[おさむの部屋]
夜になって、ソファーに寝転んで天井を見つめるおさむ。
<ナレーション>
今となってはそれが上手く思い出せない。
玄関のチャイムが鳴る。それとともに過去の記憶が蘇る;
<ナレーション>だけど、ふとしたときに思い出す昔の彼女の姿は今でも鮮明だ。
おさむが未だに忘れられない昔の恋人・・・
昔の光景。アパートのチャイムが鳴り、おさむが玄関のドアを開けると、嬉しそうに美也子が帰ってきた。
美也子「ねぇ、ねぇ、オーデションに受かったの!」
おさむ「やったじゃん!」
美也子「うん♪」
おさむ「じゃぁ、何かお祝いしなきゃ」
美也子「本当!!」
<ナレーション>
駆け出しの作家と女優の卵。よくあるどこにでもある二人だった。
二人仲良くテレビの前で正座してじっと見てる。最後のエンドロールに自分の名前。興奮して手を叩いて喜ぶ姿は、孝太郎と尚美っちっくじゃないかい?
<ナレーション>
些細な事も、二人には幸せだった。それが突然、壊れた・・・
時計は夜の9:10。部屋のチャイムはまだ鳴っている。ドアを開けると、それは友美だった。
友美 「来ちゃった!」
おさむ「あ、いらっしゃいませ」
友美 「ふふ。お土産!」
と二人仲良く部屋でケーキなんて食べたりして。
<ナレーション>
通信販売でミキサー買ったら包丁がついてくるみたいに、
作家として有名になったら、たくさんの女の子が寄ってきた。
すみません、何だかんだ言っても、綺麗な子にはかなわない・・・