おませなユーミン

ユーミンあらわる


ユーミン雪の中
時の空間をこえて
いったいユーミンは
どこへ来たの?


バスの中
ケイ つぶやく
「あーあ
 毎日 こんな バスにのって
 かえるなんて」
ケイのうしろで
「キャー!!」と叫び声


バスの中の女性がさわぐ。 
「エッチ、ちかん!
 なにすんのよ」
「えっ」ケイおどろく。
女性がにらんでいる。
「最近の高校生は
 いやらしいわねぇ」
ケイ あわてて 「ち....ちがうよぉ。
 人ちがいだよ」と
いいわけするが
みんなにジロジロ見られる


女性「きゃ~~
   また さわった」
ケイ「いえっ ぼくは
   なにも・・・」
  『ギョッ 
   みんな ぼくを
   うたがってる』
キョロキョロするケイ


バスの中のみんながジロジロ
ケイ いられなくなって
「ぼくじゃないんだけどな」
逃げるケイ

ケイ バスをおりてしまう
「なんで ぼく
 こんなところで
 おりなきゃ
 ならないんだ?」
疑問(ぎもん)に思うケイ
バス去っていく
きのどくなケイ


ケイ怒って 「チェッ
 きょうは ついてねーや
 2駅も歩かなきゃ
 ならないなんて
 おまけに なんだっ
 この くそったれ雪!」
雪をけるケイ


ケイ 「うわ~~
くそったれ なんて言ったら
雪が反抗してきた!」
雪が ドドドと なだれて来る


ケイの前に 今まで
何もなかった雪の中から
見知らぬ小さな女の子の
ユーミンが現れて
ケイびっくり


10

ユーミン話かける
ユーミンケイに 「いまの雪
 すごかったわね」と言う
ケイ「え?」「う うん」


11


2 ユーミンあらわるー11 ケイ帰りながら
「ふふっ かわいい子だな」
ユーミンとっとことっとこ
後ろを歩いて
「あたし ユーミン」
と 話かける


12

ふりむくケイ
「え? あっ
 ついてくる.......」
ユーミンが後ろにいて
ケイびっくり


13

ケイも自己紹介
「ぼく ケイ。
 きみも こっちへかえるの?」
ユーミン「まーね」
ケイ「じゃ ぼくんちの近くだね」
ユーミン「まーね」


14

ケイのアパートの前まできて
ケイ 変に思う
「でも まさか いっしょの
 アパートなんてはず.......」
ないですよね・・・
なのに ドアの前まで ぴったんこ
くっついてくるユーミン


15

ユーミンが言うには
「ユーミン
 おにいさんの おへや
 見たいわ」
ケイ「え~~~っ」
あせるケイ


16

ケイ へやをあけたくなくて
「で でも」と
ドアに立ちふさがる


17

入りたいユーミン 
「まー なによ
 てれること ないじゃないの
 レディを へやにいれる
 からって」
ケイ赤くなって
「いや しかし.....」
かくすケイ


18

ドアの中に入った2人
ケイきたな~いへやに
「てれてるわけじゃ
 ないが......」
とはずかしい
きたないへやに ユーミン
あぜ~ん


19

ユーミン
「きたないわね
 これがおへやなの?
 あたしが かたづけて あげる」
と言ってぱっぱっぱっと
よごれ物をとばす


20

ユーミン 人の家に入りこんで
「そろばん(今でいう計算機)
 かして」
そろばんをかすケイ
ユーミン「まきじゃく かして」
まきじゃくを かす ケイ


21

スピーディに  きっち~んと
きれいにかたずけして
ほうき片手に  にっこりする
  ユーミン
ケイおどろき


22

ケイが
「でもテレビは 
 こっちのほうが
 見やすいよ」と
言うと
ユーミンが
「だめよ」と反対


23

ユーミン
「バカリス博士の
 幾何学方程式によると
 ここにおくのが いちばん
 おへやが 広く見えるのよ」
意味がわからないケイ
「バカリス博士?」と聞く


24

ユーミン あわてて
「あわわ いえ....
 なんでもないわ」と
何かかくしてるようす
ケイ「?」


25

ユーミン
「あぶない あぶない.....
 実験室から ぬけだしたことが
 バレたら たいへん......」


26

ユーミン 話を変える
「それより このおへや
 気にいった?」
ケイ うなずく
「うん なかなか いいね


27

ユーミン
「あたしも
気にいったわ」
 と満足


28

ユーミン 座りこんで
「あたし 今晩   とまるとこ
 さがしてたの」
ケイ横たわっていたのに
びっくりして
上半身起こす


29

ユーミン ニコニコして
「ケイって いったわね
 あなた いい人みたいだし
 きっと とめて..」
さえぎるケイ
「じょ.... 
 じょうだんじゃないよ
 家出したの?」


30

ユーミン
「あたしは おとなよ
 家出にはならないわ」
ケイ「ええ?」と
まじなユーミンに
おどろくケイ


31

ユーミン
「ええってなによ!
 6年の過去を持った女なのに
 おとなとみとめて
 くれないのね」
と お目目うるうるして言う
おませなユーミンに
あきれるケイ


32

ユーミン 「ざんねんだわ.....
 1度でいいから
 小さな家庭の味を
 しりたかったのに
ケイ「そうか.......
 このこ意外と
 かわいそうな子
 なのかも.......」と同情


33

ケイ同情して
「それじゃ もうすこし
 ここにいても いいよ」と
時計を見て
『夕食までは』と 思う


34

ユーミン
「少しでもうれしいわ。
 おれいに コーヒーでも
 いれて あげるわね」と
またもハッスルして
台所へ行く


35

ユーミンこっそり コーヒーに
花を入れて 浮かべる
『コーヒーに ねむりの花を
うかべましょ
.........これは ナイショ』
『すこし ねむって
 もらうわね ケイ』
と 意味ありげなユーミン


36

ユーミン思う
『ごめんね
 でも あなたが 気にいったし
 あたし かえるとこ ないの
 ここから でていきたく
 ないんですもん』
ケイはコーヒーをのんで
コップを落とす


37

ケイおふとんに 寝て
ユーミンその上にのっかって
夢ごこち
『おふとんしいて あげるわね
目がさめたとき そばについてて
あげるわね
やさしく せわして あげるわね
だから ずっとここに
いさせてね ケイ......』
「いやだって いったら
あしたの晩も ねむらせ
ちゃうから...」

   ー  終 ー


過去 なかよし1976年1月ー1979年8月 連載され 単行本にもなりました
現在 おませなユーミンのCMコピー本は 新作3本含めてNo.37まであります。
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