い口紅とか。
ジェーン・スー:そうですね。やっぱり自分をどう見せるかっていう時に、何を装具として装着するか。もしくは、「へっ、俺は時計なんて気にしないんだよ」、とか、「私は別に、スカートは履かないわ」っていう、一般的にみなさんが好きと言われているものに対して、どういうスタンスを自分がとるかとかで、どこ軍っていうのがわかってくるわけじゃないですか。

「軍」なんだね(笑)

吾郎:(笑)。所属が変るんですね。
ジェーン・スー:そう、所属が分かってくる。その自分をどう見せたいかとか、世の中にどう見られるかというような事で、いろんな甲冑を付けたり、とったりしているんですけど、どうにも定まらなくて、もうね、断捨離が流行のご時世、クローゼットあけるとガタガタガタガタって。

と、ここまで黙っていた外山さんに;

吾郎:外山さんは女性として、この本はかなり響いた感じですか?
外山:そうだな・・・・・・・
吾郎:(^^;)
ジェーン・スー:外山さんのいいところは、正直なとこだよね。
外山:(笑)。いや。
吾郎:無いでしょ、こういう感覚。
外山:そうですね!!
吾郎:羨ましいよ、逆に。甲冑が無くて生きられるとかさ。
外山:いやいや。
吾郎:そういう興味ない、みたいな。世間にとらわれてないとかさ。


ここからは、『女心をザワつかせる甲冑アイテムをご紹介』と。山田君がなぜか甲冑姿で登場です。

甲冑アイテムその1 赤い口紅

吾郎:みんなするでしょ?
ジェーン・スー:と思うじゃないですか。私もそう思ってたんです。

ジェーン・スーさん曰く、赤い口紅は、大人になったら勝手に似合うようになると思って育ってきたが、いざ、大人になっても似合わないと。女の子が最初に接する化粧品が赤い口紅、そして、ジェーン・スーさんにとって、中学生の頃に見たCMが強く印象に残っているようです。

ジェーン・スー:(当時の今井美樹さんが出てきたCMでは)カジュアルに赤を着こなすなんてことを提案されて。
吾郎:ありました。80年代後半!あの…、ウォッシュデニムとコンバースか何か履いて。
ジェーン・スー:仰るとおり!で、ちょっとメンズサイズの…
吾郎:ソバージュみたいな。
ジェーン・スー:そう!スパイラルソバージュみたいな。
吾郎:あれだ!
ジェーン・スー:あれですよ。今井美樹ショックですよ。

外山さんは、赤い口紅はお祭りで塗った事があると発言し、吾郎君、ジェーン・スーさん、2人が失笑。いや、別にいいじゃない、ねぇ?

外山:お神輿担ぐときに赤い口紅は塗ったことはあるんですけど。似合わない。でも、結構な赤ですよね、今。
吾郎:あのなんか、ちょっと一瞬、お化粧室とかでさ、食事中、女性が立ってさ、帰ってくるとさ、塗りなおしてくるよね。
外山:ああ。
吾郎:あれいいよね?
外山:天ぷら食べた後みたいな?(笑)
ジェーン・スー:そうじゃないよ。
吾郎:想像しちゃうよね、どうやって付けたかなとか。
外山:すごいですよね。あれはね、上手な人は上手なんですよ、グロスって。

そんな中、元ピーチカトファーブの野宮真貴さんがつけていたレンガ色っぽい口紅をつけてみて、ようやく赤い口紅が嵌ったと仰ってます。スタジオで、外山さんもその口紅を試してみることに。

吾郎:ああ、いいじゃないですか!そのぐらい色を付けた方がいいよ、普段から。本当に。
ジェーン・スー:何照れてんの?
外山:え・・・

そりゃ、まぁ、吾郎君からそういわれたら、満更でもないよね〜(笑)


甲冑アイテムその2 オーガニック野菜

オーガニック野菜は、ファッション的なものかと思っていたら、実際食べてみたら美味しかったと。 スタジオに実際に普通のトマトとオーガニックトマトを用意して試食です。いや、だけど、見るからに色も違うんですが。手間隙掛けて美味しいものを目指して農家さんが作ったものを、結果的にオーガニックというネーミングで売り出したというだけではないかい?(←と、こんな風に偏見で見てしまうのがよくないんですね、はい)
吾郎:ああ、全然違う。
ジェーン・スー:味が濃厚ですね。
吾郎:あのね、甘いだけじゃないよね。フルーツトマトとかの糖度が8とかさ、高いだけじゃなくて、酸味もあるけど、昔のトマトみたい。

同じくクレソンも。

吾郎:ああ!
ジェーン・スー:全然違う・・・
吾郎:何かね、アロマの香りとかする。こういうとこ(手首)につけて、アロマにしたい。(普通のクレソンは)辛い事がね、前面にいきすぎてる、クレソンって感じ。

そして、しみじみ食してる外山さん・・・・

外山:ああ、何だ、野菜、美味しい!!
一同:(笑)
ジェーン・スー:ちょっと、お嬢さん、何言ってんの!!
外山:う〜ん♪
吾郎:野菜たべないんだよね?
ジェーン・スー:あ。
外山:そんなに食べないです。
吾郎:基本的にね。
ジェーン・スー:結局、オーガニックとか、興味ありませーんって感じだったじゃないですか。
外山:うん。
ジェーン・スー:食べたら美味しいっていう話しですよ。
吾郎:本当、おいしい。これだけで食べれる。
ジェーン・スー:よー食べるなぁ〜、お嬢さん。
外山:うん♪
ジェーン・スー:自分で、ファッション、ファッションなんて言ってましたけど、そうじゃなくて、本当にね、ちゃんと真面目に作ったのは美味しいんだっていうことで、私が何でもかんでも斜めに見た気になっているのは本当によくないなと、思いました。
吾郎:バツ悪かったですね(笑)
ジェーン・スー:かなりバツ悪かったです。このままだったら私、モデルが薦める事、全部やりかねないですよ!起き抜けに白湯を飲むとかね。
外山:氷水じゃなくて?
吾郎:氷水なんて絶対に飲まない。常温ですよ。


甲冑アイテムその3 前髪パッツン

最近、前髪パッツンが流行ってますが、なかなか素人にはハードルが高いヘアスタイル。ジェーン・スーさんの持論としては、額は裸体と同じで、額を隠すと自分の素も隠せるような、そんな気持ちになれる部分なのだと。

吾郎:わかる。僕もそうだもん。前髪無かったら嫌だもん。
ジェーン・スー:おでこ出せって言われたら、結構、ねぇ?
外山
吾郎:嫌です、嫌です。髪の毛短くしろって言われたら嫌だし。

ご、吾郎さん、だったら、あの、例えば、『おしん』の映画なんかもいやいやだったんですか?(爆)
十三人の刺客の殿までいっちゃうと、また違うのかもしれないけど・・・。

吾郎:正に甲冑だよね?
ジェーン・スー:ねぇ、そうですよね。
吾郎:あ、僕の甲冑は髪型だ!おでこ出したくないもん。

そんな話の流れで、スタジオに用意されたぱっつんヘアのカツラをかぶってみる外山さん。

吾郎:似合うと思うよ。
外山:どうですか?
吾郎:あはははは(笑)
ジェーン・スー:いなくもない。

確かに雰囲気が大きく変わりますね。ちょっとイケイケギャルっぽくなっちゃうけどww

外山:なんか、かまやつさんみたいになってる。
ジェーン・スー:ぱっつんも似合う。
外山:ちょっとぉ(笑)
吾郎:出しちゃえば写真集。
外山:(笑)。何ちょっと、何かその目が。
ジェーン・スー:何水着、着ます?
外山:着ませんよ、もう。

なんてボケつつ、外山さんのパッツンカツラを見て;

山田:でも、似合ってますよ、結構。
外山:そうですか?
山田:うん、何か、相席屋とかで、もてそう。

最後の山田君のハンコは甲冑姿のジェーン・スーさんでした。


最後に〆のトーク。

吾郎:女子トークみたいになっちゃった。おばちゃんトークみたいになって、僕も楽しくなっちゃって。
ジェーン・スー:あの・・・分かるぅ〜!っていう風に同意してくれるのが、毎回、稲垣さんの方なんですよね。
吾郎:そう(笑)
ジェーン・スー:何か、あれ?!っていう。
外山:・・・(^^;)
吾郎:僕、結構、何度も言うけど、心、おばちゃんだから。


(16.07.17 up)



 

第209回放送 '16.06.23
稲垣えみ子 「魂の退社 会社を辞めるということ。」

いつものオープニングで、吾郎君と外山さんが登場。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。さぁ、今夜のゲストなんですが、元朝日新聞の女性記者、更に今ですね、究極の節電生活をされている方です。
吾郎:びっくりしました、本読んで。
外山:ねぇ?本当って。


スタジオのテーブルに座って、今日のゲストを迎える前に;

吾郎:外山さんなんか、ほら、会社員でしょ?
外山:そうです。
吾郎:どうですか、「魂の退社」は?
外山:ええ、まだもうちょっといたいな、って。あははは(笑)
吾郎:結構、これ、やっぱり、このご本、世のサラリーマンの方とか、響いていると思いますよ。


ここでゲストの稲垣えみ子さん登場。アフロヘアがものすごく印象的な方なのですが;

吾郎:いやぁ、何か、ファンキーな方で。
外山:本当に。
稲垣:(笑)
吾郎:そこ、(アフロヘアが入り口のところで)ぶつからなかった?

やっぱりまず気になったのが髪型なのよね。

吾郎:どのぐらいその髪型なんですか?
稲垣:大体、6年ぐらいですね。(東日本大)震災のちょっと前ぐらいかな。
吾郎:でも、それでさぁ、「朝日新聞です」って言ったら、みんな驚きますよね。
稲垣:一番困るのは、電車の中でアフロの人と同じ車両になった
吾郎:(笑)。ないないない。

まずは本のタイトルになっている会社を辞めるときの話。「おいしいことから逃げたくなった」と記載されてます。 (「おいしいことから逃げたくなった」かぁ・・・。あかん、何かちょっと今回、卑屈な感想を含んだレポを書きそう。)

稲垣:いつか人は死んでいくので、お金の面でも健康の面でも、どんどん失っていく時はいずれ絶対来ますよね。そのときにおいしいことがいいことだという価値観とか、たくさん持っていることがいという価値観をずっと持ち続けていると、結局、こう、どんどん失っていくと不幸になっていく一方で、死んだとき、一番不幸、みたいな?
吾郎:どうしよう。捨てられない物だらけだよ?
稲垣:そうですか?
吾郎:おっしゃるとおりだよね、それ、いずれなくなるし。

それもこれも、昔は真逆の生活を送っていたから。

朝日新聞で記者をしていたときは、当時はインタビューが好きで、そういった記事を書いていたそうで、つまり、特ダネをとってくるような”いい記者”ではなかったので、出世コースからは外れてしまいます。一方で、平均年収1236万という朝日新聞社員、貰った分だけ使うという”金満ライフ”を送っていたそうです。それが自分の存在証明=降りられない列車のような状態になっていったと。
そんな生活を送る中、38歳で香川県に転勤に。そこで、山登りをしたときに、とあるお遍路さんと会い、「捨てていくことって実はものすごいことなんじゃないかな」と思いをめぐらしたのだそう。2005年に大阪本社に転勤になり、今度は変化を求めてアフロに。2011年に震災を期に電気代を半分にしようと、電気が無いという事を前提に生活を始めたのだそうです。今年2016年、50歳で、朝日新聞を退社。自分を切り替えるために、何かを手放す=退社という道を選ばれました。

今はひと月160円の電気代で生活をされているんだそうです。

吾郎:俺、1日160円以上かかってるんじゃないかな、うち。
外山:いえいえいえ。
稲垣:普通、かかってますよ。
吾郎:かかってますよね。
山田:どんな家なんですか?見てみたいな。どんな家ですか?
稲垣:本当に知りたいんですか?
外山:知りたいです!
吾郎:僕は知りたいです。
稲垣:本当ですか?
山田:160円ですもんね。
吾郎:160円ってことに拘ってるわけではないけれども、稲垣さんの話をこうやって伺ってきて。僕なんか、独身だしさ。お金も物も溜まっちゃうじゃん。

おーーーーーい!

稲垣:でも、それがよくないって話よね。今は。
吾郎:そうなんですよね。・・・・今、何か、面白い感じで言ったんだけど。

(笑)。真面目に反論しないで、もっと突っ込んで欲しかったのね。

いや、だけど、吾郎君が会社を辞めたら困るんだけどなぁ。・・・いや、会社=事務所を辞めるのはいいのか(おい)。芸能界さえ辞めなければ応援するよな、うん(←話が逸れてる)


さて、ここまで稲垣さんの話を聞いた上で、実際に稲垣さんのお宅にお邪魔します。稲垣さんはとあるマンションの最上階にお住まいです。

稲垣:エレベーターがあるんですけど、電気がない(生活を送ってる)ので、こちら(階段)で。
外山:え、何階ですか?
稲垣:最上階です。5階です。
吾郎:ええ!じゃぁ、毎回、階段使って?
外山:へぇ〜。
稲垣:はい。
吾郎:でもさ、エレベーターは別に、自分で払うわけじゃないしさ。
稲垣:あの、お金の問題じゃないんです。電気の問題。

(だったらそのアフロにだって相当電気は使ってるよ・・・(ぼそっ))

そして、全員で階段移動(笑)。まぁ、5階ぐらいならね。
既に夜ですが、家の中も明かりがない生活。街の明かりで、最低限はなんとかなってる模様。

吾郎:っていうか、カメラ映ってないでしょ、今?
カメラマン:そんな映ってないですね。シルエットで映ってますね。

なので、ADの山田君が提灯を持って来ました。提灯って・・・(爆)。でも、ご丁寧に『ごろう』と文字が書かれていたりして、特注なのね。スタッフさん、GJ!!

吾郎:か、怪談もの?
外山:(笑)
吾郎:肝試しやってるみたい。

冷蔵庫も無い生活をされているので、ベランダに野菜を干したりしたもの食べたり。ガスも契約していないので、最低限のものはカセットコンロで。風呂も銭湯に。化粧品も最低限ですが;

吾郎:化粧品、これの10倍ぐらいありますよ。
稲垣:ええ!!
吾郎:もう、要らないですね。
稲垣:そう、要らないです。

いや、要ります、要ります!!!化粧品を使わない吾郎君なんて、吾郎君じゃないやい!!


最後に稲垣さんの自宅で、『ない生活』について描かれた部分を朗読。

吾郎:これでも、全てのその、テーマですね。
稲垣:節電してるっていうと、みんな偉いねとか言うんですけど、偉いとかそういうことじゃなくて、本当自由を手に入れたっていう感じがあって。
吾郎:はっとさせられるよね。今日もすごく。


最後は山田君のハンコ。アフロの稲垣さんの姿をシンプルに描いたハンコでした。


(16.06.26 up)



 

第208回放送 '16.06.02
綿矢りさ 「ウォークインクローゼット」

いつものオープニング。

外山:こんばんは。
吾郎:こんばんは。
外山:さぁ、今夜のゲストなんですが、19歳のときに史上最年少芥川賞を受賞した女性作家の方です。
吾郎:ふーん。
外山:ちなみに、吾郎さん19歳のときって何してました?
吾郎:僕、始めてドラマ、月9のドラマやらせて頂いて。まぁ、それ以来、お話ないんですけど。
外山:あら。


早速、綿矢りささん登場。

吾郎:なかなか、ね、テレビは普段出られない。
綿矢:はい。
吾郎:何で今回出てくださったんでしょう?
綿矢:西加奈子さんの家にお花見に行った時に。
吾郎:はい。
綿矢:前年だったんですけど、私、1日間違えて行ってしまって。
外山:えっ、翌日行っちゃったんですか?
綿矢:翌日行っちゃいまして。
外山:あら。
綿矢:そのときに、稲垣さんがいらっしゃってたっていうのをお伺いして。
吾郎:はい。
綿矢:稲垣さんがお座りになったイスとか(を見たり)。
外山:(笑)
綿矢:お会いしたいなと思って。
吾郎:よかったです、ここでお会いできて。
綿矢:はい。ありがとうございます。

西さんちのお花見繋がりで、色んな作家さんとの縁が更に広がってる感じですね。


さて、そんな風に嬉しいことを言って下さった綿矢さん。2004年『蹴りたい背中』での芥川賞受賞。当時の受賞映像が流れます。

吾郎:最初の、うん、『言葉の前で迷いながら』ってコメントしたとき、すっごい緊張してましたね。怒ってる人みたいでしたね。
外山
綿矢:息が吸えなかったですね。ただでさえ、本読んでるだけみたいな学生生活だったので、びっくりしましたね。


今回の課題図書は、『蹴りたい背中』ではなく、最新作の『ウォーク・イン・クローゼット』。色んな男とデートし、男によって着る服を変えるが彼氏が出来ない28歳OL早希が主人公。

吾郎君が早希が服選びをするときの心情を書いた部分を朗読します。

綿矢:読んで頂くと、すごい、感動しますね(笑)。あの…、頭の中で書いてたようなことを、こう…、(朗読されると)嬉しい。
吾郎:これは分かるんじゃない?やっぱり女の子とかは、読んでて、ねぇ?・・・・外山さんとか・・・
外山:え、・・・あはははは(笑)
吾郎:こういう気持ちになったことないでしょ?
外山:あんまりその、別に(相手の)男の人で(着る服が)変るってことはないかもしれない。その人色に染まるみたいなね。
綿矢:じゃぁ、いつも自分の着たい服を着ていらっしゃるんですか?
外山:そうですね。あんまりあの…、いっつも着られるような服・・・ですね。
綿矢:さっぱりしてていいですね。
吾郎:さっぱりしてますよ。
外山:あはは(笑)
綿矢:さっぱりしてる????
吾郎:さっぱりしてますよ。まぁ、それは少数派の意見なんで。
外山:そうですね。
吾郎:この辺でいい・・・
外山:あははは(笑)。聞かないで下さいよ、じゃぁ。

この本を書いたのは、実際にご自身もそういう風に考える事があって、「これは服が手に入るからこその悩みかなぁって思って」ということがきっかけだった様子。

吾郎:だから、これ、共感する人はいっぱいいると思うし。男でもすごく、やっぱり分かるよね。


続いての朗読は、早希がデート相手の男性の部屋に初めて行くシーン。男性のベッドを見ての感想部分。

吾郎:これ、女性だったら見るよね。
外山:ベッドのところ、やたら綺麗なんですけど、ってことですよね。
綿矢:そういうことです、そういうことです。
外山:どうなんですかね、男の人って大体、女の子来るとき、ベッドの上を整えるっていうイメージが確かにあるかもしれないですね。
吾郎:ああ・・・。僕は誰も来なくてもすっごい整えるけどね。
綿矢:(笑)
外山:こういう方も希にいらっしゃるので(笑)
吾郎:毎朝、5分から10分ぐらいかけるから。
綿矢:ええ!
外山:もう、信じられない。普通、もう、だってね、ばって出てきて、ばって、ねぇ?
綿矢:(うなづく)
吾郎:帰ってきたときに前の自分の雰囲気をまとってるじゃん、ベッドが。昨日の夜の。昨日の夜つけたシワとかさ。
綿矢:(笑)
吾郎:そのまんまだとさ、昨日の自分にまた吸われて寝ちゃう感じがして。
綿矢:(笑)(笑)(笑)
吾郎:オレ、おかしいのかな。テレビで言うと潔癖だと思われるかな。
外山:そうですね、多分、大体の人がそう思うと思います。あはは(笑)
吾郎:・・・(^^;)
外山:今ここ、少なくとも・・・
吾郎:ベッドだけは。
綿矢:吾郎さんみたいな人が、もし彼だったら?
吾郎:変な風に書かれるんだろうな。
綿矢:緊張しますね。
外山:しますね。
吾郎:ほら、好感度下がっちゃうじゃん。
外山:いやいや。あはは(笑)


ここで綿矢さんの半生を。
作家デビューは2001年(17歳・高校3年生)に、『インストール』でデビュー。それまで全く書いた事が無く、本を読むばかりだったのが、受験勉強が大変で、勉強しているフリをして小説を書いたというもので、いきなり文藝賞を受賞します。

そして、上述のように、大学2年のときに、『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞。華々しいデビューとなっているわけですが、芥川賞受賞後、長い間、新作を発表されてませんでした。

吾郎:これは、意外でした。そうだったんですね。作品実際、出してなかったってことなんですよね?
綿矢:はい、没になるっていう感じで。
吾郎:そうだったっけ?ってそうなんですよね。

芥川賞の重圧から来るものなのか、壮大な物語を書いた方がいいのだろうかと、思い悩んでしまったのだそうです。その当時、地元に戻ってバイトをやったりもしていたとか。今となってはそれも作品の糧となっているそうですが。

そして、2010年にようやく『勝手にふるえてろ』で6年ぶりの新作発表。シンプルに書きたいものを書くと思ったときに、吹っ切れるようになり、最新作の『ウォーク・イン・クローゼット』まで、いずれの女性を主人公にした小説を書いてきていらっしゃいます。

その小説を、なんとスタジオ生芝居で紹介!ゴロウデラックス、初めての試みです。スタジオだとかなりやりづらいんじゃないかと思いますが、女優の根本宗子さんが演じてくださいます。

1本目は『勝手にふるえてろ』。主人公は26歳OLの良香が片思いの妄想彼氏・イチへの想いが募りすぎ、現実の彼氏・二をフルシーン。主人公はとってもわがままな子。傲慢な感じを前面に出して演じてくださいました。

吾郎:すごーい。すごい嫌な女ですね。(こういう実演は)初めてですよね?
綿矢:初めて。
吾郎:俳優さんが。
綿矢:そうですね。キャピキャピしたOLって怖いなって思います。
吾郎:いやでも、本当ね。


2本目は『ひらいて』。高校生の三角関係を描いた小説で、主人公・愛が片思いの男性・たとえを、たとえの恋人・美雪から奪おうとする。そのために、愛が美雪とレズ関係になるという話。すごいな、これ。

吾郎:(笑)。無茶苦茶ですね。
綿矢:無茶苦茶ですね。
外山:そんなの思いつかないですけどね、なかなか。
吾郎:思いつかない。これはだって、高校生の役ですよ、根本さん。
外山:高校生に、こう…なってます。
吾郎:僕は一緒にお芝居が是非してみたいです!

愛がたとえに美雪との肉体関係を暴露するシーン。人間が間違った方向に暴走すると怖いよねっていうシーンですね。

綿矢:いいですねぇ。
吾郎:いいですね。
綿矢:いい!
吾郎:何か、僕のほうを見て演じてくてれたんですけど・・・
一同:(笑)
吾郎:目を逸らしてしまいました。たとえ君になれなかった。いかがでした?
綿矢:いいですね、がらっと前半と後半にかけて声の感じとか、迫力が変るところが、書いてた人間としても、何か、そういうイメージで書いたんで嬉しかったです。
吾郎:あ、そうなんですか。
綿矢:うん。激しすぎて人を傷つけてしまう、好きな人なんですけど、っていうのはすごくよく出てたなぁ、と思って。また感動しました、今。
吾郎:へぇ〜。これみんな読んでみたくなりましたね。


最後の山田君のハンコは、小説タイトル『ウォーク・イン・クローゼット』にかけて、色んな服を着ている綿矢さんのハンコでした。


(16.06.12 up)



ホームに戻る