福家警部補の挨拶

 第11話「女神の微笑」 14.3.25 Tue PM9:00〜9:54 

「目指すものが同じでも、君には君自身の道がある」


  • [1 事件発生]

    車椅子の老女、後藤喜子(八千草薫)がミカンを落とし、通りがかりの男、網山聡(松本実)に拾って貰う。その間に、老人、後藤秀治(山本學)が網山の持っていた黒かばんと用意していた黒かばんとをすり替えた。その後、合流した喜子と秀治。二人は実は夫婦であった。二人は静かに近くの喫茶店へ場所を移す。

    一方、網山は仲間の下に黒かばんを持って行き、次の犯罪計画について語り合う。実は、網山ら3人は宝石店強盗殺人事件の犯人グループだった。その時、すり替えられたかばんに入っていた爆弾がさく裂する。犯人たちは、この爆発で全員即死してしまった。  野次馬でごった返す爆発現場に駆けつけた福家警部補(檀れい)は、車いすに乗った喜子とぶつかってしまう。この出会いが全ての始まりだった。福家は爆破が起きた際、近くの喫茶店に老夫婦がいたとの証言を得て後藤夫婦の家を訪ねる。福家は、この老夫婦に違和感を覚えていたのだ。そんな福家の訪問を夫の秀治は訝しむ。だが、喜子はどこか嬉しそうに応対していた。

    一方、石松和夫警部(稲垣吾郎)は、福家のこれまでの経歴を把握し、彼女の処遇についてある決断をする。福家にその決断を告げる石松。福家は意外な反応をするが…。なぜ福家は自ら捜査一課に異動して来たのか。福家自身の口から、あることが語られようとしていた。
    福家自らの過去と重なる老夫婦の悲しき犯行。福家の過去最大の捜査が始まろうとしていた。

    (以上、公式HPより)



  • [2.昇任]

    夜。喫茶店。
    爆破事件についていつものように二岡から捜査状況を聞きだす福家。
    爆破が起きた現場の遺留品の情報、および現場で爆発した2つの爆弾の成分が、それぞれ異なるものであったという話を聞く。その同じ成分を使った爆弾事件は過去にもあった。

      二岡 「あ、それから、この前、田所さんが言ってた意味、分かりまし
          たよ。ほら、(田所が)『次期係長になる』って」
      福家 「そんなこと言ってたっけ?」
      二岡 「それて要するに、石松の警部の後任に自分がなるってことらし
          いですよ」
      福家 「えっ?」
      二岡 「っていうか、聞いてないんですか?石松警部、昇任されて来期
          から警視になられるそうです」
      福家 「?!」
      二岡 「・・・あの、思い切って聞きますけど、二人って・・・つ・・・
          つき・・・」
      福家 「つき?」
      二岡 「・・・月が綺麗ですね、今夜は」
      福家 「どこ?どこにあんの月?」
      二岡 「(僕って一生こういう役まわりなのかなぁ〜)」



    警察署。捜査本部。

      福家 「警部」
      石松 「もうじき警部ではなくなります」
      福家 「あ、警視に昇任されるそうですね」
      石松 「ええ。その前に1つ仕事が残っていましてね。君の処分につい
          てです」

    そう言って、石松は福家に『警部昇任推薦書』と書かれた書類を手渡す。

      福家 「・・・」
      石松 「君を警部に昇任させる推薦書です。承諾のサインをして下さい」
      福家 「どういうことですか?」
      石松 「僕の後を任せるということです」
      福家 「私は別に、昇任を希望するつもりはありません」
      石松 「これはもう、決まったことなんです。サインをしなさい。後の
          処理は僕がするので」
      福家 「・・・」

    そして、石松が福家の手帳に目を落とすと、そこには『後藤あかり』という文字が。それは今回の老夫婦の娘の名前だった。

      石松 「後藤あかり?」
      福家 「ご存知なんですか?」
      石松 「僕が警察官になって、警察という組織の持つ、ある種の限界と
          いうものを痛感した事件です」
      福家 「えっ?」
      石松 「そして、僕が上を目指す理由でもある。君もそうするべきだ」

    (えっ、何、その急展開?!あまりに脈絡無さ過ぎだなぁ。『処分』なんていう言葉を使っておいて、(ある程度想像ついたとはいえ)そういうオチですかい?石松警部の考えていることがわかんないよ…)



    後藤家。
    喜子が、亡くなった娘・あかりが使っていた作業部屋で爆弾作りをしていると、そこに福家がやってくる。
    福家は後藤夫妻に、これまでの捜査状況について話をする。
    事件現場には、いつも犯行に使っていた覆面などは残っていたが、改造銃は発見されなかった。その換わりに、爆弾が2つ。また、当日、アパートに住んでいる他の住人には「害虫駆除」のお知らせが入っていて、事件当日、亡くなった強盗犯以外は誰もそのアパートにはいなかったこと・・・など。

      福家 「一番分からないのは、その人は何の為にそんな殺人をしたのか
          ということなのです。考えられるとすれば、その3人が強盗犯
          であることを知り、未然に次の犯罪を防ごうとした。ですが、
          そんなこと、あり得るでしょうか?」
      喜子 「私は、あり得ると思うわ・・・あり得ると思う」

    後藤夫妻は、以前、化学肥料系の会社を経営していた。知識としては十分持ちあわせている。

      喜子 「福家さん、1つだけいいかしら?もし、あなたの言うとおり、
          誰かがあの3人の悪者を爆弾で殺したとしても、そもそもどう
          やってその人は彼らが悪人だって知ったのかしら?」
      福家 「・・・」




  • [3.もう1人いる]

    警察署。捜査本部。
    福家が捜査メモを整理していると、そこに二岡が1週間前の公園の監視カメラに、今回の強盗犯が映った映像を持ってくる。そこには、通りすがりの後藤夫妻も映りこんでいた。
    強盗犯たちが乗っていた車と、通りがかった後藤夫妻との間にはかなりの距離が離れていたが・・・



    墓地。
    娘が眠る墓地に後藤夫妻が墓参りにやってくる。そこに福家も墓参りにやってきて、あかりが殺害された事件について調べたと語る。そしてもう一つ、過去にも極刑を免れた殺人事件を起こした人間が、似たような爆弾事件で死亡していると語った。そして、今回も・・・;

      福家 「あなたたちは、3人の会話の内容から、彼らの正体を知ったの
          ではないですか?」

    福家は、喜子が読唇術を使えるのではないかと推測する。

      喜子 「きっと私たちではない誰かが悪人に天罰を下したんじゃないか
          しら?次の被害者を出さないために」
      福家 「それは警察の役割です」
      喜子 「警察?」
      福家 「はい」
      喜子 「警察が一体、何をしてくれるの?貴方たちは娘を助けてくれな
          かった。私は警察に助を求めたわ。何度も何度も。でも、何も
          できないと言われたの、実際に被害が無いと」

    そして、続けて言う;

      喜子 「あなたたいが守ったのは規則や法で、私たちの娘ではなかった」



    警察署。捜査本部。
    1人、公園監視カメラの後藤夫婦と強盗犯がニアミスした映像を何度も眺めている福家。そこに石松がやってくる。

      石松 「この前渡した書類、提出がまだのようですが?」
      福家 「なぜです?」
      石松 「はっ?」
      福家 「どうして私を昇任させたいのですか?」
      石松 「・・・。警察という組織を変える必要があるからです。何かを
          変えるためには、上に立つ必要があるのです」
      福家 「私にはそんな資格はありません。…答えられなかったんです、
          絶望的な憎しみに囚われた人の問に。私は、警察官として失格
          なんです」
      石松 「君は過去にいくつもの地獄を見てきたんでしょ?だからこそ、
          できることがある。やるべきことがある。違いますか?」
      福家 「・・・」
      石松 「あるいは僕の見込み違いだったのかもしれませんね」
      福家 「警部!」
      石松 「警視と呼んでください」
      福家 「警部!」
      石松 「だから・・・」
      福家 「(公園の監視カメラの映像を見ながら)網山たちは誰かに話し
          掛けています」
      石松 「・・・?後部席に誰かもう1人いる?」
      福家 「犯人グループは3人じゃなかったんです。後藤夫妻の位置なら、
          4人目の顔も見えたはず。まだ終わってないんです、あの人達
          の憎しみは!!」




  • [4.信じています]

    夜。住宅街。
    車の中から“4人目”が住んでいる家を眺めている後藤夫妻。喜子は非常に穏やかに助手席に座っている。

    一方、福家は、石松と共に後藤家にやってくる。だが、家の中は無人だった。



    同時に、石松は部下たちに指示をし、4人目を洗い出させていた。二岡は、強盗犯の1人の通話履歴から、前の宝石店強盗の際に客として店に居た矢崎良太郎の名前を見つけ出す。



    後藤家。石松は電話を受けている;

      石松 『わかりました』

    家の中に後藤夫妻は既に居なかったが、石松の元に4人目についての連絡が入る。

      福家 「(後藤夫妻が家の中に)いません」
      石松 「4人目が分かりました」
      福家 「後藤夫妻はそこです!警部!!・・・あー、じゃなかったっ、
          警視!」
      石松 「どっちだっていい!」

    二人は車に乗り込み、矢崎の住む家に向かう。



    矢崎の自宅。
    矢崎が自宅から出てきたのを見て、遠隔から矢崎の車に仕掛けた爆弾を爆発させようとする後藤夫妻。

    矢崎が車に乗り込もうとしたときに、福家と石松が到着する。

      石松 「矢崎!!!」

    石松が矢崎に飛びかかり格闘している間(って、吾郎君で取っ組み合いのシーンなんて貴重だわっ!)、福家は近くにいるはずの後藤夫妻の姿を探し、離れた場所に二人を見つけ出す。二人の姿を見ながら必死に訴えかける福家。
    と同時に、車の周りを捜索し、爆弾を見つけ出す。

      福家 「爆弾です!」
      石松 「離れろ!離れるんだ!」
      福家 「離れて!!!!」

    ・・・だが、爆弾は爆発しなかった。

      福家 「爆発はしません」
      石松 「どういうことだ?」



    後藤家。
    後藤夫妻が戻ってきたばかりのところに、石松と福家がやってくる。

      福家 「夜分遅くにすいません」
      石松 「石松と言います。用件はお分かりだと思いますが」
      後藤 「何のことだね?」
      石松 「数時間前に、爆破未遂事件が起きまして」
      喜子 「そう?物騒ねぇ」
      後藤 「私らには関係ない」
      福家 「・・・」
      石松 「・・・。鑑識の結果、その爆弾は先日の爆破事件で使用された
          ものと同型であることが分かりました」
      喜子 「それで?」
      石松 「あなた方が仕掛けた爆弾ですよね?」
      後藤 「何か証拠があるのかね?」
      石松 「実は、その爆弾の部品に、証拠となる指紋が残されていたので
          す」
      後藤 「指紋?」
      喜子 「嘘おっしゃい!」
      後藤 「だったら、私らの指紋を調べたらいい」
      福家 「いえ、その必要はありません。ここにあるのは私の指紋です」

    福家が最初にこの家に訪問した際に、作業部屋を見せて貰った時に触った部品だったのだ。

      福家 「これが証拠です」
      後藤夫妻「・・・」

      喜子 「あのとき、何か叫んでいたわね」
      福家 「はい。奥様ならお分かりになったはずです」
      喜子 「『信じています。私は信じています』」
      福家 「はい」
      喜子 「何を信じてろっていうの?何を信じられるっていうの?そんな
          ものってない。あなたには分からないのよ」
      福家 「わかります。私もあるんです、人を殺したいほど憎んだことが」
      喜子 「!」
      福家 「その思いを消し去ることは今もできません」
      喜子 「だったらどうして?」
      福家 「それでも信じたいと思ったからです」

    福家は喜子に寄り添い訴える。

      福家 「私にはどうしてもできないんです、人を殺すということが…。
          だからこそ信じたいんです、信じているんです、正義というも
          のを。私は信じています、人は人を救うことができる。これか
          らも、娘さんと同じような目に遭う人がいるかもしれません。
          ですが、守ります!今度こそ娘さんを守ります!命がけで絶対
          に助けます。目の前にある1つ1つの憎しみから私は救い続け
          たいんです」
      喜子 「福家さん・・・もっと早くあなたに会いたかった。出頭します」
      石松 「車を用意します。福家君」

    そうして石松は家を出て行く。

      喜子 「娘に挨拶してきていいかしら?」
      福家 「はい」

    そして、喜子は後藤と共に、娘の部屋に入っていった。
    (って、これ、どう見たって自殺するってことだろー、っていうね。ちょっと見え見えすぎる演出はなぁ。それをみすみすと自殺させた福家が無能すぎるっていうね。あ、福家は推理に関すること以外は前から無能だけどさ)

    不審に思った福家が部屋に入ろうとすると、中から爆発が起きた。外で部下に連絡を取っていた石松が慌てて家の中に飛び込んでくる。

      石松 「福家君!大丈夫か?!」
      福家 「奥様!!」
      石松 「やめろ!」
      福家 「奥様!!」
      石松 「やめるんだ!福家!」
      福家 「奥様!!!」



    病院。昼間。
    負傷した福家がベッドで眠っている。目が覚めるとそこに石松警部が。(って、ずっと一緒にいたのか、警部っ!!!そりゃぁ、二岡君も二人の関係を怪しむってもんだぞっ!)

      石松 「気がつきましたか?」
      福家 「あの夫婦は?」
      石松 「・・・」

    (このシーン、窓からの明かりが入ってとっても綺麗なわけですが、えっと、その・・・、明かりをバックにした石松警部の横顔がステキすぎて(福家さんより)、私はもう、あたふたしまくってしまったという(爆))

    呆然とする福家に、石松さん、枕元に置いてあったメガネを手渡してます。

      石松 「前に言った君の昇任の件ですが、僕の方から断っておきました」
      福家 「?」
      石松 「目指すものが同じでも、君には君自身の道がある。そうですよ
          ね?」

    (って、踊る大捜査線かよっ!)

      石松 「これからも頑張ってください、福家警部補」
      福家 「はい・・・分かりました・・・」
      石松 「・・・」

    福家は一人ベッドで涙した。




  • [感想]

    最終回。石松警部の格好良さが引き立った回でした(←と、私の目にはそう見える)

    決してハッピーエンドではないドラマ、初回から淡々と進むこのドラマらしいといえばこのドラマらしい終わり方だったと思います。

    だけど、いいたい事はたくさんあるドラマだったかなぁ。

    何より、福家さんの設定について、結局、何も結論を提示していないという。前振りだけ見せて、そのオチを提示せず、視聴者に対して考えろというだけのドラマは好きじゃない。そりゃぁ、中途半端に最終回に提示されても、消化不良が残るだけなのですが、それでもちゃんと11話の間に、今回のドラマで言いたかったことは何なのか、きちんと回収すべきだったと思います。

    石松警部としては、そういう落し所に持っていくなら、最初からもう少し何とかできなかったのかと。あまりに勿体ぶりすぎて、ドラマの序盤の小者っぷりと、終盤の大者っぷりがつながっていないように感じました。吾郎君ならどちらの方向に向いてもキャラクター的には当てはまる演技ができると思うのに、勿体無い。

    とまぁ、なんともモヤモヤガ残ったドラマでしたが、とにかく石松警部が格好いいと、やっぱりこれに尽きるのかなぁ。
    今回は年齢設定43歳と実年齢40歳に対しては3つも年上の設定で、檀さんの“上司”という設定。それでもそういう落ち着いた年齢の役を、きちんと魅せてくれて嬉しかったです。早く次のお仕事が見たいぞーーーー。


    (2014.3.30)





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