ゴロウデ・ラックス'16年5月放送分

 

'16年5月放送分
第204回放送
16.05.05
第205回放送
16.05.12
第206回放送
16.05.19
第207回放送
16.05.26



♪番組の説明

祝・4年目突入!!『ゴロウ・デラックス』とは…?
SMAPで一番おしゃべり好きの稲垣吾郎がMCを務める業界唯一無二のブックバラエティ
毎週1冊(課題図書)、巷で話題の本からベストセラーまで様々なジャンルの本を深く紹介!!
さらに、
大御所作家先生からまだテレビに出ていないニューキャラまで幅広いゲストをお迎えし、トークする番組。


 

第207回放送 '16.05.26
風間トオル 「ビンボー魂」


吾郎君と外山さん登場のオープニング。

外山:こんばんは。
吾郎:こんばんは。
外山:さあ、今夜のゲストですね、バブル時代にトレンディ俳優としてですね、当時の女性を夢中にさせた方です。
吾郎:いや、まさか、あの方にこんな壮絶な過去があったとは。想像…、まだ信じられない。
外山:私も。
吾郎:結びつかない。
外山:はい。
吾郎:うん。

というのも、今回のゲストは風間トオルさん。バラエティ番組では、自らの子供の頃の話はされてますけど、見てなければ吾郎君が言うようにイメージに無いですよね。
私は、一方で、何で風間さんがゲスト?!と思ったら、その子供の頃の話を綴った本が今年の3月に発売されてたようです。今回はその本が課題図書です。早速、風間さんをスタジオにお呼びして、トークスタート。

吾郎:いやー、びっくりですよね。何か、そんな風に言っていいのかどうか、わかんないですけど。
風間:あの・・・、『お坊ちゃんですよね』とか、『いいとこの育ちですよね』っていうのは、よく言われてたんで、そういうイメージ(ビンボー)というイメージ、なかったんじゃないかな、と思いますけどね。

5歳の頃、両親が家を出て行き、祖父母に育てられることになったというのが始まり。

外山:悲しくならないのが不思議。
吾郎:そう、グレたりね。
風間:う〜ん。グレるってね、グレる対象の人がいるからグレるんであって、俺は多分、グレても誰も助けに来ないし、呼びに来ないし、いなくなっても1週間ぐらい経って帰っても、あぁ、ぐらいで終わりそうだったんで、これ、グレたら俺が大変だなl、と思って。で、やめたんですけどね。
外山:冷静。
吾郎:そして、冷静。おじいちゃん、おばあちゃんはどんな方だったんですか?
風間:いや、でももう、何か、のんびりした感じで、懐が深いというか、何があっても動じないっていうんですかね。

何があっても、おばあさんが『明日は明日で何とかなるよ』というような方だったようです。が、現実には、そのおじいさん、おばあさんの年金が頼りの生活。中学を卒業するまで、3人で川崎のアパート暮らし。家にお風呂が無い(と、番組では言ってましたが、まだその頃は銭湯行く人も多かった時代ですよ…)ので、洗濯機で体を洗ったり(爆)と、色々と工夫をしながら貧乏生活を乗り切っていったと。

他にも貧乏暮らしの工夫が・・・というところで、なぜか風間さんの格好いいVTRに乗せて、吾郎君が朗読。 (朗読)アサガオってさ!何色が美味しいか知ってる?答えは紫さ! 吾郎:知らないよね(汗)
外山:赤じゃないんだ(笑)。紫なんですね。
風間:そうですね、紫が一番、甘くて美味しかったですね。
吾郎:本当ですか?
風間:あの、つづじでしたっけ、あれ、公園で吸ってたのを見て、あ、あさがおでもいけるんじゃないかな、と思って。で、試したら食べた方が美味しかったですね。
外山:ええ!!
風間:色々怒られてました。公園で紫ばかり採ってたんで。
吾郎:(^^;)

そりゃそうだな(笑)

それ以外にも、堤防なんかに生えてる雑草や、昆虫…カマキリなんかも試してみたそうです。

さて、次の朗読(風間さんのVTR付き); (朗読)オレってさ・・・ツバさえあれば何もいらないんだよね。 風間:いや、何もいらないわけではないです(笑)。

つまり、怪我をしてもツバをつけて治していたということですね。まぁ、一般が想像する怪我のレベルと、風間さんが言ってる怪我のレベルとでは、相当、かけ離れたものがありますが。


もう一つ朗読(やっぱり風間さんのVTR付き); (朗読)寒い冬ってあるよね?そんな時、オレは、もっぱら岩盤浴だよね。 風間:・・・(汗)
吾郎:岩板浴って当時からあったんですかね。今ですよね、岩盤浴とか。

冬の寒い日は、南向きの壁がある大豪邸の前で、太陽光の熱を吸収した“岩盤”で暖を取ったりもしていたとそうです(汗)。ほかに、河原の石をカイロがわりにしたり、逆に夏場は、河原の石を舐めると石焼芋の味がしたそうです。色々と究極です。山田君が、河原の石を持ってスタジオにやってきました。

スタジオでその石を2つ重ねてこすり合わせると、摩擦熱で温かくなり、カイロに出来ます。

吾郎:・・・いや、あまりなんない(汗)。
風間:これ、元々が日に当たってないから。
吾郎:(においを嗅ぎながら)あ、でも、香ばしい匂いが!
風間:でしょ?
外山:あ、本当だ!
風間:ちょっと食欲そそられますよね?
外山:・・・そうですね(嘘)、確かにね(嘘)


一方で今の生活・・・ということで、風間さんのご自宅公開。今は都内のタワーマンションで暮らしていらっしゃるわけで、風間さんの“イメージどおり”ですね。ただ、マジックペンが捨てられないようで、引き出しには大量のマジックが。また、ベランダにはアロエがあり毎日食べていると・・・

吾郎:アロエ・・・生で食べるんですか?
風間:生で食べます。ジュースにして食べてます。やけど治すっていうから、中から全部治してくれるんじゃないかなと思って。
吾郎:でも、ペンはやっぱり捨てない?
風間:ペンはね、最後がわからないよね。出るうちは捨てれないじゃないですか。色んなものを書いたりするのもすきなんで、作ったりとか。
吾郎:そっか、だからああ言う色んな蛍光ペンとか。
風間:そうですね。


最後に、壮絶なビンボー生活から学んだ人生の教訓を書いた部分を、風間さん自ら朗読。苦労は決して無駄にならないという思い、祖父母への感謝の気持ちを綴られてました。

吾郎:ねぇ、本当にこれが、祖父母の、お二人の言葉だもんね。
外山:今がついてない時期で、でも、その時期が実はすごく大切な時期なんだってことですよね。
風間:貧乏でお金がないから、いろんなものが欲しくなるけど、そこはぐっと我慢して耐えるのが男だっていう風には言われてましたんで。
吾郎:やっぱりすごいんだよ、この時に学んだものっていうか、経験が。
風間:あ、そうだね、子供の頃に教えてもらったことは、結構、大きいですね。
吾郎:おじいちゃん、おばあちゃん。。。


最後の山田君のハンコは、風間さんと、おじいちゃんとおばあちゃんをイメージしたハンコでした。


(16.06.05 up)



 

第205回放送 '16.05.19
宮下奈都「羊と鋼の森」

今回は本屋大賞受賞作家さんが登場です。

外山:こんばんは。
吾郎:こんばんは。
外山:さぁ、今夜はですね、先月発表されました本屋大賞の受賞者の方が着てくださってます。
吾郎:はい。
外山:あの、今回、私、初めて(本屋大賞発表会の)取材に行ってきたんです。
吾郎:シラフで?

コラコラ。

外山:当たりまえでしょ!(笑)


本日のゲストは、2016年本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』の著者、宮下奈都さんです。

吾郎:僕、すごい好きですよ。僕自身も最近、ピアノが好きだったことがあって。ベートーベンの舞台をやったときに劇場にピアノがあって、調律が入るときに見に行ったりしてたの。
外山:へぇ〜。
吾郎:面白かった。ちょっと今日、お会いできるのが楽しみだったんですけど。
外山:あの、宮下さんに私、一足先にお会いしましたが、SMAPの中で、1番吾郎さんがお好きだそうです。
吾郎:本当かな?
外山:(笑)

とそんな前フリの中、ゲストの宮下さん登場。
本屋大賞の発表会は4月の12日。それから1ヶ月が経っているわけですが、テレビ出演はゴロウデラックスが初めてだそうです。

宮下:テレビは初めて。
外山:本当ですか?!えっ、意外!
吾郎:あ、そうなんだ。嬉しいですね、この番組を選んで頂いて。
宮下:(吾郎君に)会いたくて(笑)
外山:本当みたいですよ、どうも。吾郎さん。ふふふふ(笑)
吾郎:♪

それでもどこか疑っちゃうクセがついちゃったところもありますが、今回の宮下さんの言葉は、素直に喜んでいいのかな?


吾郎:いかがだったですか、(受賞して)率直に?
宮下:まだ、本当、ぴんとこないぐらいぐらいの感じですね。でも、本屋さんに行って、自分の方がこう…積んであったりとかすると、「おおぉ〜!!」ってなりますけどね(笑)。でも、ちょっと恥ずかしいので、そっち、なるべく行かないようにしてる感じです。
外山:ええ、そうなんですか?
吾郎:一番、大きく売ってるよね、今。
外山:そうですよ。

そして、ここからVTR。本屋大賞の発表会に外山さんがお邪魔します。本屋大賞そのものは有名でも、こうして発表会の会場の様子というのは新鮮だわ。本屋大賞は、全国の書店員さんたちが運営しているもので、本に対する愛着みたいなものを感じるVTRでした。

吾郎:へぇ〜。すごい賑やかで。楽しそうですね、堅苦しい雰囲気が無くて。
外山:そうなんですよ。すごいんですよ。本屋さんたちが、宮下さんが受賞したことをすごく喜んでんの。
吾郎:伝わりましたよね。
宮下:本当に光栄というか、嬉しいことです。

さて、その「羊と鋼の森」という小説。主人公はピアノの調律師、タイトルの羊はピアノの 鋼は弦を指してます。

吾郎君の朗読の後;

吾郎:いいですね。「これからの為だけの仕事」だもんね。だから、僕らも自分の仕事ともやっぱり照らし合わせてしまったりとか、うん。何かこう…極めていくお仕事をされてる方には、もう、みんな読んで欲しいなって。

と、感想を零す吾郎君。この吾郎君の言葉に、宮下さん、本当に嬉しそうな表情をされてました。



そして、この後は宮下さんご自身の話。宮下さんは福井県出身で今も福井県に住まれてます。周りにも小説家がいないような環境で、全くなりたいとも思っていなかったそうですが、結婚して、3人目のお子さんがおなかにいるときに、急に「この子が生まれるまでに小説が書きたい」と思ったのだそうです。それを賞に応募して、いきなり文学界新人賞・佳作に選ばれるというのはすごすぎですが、そこから小説家人生が始まったのだそう

吾郎:何で“書きたい”ってなったんですか?
宮下:そうなんですよ。上2人が男の子で小っちゃくって、これで3人目が生まれたら、もう、本当、てんやわんやの日々だな、っていうのを想像して、そのときに(3人目が)生まれる前に、何か、自分のために何かしたいって思ったのが始まりだったと。
吾郎:そうか・・・自分のことじゃなくなるもんね。
宮下:なぜそこで小説だったのかは、ちょっと謎なんですけども。
外山:本は元々好きで?
宮下:はい。読むのは好きだったんです。
外山:書いたことは無かったんですか?
宮下:育児日記ぐらいしか書いてなかったんですよ。
吾郎:まぁ、でも、堰を切ったように、溜まってたものは・・・
宮下:(苦笑)
吾郎:あって、一気にこう・・・

この後、再びVTR。
受賞すると、全国の本屋さんまわりをするのが慣習のようで、書店で著書にサインを。書店の方も宮下さんを暖かく迎え入れてます。

外山:本当に愛されて・・・
吾郎:愛されて。
宮下:嬉しい。
外山:1軒につき何冊ぐらい(サイン本を)書くもんなんですか?
宮下:一番多かったのは240冊。1軒で。でも、書かせてもらうのはありがたいから、ガーって書くっていう感じですね。
外山:240冊は無理がありますよね。
吾郎:いや、大変だよね。
外山:考えていただきたいなって思いますけど、ちょっと(笑)
吾郎:書店員さんもね。わかりますが、気持ちは。


本日はVTRがもう1本。最後にご自宅兼仕事場訪問です。

吾郎:いいな。お家にピアノがあって。
宮下:いつもお子さん、学校行ったり、朝からばたばたばたばたしてると思いますけど、いつ書いてたんですか?
宮下:出ていっちゃえば1人なので、もう、本当、全然、そこは・・・。子供達はしょっちゅうサボるんですけどね、学校(汗)。そうすると(家に)いるんですよ。「ああ、今日も居る!!」って。でも、帰ってきても平気なんです。もう、どんなに五月蝿くても。
吾郎:へぇ〜。


最後に、いつもの山田君のハンコは宮下さんのまわりに羊と音符が飛んでる、そんな作品でした。


(16.05.29 up)



 

第205回放送 '16.05.12
磯田道史「無私の日本人」


吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。ええ、今夜のゲストですが、歴史学者の先生ですよ。
吾郎:う〜ん、ちょっと最近、歴史ブームですね。
外山:ね、ブームですね、本当にね。ここのところ、ちょっと歴史づいてますけど。
吾郎:うん。

今回のゲストは磯田道史さん。課題図書は「無私の日本人」という本で、映画、「殿、利息でござる」の原作本です。つまり映画の宣伝なわけですが、原作者が宣伝で出てくるところがこの番組の醍醐味でもあります。

外山:今夜の課題図書「無私の日本人」。
吾郎:はい。すごく面白かったですよ。また映画も公開されますし。
外山:そうなんです。
吾郎:ね、またお話伺えるのはちょっと楽しみです。ちょっと今日、勉強しましょ。
外山:はい(笑)


ゲストの磯田道史さん登場。紹介のVTRでは、『古文書ハンター』と紹介され、江戸時代以前の様々な記録『古文書』を探して、それを解読されてます。

磯田:古文書って言って江戸時代全の人が書いた、あの…、書付を解読しながら、で、昔の人の様子や暮らしぶりなんかを調べたりしているんですね。しかし、日本人はとっても几帳面な民族なので、ええ…、本当、そんなことまで書くかって言うほど、細かいことまで分かるんですよ。

スタジオに実際にその”古文書”の例として、映画にもなった”武士の家計簿”の実物を持ってきてくださいました。拍子には『入払帳』の文字が。ちなみにこれは私物。古本屋さんを探し歩き、157,500円で購入したものだそうです。高っ!!

吾郎:これ、何が書いてあるかわかんないんですけど。
磯田:これねぇ…
吾郎:読んで下さい。
磯田:読みましょうか。

たとえば、こんにゃく 拾文、蜜柑 拾文(1文=50円程度)とか、そんなことが記載されてます。これを見ていると、先祖を祀るための費用や、親戚の訪問(年に数百回!!)に関する費用など、“儀礼費”に結構な費用がかかっていることが判明したそうです。そこから『武士の家計簿』のストーリーができたわけですね。

そして、今回の映画の宣伝・・・じゃなくて課題図書の話。庶民がお殿様にお金を貸して利息を受け取ろうとする話。これが実話なんだそうです。

磯田:長年、僕は古文書ハンターやってるんですけど、この古文書読んだときは東京大学の図書館で閲覧させてもらったんですけど、泣いちゃってね。

磯田さんが閲覧されたという本は、仙台藩の古文書『国恩記』を活字化した『仙台叢書』という本。小説の内容がそのままこの本に書かれているのだとか。

ここで、磯田さんの半生を振り返ります。わざわざTBSの美術さんが、磯田さんの半生を古文書風に作ったものが登場。・・・いや、だけど、読めないな、これ。

子供の頃から歴史に興味を持った磯田少年は、石仏や石碑の拓本をとることが趣味というような、周りの子供達から見たらかなり変った趣味を持っていたと。13歳で古文書に興味を持ち、おばあさんが蔵から出してきた古文書を解読したいという衝動に駆られ、高校生の頃に古文書解読辞書を見ながら解読していったと。

磯田:これ(古文書解読辞書)覚えるまで(古文書を)読めないから、その日から学校の勉強をやめることにしたんです。これ読めるようになるまで。
吾郎:勉強、大丈夫…やめて大丈夫だったんですか?
磯田:大丈夫じゃなかったですけど(汗)、でも、知りたいのはこっちなので、そうしましたね。

そして、19歳で、読みたい歴史の本がたくさんあったという理由で慶應大学に入学。

磯田:慶應大学入るとね、もう、膨大な本があるんですよ。嬉しくてね。朝から晩まで図書館に籠もって読んだら、2ヶ月目に倒れたんですよ。
外山:ええ!
磯田:救急車が大学の図書館に横付けされて。もちろん、家は帰るんですけど、もう、10時間以上いました。
吾郎:そこまで没頭できると楽しいですよね。


こうして、卒業してからも古文書研究を続けるわけで、とあるギャラリーで、いきなり一人の女性に一目ぼれしたそうです。一週間後、上野の美術館でやっている若冲の展覧会に2人で出向いて、磯田さんがその知識を生かして解説してまわったんだとか。そのトークが面白くて、彼女の方が求婚にOKしたと。

吾郎:でも、すごくない?初めて好きになって一目ぼれして…
磯田:何かここ、食いつきますね。苦手な話なんですけど(汗)
外山:いいですよ。

ここからは現在、されている研究テーマについて;

磯田:さぁ、これから忍者の本を書くぞ!と思ったときに、東北の震災が起きて、ちょっと待て、忍者とかこんな楽しい研究してる場合じゃないかもしれないと。日本各地で起きている地震…、地震の活動期に日本は入ったので、地震や津波を昔の古文書から読み解くっていう研究をやろうと思って。それで、今の熊本の地震なんかについてもですね、結構、役に立つんですよ、古文書の研究っていうのは。

と、手元のフリップを取り出して解説。今も継続中の熊本の地震についてです。気象庁は今回の地震について、「観測史上例を見ない」と言っていますが、古文書を見てみると、400年前に東北で大津波が発生(慶長三陸地震)→8年後に熊本で地震発生していると。このときに、八代,岡(大分竹田市),備後・福山と同じ日に大きな地震が発生しいるとの記録があるんだそうです。

磯田:気象庁は観測史上例が無いと要ってるけども、気象庁が近代的な観測を始めたのは明治20年代からですから、もっと長い期間で見ると、色々な事が分かる。
外山:え、先生、これ(フリップ)、ちなみに、今の作ってきて下さったんですか?
磯田:昨日ね、ドンキホーテに行ってフリップを、夜中の1時に買って。命に関わる大事なことですから、作ってきたんですけど。
吾郎:ありがとうございます。


こうして準備までしてくださるとはありがたいです。でも、今回のゲストの方の古文書に対する情熱みたいなものがものすごーーーく伝わってくる放送でした。語りが熱くて、そういえば本来、この番組って、こういうこだわりがある人にスポットを当てる番組だったなぁ...と。


最後に山田君のハンコで終了でした。

(16.05.22 up)


 

第204回放送 '16.05.05
篠田達明「日本史有名人の身体測定」


番組オープニング。

吾郎:こんばんは。
外山:こんばんは。今夜のゲストなんですが、レキドクの方です。
吾郎:レキドクって何ですか?
外山:歴史の偉人たちを医師の目で診察する。
吾郎:歴史のドクターだから、レキドク?
外山:そうですね。

今回のゲストは篠田達明さん。篠田さんの著書「日本史有名人の身体測定」が課題図書。篠田さんは作家でもあり、整形外科医でもあります。

篠田:はじめまして。
吾郎:はじめまして。
篠田:篠田と申します。よろしくお願いします。
外山:よろしくお願いします。

お医者様でもあることから、歴史の偉人の持病や死因を診察(レキドク)するということで、多くの本を書かれてます。その診察するための元となる情報は、肖像画や遺品。

とはいえ、一般の人は、肖像画やドラマや映画などイメージ先行で、実態はよくわかっていないことが多いという状況で・・・

吾郎:それがこのご本のテーマになって。
篠田:歴史上の人物っていうのは、身長がどれだけだったか、体重がどれだけだったかとか、そういうことはあまりよくわかってないんじゃないか。医学の目を通して実際にどうだったか、推定してみました。
吾郎:どうやってそれ、調べていくものなんですか?
篠田:あの、日本医史学会ってところに入れてもらいまして。医史学会って言っても、医史はドクターの医師じゃなくてですね、医学の歴史、そういう意味の学会で、その中でまぁ、色んなことを見つけることができたんですけど。

ここでアシスタントの山田君登場。篠田さんが見つけたものを紹介していただきます。

まずは徳川9代将軍 家重の肖像画が登場。

吾郎:これ、わかるんですか?
篠田:脳性麻痺をわずらってたんじゃないかなって思いました。
吾郎:そこまで分かるんですか?
篠田:まぁ、根拠といいますかね、見て頂くと家重将軍、肩がこう…突っ張っていて、首が前へ出てる風に見えますよね?唇もちょっと(曲がってる)。
吾郎:うん。
篠田:こういうのは、脳性麻痺のアテトーゼ型の特徴。

唇が歪んでいたり、目が内斜視になっていたりというのはその症状が見られるのだそうです。ただ、肖像画ではよくわからないところもありますが、埋葬されている遺骨の写真を見ると、奥歯が磨り減った痕=脳性麻痺で奥歯を噛締める痕が見られると。

篠田:でも、ただ私、そういう方が天下の将軍、江戸時代と言うのは、随分とバリアフリーだなぁと思いますね。
吾郎:こうやって紐解く事ができるんですね。写真とか。面白いですね。

ここで、スタジオに歴史上の偉人たちの等身大パネルが登場。

聖徳太子、源義経、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、坂本竜馬、西郷隆盛、福沢諭吉。

吾郎:でかいね。
篠田:こんなにずらっと並んだのは初めてですね。

遺品や古文書の記述から割り出したものだそうです。
聖徳太子:180cm 78kg
源義経:147cm 47.5kg
豊臣秀吉:182cm 79kg (肖像画から推測)
→140cm(「日本風俗図誌」という本に50inchという記述あり)
徳川家康:159cm 70kg (位牌=身長と言われていることから)
西郷隆盛:180cm 110kg (遺された軍服から推測)
福沢諭吉:173cm 69kg (遺された着物から推測)
西洋の名画もこういう視点で見るということもされてます。

外山:『ヴィーナスの誕生』なんですが
吾郎:健康そうですけどね。お腹が冷えちゃいそうですよね
外山:(笑)
吾郎:なんか、顔に陰りがあるようにも感じますしね。
篠田:それは吾郎さん、鋭いですね。
吾郎:あ、そうなんですか。ありがとうございます。
外山:あははは(笑)
篠田:整形外科の意思としてみるとですね、ここにこう、足が・・・外反母趾ですね。で、こちらの女性の方も、もっと酷くて
吾郎:あ、すごい外反母趾ですね。
外山:あ、本当だ。
篠田:(外反母趾だと)水虫が出来やすいんですね。
吾郎:ええ!!!
外山:ええ!!!

ええ!!!!!!!
芸術作品に水虫とか・・・(滝汗)

篠田:水虫がこんな風に育って、中々治りにくい。物悲しそうな顔してますね。
吾郎:はい。これ、水虫のせいだ。
篠田:水虫のせいだと思います。

ここで山田君;

山田:吾郎さん、うちのお姉ちゃん、外反母趾です。
篠田:(笑)
吾郎:・・・
山田:水虫の可能性ありますね。
吾郎:それ、ちょっと、お姉ちゃんに悪くない?

イメージというものがありますからw

吾郎:他にもあるんですかね。
外山:他にもあるんですよね、先生。

と、次に出されたのが、レンブラントの『ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴』という作品。

吾郎:何だろうなぁ、内臓脂肪が結構、たまってますよねぇ。
篠田:2段腹ですよね。
吾郎:そうですね。
外山:もうちょっと上に注目してください。
吾郎:もうちょっと上?
外山:おっぱいです。
吾郎:おっぱいは別に綺麗じゃないですか。
篠田:バデシバは、実は、乳がんです。
吾郎:ええ!本当ですか?これで分かりますか?
篠田:左の下、1/4あたりが凹んでいる。

と見ると、確かに具合的に凹んだ影が書かれてました。

外山:あ、本当だ。
吾郎:確かにこれ別にさ、絵としての陰影をつけているわけじゃないよね。
外山:そうですね。
篠田:はい。
吾郎:実際、早くして他界されてしまったんですか?
篠田:9年後にですね、(亡くなったのは)37歳だったかな?
吾郎:面白いですね、これは。


この後は、篠田さん御自身がレキドクになったこれまでの半生について。
子供の頃はお芝居をしたかったようですが、母親から、まずは手に職を付けろと言われ、名古屋大学の医学部に入られたのだそうです。
その後、整形外科医となりながら、小説家としても活動。
ここで、登場するのが故・渡辺淳一さん。名古屋大学の講師をされていたことがあり、篠田さんが勤めていた施設にも訪問した際に、帰りのタクシーで話をしたと。

篠田:そのときに色々話をしましてね。医者と作家の二足のわらじはダメですよ、って言われたのはすごく頭に残っています。
吾郎:ダメなのかな。
篠田:渡辺さんは医者を辞めて、作家一本でやられてますから、それで大作家になりましたよね。
吾郎:うん。

他にも、鉛筆は10本ぐらい削っておいて、それから書くという話もされたとかで、この後、篠田さんのご自宅訪問のVTRが流れましたが、その執筆部屋では、小さな段ボール箱一杯の鉛筆が置かれてました。一度、執筆の流れを、鉛筆を削ることでさえぎられるのが嫌なんだそうです。いや、それにしても、多いですね(汗) もちろん、書庫には本がいっぱいで、医療関係の本と歴史の本が大量に入り混じっておりました。

吾郎:うん、すごい。
外山:鉛筆すごいですよね、先生。でも、ちゃんと大切にね。
吾郎:何か懐かしいなと思って。
篠田:あ、そうですか。
吾郎:うん。今後ですよね、どんな方を診察してみたいんでしょうかね?
篠田:これからですか?特に、大作曲家ですね。
外山:あ。
篠田:バッハ、ヘンデル、グルック、ハイドン、モーツアルト、ヴェートーヴェン、ウェーバー、ロッシーニ、シューベルト、ショパン、シューマン、リスト、ワーグナー、ベッリーニ、メンデルスゾーン・・・

もう、すらすら出てきます。

吾郎:好きなんですね、先生。
篠田:・・・チャイコフスキー、そういった人たちの最期、まだ、どうだったとか、そういったこと、まだ色々やってないですから。
吾郎:西洋版も興味ありますね。音楽とか僕も好きですし。

最後は山田君のハンコ。偉人の方たち(今回の等身大パネルの元ネタを使って)、その人たちを診察している篠田さんというハンコ。アイディア素敵でした。


(16.05.15 up)



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